HigherFrequency ハイヤーフリケンシー

Zomby

INTERVIEW

Zomby

  • Text & Interview : Yusuke KawamuraTranslation : Masako Kawahara

  • 2011.10.14

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加
もはやポスト・ダブ ステップという言葉で彼のことをくくること自体が大きな間違いであるかのような、そんなアルバムだ。まさかの〈4AD〉からのリリースとなった、Zombyの1stアルバム『Dedication』は、その空間的なミックスやベース、音色にかすかにダブステップの色彩を残してはいるものの、ミニマリスティックな電子音が揺れるテクノともエレクトロと も言えそうな意匠が全体を包んでいる。このアルバムのサウンド自体は本人も本稿で述べているように、ダブステップのシーンのフロア(いや、その他のジャンルにおいてもだが)に向けられたものではない。さらに言えば、ほとんどの曲が1分前後、ないしは長くて4分ちょっとという全体の構造自体がもはやダンスフロアにいることを拒絶しているかのようである。それこそJames Blakeしかり、ダブステップのシーンに出自を持つ者たちが確実にその表現の幅を広げているということがこのアルバムによって、またひとつ証明されている。 さて、シーンというくくりをひとつ忘れて、この作品に没頭してみると、何よりも印象的なのは、全体を包む、時にメランコリーな、重くダークな空気感だろう。Zombyという、死を想起させるアーティスト名を持った彼の1stアルバムには相当しいかもしれない。彼が「父の死」と本アルバムを結びつけた他のインタヴューの発言を読むまで、この死の臭いはそのアーティスト名も含めた作品としてのコンセプチャルな仕掛けのようにも感じてしまうほどであった。92年のレ ... READ MORE

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Matthew Herbert

INTERVIEW

Matthew Herbert

  • Text & Interview : Yoshiharu Kobayashi

  • 2011.10.7

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加
400人ものミュージシャンが参加した『There’s Me & There’s You』とは対照的に、Herbertが演奏、歌、プロダクションを全て1人でこなした『One One』。ドイツの名門クラブRobert Johnsonで一晩の間に発せられたあらゆる音をサンプリングし(携帯の着信音やトイレでの会話まで)、ダンスアルバムへと構築してみせた『One Club』。そして、それに続く「One 三部作」の完結編としてリリースされたのが、Matthew Herbertの最新作『One Pig』だ。 そのタイトルからも察することが出来るように、このアルバムは「豚」をテーマに したもの。一匹の豚が生まれ、屠殺され、食べられるまでの「一生」の間に生まれた音をサンプリングして作られた、いかにもHerbertらしい問題提起的な作品である。三部作の中では音楽的に最も抽象的であり、取っつきにくいところがあるのは確かだが、そのアイデアの独創性と奥深さといっ た点では、群を抜いたものであることも間違いない。 『One Pig』のライヴショーのために来日していたHerbertに、たっぷりと話を訊いてきた。  ーーそもそも、“One”と銘打った三部作を作ろうと思ったのは、どうしてなのですか? Matthew Herbert:実は最初から三部作にしようと考えていたわけじゃないんだよ。この三部作の前に作ったアルバム『There's Me & T ... READ MORE

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James Blake

INTERVIEW

James Blake

  • Text & Interview : Yoshiharu Kobayashi

  • 2011.7.15

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加
現在のところ、アンダーグラウンドのベースミュージック・シーンが誇る最大のアイコンと言えば、このJames Blakeを置いて他にいないだろう。昨年は、ダブステップとR&Bを接合した“CMYK”を筆頭に、数々のクラブ・アンセムを投下。そして、今年に入ってからリリースした1srtアルバム『James Blake』は、本国イギリスで最高9位を記録し、ここ日本でもベースミュージックの作品としては異例の大ヒットを記録している。 おそらく、彼の作品がここまで受け入れられたのは、このアルバムから本格的に前面へと押し出されることになった「歌」の力が大きいのだろう。ヒンヤリとしたダブステップ以降のサウンドに乗せ、深い悲しみを内に秘めた歌声を聴かせる本作は、言ってみれば、ダブステップ時代のシンガーソングライター・アルバムだ。この作品は、深夜のダンスフロアで熱狂しながら聴くよりも、真冬の寒空の下、誰もいない公園を一人で散歩しながら――あるいは、真夜中に自分の部屋でベッドにうずくまり、ヘッドホンをしながら聴き入るのが相応しい。 そして、だからこそ、このアルバムの楽曲群が、ライヴという「大勢で音楽をシェアする場」でどのような効果を発揮することになるのか、非常に興味深いところである。10月に決定している来日ツアーは、発売後すぐに東京公演がソールドアウトになるほどの注目を集めているが、そこで早くその答えを確かめてみたい。 [youtube id="MVgEaDemxjc" ... READ MORE

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San Proper

INTERVIEW

San Proper

  • Text & Interview : Kohei

  • 2011.1.31

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加
ラフでドープなテクスチャーを伴ったそのトラック群の数々がたちまちにZipやRicardo VillalobosといったDJたちのハートを捉えたアムステルダム・シーンの異端児、San Proper。2月初旬、田中フミヤのレギュラーパーティー『CHAOS』で初来日を果たす直前の彼にその独自の音楽的ルーツ、アムステルダムという街とシーン、ディスコやファンクからの影響などを中心に話を聞いた。   ーーSan、調子はどう? San Proper:凄く良い感じだよ! 今はいくつかの新しいリリースやライブへ向けた準備をしているところだよ。もちろん東京と大阪でライブするのも待ちきれないよ!  ーーもともとはファンクバンドのギタリストとして活動しキャリア的にもかなり成功していたそうだけど、ダンスミュージックに転向したきっかけは何だったの? San Proper:子供の頃から俺の身の回りには常に音楽があって、Sam CookeやOtis Reddingといった偉大なソウルマンたちをはじめ、Professor Longhair、Howlin' Wolf、The Specials、Peter Tosh、The Stranglers、Les Rita Mitsouko、そしてThe Meters、Funkadelic、Parliamentといったファンクまでいろんな音楽にハマってた。ギターを手にしたのは10歳のときで、それからいろんなバ ... READ MORE

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DJ QU

INTERVIEW

DJ QU

  • Interview : Justin Carter (Mister Saturday Night)Introduction & Translation : HigherFrequency

  • 2011.1.11

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加
DJ Jus-Ed、Levon Vincentと並ぶUSアンダーグラウンドシーンの実力派アーティストDJ QU。近年、ベルリンのアンダーグラウンドでも再評価が高まっているハウスクラシックの息吹を感じさせるスタイルで、本拠地ニューヨークでのレジデントパーティーのみならず、Fabric、Tape Club、Panorama Bar等ヨーロッパの人気クラブでもギグを行うなど、大いに活躍しているアーティストの一人だ。自身のレーベル〈Strength Music〉 も、2009年の休止を挟みつつも再始動し、クオリティの高い作品をリリースし続けている。過去にはダンサーとしてのバックグラウンドを持ち、元々はヒップホップのファンであった彼は、90年代にはダンスイベントへの出演のために来日した経験もあるという。 今週末に迫るelevenでのギグを控え、今回は先日DJ QUを招きニューイヤーズイブ・パーティーを行ったニューヨークのパーティークルー〈Mister Saturday Night〉のJustin Carter とのインタビューを翻訳してお届けする。 [youtube id="UxgI14ua-IY" mode="normal" autoplay="no"] ーー君のレーベル〈Strength Music〉やプロデューサーとしての立ち位置は、Levon Vicent、Jus-Ed、そして、Fred Pと関連付けて語られることが多いと思うんだけど、多くの共通点があ ... READ MORE

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Margaret Dygas

INTERVIEW

Margaret Dygas

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加
2007年にJay Hazeが主宰する〈Contexterror〉よりEP『Day After』をリリースし、ミニマルテクノ界の新星としてまたたく間にその名が知れ渡ったMargaret Dygas。nsi. との交流でも知られ、実験的な要素を感じさせる深い独自世界を持ったトラックメイキングが高く評価されている。   今回は、日本のアート系出版社/レーベルである〈Powershovel〉から、彼女自らが手がけた写真ブックレット(以下6枚はその一部)付きのアルバム『How Do You Do?』が10月25日(月)リリースされるに伴い、京都、大阪、名古屋、東京を巡るリリースツアーを行う彼女にインタヴューを行った。作風同様、受け応えからも溢れるアート性が感じられるのではないだろうか。   [gallery size="large" link="file" ids="5672,5671,5670,5675,5673,5669"]   ――まずは音楽的なバックグラウンドを教えてください。例えば子供の頃好きだったアーティストや、初めて自分で買ったレコードなど……。   Margaret Dygas:Michael Jacksonに恋してて、彼と結婚したいって思ってたの! Michael Jackson は私の人生の中でかなり大きな存在だったわ。最初に買ったレコード? うーん……何だかアッパーめなのを買ったと思うけど、今はちょ ... READ MORE

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Peter Van Hoesen

INTERVIEW

Peter Van Hoesen

  • Interview : HigherFrequencySpecial Thanks : Mindgames

  • 2010.9.3

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
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いよいよ今年も、開催まであと2週間をきった人気野外パーティー『THE LABYRINTH』。2年前の同パーティー初日、一切の予備知識もなしにメインへ向かった筆者にとって、Peter Van Hoesenの名前は、その一音目から全身を襲った、とてつもない衝撃と共に記憶されている。昨年の同パーティーではライヴセットとDJセット、そしてYves De MayとのユニットSendaiでのアンビエントセットでフロアを魅了した彼は、本年度の『THE LABYRINTH』にも還ってくることが決定している。   今年3月にはアルバム『Entropic City』を自身のレーベル〈Time To Express〉からリリースし、『Resident Advisor』をはじめ多くのメディアのレヴューでも高い評価を獲得。5月には来日ギグを敢行したことも記憶に新しい。 とにかく、高度に計算された音響でフロアに「場」を創りだす彼の音は、是非大きなスピーカーで、それも『THE LABYRINTH』のFUNKTION ONEのような最高のシステムで、その震動と共に体感して欲しい。そして、このインタヴューがその助けになれば幸いだ。   Entropic City by Peter Van Hoesen   ーーまずは音楽的なバックグラウンドを教えてください。例えば子供の頃好きだったアーティストですとか、初めて自分で買ったレコードですとか……。   PVH ... READ MORE

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Andrew Weatherall

INTERVIEW

Andrew Weatherall

  • Text & Interview : Hidehiko TakanoPhoto : Noriaki Tomomitsu (HigherFrequency)

  • 2009.11.26

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加
Andrew Weatherall は知的で上品な英国紳士だ。不良番長とか、アンダーグランドの帝王といった 『裏』 の修飾語で語られることが多いが、いざ懐の奥にまで飛び込んで、本音に触れることさえ出来れば全く違ったものが見えてくる。   ダブを基調とした分厚い音が響き渡る作品の数々や、ともすると過激に思えてしまう力強い発言、両腕にびっしりと入れられたタトゥーなどは全て、彼の持つ美意識の高さと、ちょっと不器用とも思えるくらいに真っ直ぐな人柄の表れなのだ。出演直前の幕張メッセの楽屋において慌しい中で行われた今回のインタヴュー。前日には大阪で公演し、体力的にも精神的にも万全とは言えない中で、少し意地悪な質問に対してまでも真剣に、真正面から答えてくれたAndrew Weatherall。その一つ一つの発言はアーティストとしての音楽に対する溢れんばかりの情熱、そして愛情に満ちている。       ーー本日はレーベル〈Warp〉の20周年記念のイベントですので、まずはあなたと 〈Warp〉の関係についてお聞きしたいと思います。あなたの長年のキャリア全体において、〈Warp〉から作品をリリースしてきたことがどのような意味を持っているかを順を追ってお聞かせください。   Andrew Weatherall:僕が 〈Warp〉と一緒に仕事をするようになった時には、既に今のようにかっこいい音楽をたくさんリリースして、先進的なレーベ ... READ MORE

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A Guy Called Gerald

INTERVIEW

A Guy Called Gerald

  • Interview : Megan MannTranslation & Introduction : H.Nakamura

  • 2003.12.11

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
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2003年6月末に来日し、その長いキャリアに裏打ちされたプレイで東京のクラウドに衝撃を与えたダンスミュージック・カルチャーの重鎮中の重鎮、A Guy Called Geraldのロングインタビューに、HigherFrequencyのUKコンタクトであるMegan Mannが成功した。UKアシッド・ハウス隆盛期の80年代後半にはあの808 Stateに在籍し、ソロに転じてからもアシッド・アンセムのひとつである「Voodoo Ray」や、Drum and Bassの地平線を切り開いた「28 Gun Bad Boy」をリリースするなど、常にダンスミュージックの新たなジャンルの開拓者としてトップを走り続けてきたA Guy Called Gerald。クラブカルチャーを長きに渡って見つめてきた彼の視線は非常に鋭く、辛らつでありながらも的を得た発言が満載のインタビューとなった。その貴重な内容を編集なしの完全版でお届けする。  ――最近ロンドンに戻ってこられたと思いますが、ロンドンでの生活はどんな感じですか? A Guy Called Gerald : ロンドンに戻ってくるまでの5年間はずっとニューヨークに住んでいたから、ここ1年間の生活は今までとは全く違った感じがするね。ロンドンも昔よりずっとイージーな感じになったんじゃないかな。  ――最近の音楽活動については如何ですか? A Guy Called Gerald : まさにノンストップでたくさんの音楽を作っているよ。HRFQ : それは自分 ... READ MORE

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INTERVIEW

Junior Sanchez

  • Interview & Photo : Matt Cheetham (Samurai.fm)Translation & Introduction : H.Nakamura

  • 2003.10.18

  • 9/10
  • 2/1 追加
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10年以上にも及ぶ輝かしいキャリアを誇りながらも、未だ一度も来日を果たしていなかったJunior Sanchez。この最後のビッグネームの初来日公演が、10月18日、HigherFrequencyの運営母体であるSoundgraphics主宰のもと代官山AIRにて開催された。超絶的なターンテーブル・テクニックを駆使しながら、今アメリカで主流となっているエレクトロ系ハウスを中心として縦横無尽に繰り広げられた彼の幅広いプレイは、フロアを埋め尽くしたクラウドを完全に圧倒。最後には何とアンコールが5回も繰り返されるほどの大盛況ぶりで、その素晴らしい内容は、まさに2003年度のベストセットの一つとして我々の記憶に残る事は間違いないだろう。そんな最高のパフォーマンスを披露してくれたJunior SanchezにHigherFrequencyがロングインタビューを敢行。クラブシーンのみならず、音楽ビジネス全体にも渡るテーマに対してクールかつ的確に答えてくれた模様をお届けする。  ―― 昨日、来日して最初のイベントが大阪であったと思いますが、感想はいかがでしたか? Junior Sanchez : 最高だったね。ハコの雰囲気も良かったし、クラウドの反応も良かったよ。ちょっと技術的な事で困った事があったのは事実なんだけど、全体的にはとてもクールなイベントでとても楽しかったね。  ―― 日本の印象はどうですか? Junior Sanchez : とてもクールな所だね。人々もカルチャーもとってもクール ... READ MORE

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Pioneer DJ

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