HigherFrequency ハイヤーフリケンシー

Gonno

INTERVIEW

Gonno

  • Text & Interview : Hiromi Matsubara

  • 2015.7.27

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

時間と記憶のオリジナルサウンドトラック

一区切りというイメージがあるせいか、たまに俯瞰して見ると全長が短く見えてしまうことがあるけど、10年というのはやはり長い。10年も空くと、さすがにアルバムというフォーマットとの関係性や、その距離感も大きく空いているように見えてしまう。そう、イメージがかけ離れてしまうのだ。実際、Gonnoという人物を知ってからおそらくまだ5年も経っていない僕自身は、最新作『Remember The Life Is Beautiful』が「10年ぶりのアルバム」と言われるまで、前作のことはほとんどと言っていいほど意識をしていなかった。だから、今回のインタヴューで必要以上に「10年」や「アルバム」という言葉を使って問い続けているのは、Gonnoとアルバムの関係性をいまここで掴みたかったからだ。 『Remember The Life Is Beautiful』の音物語は、まず、2005年に『My Existence』をリリースしてからの時間と記憶が紡いでいく。プロデューサーとしては、ほぼ毎年国内外の人気レーベルから多くのDJたちに愛されるダンストラックをリリースして、DJとしては日本全国のパーティーやフェスティバル、さらにはヨーロッパを回り、数多の音の要素が激しくかつ綺麗に渦巻くプレイで人々を恍惚とさせてきた、音楽家としてのひととき。そしてそれを繋いでいく、本人しか知り得ない、多くの音楽、楽器、人々との出会いに揺さぶられてきた、ひととき。アルバムは、最初にも最後にも、あまりにも多くのことがありすぎたであ ... READ MORE

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DJ NOBU

INTERVIEW

DJ NOBU

  • Text & Interview : Yusuke KawamuraPhoto : Ryu KasaiSpecial Thanks : Shin Asano

  • 2015.7.23

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

すばらしいSF小説の読後のような感覚

見たことも、ましてや存在さえしないものを、文字というアブストラクトな要素から、イマジネーションで組み立て、それらがストーリー として展開する、そして興奮する。映画には真似できない、強烈なる抽象的表現だからこそできる、過剰なるイマジネーションの発露。「あれはどういうことか」とまたもう1度読みたくもなる。DJ NOBUの新ミックス『Nuit Noire』はさらりとそんな感情を体感させてくれる。いまやネットの力によって、ミックスCDというメディアの大半は無用の長物となった、それでもリリースされるに足りる強度を持った作品。時代を示すアーカイヴとして、未来のクラシックになるべく約束された作品。この強度の前に、他のDJたちはなにを思うだろうか。そのあたりも気になるところだ。   2013年に『Crustal Movement Volume 01 - Dream Into Dream(以下『Dream Into Dream』)』でプレゼンして見せた動きは2年の月日が流れて、世界中のシーンを見渡してもいまやある程度の形、流れを見せつつある。テクノのレフトフィールドで現出しているインダストリアルやミュージック・コンクレート、フィールド・レコーディング、言ってしまえばフリーキーな電子音楽の再発見がそれだ。いま現在、少々落ち着いた感もあるが、それこそ、ベース・ミュージックをも巻き込み拡大していた。   本作はそうした動きをさらに飲み込んだ形で、強くテクノというアートフォームを意識し、そのD ... READ MORE

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Hudson Mohawke

INTERVIEW

Hudson Mohawke

  • Text : Hiromi Matsubara

  • 2015.7.21

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

自由へと導くランタン、そしてやってくる新世界

「6年振りのアルバムですね」というのは、Hudson Mohawkeと最新作『Lantern』の話をする際には欠かせない話題ではあるが、彼が主にUSのヒップホップシーンなどを通じて常に面白いトピックを振りまいてきたのを見ていると、6年空くのも無理もないなと思う。ここ6年のヒップホップシーンは、90年代から衰え知らずの威勢でトップを張り続ける者もいれば、デビューする前からミックステープ(と『Pithchfork』のレヴュー)で注目を集めた後に1枚のアルバムでスターになってしまう者、はたまたメジャーレーベルからは何もリリースせずにスターになってしまった者もいるように、急激に役者揃いになった。Hudson Mohawkeはそういう変化の流れの中心地かつ最前線へと、自身の望み通り、年々接近していった。かつてのグラスゴーから現れた神童が、世界規模の革新者になるまでの6年というプロセスのポイントは、常に感心するしかないほどにワーカホリックなプロデューサーとして在り続けることだったのだ。Kanye Westの最高傑作『Yeezus』のクライマックスでもある“Blood On The Leaves”を後々共にプロデュースすることになる、Luniceと結成したユニットTNGHTとしてのリリースとツアーをきっかけに、Kanye Westの〈GOOD Music〉のプロデューサーチームの一員となり、DrakeやPusha-Tなど名立たるラッパーたちのトラック・プロデュースを連続してこなしていた。とはい ... READ MORE

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Huerco S.

INTERVIEW

Huerco S.

  • Text & Interview : Hiromi MatsubaraInterpreter : Shimpei Kaiho

  • 2015.7.8

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加
よーく耳を澄まして。靄のようなリヴァーブの向こう側でうごめく、ビートとは違う、また別のグルーヴを持った何かが聴こえる? ただ、それが一体何かはあまりよく知らない方がいいかもしれない。Huerco S.であるBrian Leeds本人が言っているような、一見すると実体は無さそうで、実際にはこの世のどこかに存在している物事かもしれないから。ただ耳を澄まして、彼の物音だけを感じていさえいれば、それでいい。感じていれば充分にノれるから。 今回Huerco S.と共に来日をするAnthony Naplesがカタログの1番を飾った、パーティー兼レーベルの〈Mister Saturday Night〉や、日本のレコード屋でも人気なブルックリンを拠点にする〈L.I.E.S.〉、ハウス寄りの〈Golf Channel Rec.〉といったレーベルの状況を、インターネットを通じて眺めたり聴いたりしていると、確かにニューヨークがエレクトロニック・ミュージックに関して「いま再び注目の音楽都市」と称されているのは分かるし、確かに面白い。何と言っても、あまりにも薄っぺらなEDMに中指を立てるかのような、ロウでジリジリとしたアナログな質感のサウンドが堪らない。Legoweltのように、実際にアナログ機材を使いまくっているアーティストもいるが、多くのアーティストは、シカゴ・ハウス、デトロイト・テクノ、ベーシック・チャンネルにパソコンでデジタルのエフェクトをかけまくったら逆にアナログなサウンドになったという具合の、 ... READ MORE

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INTERVIEW

Jam City

  • Text & Interview : Hiromi MatsubaraInterpreter : Miho Haraguchi

  • 2015.3.26

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加
2010年後半にシングル『Magic Drops』をリリースしてからここまでは4年と少し。2012年にUKがラージ/UKファンキーの流れに名を刻む作品=1stアルバム『Classical Curves』を挟んで、いま現在に至るわけだが、まさかここまで姿を変えるとは。まさかここに辿り着く思わなかった。いま、理想の場所を夢見ているJam CityことJack Lathamは、ラップトップを小脇に抱え、ギターとキーボードを担いだ吟遊詩人だ。というのが、『Dream A Garden』を初めて聴いた時の実感だった。1曲目から、これまで鉄のように硬かったビートは少し溶け出していて、その原因が何かと思えば、確信犯的にエモーショナルなギターカッティングと熱帯的なシンセが現れて、トラックの低域と鼓膜を覆い尽くしてゆく。その奥で、ローファイなヴォーカルが何かを述 べ、問いかけてくる。   昨年から続くグライムのセカンドカミングは、想像以上に色々なものが相まっていて面白い。でも、Jam Cityの2ndアルバムがグライムでは、きっと全く面白くなかっただろう。進歩してるのかを疑うだろうし、もっと言うと「時代遅れ」と幻滅したかもしれない。エレクトロニックミュージックやインディーロックと音楽スタイルのみ引用したR&Bやソウルミュージックとが混合した新型な音楽も、ベッドルームを飛び出しはじめてから少し増え過ぎてはいるが、KindnessやBlood Orange、KelelaやFKA ... READ MORE

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INTERVIEW

Ibeyi

  • Text & Interview : Yoshiharu Kobayashi

  • 2015.2.10

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加
ヨルバの伝統音楽とヒップホップの出会い、あるいはJames BlakeがプロデュースしたNina Simone――そんな乱暴とも思える位置付けも、あながち的外れではないだろう。名門〈XL Recordings〉のオーナーであるRichard Russellが惚れ込み、自らプロデュースを買って出たニューカマーのIbeyiは、自分たちのルーツ/アイデンティティであるヨルバ音楽とモダンなエレクトロニックミュージックの影響を交配させながら、どこまでも神秘的で美しいサウンドを創出している。   ナイジェリアとベナン共和国に居住する西アフリカ最大の民族であり、植民地時代のキューバに奴隷として連れてこられたヨルバ族。彼らの言葉で「双子」を意味するIbeyiは、その名の通りLisa-KaindéとNaomi Diazからなる双子の姉妹デュオ。フランスとキューバを故郷とし、Buena Vista Social Clubのパーカッション奏者、Anga Díazを父親に持つサラブレットだ。   そんな彼女たちがRichardと二人三脚で作り上げたデビュー作『Ibeyi』は、ヨルバ音楽やジャズやソウルをヒップホップ的なプロダクションと掛け合わせ、現代的にアップデートしたもの。先日、自分たちが影響を受けた音楽を詰め込んだミックステープ『EE-BEY-EE』を発表したばかりだが(以下にウィジェットを貼り付けてあるので、ぜひ聴いてもらいたい)、そのトラックリストにEarl Swea ... READ MORE

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Yusuke Yamamoto

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Yusuke Yamamoto a.k.a Freischwimmer

  • Text & Interview : Yusuke Kawamura

  • 2014.11.18

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
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もはやバック・トゥ・オールド・スクールなハウスミュージックの波は、規定路線として欧州シーンにひとつの大きな流れとなっている。もちろん「DJカルチャーは温故知新が基本、そんなものずっとある」と言われても、それはそれなのだが確実にここ5年、それらのサウンドがロウ・ハウスなどと呼ばれてそのリリースの多くを占めていることは間違いないだろう。ディープ・ミニマルからの揺り戻しなのか、はたまたベースミュージックからの越境組の影響か、その動きの要因はさまざまあると思うが。   ここに登場するYusuke Yamamoto a.k.a Freischwimmer(Série Limitée/i!Records/Houseworx)というアーティストもまさにそうしたサウンドの波に乗り、海外のレーベル、そして自身のレーベル〈Canary Recordings〉からコンスタントにリリースしているアーティストだ。そのサウンドのキモはやはりバウンシーでダイナミックなオールド・スクール・ハウス・マナーなそのグルーヴだ。90年代のハウスの12インチ、そこに収録されていた「Dub」や「Tool」、または「Bonus Beats」と呼ばれた、あのサウンドを今様にアップデートしている、そんな感覚を感じさせるサウンドだ。今回は記事に合わせて、エクスクルーシヴのミックスも提供してもらったが、まさにそうしたサウンドを展開している。すでに作品がひとつ話題となり海外でも精力的に活動を行っている。そんなアーティスト ... READ MORE

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Sugiurumn

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SUGIURUMN

  • 2014.11.17

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加
これは誰もが度肝を抜かれるのではないだろうか? 国内外のハウス・シーンで確固たる地位を築いてきたSUGIURUMNの新作『20xx』は、なんと正真正銘のテクノ。大会場を揺るがすスケールの大きさこそ以前と変わりないものの、今回は深海の奥底に潜り込んでいくようなダークでヒプノティックなテクノ・サウンドがほぼ全編に渡って展開されている。“PM 9:09”で聴こえてくるスネアの乱れ打ちに至っては、本人も語っている通り、まさにPlastikmanの名曲“Spastik”のアップデート・ヴァージョンだ。ここまでやられたら痛快という他ない。もちろん、従来のようなポップで煌びやかなハウス・チューンは皆無。果たしてこの一大転機はなぜ訪れたのか? では早速、本人に話を訊いてみよう。   [youtube id="NtfOW6rScGk" mode="normal" autoplay="no"]   ――曲単体でも素晴らしいのですが、アルバムを通して聴くとストーリー性を感じます。何か意識したことやコンセプトはありますか?   SUGIURUMN:映画で例えると、『1984』や『未来世紀ブラジル』、最近だったら、『ハンガーゲーム』みたいな外界の情報が管理されている閉ざされた世界の音楽をイメージしました。寒い土地で、素敵な夢を見たら、それに罪悪感を覚えてしまうような社会というか。その世界で鳴っているというよりは、その世界に相応しいサウンドをイメージしました。制作中 ... READ MORE

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Dirt Crew

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Dirt Crew(Break 3000)

  • Text & Interview : Yoshi Horino(UNKNOWN season / Dirt Crew Recordings)

  • 2014.10.29

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加
ミニマルやテック・ハウス、NYハウスなど良質な作品を数多くリリースし、数多くのDJやリスナーの支持を受け、今やドイツのエレクトロニックミュージック・シーンを代表する存在となった〈Dirt Crew Recordings〉。Break 3000とJames Flavourのユニット名から名付けられたレーベルは、2004年の設立から今年で10年を迎え、10周年記念パーティが11月1日(土)に表参道ORIGAMIで開催される。そして来日直前の Dirt Crewブレーンのひとり、Break 3000にメールインタヴューを決行。彼の口から語られる今後の展望やレーベル運営への想い。ファンのみならず、レーベル運営者やレーベルを始めたい方にも興味をそそられる内容となっているのではないだろうか。     ――〈Dirt Crew〉というレーベル名の由来を教えてください。   Break 3000:「Dirt Crew」という名前は僕らのアーティスト名なんだ。今はDirt Crewとしては曲を作っていないけど、幸いにも皆はその名前を覚えてくれているので、僕らはそのままのレーベルの名前にしたら良いと思ってその名前をレーベル名にしたんだ。でも10年後に名前を変えるのは難しいよね。     ――10年間使用していた、レーベルのイメージを象徴するスケルトンハングルースのロゴはなぜ使用したのでしょうか?   Break ... READ MORE

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SBTRKT 2

INTERVIEW

SBTRKT

  • Text & Interview : Yu Onoda

  • 2014.9.18

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加
ベースミュージックのアーバン・プリミティヴな側面を象徴するかのような異形の仮面を被った覆面プロデューサー、SBTRKTことAaron Jerome。James Blakeのデビューアルバムと時を同じくしてリリースされた2011年のアルバム『SBTRKT』は、ポスト・ダブステップというタームが急浮上するなか、その流れのなかにR&Bやクラブ・ジャズのスムースかつポップな要素を溶かし込むことで、高い評価を得ると同時にセールス的なブレイクを果たした。その後は長いライヴ/DJツアーで世界を回っていた彼だが、今年3月にリリースした連作シングル・シリーズ『Transition』でシーン復帰ののろしを上げ、3年ぶりとなるセカンドアルバム『Wonder Where We Land』がここに到着した。 この作品には前作にもフィーチャーされたSamphaやJessie Wareといったイギリス勢に加え、Vampire Weekend のEzra KoenigやWarpaint(デラックス・エディションに収録の“War Drums”に参加)、ChairliftのCaroline Polachekのようなインディーズ・ポップ/ロック・アーティストからA$AP Fergのようなヒップホップ・アーティスト、さらにはマスタリング・エンジニアのVlado Mellerまで、アメリカの才能が多数参加するという新たな方向性が鮮やかに提示されている。いまだにミステリアスな仮面でその素顔を隠した彼が辿り着いた場所 ... READ MORE

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Pioneer DJ

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