先日「ローマで見るDaft Punkみたいな何か」という記事で少し触れましたが、ローマでMaker Faire Romeというものづくり系のイヴェントに参加してきました(Daft Punkのコピーを観にではなく、取材です。)Make: Japan誌にレポートを書きました(リンク)が、そちらに掲載しきれなかったものもあって、音楽系の作品を何点かあったのでこちらで取り上げたいと思います。

 

昔から自作楽器とかリサイクル楽器とかはあったのですが、最近はネットで作り方が公開されたり(いわゆる”オープンソース”)、3DプリンターやArduinoを代表する自作のために比較的安価で入手しやすい共通の電子部品が普及したこともあり、ここ数年ぐっと入門のハードルが下がった感があります。変な例えですが、90年代後半に週末や空いた時間を使ってHTMLを組んで個人がHPを作り始めたあの時期と少し雰囲気が似ているように思えます。ちょっとやる気を出したら、ものすごいオリジナルなものとまではいかなくても何とかなる、そんな当時の雰囲気を個人的に思い出します。

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アルゼンチン出身の兄弟が作ったVin Box Guitarというワインの箱など廃材を利用して自作したギター&エフェクト。どうでもいいけど、メガネかけた奥の弟、Chromeoのボーカルに似てますな。

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ワインのコルクなどを利用して作ったカバーを外すと、中からArduino。ゴミから拾ってきたCDプレイヤーの部品と組み合わせてエフェクトにしたそうです。

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えらいのは、気さくでぶっきらぼうそうな南米人のお兄ちゃん(イタリアでエンジニアをしているそう)、案外細かくて全部の工程をきちんとマニュアル化してきちんと装丁までしてるんです。これを見たら、あまり普段工作をしない人もなんとか身の回りにある廃材を利用して何とかギターを作れそうです。ギターも高級なものでなければ手頃な値段でそこそこなクオリティのものを楽器屋で買った方が早いのでしょうが、やはり自分で作ることで楽器の構造や仕組みがどうなっているのかを知ることは、ミュージシャンとして大事だと思います。DJもギターは関係なさそうだけど、こういう楽器の基本を知っておくと、色々違ってくるんじゃないかなと思います。変な自作楽器を使いまくるDJセットをやれとか、そういう話じゃないけれど、イノベーティブになれるというか。

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ギターのブリッジの部分はフライ返し。ギターなんて楽器屋で買えるものだ、と書いてしまいましたが、経済が混乱を極め続けて久しいアルゼンチンや決して豊かとはいえない中南米の国々ではこういう楽器制作のノウハウの共有は本当に必要なものなのかもしれないですね。ちなみに最近3Dプリンティングで車も作ろうというプロジェクトもあるので、そのうちピアノとかもできるのかな(バイオリンは既にあり。)

 

 

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こういう面構え知ってるぞ、と思ったら、知り合いではないけれど、やはりカタルーニャからやってきた人たちでした。Navàsというバルセロナから車で1、2時間ぐらい北に行った小さな町でIntròniksという電子楽器を作っている2人組。クッキー缶にボタンを付けて、押して鳴らすだけの仕組だけれど、縦笛のように持って鳴らすのが少し面白かった。

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中にはArduinoが入っていて、USBでPCに繋がれてた。12音階のいわゆるドレミの音は出てなかったけど、適当に感覚だけで並べてやった感じの調音が妙によかったw

 

 

楽器として完成度の高いものでなくても、自分のアイデアで「こんな楽器はどうかな」と軽く作ってみせられることがとてもいい、と僕は思っています。行ったことないけれど、カタルーニャの山奥の村でのんびりと電子楽器作り、そういうコントラストがまた何だかいいなあ。