Emptysetが独自の機械学習システムを用いて制作したアルバム『Blossoms』を〈Thrill Jockey〉から10月にリリース
Photo : James Ginzburg
2019.7.19
革新的な作品を生み続けるUK発のユニット、Emptysetが新作アルバム『Blossoms』を〈Thrill Jockey〉から10月11日にリリースする。
James GinzburgとPaul Purgasからなるユニットは、常に新しい独創的な作曲ツールと制作プロセスで、ユニークかつ強烈なアートを生み出し続けてきた。〈Raster-Noton〉から〈Thrill Jockey〉に移ってからは初となるアルバム『Blossoms』は、「進化と適応のアイディアに焦点を当てている」とのことで、機械学習システムを搭載している本作のために特別に作られたマシーンと、デュオが木材や金属やドラムヘッドを使った10時間の即興録音の音響合成を、Emptysetの本体である探究的な音楽制作へと持ち込んで作られた。
『Blossoms』のために作られた機械学習システムは、ソフトウェア・モデルに学習と予測を行うための材料となる基礎的な音響知識を与えていく、広範囲のオーディオトレーニングを経て開発されたという。そのプロセスを経て生まれた作品についてプレスリリースは、「この電子音と音響音の集合体は、予め与えられた多様なソースの中から学習機能システムが一貫性を探し出して、音響データセットの矛盾の中で論理を形成しようと試みた時に、予期せぬ結果を生み出した」と説明。加えて、「このシス絵tむは、関係推論とパターン認識の曖昧なメカニズムを明らかにし、一見すると無関係な音との間の相関関係と関連性を見つけ、創造的で非人間的な音楽性を現した」と解説が添えられている。
『Blossoms』は、ハイブリッドと突然変異に基づいて作られた作品で、複雑に合成されたオーディオと、Emptysetが2012年発表の作品『Medium』などで用いている建築現場/建造物の中で音を出した際に派生したリヴァーブを組み合わせている。また、「本作は、先進的なサウンドへのEmptysetの献身を象徴しており、出現と増大、断片化と回復力のパターン、そして生物と非生物の仲介の回旋を検証している」という。『Blossoms』に基づいた新たなライヴセットは、10月にポーランドのクラクフで開催される『Unsound Festival』で初披露される予定となっている。
Emptysetは2017年発表のアルバム『Borders』以来、専門的なプログラマーとコラボレーションし、本作の基盤を確立するのに十分なシステムアーキテクチャを考案するために、新たな理論研究に取り組んできたという。
また2人は、個々の活動でも目覚ましい活躍を見せており、James Ginzburgは自身が運営するレーベル〈Subtext〉から2018年にソロデビューアルバム『Six Correlations』を発表しており、また『WIRE Magazine』傘下ではJennifer Lucy Allanと共に、Arthur RussellやJoan La Barbara、Pekka Airaksinenなどの再発を行っているレーベル〈Arc Light Editions〉を運営している。
Paul Purgasは、『Guildford International Music Festival』の「Moogシンポジウム」でインド発のエレクトロニックミュージック・スタジオの歴史について講義をし、UKの現代美術のレジデンスセンター「Wysing Arts Centre」で毎年開催されている『Annual Music Festival』 をMoor Motherと共にキュレーションし、〈MIT Press〉から配布された『Unsound: Undead book for Audint』の執筆など多岐にわたる活動を見せている。
Emptysetの新作アルバム『Blossoms』の詳細は以下の通り。
Emptyset
『Blossoms』
Release date: 2019/10/11
Label: Thrill Jockey
Cat No.: THRILL-507
Formats: LP / CD / Digital / Streaming
Order here: https://emptyset1.bandcamp.com/track/petal
Tracklist:
1. Petal
2. Blossom
3. Bloom
4. Pollen
5. Blade
6. Axil
7. Filament
8. Bulb
9. Stem
10. Clone