インターネット、それは何が流行りだすかわからない冥府魔道。

 

次から次へと本当にわけのわからないものが流行り出しますが、パリで音楽ジャーナリストをしている友人(本業は公務員)から、キラキラした女子力を上げるためのフランス情報、ではなく教えてもらったのがこのビデオ。今年最も印象に残ったMVで、実に常軌を逸した内容でついつい何度か見直しています。

 

 

EQやコンプを効かせて音像をはっきりさせたような今時のEDMサウンド風のポップソングですが、全編日本語字幕付き。サビの部分も含め、下世話で安っぽくてキャッチー。まるで80年代の日本のアニメソングのように。これはいろいろ確信犯です。奇抜なコスチューム、強調される股間のふくらみ、全体が様々な方向性のセクシーなムードで貫かれ、色んな境界線を越えた・・・、言うならばセックス・ウィズアウト・ボーダーです。

 

冒頭から

Un 
Deux 
Trois 
CATS ! 

フランス語のカウントに合わせて、ダジャレ。猫がモチーフの曲とは言え、いきなり女性がパンツ脱いで局部にかわいい猫の顔が乗っているセンスもどうかしています。

 

性の倒錯なんかもう何にも怖くないぞ、という感じのインパクトのあるシーンが目白押しですが、ただし一か所、何をどう考えてもおかしいシーンがあります。ごつい髭の男性がタラバガニを持ってるシーンがあるんですが、一体なんでカニ?

Chrome_Legacy_Window_20141219_71956.jpg

カニ、それは冬の風物詩。カニが美味しい季節、カニを食べる機会にはこのビデオを思い出していただければと存じます。

わからなすぎるので、これはあくまで個人的な想像ですが、カニを高級食材としてありがたがる日本でカニはある種の記号のようなものなので、フェティッシュにフェティッシュを無理やり重ねてみたんじゃないかなと思っています。

 

本当に一体こんなコンテンツ作って誰が得するんだよ、と思いますが、本国フランスでも一部の熱狂的なファン層を除き、超マイナー。日本に紹介しても随分限られた人しか興味を持たないだろうな・・・、と思いきや、調べてみると、2013年に来日して既にライヴまで行っています。一体どこにどんな需要があるのかと思いますが、ある種の(どんな種か知らないけど)志向・趣味を持った人たちのアンダーグラウンドなシーンというのが存在しているようです。

 

日本のカルチャーを日本以外のアーティストが独自のやり方で再構成して自分たちの表現に取り入れるようになったことは面白いですね。わけがわからない部分も、安全に笑えるレベルじゃないところが好感が持てます。逆に、そろそろネタ切れ気味になってきた日本のカワイイ文化の演出担当の方に参考に見てもらってもいいかもと思うくらいです。にゃん☆にゃん☆にゃん☆DE!らん!らん!らん!じゃねー♡