1000人のトップDJによるCO2排出量が環境に与える影響についてまとめたレポートをClean Sceneが発表
2021.3.31
DJによる気候/環境への影響に対策活動を行っているベルリンの団体「Clean Scene」が、『Last Night a DJ Took a Flight: Exploring the carbon footprint of touring DJs and looking towards alternative futures within the dance music industry』と題した新たなレポートを発表。
Clean Scene (Berlin / climate action collective)
『Resident Advisor』のトップ1000 DJのツアースケジュールを調査したこのレポートによると、2019年にアーティストは51,000回以上のフライトを利用し、35,000トンのCO2を排出していることがわかったという。また、ツアー中のDJの平均的なカーボンフットプリント(CO2排出量)は35トンであり、これは地球の気温を1.5度以上に上昇させないために広く認められ推奨されている個人のカーボンバジェットの17倍にあたるとのこと。これは、20,000世帯の1年間の電力消費量、8,000のフェスティバルの3日間の電力消費量、もしくは2,500万枚のレコードのプレスに相当すると分析されている。
※ 画像をクリックするとClean SceneのHPが開きます。
ダンスミュージックをよりクリーンで環境に優しく、より公平な未来を創造したいと願う音楽業界の専門家からなる団体は、“世界的なコロナ禍によって業界が行き詰まっている今だからこそ、変革の時だ”と述べられており、決してこのデータは、アーティストを非難するために公表されたものではなく、音楽業界/産業に関わっている全ての人々に説明責任を求めるものとされている。
現に、音楽業界が気候変動の影響に直結する抑圧的なシステムから利益を得ていることは事実。レポートでは、“音楽業界は、気候変動、人種、ジェンダー、経済的不平等を犠牲にして、お金 / 権力 / 欲を優先させるこれらのシステムを解体しなければならない”とClean Sceneは主張している。
※ 画像をクリックするとClean Sceneのレポートページが開きます。
将来の公平性のための計画
rethinking exclusivity clauses and prioritizing more efficient tour-routing
独占契約を見直し、より効率的なツアールートを優先する
celebrating and investing in local scenes
地元のシーンに敬意を表し、投資する
establishing agency and promoter networks to provide peer support and sharing best practices
エージェンシーとプロモーターのネットワークを構築し、仲間同士の支え合いと効率的な改善方法の共有を行う
調査で浮き彫りになった問題に対処するためにClean Sceneは上記のような包括的なテーマをレポートの中で定義。団体はレポートを発表することによって、この調査結果に対する批判や疑問が起こるであろうことも認識していながら、その代わりに、読者たちが気晴らしのために大見得を切るのではなく、動員し、組織化し、変化を理想とし、それに影響を与えるべきだと提案している。
今回のレポートは英語で公開されているが、2019年には、〈Red Bull〉ウェブマガジンでRosie Hewitsonによる『音楽に何ができる?【二酸化炭素排出・気候変動・地球温暖化】音楽ファンと音楽業界が貢献できることを考える』というレポートと、『Resident Advisor』ではChal Ravensによる『地球温暖化の危機にダンスミュージックはどう立ち向かう?』という特集が公開されている。
改めてぜひこちらもご一読いただきたい。
『音楽に何ができる?【二酸化炭素排出・気候変動・地球温暖化】音楽ファンと音楽業界が貢献できることを考える』
via Red Bull
https://www.redbull.com/jp-ja/music-vs-climate-change
『地球温暖化の危機にダンスミュージックはどう立ち向かう?』
via Resident Advisor