Dirt Crew(Break 3000)
Text & Interview : Yoshi Horino(UNKNOWN season / Dirt Crew Recordings)
2014.10.29
ミニマルやテック・ハウス、NYハウスなど良質な作品を数多くリリースし、数多くのDJやリスナーの支持を受け、今やドイツのエレクトロニックミュージック・シーンを代表する存在となった〈Dirt Crew Recordings〉。Break 3000とJames Flavourのユニット名から名付けられたレーベルは、2004年の設立から今年で10年を迎え、10周年記念パーティが11月1日(土)に表参道ORIGAMIで開催される。そして来日直前の Dirt Crewブレーンのひとり、Break 3000にメールインタヴューを決行。彼の口から語られる今後の展望やレーベル運営への想い。ファンのみならず、レーベル運営者やレーベルを始めたい方にも興味をそそられる内容となっているのではないだろうか。
――〈Dirt Crew〉というレーベル名の由来を教えてください。
Break 3000:「Dirt Crew」という名前は僕らのアーティスト名なんだ。今はDirt Crewとしては曲を作っていないけど、幸いにも皆はその名前を覚えてくれているので、僕らはそのままのレーベルの名前にしたら良いと思ってその名前をレーベル名にしたんだ。でも10年後に名前を変えるのは難しいよね。
――10年間使用していた、レーベルのイメージを象徴するスケルトンハングルースのロゴはなぜ使用したのでしょうか?
Break 3000:あのロゴは友達が僕らのために、とてもユニークにペンで描いてくれて、僕らはそれを凄く気に入ってロゴとして使うことに決めたんだ。
――では、10周年を迎えて新しいロゴにリニューアルした理由も教えてください。
Break 3000:あのロゴに飽きたのが理由かな……そして10年後は新しいイメージで次の段階へ行きたいと思って。新しいロゴにしてポジティヴなフィードバックを沢山もらってるよ。近い将来、〈Dirt Crew〉のレーベルとしての音楽スタイルが少し変わるのがわかると思う。その象徴として、来年1月にSchmutzというアーティストの曲なんだけど、ベルファスト(北アイルランドの首都)から初めてテクノをリリースするよ。今からそのリリースがとても楽しみなんだ!
――10年前にレーベルを始めた理由を教えてください。
Break 3000:最大の理由は、僕らがレーベルを始めた2004年は、良いオールドスクールなタイプのハウスミュージックがとても少なかった時で、僕の本当に苦手なミニマル・テクノのシーンの後退が始まっていたと思う。その時に、音楽的制約を持たない自分たちのレーベルを作りたいと思って始めたんだ。レーベルとしては本当に小さな動きだったけれど、結果的に大きな動きになったと思うよ。
(〈Dirt Crew〉の最初のリリースはDirt Crewのシングル『What You Want / Nervous』)
――あなたはレーベルを10年間やり続けていますよね。10年間やり続けているその理由はなんでしょうか? またなぜやり続けることが出来たと思いますか?
Break 3000:時が経つのは早いよね……。本当に10年経ったのかな……。毎月リリースし続けて、10年間で100リリース以上……。僕はこの日までまだリリースを凄く楽しんでいるんだ。この仕事は僕にとっては最高の趣味で、その趣味が好きな限りは続けていくつもりだよ。それにDetroit Swindleみたいな才能あるアーティストを発掘するのが本当に好きなんだ。
――いま、誰でもレーベルを始めることができてとても素晴らしいタイミングだと個人的に思います。しかし、その中でレーベルを会社として機能させ、ビジネスとしてランニングしているレーベルは少ないと思います。〈Dirt Crew〉のビジネスは上手く行っていますか? また、ビジネスとして音楽業界で成功させるために、あなたはどのような努力をされてるのでしょうか?
Break 3000:とても重要なのは、他の全てを諦めて、レーベルのことに一生懸命になること。誰にでもレーベルを作ることはできると思っている。しかしその人達はレーベルの本当のことを知らないのだと思う。他のレーベルで2~3人でやる仕事を僕は1人で全てやっている。ただ、制作やマスタリング、プロモーションをするために良いパートナーがいて、僕にとって彼らはとても重要な存在なんだ。そしてまた、最初の数年は自身のお金をレーベルの多くに投資しなければならないからとても大変だと思う。10年前に既に〈Dirt Crew〉という名前を知ってもらえていたから僕はラッキーだったよ。だから最初のリリースから成功したしね。
――〈Dirt Crew〉のこれからの音楽の方向性やリリースプラン、レコード会社としての展望があれば教えてください。
Break 3000:既に沢山のリリースプランがあるよ。また、もうそれに取り組んでいるね。基本的には来年の5月まで決まっているんだ。今週、Jimpster、Cuthead、MRSAK、Kaytronikこと Karizmaが参加したDetroit Swindleのリミキシーズ EP(『Boxed Out』)というビッグリリースが再び出る。その後に、Till von Sein & Tigerskin、SchmutzとKito Jempereの新しいEPを出して……って、他にも多数のプロジェクトがまだ進行しているよ。その多くはまた新人アーティストなんだ。それとSchmutzのリリース。初めてテクノをリリースでするから凄く興奮しているよ!
――いま、好きなレーベルやプロデューサー、またはヘビープレイしている曲があれば教えてください。
Break 3000:僕は、Leon Vynehall、Marquis Hawkes、Andy Hartのような新しいアーティストが本当に好きなんだ。レーベルでは、〈Freerange〉、 〈Delusione of Grandeur〉、〈Kompakt〉がお気に入りだね……。あとは勿論、Detroit Swindle、NachtbrakerやBrame & Hamoの様な、自分の周りの素晴らしいアーティスト達が好みだね。
――あなたにとって心を動かす音楽とはどんなタイプの音楽でしょうか?
Break 3000:実はDJをしなかったりレーベルの仕事をしない日は、エレクトロニックミュージック以外を聴いているかな……。Beckの新しいアルバムにハマっているよ。あのアルバムは今まで出したアルバムの中で1番じゃないかな。それにPink Floydの新しいアルバムが凄く待ち遠しい!来週出るんだよね。
――アーティスト「Dirt Crew」としての活動の予定はありますか?
Break 3000:レーベル10周年の沢山のショーとレーベルのプロモーションをし続けて、11月21日にベルリンでビッグパーティーするよ。それがとても楽しみなんだ!そして勿論、東京と香港、上海のアジアツアー!本当に上手く行くことを祈ってるよ!
End of interview
Event Information
10 Years Of DIRT CREW RECORDINGS PRESENTS『HOWL』
Date: 2014/11/01(Sat)
Venue: 表参道 ORIGAMI
Open: 22:00
Line up:
Tigerskin a.k.a Dub Taylor -LIVE SET
Break 3000 (Dirt Crew)
Yoshi Horino(Dirt Crew Recordings, Unknown Season from Tokyo)
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