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ROUND ROBIN

Report

RED BULL MUSIC FESTIVAL ROUND ROBIN 一発本番即興演奏

  • 2017.11.15(WED)@shibuya duo MUSIC EXCHANGE
  • Text : Akihiro AoyamaPhoto : So Hasegawa / Red Bull Content Pool, Suguru Saito, Yasuharu Sasaki / Red Bull Content Pool

  • 2017.12.4

  • 9/10
  • 2/1 追加
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  • 2/1 追加

日本が世界に誇る名うてのミュージシャンがジャンル・世代を超えて集った、一夜限りの即興セッション

1115日(水)にshibuya duo MUSIC EXCHANGEを舞台として行われたのは、〈ROUND ROBIN 一発本番即興演奏〉。このイベントは、2013年以来、世界各地で過去数回にわたり開催されており、ニューヨークやデトロイト、モントリオールで多くの名うてミュージシャンが豪華な共演を果たしてきた。

 

ROUND ROBIN

 

今回の東京では、現在の日本を代表する音楽家がシーンの垣根を越えて集結。演奏のルールはこうだ。「まずひとりのミュージシャンがステージに上がって5分間の演奏をしたあと、異なるバックグラウンドを持つ別のミュージシャンが続けてステージに上がり、2人で即興演奏を5分行う。そして最初のミュージシャンが去ると同時にまた別のミュージシャンがステージに上がり、ステージ上に残っていたアーティストと新しい即興演奏を生み出していく。」

 

つまり、5分ごとに2人の演奏者が即興でセッションを行い、それを数珠繋がりに続けていくというわけだ。開演近くまで、出演者も演奏順やそれぞれの使用する楽器を知らされなかったという、正真正銘の即興演奏である。

 

ROUND ROBIN

 

最初にステージに現れたのは、アシッドフォークシンガーソングライターのSHOKO。ギターを叩いて出したノイズと歌声をループさせ音を重ね、あっという間にサイケデリックなムードを作り上げていく。

 

5分が過ぎると、次の出演者、有島コレスケが登場。彼がベースを弾き、アグレッシヴな重低音でビートを乗せると、2人の演奏は一気に加速。〈ROUND ROBINの本格的な幕開けだ。

 

ROUND ROBIN

 

続く演奏者は、小林うてな。彼女がスティールパンとキーボードの音を有島コレスケのベースに重ねると、アシッドなそれまでとは打って変わって、トロピカルでカラフルな世界観に染まっていく。そのムードは次のstarRo登場でさらに加速し、エレクトロニックかつフューチャリスティックに会場を揺らしていた。

 

ROUND ROBIN

 

HOME GROWNのバンマスとして活躍するベーシスト、TANCOstarRoの共演では、TANCOのグルーヴィなベース・プレイに呼応して、ビートがうねるような横ノリに変化。同じベースでも、パンキッシュな有島コレスケとグルーヴィなTANCOというプレイスタイルの違いが面白い。

 

ROUND ROBIN

 

次にステージに登場したのは、トロンボーン奏者の高橋保行。ただ吹くだけでなく、トロンボーンを通してスキャットのような声を響かせたり、マウスピースを外して吹き口を叩いたりと、型にはまらない自由なパフォーマンスを繰り広げた。

プロデューサー、ソロ・アーティストとして幅広く活躍する富田ラボは、今回ギターを演奏。その次に登場したWONKのキーボーディスト、江﨑文武とのコラボでは、ジャズとロックがごった煮になったようなインプロヴィゼーションが展開された。続いての波多野敦子との共演は、ヴァイオリンとピアノ/キーボードという組み合わせでアンビエントなムードへと変わっていった。

 

 

次の出演者、ASA-CHANGは今回の出演者の中でもトップクラスのユニークな演奏を披露。パーカッションと、スロットのようなサンプリングマシーンを使用して、流行りの歌や耳覚えのある声のサンプルを取り混ぜていく。

 

 

続く灰野敬二が自作の巨大タンバリンのような楽器を両手で打ち鳴らし、ステージ前方を激しく動き回りながら登場すると、オーディエンスからこの日一番の歓声が上がる。最後にASA-CHANGがサンプリングマシーンから鳴らしたDaft Punk“Get Lucky”と灰野敬二のミスマッチな組み合わせは、間違いなく今回のハイライトだった。

 

 

蓮沼執太がステージに登場し、モジュラーシンセを弾き始めると、灰野はマイクに向かって国家を朗々と歌い上げる。そんな、全く先の読めないスリリングな展開こそ〈ROUND ROBINの真骨頂だろう。次の菊地成孔は、若い世代の蓮沼執太を挑発するようにピアノを連弾。共演者の本気を誘い出すような菊地成孔のプレイは、大竹重寿のドラムとの共演でも攻撃的な姿勢を崩さず、ピアノとサックスを用いて刺激的なパフォーマンスを見せた。

 

 

菊地成孔に敬意の握手を交わされ、ステージでウッドベースを弾き始めたのは、日本を代表するジャズ・プレイヤーの鈴木勲だ。大竹重寿のドラムと共鳴して、凄まじい手つきでベースを弾く御大の鬼気迫るプレイに、会場中の熱気が高まっていく。

 

 

最後の登壇者となったスガダイローは、ピアノで鈴木勲と共演。流麗さと大胆さを両立させたフレーズで魅せた後、鈴木勲がステージを降りると、一人になったスガダイローのプレイは一気にエクストリームに。グリッサンドを繰り返して地響きのような音を鳴らし、最後にはピアノの中にある弦を直で弾くというトリッキーな奏法を見せて〈ROUND ROBINの最後を締め括った。

 

この日にしか見られない2人の共演が時に互いを高め、時に衝突してスリリングな音楽を奏でた夜。即興だからこそ忘れがたい瞬間が数えきれないほど生まれる。そんな音楽の自由さと、混ざり合うことで生まれる多様性が存分に感じられた。

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