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Simian Mobile DiscoのJas Shawがソロアルバム『Exquisite Cops』を9月にリリース

2019.7.23

UKのエレクトロニックミュージック・デュオ、Simian Mobile DiscoのJas Shawがソロアルバム『Exquisite Cops』をセルフレーベル〈Delicacies〉より9月27日にリリースする。

『Exquisite Cops』は、Jas Shawが2019年4月から隔週でリリースを続けている2曲入りEPシリーズ「EXCOP」の集大成的作品。アルバムには既にリリースされているトラックを一部収録し、新曲と合わせて全8曲で構成されている。

Jas Shawにとって、『Exquisite Cops』のプロジェクトが始動するまでの1年は、大きな人生の転機であった。

Jas Shawは、Simian Mobile Disco（以下、SMD）としての7thアルバム『Murmurations』を完成させたばかりの2018年の始めに、骨髄細胞の異常で指定難病であるALアミロイドーシス（免疫グロブリン性アミロイドーシス）と診断された。2018年4月にはBarbican CenterでのDeep Throat Choirとのコラボレーションライヴを、5月には『Murmurations』のリリースを控えていたこともあり、また当時は本人を含む誰もが治療法とその後がどうなるか分からず、「あらゆる事態が混乱に陥った」という。その後、Jas Shawはすぐに化学療法を受け始め、『Murmurations』のリリースツアーはキャンセルせざるを得なくなったが、SMDの2人はBarbican Centerでのライヴを行うことを決め、4月4日、そのステージに立った。多くの関係者が、それがSMDにとして最後のライヴパフォーマンスになる可能性があると辛く思っていたが、結果的に傑出したライヴとなり、現在へと繋がる大きなパワーとなった。

その後の1年間でJas Shawは毎月のように化学療法の治療を受けながら、「自分の症状と付き合いながらどのように生活すべきか学び、気分が良くなった時はスタジオで音楽制作をして過ごしてきた」という。その成果として、2018年11月にはGold PandaことDerwin Dickerとのユニット、Sellingとしてアルバム『On Reflection』を〈City Slang〉からリリース。そして、Jas Shawは激動の2018年を、化学療法を止め、DJとライヴ活動に復帰することができるという希望に満ち溢れたニュースで締めくくった。2019年には幹細胞治療を進める予定だという。

Jas Shawにとって『Exquisite Cops』はレコーディングに対する考え方が変わるほど、新たなプロセスでの制作となったそうで、プレスリリースに説明を寄せている。

「『Exquisite Cops』のトラックは独自の制作システムを作ったようです。僕は基本的にバンドのようにエレクトロニックミュージックをレコーディングします。パートをマルチトラックにして、録音後の処理と編集で混乱しないようにすることができれば良いのですが、重要なのは、その瞬間の多くを可能な限り記録して、決定にコミットし、何度も元に戻す作業を行わないことです。だから『Exquisite Cops』のトラックが、これまでの方法で作られなかったことは僕にとっては驚くべきことなんです」

「これらのトラックは全て少しずつ、数ヶ月間隔で作られました。ある日にドラムトラックを作って、それを編集して構造の外観としたら、また別の日にはシンセサウンドやテクスチャーを作るだけになってしまいます。これは私が不本意ながら決めたことではありませんでした」

「この不一致を合わせるプロセスは怠惰から生まれたものであり、何かを作ってアイディアを発展させるためにシンセをこじ開けるのではなく、僕が既に持っているものをただ使うことがどうなるかという試みでもありました。興味深いのは、数ヶ月に渡って作業が行われた2つのテイクをまとめる時に、2つのテイクはお互いに異なる光を投げ掛け、時にはそれを合わせることは厄介でしたが、僕が即興で作った大まかな構造は別の意味を持つようになりました。それは非常に面白い感覚でした。そして行えば行うほど、これは単なる怠け者のやり方では無いような気がしました。また、誰にとっても重要なことではないことをわかりながら、そこにはテクスチャー的な要素とリズミカルな要素を一緒に演奏していたら気付き得ることができなったレベルの精密な詳細がありました」