スペイン、あるいは南ヨーロッパのお祭りはとにかく”集まる”ということが重要視されます。よく知った仲間同士で大した話もしていないのですが、集まってともに時間を過ごすことが彼らのミッション。

 

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バルセロナでもよく見ますが、バスクの内陸の町Vitoriaでもよく路上座り飲みしている人たちを見ます(もちろんバーで普通に飲んでる人もたくさんいますが。)子供が生まれたりするような歳になっても、座り飲み。特にお祭りの時はかなり遅くまで共に時間を過ごします。地元の友達の繋がりはずっと続くようです。

 

広場でのダンス。

 

これは伝統的なコーラス。冒頭ヨーデルのような高い声を出していますが、元々は山岳地帯で遠くにいる仲間とコミュニケーションを取るためにこのような発声が使われたのだそうです。

 

そしてこんな感じでガッツリ踊りながら朝まで。ディスコ、泡パーティー、ブレイクダンス、ブラスバンド、サンバパーカッション、地元のバンドのコンサート、出せるものを出し切る感じ。1週間に渡って、これだけ毎日色々あると飽きません。バスク地方といえばスペインからの独立運動も盛んで、民族主義の傾向も未だ強い土地柄ですが、伝統をかっこよいものにし過ぎて若い人に敬遠されないためにはこれが一つの回答なんだと思いました。

 

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そんな雰囲気の中、料理コンテストが開催されていました。バスクと言えば、美食の地域としても有名。

 

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生ハムでホームランかっ飛ばそうとしてるシェフ。コンテストには参加しないで、彼はじゃがいもとチョリソー(ソーセージ)の煮込みを一般客に振る舞ってました。この生ハムの足の骨で煮込みをかき回してた。

 

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見るからに美味しそう。!試食できるのは審査員だけなので実際食べることはできなかったのですが、案の定このグループは一等賞を取ってました。

 

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真剣そうだけど、もみあげ長い。プロアマ入り混じったレベルの高そうなコンテストではありましたが、こういう参加者も。

 

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手とり足とり指導中。「ほら、ここは肩の力を抜いてゆっくりと・・・」そして二人の間にはいつしか愛が・・・なんて、妄想してしまう。

 

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そして、会場のDJもコックさん。料理もできるDJなのか、料理人がDJもしていたのかはわかりませんが、機材も一般向けに使いやすくなっているし、DJも身近なものになりました。

 

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料理コンテストはもちろんバスク地方の料理をベースにして競っているのですが、料理している最中や審査の合間に会場に流れているのは、ダンスミュージック。料理人たちもビートに乗って思いきり踊りながら調理。伝統的なお祭りで地域の料理コンテストだからといって、全部伝統で通すのではなく、無理せず今の時代の音楽で楽しもうとしてるところがいいと思うんですよね。

 

こんな感じでうるさいことを言わず、多少無理のある折衷も押し通して地域のお祭りを全体で盛り上げようとしている点は見習うべきものがあるのではないでしょうか。日本にも、その地域ごとに代表的な伝統芸能やお祭りがあって若い人も多かれ少なかれ参加しているとは思いますが、そこだけ切り離して守られている感があると思うんです。全国のDJやダンサー、そしてクラブ関係者の皆さん、隙あらば活動の場を地域のお祭りなどにもどんどん広げていってくださいね。例えば「低音がうるさい」とかそんな苦情が来てもめげずに、ロックでもクラブミュージックでもヒップホップでも料理でもどんどんそこに混ざっていったら、地域の活性化に一役買えると思います。

 

200人ぐらいで路上を走り抜け、歌いながら練り歩くこれも伝統なのだとか。この後、ある有名な銀行の店舗の壁をみんなでバンバン叩いてて、その様子がまるで暴動みたいで半端なく・・・多少恐怖を感じました。これは、多分ここでしかできないな。