Sapphire Slowsが、3年ぶりのミニアルバム『Time』を9月に〈Kaleidoscope〉からリリース
2017.8.25
Sapphire Slowsの3年ぶりとなる7曲入りミニアルバム『Time』が、UKの先鋭レーベル〈Kaleidoscope〉から9月22日(金)にデジタル・リリースされることが発表された。
〈Kaleidoscope〉は、主に〈Warp〉からリリースを重ねているUK拠点のアーティストpattenが2006年より運営するレーベル。今までにSculpture、 Aldous RH、Karen Gwyer、Yearning Kru、Arch M、Orphan、The Newcomer、ALAKといった、後にOPN主宰の〈Software〉(昨年に運営終了を発表し、閉鎖状態)や、USレフトフィールドの代表格〈No Pain In Pop〉、µ-Ziqが主宰する20年以上続くUKの老舗〈Planet Mu〉などからもリリースを行なっているアーティストたちを数多く輩出してきた。
Sapphire Slowsは、2011年に東京のレコードショップが運営するレーベル〈Big Love〉から鮮烈なデビューを果たし、同時にLAのアンダーグラウンドのメッカである〈Not Not Fun / 100% Silk〉からもインターナショナル・デビューした。その後も好調にリリースを重ね、その度に『Pitchfork』や『The Fader』などの欧米主要メディアから高い評価を受けており、アメリカ、カナダ、メキシコ、中国、ヨーロッパなど世界各国をツアーしてきた。2013年のアルバム『Allegoria』以降はしばらくリリースを行わずとも、その間はDJとして精力的に活動を続け、東京のテクノ、アンダーグラウンド・エレクトロニックミュージックのシーンから着実に評価と関心を集めてきた。2015年にはパリで開催されたRed Bull Music Academyに参加したことをきっかけに、翌年にはバルセロナの音楽フェスティバル『Sonar』へと招聘され、3000人近くの観客を前にパフォーマンスを行っている。
2016年に再びリリースを活発化させると、同年に〈Big Love〉から待望の新作シングル『Confession / Piece of You』を限定7インチで発売した際には、「Sapphire Slowsが帰ってきた」と『Hypebeast』などのメディアで話題に。引き続き、2017年5月にベルリンの注目レーベル〈Nous Disques〉からリリースされた『The Role of Purity』では、ヴォーカル無しのディープ・アンビエント・テクノに挑戦し、サウンドスケープの益々の拡張と、音色豊かなレイヤリングで表現の幅の広がりで、多くのリスナーを魅了。『Resident Advisor』のレヴューでは、4.1(/5)点という高評価を獲得している。
その勢いのまま、来たる9月22日にリリースされる『Time』は7曲入りのミニアルバムとなっており、Sapphire Slows曰く「今まで以上にクリアでポップな、ヴォーカルにフィーチャーした作品」とのこと。
また彼女は、「2013年から2016年の空白の3年間に様々な苦悩の中、音楽的な実験、変化、成長と共に東京の自宅で録音されました」と制作背景を明かしており、具体的には「“アンダーグラウンド”と“ポップ”の狭間で、自分がどのようなプロデューサーになりたいのか」という苦悩が彼女の中にあったという。その悩みとプレッシャーから解放されるまでに時間をかけていった結果生まれたのが、Sapphire Slows史上最もポップで音楽的に完成された『Time』であり、彼女自ら、「当初は数年の沈黙の後にこのようにポップな作品をリリースすることで方向性が固められてしまうのでは、と恐れを抱いていましたが、2017年5月に発売した『The Role of Purity』で自身の実験的な側面も大きく評価されたことによって、“アンダーグラウンドとポップのどちらかを選ぶのではなく、どちらにも全力で寄り添っていきたい”というヴィジョンと共に再び自信を取り戻すことができました」とプレスリリースに言葉を添えている通り、Sapphire Slowsが幾度も様々なエレクトロニック・ミュージックと向き合った足跡が、繊細さと大胆さが絡み合う心地良い音像の中で、確かに力強く脈打っている。
『Time』は、9月22日に、iTunes、Apple Music、Spotify、Bandcampなどの全てのデジタル・ストリーミングサービスで同時に発売される予定。これまでレコードでのリリースを重ねてきたSapphire Slowsにとっては、デジタルのみのリリースは初の試みとなる。またレーベル〈Kaleidoscope〉のBandcamp限定でリリースされるデラックス・エディションには、ボーナス・トラック2曲、歌詞、HDミュージックビデオ、制作に使用が可能な「Sapphire Slowsサンプル・パック」などが付属するという。
近年、Sapphire Slowsは国内での活動もより精力的に行なっており、今年は毎月のDJ活動や地方での公演のほか、『Rainbow Disco Club』『Taicoclub』『rural』などのフェスティバルにも出演している。2017年からはヨーロッパのエージェント「futura」と契約し、同エージェントに所属するLana Willikens、Marie Davidson、Inga Mauer、その他大勢のカッティング・エッジなアーティストたちと共に国境やジャンルを超えた活動を目指していくという。そして、10月には上海、杭州、台湾を巡る中国ツアーを、11月にはベルリンで開催される『Ableton Loop 2017』への参加を含む2週間のヨーロッパツアーを予定しているとのこと。さらなる飛躍に要注目だ。
Sapphire Slows
『Time』
Release date: 2017/9/22 (Fri)
Labe: Kaleidoscope
Cat no.: KÆ004 Aether Editions
Tracklist:
1. Confession
2. Haunts You
3. My Garden
4. Piece of You
5. Reach Out Your Hand To Me
6. The Edge of My Land
7. Time
All songs written & produced by Sapphire Slows between 2014-2016 in Tokyo
‘Confession’ lyrics by Haruka Hirata
Cover photo by Cédric Diradourian
Layout by Sapphire Slows
Mastered by Mark Jasper at Sound Savers / © 2017 Kaleidoscope