Native InstrumentsがChris Liebingを特集したビデオシリーズ『The Techno Alchemist』を公開
2017.3.22
Native Instrumentsが、テクノ・シーンで絶大な支持を誇るドイツのDJ/プロデューサー、Chris Liebingを特集した新しいビデオシリーズをリリースした。
マイアミで開催された『Ultra Music Fesitival』の出演に先立って行われたビデオシリーズの取材は、インタヴューと、ヨーロッパ各地でのパフォーマンスを交え、アンダーグラウンドのテクノ・カルチャーに目を向けている。パフォーマンスをするテクノDJの様々な側面を描き出すこのビデオシリーズは、Chris Liebingが考えるテクノDJのスタイル、技術的なセットアップについて、2時間パフォーマンスの全3編で構成されており、ブリュッセルのFuse、ロッテルダムのCruise Teminalでの撮影に加え、昨年11月のツアー最中のChris Liebingを2箇所で密着し、彼のユニークなパフォーマンススタイルを親密な視点から捉えている。インタヴューは、アメリカでテクノが人気を博しつつある頃の、典型的なアンダーグラウンドカルチャーにまで暴露話は及んでいる。全編通しての視聴は以下のリンクから。
https://www.native-instruments.com/en/specials/chris-liebing-the-techno-alchemist/
まず、『The Spirit of Techno』では、「テクノとは何か」について、EDMなどのメインストリームのダンスミュージックとの違いを説明する。Chrisにとってのテクノは、ヒット曲をプレイしたり、「ドロップを待つ」ことは重要では無いと言い、彼にとってのテクノはむしろ、テンション、リリース、コントラストのある緩やかなサウンドの展開を使い、リスナーを旅に連れ出すものだと感じている。「ドロップや刹那的な事について否定的なわけじゃないんだ。でもオーディエンスは別世界へ連れて行かれ、どこにいてなぜそこに行きたかったのか忘れてしまうんだ。それから我に返って『何が起こったの?一体何だったの?』ってな具合さ」と語る。またビデオでは、テクノDJのパフォーマンスの違いについて説明している。
そして、『A Hybrid Setup』では、Chrisのハイブリッドなセットアップの内側を公開し、レイヤーサウンドがどのようにして作られるのか説明している。「パフォーマンスでは初代MASCHINEをずっと使っている」とまずChrisはコメント。多くのDJは、他のアーティストがレコーディングした音楽のプレイに重点を置くが、Chrisの場合は、伝統的なDJミックスにドラムビートやパーカッション、メロディーのライヴパフォーマンスを加え、独自のスタイルのパフォーマンスを行っているDJの1人であり、自身も「正面に配置して、僕のセットアップの中心になっていて、ドラムを追加したり、新しいパーカッションやメロディーでスパイスを加えれば、別のプロデューサーの曲を全く違うものに変えることができるんだ」と語っている。「そのままの形でトラックをプレイしたことは一度もないよ。トラックの中の好きなパーツを使って別のものに変えるんだ。そうすると僕がオーディエンスの為に作っているものがもっとうまく機能すると思う」、こういったChrisのようなアーティストが、毎晩異なるオーディエンスの為に、ユニークな体験を作り出していることが実感できる。
ちなみに、「Chris Liebingはいつもアーリーアダプターです」と話す、TRAKTORのプロダクトオーナーFriedemann Beckerは以下のようにも語っている。「TRAKTOR PROに2デッキではなく、4デッキを装備するよう提案したのはChrisなんです。それから同期機能についても口うるさく言っていました。今ではMASCHINE JAMを駆使して、サウンドやエフェクトをダイレクトに操作しています。彼のストーリーや経験を、世界中の音楽ファンの皆さんとシェアすることができて、とてもエキサイティングです」。
ビデオ最終編『In the Booth』では、Chrisが視聴者をDJブースに案内し、2時間に渡るライヴパフォーマンスを披露する。DJの視点から撮影されたこのビデオは、他に類を見ない、DJアートの内側を映し出し、クラブにいるかのような体験ができるように美しい演出が行われている。