HigherFrequency ハイヤーフリケンシー

INTERVIEW

Daniel Avery

  • Text & Interview : Hiromi Matsubara

  • 2018.4.20

  • 3/30 追加

安静から覚醒への流れ、その狭間

DJスケジュールに「All Night Long」という言葉が驚くほど並んでいるのは、Daniel Averyが唯一だろう。2日連続もあれば、3日間の滞在で2回のスケジュールもあって、とにかくそのペースが驚異的なわけだが、衝撃の余韻を通り越しかけている次の瞬間にはもう、性格に合っているんだろうな、という心底の感心と言うべきか無性に温かな気持ちになる。勿論、これほどにオファーが殺到する状況にまで自身を磨き上げたDaniel Averyの誠実さに対してもだ。しかし今やロングセットが彼にとっていかにフラットな行いであるかを、シンプルかつ丁寧に説明してくれたというのが、これからの対話である。   DJに関する話題でも、最新アルバム『Song for Alpha』に関する話題でも、彼が口にする言葉は大して変わらない。それは双方を構成するものが今となって彼の中で共通しているからである。最終的には、自己の世界への没入によって分割した愛情が音楽によって纏め、相乗効果を起こし、瞑想状態を遥かに上回る没入の快感へと導くこと。そのためには「エナジー(Energy)」と「フロウ(Flow)」を崩さないことが重要であること。彼が説明に用いる「テクノ(Techno)」と「アンビエント(Ambient)」は、時折、其のジャンル(様式)を言い表しているというよりも、ダンスフロアにおける「ヒプノティック(Hypnotic)」を認識するための共通要素として、より概念的な用いられ方をしているように聞こえ ... READ MORE

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INTERVIEW

Opal Sunn

  • Text & Interview : Hiromi Matsubara

  • 2018.1.25

  • 3/30 追加

遠く離れた惑星から、ダンスフロアへ

"春の温かさが満開になる幾分か前、まだ遠く冷たい太陽が Planet Sundaeに明日への影を示す頃、そして Al Kassianの "Diamonds of Jupiter"が依然として惑星の軌道上を進むその時、我々は2017年の行き先を遠く離れた星座に定めた。 私たちは Opal SunnのデビューダブルEPの1作目を親愛なるあなた方に紹介出来る事を誇りに思います。Hiroaki OBAと Al Kassianのこの作品は2015年から2016年にベルリンで録音され、日々の激しい光とダンスフロアでの突風との境目を率直に目指したものです。" ーー『 Ⅰ (Part 1) 』プレスリリースより   〈Planet Sundae〉からのプレスリリースに記載されている作品紹介は、ポエム調の超短編物語のように読むことができて面白い。〈Planet Sundae〉のカタログナンバー1、Al KassianのEP『Diamonds on Jupiter』のを読むと、これがOpal Sunnに限ったプロモーションスタイルではなさそうなことがわかる。そして、アーティスト本人ではない第三者の目線から語られていく、地球上には存在しないであろう情景描写と、それに伴う思惑や決断については、レーベルがカタログを重ねる毎に展開していく連続性を感じることができる。しかし、英語の原文でもその和訳でも、何を言い表しているのか解らない部分はとにかく解らない。と言うか、ほとんどがよく解らない。意 ... READ MORE

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INTERVIEW

Noga Erez

  • Text & Interview : Aoi Kurihara

  • 2017.9.13

  • 3/30 追加

あなたは銃を打ちながら踊れる?

Can you dance while you shoot?(あなたは銃を打ちながら踊れる?)   暴力が日常の世界で生きるからこそ紡ぎ出せる言葉だろう。この衝撃的なリリックと不穏なエレクトロ・ビートが織りなす“Dance While You Shoot”で鮮烈なデビューを果たしたイスラエルの新鋭ミュージシャン、Noga Erez(ノガ・エレズ)が、ドイツの名門レーベル〈City Slang〉からデビューアルバム『Off The Radar』を2017年6月にリリースした。   https://www.youtube.com/watch?v=yz6I6zZP7OI   Noga Erezは、湾岸戦争の起こった1990年が幕を開ける4日前に、イスラエルのカイザリアという地中海に面した小さい町で生まれた。彼女は軍で出会ったという両親──伝記作家の母親と、電気通信会社で働く父親を持っていたが、彼女の生まれ育ったエリア自体は、大規模な街のテルアビブやハイファから離れていたこともあり、比較的、政治色は強くない土地だった。しかし、彼女が生まれ育ち、生き続けている世界には、例えばパレスチナ問題によって自爆テロや反乱が実際に起きたりと、戦争や殺人が日常にあり、暴力が常に横行しているのである。彼女の最も新しい記憶では、2014年に、彼女が現在拠点としているテルアビブにロケット弾が墜落したそうだ。また、イスラエルには世界で唯一女性に対しても2年の兵役制度があ ... READ MORE

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INTERVIEW

SEKITOVA and Friends talk about “Our Party”

  • Text & Interview : Kenjiro HiraiEdit : Hiromi Matsubara

  • 2017.8.4

  • 3/30 追加

若者たちが考えるパーティー進化論

今回、SEKITOVAが自身の地元である大阪はアメリカ村(通称:アメ村)のクラブ、Jouleにて主催するパーティー『TESLA』についての話を訊いた。『TESLA』は2016年9月に初開催され、これまでに石野卓球、Shinichi Osawa、DJ EMMAらを招いて回を重ねてきた。8月5日(土)に開催される第4回は、SEKITOVAと同世代であり、近い舞台で相まみえてきたLicaxxxを迎えた二人会となる。   SEKITOVAは現在22歳。若手のDJではあるが、彼はキャリアの初期から『Big Beach Festival’13』や、2014年までageHaにて100回開催された『CLASH』のメインステージなど数々のビッグパーティーに出演し、活躍を続けてきた。2012年にデビューアルバム『premature moon and the shooting star』を自主レーベルからリリースした直後から、凄まじい速度感でスターダムを上がってきた2017年現在、『TESLA』は彼が現時点までのキャリアの中で経験してきた数々を総括し、アウトプットする側面を持っている。このアウトプットについてSEKITOVAは「自分がもらったものをシーンや街に還元したい」と語り、大阪、引いては日本、さらには世界のシーンを俯瞰した上で『TESLA』をどのように機能させるのか、ということについて思考を巡らせている。大阪で育ち、今も大阪で暮らすSEKITOVAは、何を思いパーティーを始めたのだ ... READ MORE

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INTERVIEW

Evan Baggs

  • Interview : RIKU SUGIMOTOText & Edit : Hiromi MatsubaraSpecial thanks : KABUTO (DAZE OF PHAZE / LAIR)

  • 2017.4.14

  • 3/30 追加

ただ耳を傾け、感じ、観察して流れに任せる

持ち手札が多く、それも日々熱心に入れ替えているDJには大きな期待を抱くことができる。それでいてSound Cloudで聴けるポッドキャストが軒並み素晴らしいと、もはや週末が異様に楽しみになってくる。Evan Baggsが残しているポッドキャスト/DJミックスは決して多くはないが、そのうちのいくつかを聴けば、トラックが秘める音のDNAの糸を手繰り寄せて再び編み込むようなミックスを随所で発見することができる。ベルリンを拠点にするアメリカ人DJらしく── NY仕込みのガラージ、そこから一歩退いて見ればディープハウス、2000年代NYで発祥したアンダーグラウンド・ハウス、そしてヨーロピアンでミニマルなハウスに到達すれば、たちまちミニマルテクノが絡み始める。その奥底ではエレクトロ・スタイルも、ロウな質感も、文脈/背景同様に存在価値を発揮している。Evan Baggsにとっては音楽も有機体なのだ。 『DAZE OF PHAZE』の初回に出演したAndrew James Gustavのインタヴューを掲載した際の冒頭文で、『DAZE OF PHAZE』のコンセプトである「完全現場主義」へと話を繋げる形で、「飛躍している理由やプレイの良し悪しは、一概にはオンラインに転がっている情報だけでは判断できない」と僕は述べていたようだが……、期待を募らせることは悪いことではないはずだ。仮に裏切られたとしても。欧米を忙しく飛び回って様々なDJと共演し、Joy OrbisonとRyan ElliottとのB2 ... READ MORE

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INTERVIEW

瀧見憲司

  • Text, Interview & Photo : Hiromi MatsubaraSpecial thanks : HITOMI Productions, Inc.

  • 2016.10.12

  • 3/30 追加

パーティーの内側と外側で vol.2

朝井リョウ原作の映画『何者』がもうじき封切りされる。あの「自分が何者であるか」や「何者になりたいのか」といった迷宮的葛藤と、一方での「自分は何者でもない」という実際それほど深くもないけど「痛い」みたいな溝を、リアリティをもって執拗かつ鋭く突く描写が、佐藤健や二階堂ふみの演技を通じて、原作を読んでいない層にも浸透するのかと考えると、良くも悪くも胸騒ぎがする。上の世代の人たちがいまの20代前半〜半ばの人をどう見ているのかも少し気になるが、20代前半〜半ばの人が同世代やこの後の社会をどう見ているか、どのぐらいの規模で見ているかの方が僕は遥かに気になる。『何者』が舞台とする就職活動ってやつは、なぜか往々にして、根本的な「自分らしい生き方」を盲目にしているんじゃないか。そうじゃない人も、もちろん知っているけどね。   「どうなりたいの?」や「何がしたいの?」は、「どういう仕事に就きたいの」とイコールではない。現代の社会で生活していくことを少し度外視しているとも思うが、すでにフォーマットの決まっている職業に就かなくても収入を得たり生活を成立させる方法は大いにある。しかしそういう意味では、「DJ」は昨今、職業としての現実味や社会性を徐々に帯びてきているようにも思う。DJとしての生き方/在り方や表現の仕方、そこから派生する新たな活動を考えることも、いまの社会の一部分としてのエンターテイメントにおいては十分なリアリティを持っている。それはアーティストでも、いかにして好きなことを続ける ... READ MORE

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INTERVIEW

Daniel Miller

  • Text & Interview : Hiromi MatsubaraTranslate : 光山征児Special Thanks : Night Aquarium, HITOMI Productions, Inc. & Traffic

  • 2016.9.12

  • 3/30 追加

ゴッドファーザーのいまも変わらぬ情熱

初めまして。僕は22歳の、東京で活動している日本人のライターです。1994年に生まれて、10代の前半頃から、ロックからエレクトロニックミュージックまで様々な音楽を追い続けてきた僕にとっては、あなたは遥かに偉大な存在です。今回は、いまあなたは何を考えながら昨今の音楽シーンと接しているのか、ということを伺いたいと思い、いくつかの質問を考えさせていただきました。   今回、Daniel Millerに送った質問表は上記のようなメッセージから始まる。僕は、メールインタヴューをする際に送る質問表の冒頭に自己紹介以外のメッセージやを付けることはほとんどの場合しないが、なぜか今回は少し特別に感じていたのか、自然と手が動いてしまった。   なぜ〈Mute〉最盛期に直面していない世代の僕にとってもDaniel Millerが偉大な存在かというと、近現代の音楽史及び音楽文化を遡っていくと、必ずと言っていいほど〈Mute〉の膨大なカタログに突き当たるからだ。これについては、〈Mute〉が35年を迎えた際にWeb版『ele-king』で行われたDaniel Millerのインタヴューの冒頭で、野田努氏が最も適切だと思える一文を残している。 「電子音楽好きで〈Mute〉を知らない人間はまずいないでしょう。もしいたら、それはブラジル代表の試合を見たことがないのにサッカー観戦が好きだとぬかすようなもの」だと。 もう少し僕なりに掘り下げてみると、Daniel Millerと〈Mu ... READ MORE

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takimi kenji

INTERVIEW

瀧見憲司

  • Text, Interview & Photo : Hiromi MatsubaraSpecial thanks : HITOMI Productions, Inc.

  • 2016.9.1

  • 3/30 追加

パーティーの内側と外側で

やっぱり正直なところ、シーンは現場が突き動かしていると信じたい。現場で何かしらに揺さぶられて熱くなった人が動かしていると信じたい。音楽でも、クラブでも、アートやファッションでも、社会や経済でも、もう何でも。膨張するヴァーチャルだって結局はリアルな現場に流れ着く。そもそもリアルがあってこそ生まれたヴァーチャルだから、双方の地面は無意識に繋がっている。書は持たずとも、スマートフォンを手に、そしてMacBookを背負って町に出よう。 この東京、もとい日本に、特異な速度で流れている時間に僕はほとほと鬱屈する。24時間の中で、あるところは急速に動き、あるところは遅く流れる。鳴り続いている音楽は最新で面白いのに、フロアは一向に埋まらない。東京の辺境めいたディープスポットほど世界時間の感覚に敏感で、リアルタイムに欧米シーンを揺るがしている海外アーティストたちがやってくる。Instagramで見た動画やBoiler Roomのライヴストリーミングで見た景色と何かが違う。何かが遅く……何かがズレている。 瀧見憲司は、2016年9月3日(土)から始める20年ぶりのレジデントパーティー『OwK』から、東京のクラブシーンに生じたタイムラグとその因子にアプローチする。氏はローンチに際して「過去にも未来にも、水平方向にも垂直方向にも開かれた音楽が渦巻く、世代やテイストを超えて繋ぐユートピアでもありディストピアでもあるリアルなクラブパーティーにしたい」と言う。『OwK』の全てが詰まった内側 ... READ MORE

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Andrew James Gustav

INTERVIEW

Andrew James Gustav

  • Author : Philip Kearny (XLR8R)Photo : Carrie TangJapanese text : Hiromi Matsubara

  • 2016.6.16

  • 3/30 追加
Andrew James GustavとGwenan。もしこの2人を知っているなら、あなたは相当なコアリスナーだろう。シーンの現状を見ると、プロデュースにせよDJミックスにせよ、一切リリースを持たずに活動をしているDJの情報はなかなか日本に伝わってこない。これだけワールドワイド、インターネット、SNS云々……と言っているにも関わらずだ。まして、2人のようにFacebookやTwitterのページを持っていない(あるのはSoundCloudページのみ)となると、もはや日本のシーンがどうこうは関係なく、2人が拠点とするロンドンのシーンを除く世界中の誰もが2人にアクセスする方法を限られている。しかし今、Andrew James GustavとGwenanはブッキングとトピックを増やし、いくつものウェブマガジンとラジオにDJミックスとポッドキャストを提供している。今回はその中から、『XLR8R』にポッドキャストを提供した際に行われたAndrew James Gustavのインタヴューの和訳版を特別にご紹介させていただく機会をいただくことができた。現代的なセルフプロモーション環境を持たず、ローカルなコミュニティーからグローバルなシーンへ躍り出しているAndrew James GustavとGwenanの現状は、わかりやすいぐらいにうなぎ登りだ。とはいえ、多くの出来事はあるひとつの側面と指標に過ぎないし、2人が飛躍している理由やプレイの良し悪しは、一概にはオンラインに転がっている情報だけでは ... READ MORE

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Holy Fuck

INTERVIEW

Holy Fuck

  • Text & Interview : Aoi Kurihara

  • 2016.6.1

  • 3/30 追加

タイムレスな表現を求める精神

お帰り! 完成おめでとう! 『Congrats』というタイトルにはその完成までの年月の重みが含まれているのだろう。2015年の12月、6年の沈黙を破り突如カムバックの予告ビデオを公開したHoly Fuck。猫の置物を次々と爆発させるその映像は、かつて“Red Lights”のMVでライヴをしていたキュートな猫たちを自らに置き換えて、過去のイメージをぶっ飛ばすかのような衝撃的な映像だった。そして、5月についにリリースされた最新作『Congrats』は予告通り、いや期待をゆうに越える荒々さと繊細さを兼ね備えた作品に仕上がっている。 無機質的で記号的なアルバムのアートワークとは裏腹に、アルバムに収録されている楽曲はアヴァンギャルドでいくつもの原色がカラフルな渦を巻いている。ますます破壊的になった人力インストゥルメンタル・サウンドは、聴いているとトランス状態になりそうだ。まさしくMVで表現されているような暴力的なサウンドの“Tom Tom”で幕を開けたかと思えば、“Xed Eyes”では反響の連鎖でレイヴィーな側面を見せ、続く“Neon Dad”はゆったりとしたテンポのエモーショナルなロックナンバーだったり、ラストスパートの“Acidic”では2014年に解散したThe Raptureの魂を継承したようなフロアライクなパンクイズムを兼ね備えていたりと、1枚のアルバムの中で彼らが大胆に「実験」をしている様子が伺える。 流行になびかず、時代に抗うかのように、独自のDIY精神を掲げて ... READ MORE

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Mumdance

INTERVIEW

Mumdance

  • Text, Interview & Photo : Hiromi MatsubaraInterpreter : Aoi KuriharaSpecial thanks : Fumie Kamba (DBS)

  • 2016.5.20

  • 3/30 追加

無重力のレイヴ

2015年、Mumdanceこと、Jack Adamsは目覚ましい活躍を見せた。〈XL Recordings〉と契約しEP『1 Sec』をリリース、〈Fabric〉のライヴミックスシリーズのコンパイルを担当、そして相棒Logosとのアルバムリリース、加えて4枚の12インチのリリース……と、2013年に〈Tectonic〉からシングルをリリースして以来、年々高まっていたあらゆる期待に、量においても、質においても、見事に応えた1年となった。 2014年11月の『Red Bull Music Academy Tokyo』で来日していた際に彼にインタヴューをして以来、約1年半振りに再会して驚いたのは、Mumdanceの顔つきがかなり変わっていたこと。アカデミーで野心たっぷりな表情で〈Different Circles〉のことや、2015年の展望を語っていた時からは良い意味で若さが少し無くなったが、その代わりに大幅に増したプロデューサーとして貫禄は、多忙な1年が彼にとっていかに重要であったかをひしひしと感じさせる。 そして今回、その多忙な近況のあらゆる詳細に迫るのは、『Red Bull Music Academy Tokyo』でMumdanceと同じクラスで2週間を過ごした、梅谷裕貴ことAlbino Sound。久しぶりの再会を果たした2人は、Mumdanceの音楽性である「ウェイトレス・サウンド」をはじめ、発展するエクスペリメンタルな音楽の核心を突いた音楽談義で大いに ... READ MORE

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HELM header

INTERVIEW

HELM

  • Text & Interview : Hiromi MatsubaraInterpreter : Shimpei KaihoSpecial Thanks : DJ Soybeans

  • 2016.4.27

  • 3/30 追加

説明できない感覚は混乱の音楽に

あぁ……動いてるなぁ……、と感じることも音楽を聴く上での快感のひとつだ。何が動いてるかと問われれば、第一にはリズムであったり、メロディーであったりが、「音楽が動いている」という感覚と理解を与えている。しかし、どうやらその快感の極みは、むしろフィールド・レコーディングの方に、そしてそれを基にしたミュジック・コンクレートやノイズやアンビエントのような非音楽的なサイドにあるようで、肉声と機械音が混在する都市の喧騒や、今にも崩れそうな薄っぺらなビル群の軋み、ザラつきのある薄汚れた空気、それらを目の前にして生きる人間の胸の奥で渦巻く何かを、音楽として体感し、聴覚が他の五感とリンクした実感を得ることこそが聴いている側としてはリアルであり、身体的な興奮度が高い。そういった都市的なフィールド・レコーディングと生楽器のサンプリングが、マシンの限界を侵食し始めた時に生じるノイズを、リズムやループなどの方法とバランスという理性によって「エレクトロニック・ミュージック」へと昇華させた、HELMの『Olympic Mess』は最高に気持ち良くなれるアルバムだ。送り出したのは〈PAN〉。Bill Kouligasは、HELMの音楽を電子音楽史に新たなシーンを加える重要なドキュメントとして提示している。 HELMの狂騒曲をライヴで体感する機会があるとしたら。2016年のゴールデンウィーク、そのチャンスは日本にやってくる。迷わずにお近くの会場へと動くことをお勧めしよう。その前に、HELMを主導するLu ... READ MORE

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Young Marco

INTERVIEW

Young Marco

  • Text & Interview : Hiromi MatsubaraTranslation & Special Thanks : Shuhei Tochiori (P-Vine)

  • 2016.3.8

  • 3/30 追加

遠く、深く、生物学を辿る精神の探検

昨年開催された、『Rainbow Disco Club 2015』の3日目のこと。〈Rush Hour〉のオーナーであるAntalとレーベル看板アクトのSan Properと共に、変則B2Bを披露する「Rush Hour All Stars」の一員として登場したYoung Marcoは、BPM120とBPM60のトラックを表に裏にとひっくり返し続けながら、緩やかなムードを伊豆の大草原から空気中にまで染み込ませていた。どれぐらい緩かったかといえば、Young Marcoのプレイに合わせて、時折、San Properが「Marco、Marco、マ~ルコ〜……」とおふざけ的なMCをしたり、Antalの家族(特に妻)がステージ上でノリノリにダンスを披露したりして、笑い声と煽りの歓声が終始絶えなかった、という感じ。それも朝の9時から15時まで。途中、激しい通り雨に見舞われた時には、3人は少しテンポを上げて盛り上げてみたり、彼らの日本の大自然と寄り添うようなプレイは、環境すべてに相応しく、極上のひとときだった。さすがはオープンマインドに溢れる街、アムステルダムを代表する〈Rush Hour〉だ。(そんな昨年のRDC最終日の「Rush Hour All Stars」によるロングセットは、180分にもわたる貴重なDJミックスのライヴレコーディングとしてRDCオフィシャルのSoundCloudにて公開されています!)   おそらくシーンの深層部にいた頃から、〈Rush ... READ MORE

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Andrew Weatherall

INTERVIEW

Andrew Weatherall

  • Text & Interview : Kenjiro Hirai

  • 2016.3.2

  • 3/30 追加

最高のオヤジから教わる、最高へのこだわり[vol.2/2]

(インタヴューは前編『最高のオヤジから教わる、最高へのこだわり[vol.1/2]』より)   ――あなたにとって、ロンドンでの「最高の遊び」とはどのようなものなのでしょうか? Andrew Weatherall:俺は毎週末クラブで過ごしているから、基本的に、オフを楽しく過ごしたい時には、俺は比較的自分ひとりだけで過ごすことの方が多いんだよ。例えば、日中はどこかのアートギャラリーやミュージアムに足を運んでね……。  ――友だちと遊びに出かけるとか、クラブに行くようなことはないんですか? Andrew Weatherall:それはないな(笑)! クラブは自分にとって「仕事場」だしさ。それって、勤め人が休みの週末にもオフィスに行くようなもんだよ。自由時間ができたら仲の良い友人達と過ごすだろうけど、かといって、彼らと一緒にクラブに繰り出すことはまず無いね。正直言うと、読書して過ごせればハッピーなんだよ。それって全然ロックンロールじゃないけども(笑)。  ――そうですね(笑)。でも、今でもクラブでエキサイトしたり楽しむってことはありますよね? Andrew Weatherall:そりゃもちろん! 自分のやっていることは今でももちろんエンジョイしているよ。ただ、仕事を離れたオフの時にクラブに出かけるとしたら、それが俺にとってよっぽどスペシャルな存在の人がプレイするような、そういうショーケースじ ... READ MORE

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Andrew Weatherall

INTERVIEW

Andrew Weatherall

  • Text & Interview : Kenjiro Hirai

  • 2016.2.26

  • 3/30 追加

最高のオヤジから教わる、最高へのこだわり[vol.1/2]

僕がクラブに行くことができる年齢になったのは、2年前のこと。PCの画面やレコードを通して憧れを抱き続けていたものだから、初めてクラブに行った時のことは今でも鮮明に覚えている。最初は遊び慣れた大人にばかり囲まれていたが、最近は僕と同じ、もしくは少し上世代のオーガナイザーによる素晴らしいパーティーも増えてきた。ちょうど、この文章を書いている今週末もフレッシュなパーティー『apostrophy』に足を運ぶ予定で、きっと素晴らしい夜になるはずだ。クラブは常に若い人のもの、とまで言うつもりはない。しかし、(若い力の先達を)食ってしまわんばかりの勢いを感じながら、シーンはこうして循環していくのだと思う。 自分より歳上の人の方がはるかに多いクラブシーン……と言っても、自分の父親と同じ歳の人に会うことはそう多くはない。だから僕のような若輩者にとって、あるいは多くのクラブの先輩諸兄にとっても、約30年もの間、UKのアンダーグラウンドに居続けるAndrew Weatherallは、「御大」あるいは「大ボス」や「ゴッドファーザー」と呼びたくなるような人だ。先日、本人名義としては7年半ぶりにリリースされたアルバム『Convenanza』や、90年代からAndrew Weatherallと付き合いのあるUKのアシッド・フォークのシンガーNina Walshとの共同名義であるTHE WOODLEIGH RESEARCH FACILITYの新作『PHOENIX SUBURB(AND OTHER ST ... READ MORE

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Svreca header

INTERVIEW

Svreca

  • Text & Interview : Hiromi MatsubaraSpecial thanks : FRUE

  • 2016.2.24

  • 3/30 追加

太陽の沈まぬ国の電子的ロス・ガラクティコス

欧州4大リーグのひとつに数えられるスペインのサッカーリーグ「リーガ・エスパニョーラ」は、もう何年も「日本人選手にとっての鬼門」と言われ続けている。中村俊輔や大久保嘉人といった日本代表の名選手でさえも思うような成果を残せなかった。現行のシーズンでは、SDエイバルという弱小チームに所属している乾貴士が3ゴールと土壇場で奮起しているが、まだ今の結果では香川真司のように「あのレアル・マドリードから声がかかっている」というような噂が立つことは無いだろう。スペインが日本人選手にとって鬼門である理由としてよく、「コミュニケーションに必要な言語やラテンのノリが合わないから」、「試合になってみた時のサッカーIQがラテン系と違うから」などという民族性にまつわることが言われる。このご時世に未だにそんなこと言うのかとも思うが、詳しく掘り下げていくと割と事実だったりして、民族性は案外切実な問題なのだ。 音楽にも多少の民族性が関わっていることを考えると、スペイン・マドリード出身のSvrecaが主宰するレーベル〈Semantica〉が辿ってきた10年を、Imugen OrihasamやIORI、Go Hiyamaなどの何人もの日本人プロデューサーたちが彩っているのは大きなトピックだ。それも、スパニッシュ・テクノきっての2人の猛者であるOscar MuleroとEduardo De La Calleを始め、Vladislav Delayや昨今は〈Northern Electronics〉経由での注目を ... READ MORE

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XTAL

INTERVIEW

XTAL

  • Text, Interview & Photo : Hiromi Matsubara

  • 2016.2.17

  • 3/30 追加

結晶は新たな景色を映し出す

2015年12月31日。Gonnoのプレイで年を越すために代官山Uniceのフロアに詰めかけた僕を含む大勢の人々が、2016年を迎えて一番に耳にした曲は“Red To Violet”だった。トラックがスタートしたのは2016年1月1日の0時を迎えて数分が経ってから。まさに陽が昇る瞬間のような、新しい何かが始まる興奮を煽るイントロがじわじわと聴こえ始め、トラックが始まって2分が経つ頃には、さっきまで散り散りになっていた私的な間柄での謹賀新年の喜びがフロアの上で一体となって揺れていた。“Red To Violet”のキーポイントである、キーボードの音を小刻みにループさせているブレークから再び一気にビートが戻る瞬間には、至るところで歓声が上がった。 そんな最高の2016年の幕開けからちょうど1か月。読み方「クリスタル」はそのままに、名前の表記を改めた「XTAL」のデビューアルバム『Skygazer』がついにリリースされた。本作は、XTALにとってのホームレーベルである〈Crue-L〉から12インチで発表されていた“Heavenly Overtone”や“Vanish Into Light”や、世界的視野でオルタナティヴなハウス/ディスコを推進しているNYの〈Beats In Space〉が流通を手掛けた“Red To Violet”と“Break The Dawn”などの、珠玉のフロアトラックたちを含んでいる輝かしい外見でありながら、目に映るか定かでないその核に至る密度まで、 ... READ MORE

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Battles

INTERVIEW

Battles

  • Text & Interview : Aoi KuriharaPhoto : TEPPEI

  • 2016.2.2

  • 3/30 追加

Battlesはアートミュージックバンド

4年ぶりのBattlesの新作『La Di Da Di』のアートワークを見てびっくり。いつも朝食で出てくるような食べ物が並んでいる。その色彩はとてもカラフルなのに、なんでこんなにセクシャルな印象なんだ!? そして中身を聴いてまた驚いた。アートワークのポップさからは想像もつかないほど硬派でゴリゴリのハードなインストゥルメンタル・サウンドになっている。3人編成となってからのBattelesが生み出した「音楽とは?」に対する答えが、この『La Di Da Di』なのかもしれない。言葉ではなく、五感をもって人々の想像力を刺激する……この作品はまさにアートだ。 2015年11月25日に行われた、六本木EX THEATERでのライヴはソールドアウト。新作と旧作からの楽曲を織り交ぜたパフォーマンスに、4年越しに待っていたオーディエンスはおおいに湧いた。目映い閃光のようなスポットライトがほとばしる中、激しく暴力的な重低音が連発した演奏は、観る者の五感に強烈な刺激を与えていた。 さて、波紋を呼んだアートワークを手掛けた張本人であるDave Konopkaに、東京公演の前日、インタヴューを行った。アートをこよなく愛する彼は、アートやフィルムの話をし始めると止まらなくなり、しまいには「僕が話すのを止めてよ!」と言言い出す始末。本インタヴューでのDave Konopkaは、ライヴでアグレッシブな演奏をしていた彼の印象とは違うはず。彼のアートへの思いや考え方を知れば、Battlesが生 ... READ MORE

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Swindle

INTERVIEW

Swindle

  • Text & Interview : Hiromi MatsubaraSpecial thanks : Fumie Kamba (DBS)

  • 2016.1.8

  • 3/30 追加

世界を駆け巡る愛と平和と音楽の使者

愛、平和、そして音楽。ジャズへの敬愛をグライム側から示した前作『Long Live The Jazz』が導いた世界旅行を経て、その軌跡をひとつの作品として仕上げた末に生まれたある結論。音楽に嘘をついたら懲らしめられる……と自身の信念について述べるほどに音楽とひたすら真摯に向き合っているSwindleがそう表現するのであれば、世界中どこのフロアの上でも人々を繋ぎ止めているのは、本当に『Peace, Love & Music』(=平和、愛、そして音楽)なのだろう。僕は彼の真っ直ぐな哲学と強烈なグルーヴに全身全霊で乗りたいと思う。 『Peace, Love & Music』はただの音楽紀行ではない。欧米〜アフリカ〜アジアに渡るまでの各国の伝統音楽文化だけではなく、空港からパーティー、あるいはスタジオへ、それもストリートから山奥に至るまで、様々な国/都市の空気感も見事に音楽的要素へと変換させている。そしてそれらの要素は、グライムとジャズとファンクを基本とするSwindleならではの稀有なゾーンにひしめき合う。にも関わらず、その全ての要素は同じベクトルへと向かっている。その確固たる志向は、グライムとジャズとファンクのグルーヴのさらなる向こう側へと抜け、「おのずと身体が動き出してしまう」という音楽が元来持っている不思議な力をくっきりと浮き彫りにしている。これはフロアで体感したらもっと凄まじそうな予感がする。 Swindleはいかなる閃きと思考によって、決し ... READ MORE

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Porter Robinson

INTERVIEW

Porter Robinson

  • Questions : Hide NakamuraInterviewed : Ai KanedaPhoto : Hiromi Matsubara

  • 2015.12.7

  • 3/30 追加

A World of Fantasy Which Reality and Nostalgia creates Inside of Porter Robinson

   ーー We know one of your favorite Japanese words is "Otsukare-sama" and we really want to say "Otsukare-sama" for your great performances both at SONICMANIA and LIQUIDROOM. What is your general impression about those gigs? Porter Robinson : The Japanese audience was better than I expected, and I have a positive impression of how my Japanese fans are like. The reputation of Japanese concert was that the audience is very cooperative and generally receptive of any kind of instructions. They cheer at the right timing and love to participate by doing crowd motions. I want to embrace that aspect. The crowd was just unbelievable ... READ MORE

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Dornik

INTERVIEW

Dornik

  • Text, Interview & Photo : Hiromi MatsubaraLive Photo : Kazumichi Kokei

  • 2015.12.2

  • 3/30 追加

サウスロンドンから現れたR&Bの新たな道標

インタヴューの前日、日本でも人気のあるアクトのDaughterとChristoher Owensに加え、トリにはThe Melvinsが控えていた『Hostess Club Weekender』にてトップバッターとして日本初舞台を踏んだDornikは、持ち時間45分あったところをわずか30分で終えた。会場に張り詰めた静寂を滑らかに撫でるようなヴォーカルと、80’sのポップR&Bを踏襲した思わず身体が反応してしまうグルーヴを作ったサポートバンドの演奏が、まだ始まったばかりのフロアの空気を一瞬にして変えたのは明白だった。しかし、オーディエンスがグルーヴに合わせて踊り始めるというよりは、新人とは思えぬクオリティの高いパフォーマンスにたっぷり浸るというような、終始動きの少ないフロアが続いていたのもまた事実だった。 「あれは決してお客さんに不満で去ったわけではないよ。今回は早めに終わらせて、焦らして、“また戻って来てね”って思ってもらうための秘策だったんだ(笑)」と、Dornik Leighは笑顔で言う。印象が悪かったかな……と彼が早々に袖にはけた直後から勝手に募っていた僕の心配は余計なお世話だったようだ。そして、サウスロンドン出身の彼は「僕の地元のオーディエンスはすぐに飽きて喋り始めるからさ、しっかり聴き入ってくれていたのはよくわかったし、嬉しかったよ。日本が大好きになったから、僕としては早くまた戻ってきたいよ!」と付け加える。その親しみやすく柔らかな印象は瞬時に彼のヴ ... READ MORE

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Porter Robinson

INTERVIEW

Porter Robinson

  • Questions : Hide NakamuraInterviewed : Ai KanedaText & Photo : Hiromi Matsubara

  • 2015.11.24

  • 3/30 追加

リアリティとノスタルジーが織り成すファンタジーの世界

EメールやLINE、TwitterやFacebook、アプリで簡単に起動できるオンラインゲーム、あるWebサイトなどのことが常に頭の中にあって、スマートフォンやタブレットPCが手放せないのが当たり前になっている状況を、例えば朝の人の多い電車の中でふと俯瞰して目撃した時に、僕はインターネットが完全に現実の世界の延長として存在していることを切に感じる。現実の世界の個人に大きく作用しているインターネットを、単に仮想の世界と言うことはもう到底できない。実際に、ネット上での発言が現実の問題へと繋がることもあれば、顔が見えなくても友達ぐらいの信頼を感じ得ることができ、海外で起こっていることも時間差なくある程度の追体験をすることもできる。しかし、果たしてどれだけの人が、特にどれだけの若い世代が、そういった高速で拡張していく世界に対して意識的に向き合っているのだろうか。 現在23歳のプロデューサー、Porter Robinsonは、現実世界の延長である仮想の世界、インターネットを通じて得た経験に自身が大きく影響されているということに自覚的でいる。彼の音楽を聴き、彼がディレクションしているMVを見れば、私たち日本人はそれにすぐに気付くことができるかもしれない。架空のストーリーとして展開されるというアルバム『Worlds』の12曲はどれも、“Flicker”のMVで表現されているように、世界各国をツアーしながら彼が目にした景色や体感してきたことにリンクする、彼がこれまでにインターネット上で ... READ MORE

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Dusty Kid

INTERVIEW

Dusty Kid

  • 3/30 追加

ようこそ、美しく奇妙なサルディーニャへ

Dusty Kidのニューアルバム『Not So Green Fields』は、“The Wedding”(=サルディーニャの結婚式)というトラックから始まる。歓声と楽器にまみれた島文化的な独特のお祭り騒ぎによって創られる幸せなムードが、サンプリングからでもひしひしと伝わってくる。演奏されているのは地元の楽器なのだろうか。サルディーニャだからロケーションもきっと良いのだろうな。だんだんと景色が見えてきそうだ。もし、旅で訪れた見知らぬ島に着いた初日に地元の結婚式に出くわして参加することになったら、その後の旅はガイドブックに載っているようなベーシックな観光地よりも、より島の風土や民俗にフォーカスしながら巡る、少し特殊でディープな旅になっていくかもしれない。 そういった明確に「旅」と感じられるアルバムのストーリー構成、また視覚的な部分や想像力に訴えかける卓越したトラックメイクのセンスは、Dusty Kidがダンスミュージックという領域の中で、時折ポップミュージック的なメロディーとソングライティングにアプローチしてきたことによる賜物だと思える。ストリングスや管楽器、民族楽器のハーモニーの下からは、4/4ビートよりも先に地中海に浮かぶサルディーニャの暖かな気候と太陽の下の陽気なローカルの景色の方が浮かび上がってくるのだ。特に“Innu”や“Doa”のようなトラックは、それがテクノであるかハウスであるかのような無駄なことを考える意識を遠のかせ、サルディーニャの空気感がダンスミュージックと融け ... READ MORE

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Darkstar

INTERVIEW

Darkstar

  • Text & Interview : Hiromi Matsubara

  • 2015.9.30

  • 3/30 追加

現実への絶望からやってくる希望の声と言葉と音

いまも世界中で若者たちが自分の問題と向き合って闘っている。日本でも、イギリスでも。厳密には問題はそれぞれ違うけど、結局のところ状況はほぼ同じだ。いま現在21歳の僕の実感を込めて言えば、若者にはただでさえ問題が多い。自分の生活を、将来を、お金を、友人を、恋人を、作らなければ、保たなければ、漠然と何とかしなければと、気にかけなければいけない。忙しく一喜一憂を繰り返す。それなのにいまはさらに問題が増えて、より社会的な問題に、より政治的な問題に、いくつも上の世代の人と向き合わなければいけない状況になっていっている。もとから相互作用し合っていたから何となく向き合わなきゃと思っていたけど注視していなかった、社会的/政治的な問題が、バランスを崩して個人的な問題に大きく入り込んできているから。そしてそれによって現実が悲惨になって、将来も悲惨になりかねないからだ。それでも、日本の若者たちの先の方で問題と闘い続けているSEALDsは、「“諦めることを諦める”って超重要。絶望なんてくだらねえなって笑い飛ばす」と「絶望する必要ない」と言っている(いずれもWeb版『ele-king』でのインタヴューより)。わかる。問題に絶望しても立ち上がれるし、向き合ってるし、闘えるし、若者はとりあえず生きなきゃいけないし。 今回のDarkstarのニューアルバム『Foam Island』のリリースに際したインタヴューを始めるにあたって少し触れておかなければいけないのは、イギリスの労働者階級と労働党と2015年イギリス総 ... READ MORE

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