前回からの続き

 

バルセロナ郊外のクラブElrowに 少し遅れて到着すると、とっくに開場しているのに入口には人の列。セキュリティの人に、「チケット買って普通に入場するつもりけど、日本の音楽雑誌でライ ターしてるから責任者の人と話させてくれない?」とお願い。「オーケー、今回はチケット買ってもらうけれど、今日は取り次いでやるから」と言われ、言われ るがままにチケットを買い、人の波をセキュリティについてくぐり抜けていく。会場いっぱいの人。スペインなので、仕事中でもお構いなく、常連らしきお客た ちがごっついセキュリティに「Hola!」とまるで友達のように挨拶してキスして最近どうしてた~?と近況報告。というのを3・4回見てから(慣れて る)、VIPゾーンで紹介してもらったのは、派手すぎず地味すぎずごく普通のなりをした男の人。

 

バックステージのスタッフはこんなものだからなと思いつつ、挨拶すると「こんにちは。はじめまして。よろしくお願いします。私は父と叔父と一緒にこ のElrowといくつかのこの地域のクラブを経営しています。来ていただいてとてもうれしいです。」ととても品がよく慎ましい感じ(スペインではこの当た り前が奇跡)で挨拶される。じゃねー、といって去っていくセキュリティ。ちょ、ちょっと待て。責任者って言ったけど、PR責任者の意味で一番偉い人を呼べ とは言ってない・・・!オーナー一家の人か、お、重いなあ・・・、と思いながら、先日訪れた泡パーティーのL’atlantidaが30年ぐらいの歴史を 持っていたのを思い出し、「すみません、ご家族で経営されてるそうですが、何年ぐらい?されているんですか?」と慎重に質問すると、少しはにかんで「70 年やっています。英語で本も出ているんです。」とのお答え。70年て!耳を疑ったが、きちんと今70年て言ってた。間違えてない。そんなおうちの方を敵に 回したら、スペイン社会で生きていけなくなるわー、と心の中でギャー!と叫びながらも、平静を装っていました。「是非今度改めてうちに取材に来てくださ い。あ、飲み物はいかがですか。」ビールください、とご好意に甘えていただきつつ、大変なことになってしまったなと思いました。お、重くて日曜の雰囲気 吹っ飛んだ。

 

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会場では半野外で絵に書いたようなクラブ風景。DJはThe Martinez Brothers。日曜のお昼から、太陽もお酒もあってクラブを楽しめるなんて、結構幸せな感じ。仕事要素いれなきゃよかった。

 

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もう一つの会場は、屋根が外せるようになっているようで、天井から色んなものが降ってくる仕組み。楽しそうなものを落とすために待機中のスタッフのお兄さんたち。こういう仕事はちょっといいね。

 

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スプレー状の泡と浮き輪などが投下された。

 

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そこに竹馬に乗って仮装した集団が会場に乱入。

 

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動物とかテニスプレーヤーとか何がなんだかわからないまま圧倒されているうちに、猛烈な紙ふぶきが飛んでくる。カオスな状態を楽しく作り上げる方法をわかってらっしゃる。

 

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外は外でゴムボートに鳥が載せられて運ばれてる。

 

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I love Martinezと書かれたプラカード(段ボール)を掲げるトリ。DJブースではそのThe Martinez Brothersの間にSeth Troxlerが入り込んでる。今日はSeth単独のDJはなくて、The Martinez Brothersとのコラボレーション。3人でかわるがわるプレイ。

 

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後ろからプレイ中のSethに抱き付く、というか羽交い絞めにしてるThe Martinez Brothersの帽子の方。大人になのに小学五年生男子みたいな感じ。

 

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間近で見ても、胸の辺りも腹の辺りも緩やかなカーブを描いているSeth。後ろの人はSethのことがきっと大好きなんだと思います。ところで、DJは少しぽっちゃりしている方がいいDJであることが多い、という説もあるそうです(ソースは確かExile。)

 

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上の写真では関係ない人が写っちゃってますが、VIPで入った人はDJブースのすぐ後ろまで入ることができ、DJのすぐ横や真後ろで一緒に踊ったり できる仕組みになってました。一人のDJの時のように自分の世界を作るような感じではなかったのですが、3人交代で回してそれなりに盛り上がり、Seth も空いた時間はお客がお願いすると気軽にSelfieに付き合ってあげていました。VIPじゃなくても、最前列のお客さんとコミュニケーションを取ったり 楽しくやってました。

 

ここ数回スペインやポルトガルのフェスティバルはオーガナイズがひどい!!なんてよくない部分も書いていたりしましたが、ここはお客とスタッフと出 演者の垣根も高くなく、パーティーらしい良い意味でのバカ騒ぎもあり、フレンドリーでなおかつ運営もちゃんと機能していて、結構いいところだなと思いまし た。知らない人にはちょっとアクセスが大変なんで、観光で訪れる人にはハードル高いかもしれませんが、ほとんど聞こえてくるのはスペイン語やカタルーニャ 語でいい意味で地元感もあるし、市中心部の観光客が集まるクラブよりいいんじゃないかなと思いました。僕自身、市バスを降り損ねて少々困りましたが、土地 勘のない人はオフィシャルのバス(1ユーロ)かなければタクシーを使って行ってみてもいいでしょう(おそらく中心部から10数ユーロぐらい。)

 

さて、ところで、歴史70年の老舗クラブオーナーはどう取材したらよろしいでしょうかね・・・。謙虚でいい人たちそうですが。