NEWS

Kleinが新作アルバム『Lifetime』を9月6日にリリースし、同日にロンドンのSerpentine Galleriesで新たなライヴショーを披露

Photo : Josiane M.H. Pozi
2019.9.2

ナイジェリアにルーツを持ち、サウス・ロンドンを拠点に活動するシンガー/プロデューサー、Kleinが新作アルバム『Lifetime』をセルフレーベル〈ijn inc.〉から9月6日にリリースする。

R&B〜ソウル〜ゴスペルを軸に、サイケデリックかつゴシックなテイストでノイズ〜インダストリアル、ないしはトラップやUKガラージ〜UKベースをコラージュで紡いでゆく、圧倒的なミュータント・スタイルで注目を集め続けているKlein。

新作のリリースと同日にはロンドンのSerpentine Galleriesで、Carolin Schnurrerが考案したウェアラブル・デバイスをフィーチャーした、『Lifetime』に関連する新たなライヴパフォーマンスを披露する。ショーは、記憶と喪失を通じて、文化の某弱声を探る多感覚なパフォーマンスであり、またこのパフォーマンスを保存ツールとして使用するという。18ヶ月の制作期間を経て完成した『Lifetime』についてKlein本人は、「“誰かに日記をあげること”と同じぐらい非常にパーソナルな作品である」と説明しており、「ライフタイムは交差するライフサイクル ── 内と外の自己、超近代と歴史、生きている悪夢と夢の状態 ── と対応しており、その両方で光と闇を求めます」とコンセプトを明らかにしている。

<a href="http://klein1997.bandcamp.com/album/lifetime">Lifetime by Klein</a>

新作『Lifetime』は、生存の必然的なサイクルを包含し、残虐さ、脆弱性、乖離、予期せぬ強靭な精神力、それぞれの瞬間を段階的に経ている。全ての音は意図されており、「“King of Gospel Music”と称されている作曲家のJames Cleveland、18世紀の調性音楽、人種を扱った映画作品における先駆的存在であるSpencer Williams、宗教的経験の残余……」など、プレスリリースに記されている、『Lifetime』に影響を及ぼしているものは全て非常にパーソナルな事柄である。

全12曲はパズルのように繋ぎ合わされており、そのシームレスな移り変わりは、各曲の全てのコードが何処かでも反響されているのに対して、それぞれの曲の構成を逆時系列で繋いでいる。解説によれば、「これまでのKleinのライヴパフォーマンスでほのめかされていたことが、『Lifetime』で完全に実現した」という。ヴォーカルの少ない作品では表現力がより豊かになり、短く切り詰められた“スケッチ”になるような傾向を避け、各楽曲/歌が“長い会話のピース”として、より活きた経験のリアリティにコミットしている。かつて自己不信に陥っていたというKleinは、クラシック音楽の慣習に気を付けながら、彼女自身と同じような経験をしている他の人々の不安のサイクルを断ち切ろうとしている。

https://www.youtube.com/watch?v=0iCpsPsB3Jo

もとよりシアターやゴスペルのファンで、楽曲制作の前に趣味でポエトリーを書いていたところ、Arcaの勧めで本格的にアーティスト活動を始動。すると、2016年にセルフリリースでBandcampにて発表したアルバム『Only』（※その後〈Howling Owl〉や〈P-Vine〉からフィジカルリリースされた）、その後のEP『Lagata』でシーンに大きな衝撃を与え、2017年には〈Hyperdub〉からEP『Tommy』を、2018年にはセルフリリースのEP『CC』と立て続けに作品を発表。〈NON〉のChino Amobi、〈Planet Mu〉のJlin、〈Principe〉のNídia、〈UIQ〉のNkisiなど、あらゆる境界線を超越していく圧倒的にオリジナルなスタイルで時代を駆け抜けるアフリカン・ルーツのプロデューサーと共に現代電子音楽の最前線へと躍り出し、中でもKleinはロンドンのSouthbank Centre、スイスの『Art Basel』、ニューヨークの『MoMA PS1』、イタリア・ミラノの『Triennale di Milano』、UK・コーンウォールのEden ProjectにBjörkと共に出演するなど、アートとの関わりも深く、彼女の動向には常に音楽体験の進化の兆しを心待ちにする人々による注目が寄せられている。