〈mule musiq〉が日本産の音楽を中心としたレーベル〈studio mule〉を始動、1月末にコンピ『Midnight in Tokyo vol.1』をリリース
2018.1.10
ハウス、テクノ、アンビエントを中心にリリースする日本を代表するレーベル〈mule musiq〉が、国産の音楽を中心とした新たなレーベル〈studio mule〉スタート。1月26日には2LPのコンピレーション『Midnight in Tokyo vol.1』をリリースする。
エレクトリックミュージックのあらゆる側面にフォーカスして来た〈mule musiq〉は、これまでに、よりオルタナティブなダンスミュージックをリリースする〈endless flight〉を運営してきた。その一方で、新レーベルの〈studio mule〉は、少しクラブミュージックから離れ、「これまでよりも音楽的制限を無くし、その時々にフィットする少し変わった面白い音楽をリリースして行く予定」とのことで、まず初めは日本の音楽を中心にリリースしていくという。
オーナーのToshiya Kawasakiは、〈studio mule〉の始動と、『Midnight in Tokyo vol.1』について以下のように話している。
「現在の国産の音楽ブームを結構冷めた目で見ていたのですが、日本で生まれた素晴らしい音楽が海外のレーベルにライセンスされて行くのはどうなんだろう?と思い始めていた所、僕が尊敬するある方から”muleがそういうことをやっていっても良いのでは”というお言葉を頂き、確かに立ち位置や海外からの見え方も悪く無いかなと思い始め、とはいえ現在でもかなりのタイトルをリリースしているので、重い腰を上げるのに随分と時間がかかったのですが、まずモダンなダンスミュージック的視点かつ海外の人の趣向に刺さる内容で選んだ国産のディスコやブギー、ソウルのコンピレーションを作ることにしました。
収録曲を選び始めた時はどちらかというと日本人が作った感じがしないUS直系のディスコ等が良いと思っていたのですが、ライセンスの許諾の関係で使用出来る音源がかなり制約されて来て、また同時に日本人らしさが感じられない音楽もどうなのかと思い始め、新しいレーベルや企画を始める時は音楽の内容よりもタイトルやアートワークからどういう音楽をリリースして行く等が決まって行ったりすることも多く、今回のコンピレーションのタイトル『midnight in tokyo』というところから、東京の真夜中に聴くサウンドトラック的な感覚でコンパイルしようと方向転換したところ、ホームリスニングとしても場所や時間帯によってはクラブでもプレイ出来るような内容のものになったのではと思います。当初考えていた感じよりは随分とポップになったので、海外の人にどう聞こえるか分かりませんが……。
ここに収録された楽曲は既に再発されているとか、オリジナルのレコードのレアさ加減といったことよりも、メジャーレーベルの垣根を越えてコンパイルすることと、現在の日本の音楽ブームが去った後でも聞ける内容になることを第一に考えました。基本的にこのコンピレーションは海外の人に向けて作ったものですが、日本人としても沢山の再発見がありました」
『Midnight in Tokyo vol.1』は13曲を収録。
〈Mastercut〉のコンピレーションにも収録されたハーモニカ奏者の八木のぶおによる国産アフロディスコ傑作“Mi Mi Africa”で幕を開ける。
数多くの楽器をこなすマルチプレイヤー清水信之が若干19歳の時にリリースした1stアルバムに収録されている彼が多くの楽曲のアレンジを務めたepoがコーラスで参加しているジャジーなフュージョンディスコ“Silver Top”。
ヴォーカリスト山本圭右を中心とするバンドPiperの2ndアルバムにして最高傑作といえる『Summer Breeze』に収録されている山下達郎ライクな“Samba Night”。
桑名正博の実妹でもある桑名晴子がフリーソウルクラッシック“Million Stars”で知られるMackey Feary Bandがプロデュースし、ハワイで録音されたジャパニーズソウル傑作“あこがれのSundown”。
詩人/彫刻家の高村光太郎の父、高村光雲の曾孫にあたる高村亜留のデビューアルバムに収録されたCheryl Lynnの“Got To Be Real”への日本からのアンサーとも言えそうな“恋は最高 (i’m in love)”。
日本のTrevor Hornと称され伝説のテクノポップバンドTPOのプロデューサーでもある本間柑治のプロジェクトHonma Expressによるカルトエレクトリックポップ“What the Magic Is To Try”。
YMOのツアーサブメンバーでもあったピアニスト橋下一子とパートナーの藤本敦夫によるユニットColored Music唯一のアルバムに収録されている、ニューウェーヴもシンセポップもジャズも飲み込んだジャパニーズレアグルーブの最高峰と言って過言では無い“Colored Music”。
アイドルユニット少女隊のデビューシングルのBサイドに収録されているダビーなエレクトリックニューウェーブディスコ“Electric City”(少女隊は全く歌っていないが)。
国産ダンストラックの最高峰で沖縄出身のバイリンガル当山ひとみのアルバム『Next Door』に収録されている、The Whispersの“It’s a Love Thing”のメロディーを引用したと思われる軽快なディスコ“Love Is the Competition”。
マライアプロジェクトのディーヴァ村田有美の1stアルバムに収録されているファンキーでソウルフルなロッキンディスコ“Krishna”。
ルパン三世のエンディングテーマやDJ Krushの作品への参加でも知られるジャズヴォーカリスト大野えりが歌う、Chaka Khan “I Know You, I Live You”を連想させる“Live Hard, Live Free”。
札幌のインディーレーベル〈Paradise Records〉からリリースされた本格派シンガーMinnieを中心とする哀愁ディスコ“Rocket 88”はインディーからリリースされていたとは思えない完成度だ。
和製ディスコプロジェクトEastern Gnagが手がける、アフリカ人の父とスウェーデン系アメリカ人の母との間に生まれたSHOODYが歌うジャパニーズディスコ定番“Tokyo Melody”で締めくくる珠玉のコンピレーションとなっている。
VA
『Midnight in Tokyo vol.1』
Release date: 2018/1/26
Label: studio mule
Cat no: mule musiq 221
Format: 2LP
Tracklisting:
A1. nobuo yagi – mi mi africa
A2. nobuyuki shimizu – silver spot
A3. piper – samba night
B1. haruko kuwana – akogareno sundown
B2. aru takamura – koi wa saikou (i’m in love)
B3. hitomi tohyama – love is the competition
B4. honma express – what the magic is to try
C1. colored music – colored music
C2. shohjo-tai & red bus st project – electric city
C3. yumi murata – krishna
D1. eri ohno – live hard,live free
D2. minnie/rocket 88
D3. shoody – tokyo melody
compiled by toshiya kawasaki
mastering by kuniyuki takahashi
cover photo by mika kitamura