HigherFrequency ハイヤーフリケンシー

Ross From Friends

INTERVIEW

Cover of the Month: Ross From Friends

  • Text, Interview & Photo : Hiromi MatsubaraTranslate : Arisa Shirota

  • 2018.11.16

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

僕たちが憧れている“レイヴ”ってなんだっけ?

2018年現在、ローファイ・ハウス/テクノはあっと言う間に“ポスト”のタームに入ってしまった。フロアで聴いていれば気持ち良いけど、あの頃のようなリヴァイバルの大波が押し寄せてくる胸の高鳴りも新鮮味さえも、もはや無いに等しい。分かっていたことだけど、ローファイであることは単にアーティストの制作環境であって、聴く側からしてみれば“アナログ機材が好きで使ってるんだな”というひとつの在り方の認識になっている。ただ、シンセ、ドラムマシン、サンプラー、異なるベクトルで存在する制限下の極限を突き詰めた上で、かけ算を試し続けているLegoweltやSteve Summers、Palmbomen IIのようなアーティストは圧倒的に素晴らしい。この5月に来日して何ヶ所かでアナログ機材のみのライヴセットを披露していた、〈L.I.E.S.〉からのリリースで知られる、NGLYのパフォーマンス中の手捌きないし指捌きは傑出していて感動的ですらあった。   思い返せば、ローファイ・ムーヴメントの源流である〈L.I.E.S.〉や、一端を担っていた〈The Trilogy Tapes〉の話題で各所が完全に盛り上がっていたのは大体5〜6年前だった。気が付けば、いつの間にか話題の中心は〈Lobster Theremin〉や〈Shall Not Fade〉、Mall Grab、DJ Boringの“Winona”と移っていき、そこにはRoss From Friendsもいた。 リリースされたのはまだ2年前 ... READ MORE

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umfang

INTERVIEW

Cover of the Month: Umfang

  • Text & Interview : Arisa ShirotaSpecial thanks : Shimpei Kaiho (WWW)

  • 2018.11.16

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

テクノ・フェミニズム

1960年代から数十年間、NYは文化的全盛期と言われていた。1970年代にNYに集まっていた移民たちが、ブレイクビーツを編集して作った音楽を自分たちのパーティーでプレイし、そこに乗せた言詞がラップとなり、ヒップホップが生まれたのである。新しい潮流が次々と生み出されるNYは世界的に見ても特別な場所だった。しかし今では、年々ジェントリフィケーションが進み、LAやカナダやヨーロッパの諸都市へと、刺激を求める若者が流出している。それもそのはず。2010年から2018年の間にNYCの家賃は30%も上昇し、健康保険もあってないようなものだし、アメリカの雇用率は概ね低下の一途を辿る。   しかし、そんなNYに住むことを敢えて選ぶ若者たちがいる。そして彼らは、かつてNYを特別な場所にした若者たちと同じように、そこにしかない、何か新しいものが生まれそうな熱量を追い求めている。インターネットの出現、進化し続けるテクノロジー、収集のつかなくなっている政治状況などを踏まえて環境を考えたとき、現在のアンダーグランドは、過去にあったそれではなく、全く新しい時代を迎えているのかもしれない。UmfangことEmma Burgess-Olsonもまだ見ぬ刺激を追い求め、2010年にカンザスシティからNYへと引っ越した若者のひとりである。   NYでDiscwomanが結成されたのは2014年。Frankie Decaiza Hutchinson、Emma Burgess-Olson(U ... READ MORE

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Baba Stiltz

INTERVIEW

Baba Stiltz

  • Text & Interview : Hiromi Matsubara

  • 2018.10.10

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

僕は僕 ── 真摯な表現者

なにも突然現れたわけではない。そのひとつひとつがあまりに衝撃的な親密さだった、という話である。多民族国のスウェーデン、北欧の水都であるストックホルムから現れた、無国籍感漂う貴公子のような出で立ちの人。その名はBaba Stiltz。 〈Ramp Recordings〉や〈Flogsta Danshall〉のコンピレーションに参加していたMrs. Qeadaという前名義期を含めて見ても、Baba Stiltzは着実にステップアップを重ねてきた。いい加減もう食傷気味になってきたロウハウス(サンプリングハウス)に限らず、激動の2010年代の帯に刻まれたあらゆる時節に深く干渉することなく、何処と無く、隙間をすり抜けるようにして。いくつかの自身のミュージックヴィデオで見せている、身の熟し柔らかなダンスの動きのまま、するりするりと。   時に気怠そうに見えてしまう程、如何にも自然体で、決して奇をてらった訳でもなく、至って自分自身に誠実な人。そのままマイペースで在って欲しいと願うほどに繊細な波動で身体に流れ込む音楽と、リリックが纏っている思わず惑わされる葛藤の匂いが魅力的で仕方ないのは、Baba Stiltzのアーティスト性よりも人間味がよく表出している証拠だと思う。今になって考え直してみると、ブレークスルーの火種になった2014年のアルバム『Total』は、若干20歳の気鋭がサイケデリックでアトモスフィアリックなハウスに実験的なアプローチを意図的に詰め込んだ作品だったのではな ... READ MORE

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CEM

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World Residents: CEM

  • Text & Interview : Yuko Asanuma

  • 2018.9.12

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

やりたいことをやればいい。何でも許されるが、やらなければいけないことは何一つない

ここ数年、若干の停滞が感じられるようになっていたベルリンのテクノ・シーン。そこに破竹の勢いで台頭してきた新勢力と言って間違いないのが、『Herrensauna』である。ノイケルン地区の名もない薄汚い地下室で始まったこのマンスリー・イベントは、インパクトのある名前(Herrensaunaは“男性サウナ”という意味)とアートワーク、そして何より体験者の口コミによって瞬く間に噂が広がり、ゲイ/クイアー・コミュニティーだけでなく、遊び慣れたテクノ・ヘッズやファッショニスタ、DJたちも引きつけ、街で最もホットなテクノ・パーティーとなった。   ややテクノに飽き気味で、あまり積極的に新しいパーティーをチェックする気分でなかった筆者に、一昨年の末頃から複数の友人が「だまされたと思って『Herrensauna』に一回行ってみろ」と耳打ちしてくるので、やっと重い腰を上げたのが昨年の5月。「今からシークレット・ゲストで(筆者の好きな)DVS1がやるから今すぐ来い!」というSMSが来たのが日曜の午後4時頃だっただろうか。そんなに言うなら……と渋々と徒歩圏の普段全く行かない会場に散歩がてら行ってみると、エントランスではもう満員で入れないと一度入場を断られた。中にいる友人に連絡すると、だいぶヨレた感じで迎えに来てくれて入場できた。中庭にはほぼ全員がモノトーンの、半裸/スポーティー/ゴスな出で立ちの、既に遊び切った様子のレイヴァーたちが何十人もたむろっていた。早い時間にThe Empire L ... READ MORE

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INTERVIEW

Daniel Avery

  • Text & Interview : Hiromi Matsubara

  • 2018.4.20

  • 9/10
  • 2/1 追加
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  • 2/1 追加

安静から覚醒への流れ、その狭間

DJスケジュールに「All Night Long」という言葉が驚くほど並んでいるのは、Daniel Averyが唯一だろう。2日連続もあれば、3日間の滞在で2回のスケジュールもあって、とにかくそのペースが驚異的なわけだが、衝撃の余韻を通り越しかけている次の瞬間にはもう、性格に合っているんだろうな、という心底の感心と言うべきか無性に温かな気持ちになる。勿論、これほどにオファーが殺到する状況にまで自身を磨き上げたDaniel Averyの誠実さに対してもだ。しかし今やロングセットが彼にとっていかにフラットな行いであるかを、シンプルかつ丁寧に説明してくれたというのが、これからの対話である。   DJに関する話題でも、最新アルバム『Song for Alpha』に関する話題でも、彼が口にする言葉は大して変わらない。それは双方を構成するものが今となって彼の中で共通しているからである。最終的には、自己の世界への没入によって分割した愛情が音楽によって纏め、相乗効果を起こし、瞑想状態を遥かに上回る没入の快感へと導くこと。そのためには「エナジー(Energy)」と「フロウ(Flow)」を崩さないことが重要であること。彼が説明に用いる「テクノ(Techno)」と「アンビエント(Ambient)」は、時折、其のジャンル(様式)を言い表しているというよりも、ダンスフロアにおける「ヒプノティック(Hypnotic)」を認識するための共通要素として、より概念的な用いられ方をしているように聞こえ ... READ MORE

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INTERVIEW

Opal Sunn

  • Text & Interview : Hiromi Matsubara

  • 2018.1.25

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

遠く離れた惑星から、ダンスフロアへ

"春の温かさが満開になる幾分か前、まだ遠く冷たい太陽が Planet Sundaeに明日への影を示す頃、そして Al Kassianの "Diamonds of Jupiter"が依然として惑星の軌道上を進むその時、我々は2017年の行き先を遠く離れた星座に定めた。 私たちは Opal SunnのデビューダブルEPの1作目を親愛なるあなた方に紹介出来る事を誇りに思います。Hiroaki OBAと Al Kassianのこの作品は2015年から2016年にベルリンで録音され、日々の激しい光とダンスフロアでの突風との境目を率直に目指したものです。" ーー『 Ⅰ (Part 1) 』プレスリリースより   〈Planet Sundae〉からのプレスリリースに記載されている作品紹介は、ポエム調の超短編物語のように読むことができて面白い。〈Planet Sundae〉のカタログナンバー1、Al KassianのEP『Diamonds on Jupiter』のを読むと、これがOpal Sunnに限ったプロモーションスタイルではなさそうなことがわかる。そして、アーティスト本人ではない第三者の目線から語られていく、地球上には存在しないであろう情景描写と、それに伴う思惑や決断については、レーベルがカタログを重ねる毎に展開していく連続性を感じることができる。しかし、英語の原文でもその和訳でも、何を言い表しているのか解らない部分はとにかく解らない。と言うか、ほとんどがよく解らない。意 ... READ MORE

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INTERVIEW

Noga Erez

  • Text & Interview : Aoi Kurihara

  • 2017.9.13

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

あなたは銃を打ちながら踊れる?

Can you dance while you shoot?(あなたは銃を打ちながら踊れる?)   暴力が日常の世界で生きるからこそ紡ぎ出せる言葉だろう。この衝撃的なリリックと不穏なエレクトロ・ビートが織りなす“Dance While You Shoot”で鮮烈なデビューを果たしたイスラエルの新鋭ミュージシャン、Noga Erez(ノガ・エレズ)が、ドイツの名門レーベル〈City Slang〉からデビューアルバム『Off The Radar』を2017年6月にリリースした。   https://www.youtube.com/watch?v=yz6I6zZP7OI   Noga Erezは、湾岸戦争の起こった1990年が幕を開ける4日前に、イスラエルのカイザリアという地中海に面した小さい町で生まれた。彼女は軍で出会ったという両親──伝記作家の母親と、電気通信会社で働く父親を持っていたが、彼女の生まれ育ったエリア自体は、大規模な街のテルアビブやハイファから離れていたこともあり、比較的、政治色は強くない土地だった。しかし、彼女が生まれ育ち、生き続けている世界には、例えばパレスチナ問題によって自爆テロや反乱が実際に起きたりと、戦争や殺人が日常にあり、暴力が常に横行しているのである。彼女の最も新しい記憶では、2014年に、彼女が現在拠点としているテルアビブにロケット弾が墜落したそうだ。また、イスラエルには世界で唯一女性に対しても2年の兵役制度があ ... READ MORE

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INTERVIEW

SEKITOVA and Friends talk about “Our Party”

  • Text & Interview : Kenjiro HiraiEdit : Hiromi Matsubara

  • 2017.8.4

  • 9/10
  • 2/1 追加
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  • 2/1 追加

若者たちが考えるパーティー進化論

今回、SEKITOVAが自身の地元である大阪はアメリカ村(通称:アメ村)のクラブ、Jouleにて主催するパーティー『TESLA』についての話を訊いた。『TESLA』は2016年9月に初開催され、これまでに石野卓球、Shinichi Osawa、DJ EMMAらを招いて回を重ねてきた。8月5日(土)に開催される第4回は、SEKITOVAと同世代であり、近い舞台で相まみえてきたLicaxxxを迎えた二人会となる。   SEKITOVAは現在22歳。若手のDJではあるが、彼はキャリアの初期から『Big Beach Festival’13』や、2014年までageHaにて100回開催された『CLASH』のメインステージなど数々のビッグパーティーに出演し、活躍を続けてきた。2012年にデビューアルバム『premature moon and the shooting star』を自主レーベルからリリースした直後から、凄まじい速度感でスターダムを上がってきた2017年現在、『TESLA』は彼が現時点までのキャリアの中で経験してきた数々を総括し、アウトプットする側面を持っている。このアウトプットについてSEKITOVAは「自分がもらったものをシーンや街に還元したい」と語り、大阪、引いては日本、さらには世界のシーンを俯瞰した上で『TESLA』をどのように機能させるのか、ということについて思考を巡らせている。大阪で育ち、今も大阪で暮らすSEKITOVAは、何を思いパーティーを始めたのだ ... READ MORE

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INTERVIEW

Evan Baggs

  • Interview : RIKU SUGIMOTOText & Edit : Hiromi MatsubaraSpecial thanks : KABUTO (DAZE OF PHAZE / LAIR)

  • 2017.4.14

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
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ただ耳を傾け、感じ、観察して流れに任せる

持ち手札が多く、それも日々熱心に入れ替えているDJには大きな期待を抱くことができる。それでいてSound Cloudで聴けるポッドキャストが軒並み素晴らしいと、もはや週末が異様に楽しみになってくる。Evan Baggsが残しているポッドキャスト/DJミックスは決して多くはないが、そのうちのいくつかを聴けば、トラックが秘める音のDNAの糸を手繰り寄せて再び編み込むようなミックスを随所で発見することができる。ベルリンを拠点にするアメリカ人DJらしく── NY仕込みのガラージ、そこから一歩退いて見ればディープハウス、2000年代NYで発祥したアンダーグラウンド・ハウス、そしてヨーロピアンでミニマルなハウスに到達すれば、たちまちミニマルテクノが絡み始める。その奥底ではエレクトロ・スタイルも、ロウな質感も、文脈/背景同様に存在価値を発揮している。Evan Baggsにとっては音楽も有機体なのだ。 『DAZE OF PHAZE』の初回に出演したAndrew James Gustavのインタヴューを掲載した際の冒頭文で、『DAZE OF PHAZE』のコンセプトである「完全現場主義」へと話を繋げる形で、「飛躍している理由やプレイの良し悪しは、一概にはオンラインに転がっている情報だけでは判断できない」と僕は述べていたようだが……、期待を募らせることは悪いことではないはずだ。仮に裏切られたとしても。欧米を忙しく飛び回って様々なDJと共演し、Joy OrbisonとRyan ElliottとのB2 ... READ MORE

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INTERVIEW

瀧見憲司

  • Text, Interview & Photo : Hiromi MatsubaraSpecial thanks : HITOMI Productions, Inc.

  • 2016.10.12

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

パーティーの内側と外側で vol.2

朝井リョウ原作の映画『何者』がもうじき封切りされる。あの「自分が何者であるか」や「何者になりたいのか」といった迷宮的葛藤と、一方での「自分は何者でもない」という実際それほど深くもないけど「痛い」みたいな溝を、リアリティをもって執拗かつ鋭く突く描写が、佐藤健や二階堂ふみの演技を通じて、原作を読んでいない層にも浸透するのかと考えると、良くも悪くも胸騒ぎがする。上の世代の人たちがいまの20代前半〜半ばの人をどう見ているのかも少し気になるが、20代前半〜半ばの人が同世代やこの後の社会をどう見ているか、どのぐらいの規模で見ているかの方が僕は遥かに気になる。『何者』が舞台とする就職活動ってやつは、なぜか往々にして、根本的な「自分らしい生き方」を盲目にしているんじゃないか。そうじゃない人も、もちろん知っているけどね。   「どうなりたいの?」や「何がしたいの?」は、「どういう仕事に就きたいの」とイコールではない。現代の社会で生活していくことを少し度外視しているとも思うが、すでにフォーマットの決まっている職業に就かなくても収入を得たり生活を成立させる方法は大いにある。しかしそういう意味では、「DJ」は昨今、職業としての現実味や社会性を徐々に帯びてきているようにも思う。DJとしての生き方/在り方や表現の仕方、そこから派生する新たな活動を考えることも、いまの社会の一部分としてのエンターテイメントにおいては十分なリアリティを持っている。それはアーティストでも、いかにして好きなことを続ける ... READ MORE

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Pioneer DJ

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