Pioneer DJ x COTODAMA「rekordbox lyric」first showing at 渋谷音楽祭2018
- 渋谷ハチ公前特設ブース
Text : Hiromi MatsubaraPhoto : Kazuki Mita / and more
2018.10.29
DJを視覚でも愉しむ
10月20日と21日の2日間に渡り、渋谷の街の各所で様々なジャンルで趣向を凝らした音楽イべントが行われた『渋谷音楽祭2018 – SHIBUYA MUSIC SCRAMBLE 2018–』。期間中、渋谷の定番スポット“渋谷ハチ公前”ないし“東急百貨店前”には、SONYの体感型ステージ「Interactive CUBE(インタラクティヴキューブ)」が現れ、Pioneer DJ株式会社のDJ向け楽曲管理アプリケーション「rekordbox™」と株式会社COTODAMAの「Lyric Sync Technology」の共同開発で誕生した、歌詞をヴィジュアライズする新機能「rekordbox lyric」が日本初お披露目された。
『音楽 x テック ライブステージ』と題して行われた本イベントでは、DJが透過スクリーンが正面に設置された箱状のステージ「Interactive CUBE」の中に入り、rekordbox lyricを用いて“ヴォーカルの入っている楽曲のみ(歌詞のある楽曲)”をプレイする、“ストーリーテリングDJ”という新たなスタイルのDJを披露。
中に入るアーティスト/DJ/ダンサーなどの音楽パフォーマンスと前後面に映し出される映像やライティングを一体化させることに優れたInteractive CUBEの正面スクリーンには、DJがプレイしている楽曲の歌詞が文字とイメージヴィジュアルと共に浮かび上がり、“音=聴覚”だけでなく、“文字やグラフィック=視覚”でもDJプレイを体感できる、これまで以上に観衆の五感を刺激する、新たな音楽表現の夜明けを垣間見た2日間となった。
『音楽 x テック ライブステージ』は、「クリエイティヴ×テクノロジーで、どんな未来を創れるのか?」という問いに挑む渋谷未来デザイン・渋谷区観光協会が主催する“創造実験ラボ”「#SCRAMBLE(#スクランブル)」と、その挑戦に参画しているSONY株式会社によって開催された。また、クリエイター集団SIXのコンテンツ制作のもと、テクノロジーを用いて演出や振付などを行うクリエイティヴカンパニー「m plus plus」も参加。連日オープニングに映像と光を用いたダンスパフォーマンスを披露し、渋谷ハチ公前に偶然居合わせた人々の注目を集めた。
1日目のDJ、トップバッターには、今や従来のインターネットレーベルの枠組みを超えて国内外から注目を集める新世代のトラックメーカー集団のTREKKIE TRAXは、ヒップホップユニットTENG GANG STARRと本イベントの進行も務めていたグライムMCのONJUICYと共に登場。TREKKIE TRAXクルーのMasayoshi Iimoriがトラック提供をしたTENG GANG STARRの“Dodemoii”や、Maru & ONJUICYの“That’s My S**t”をプレイし、トラックと本人のヴォーカルとスクリーンに表示される歌詞との、正に三位一体のオーヴァーラップは、rekordbox lyricを用いたLyric DJとInteractive CUBEステージのストロングポイントを活かした魅せるパフォーマンスとなった。
続く、ジャンル不問のプレイスタイルで人気を集めるTJOは、渋谷ハチ公前に集まる誰もが知っているであろうJ-POPの名曲を中心にプレイしながら、途中にrekordbox lyricの機能紹介を挟み、そしてDaBookはヒップホップやR&Bをより多く織り交ぜたセットで「rekordbox lyric」の解析対応の幅広さを見せ、それぞれが見事なデモンストレーションと思えるプレイを披露した。この日は生憎の雨模様だったがInteractive CUBEステージの前を通る人の多くは、大音量で流れるJ-POPの名曲に合わせてスクリーンに歌詞が映し出される催しに注目せざるを得ないという様子だった。
さらにこの日、イベントの最後には米津玄師の新曲“Flamingo”のMVがスクランブル交差点の大型ヴィジョンでサプライズ公開され、渋谷ハチ公前、東急百貨店前のみでなく、スクランブル交差点を待つ人をも音楽の魅力に引き込んでいった。
快晴で、大勢のギャラリーが「Interactive CUBE」の前に集まった2日目は、2016年に『ULTRA JAPAN』に最年少出演し、翌年には『ULTRA EUROPE』にも出演したDJ moeと、2017年に『Red Bull 3Style Japan』チャンピオンに輝き、2018年にはポーランドで開催された世界大会で決勝戦まで勝ち進んだDJ RINAが立て続けに登場。ワールドワイドに活躍する2人とあって、邦・洋のヒップホップ、R&B、ポップスが縦横無尽にプレイされ、スクリーンには様々な言語の歌詞とカラフルなヴィジュアルが映し出された。COTODAMA社がrekordbox lyricに提供している「Lyric Sync Technology」の奥深さを体感すると共に、音楽に寄り添う言葉たちで紡がれる世界観に多くの人が虜になっていた。
ラストに登場したtofubeatsは、短時間のパフォーマンスながら、最新アルバムの表題曲“RUN”や、誰もが反応してしまう一度は耳にしたことのある“水星”、“朝が来るまで終わる事のないダンスを”、“LONELY NIGHTS”、“ふめつのこころ”などなど……自身の楽曲を中心に展開するショーケースさながらのプレイを披露した。tofubeatsの登場でたまたま付近を通りがかった人も足を止め、Interactive CUBEステージの前にはさらに大きな人集りが生まれた。スクリーンに現れては消える歌詞に合わせて口ずさむ人もいれば、スクリーンのヴィジュアル越しのtofubeatsのプレイに夢中で視線を送り続ける人もおり、rekordbox lyricを用いたDJプレイがショーケースとしての完成度を高める一方で、アーティストからの音楽と歌詞を通じた問い掛けもよりストレートになり、アーティストとオーディエンスの距離感をさらに密接にする可能性を感じることができた。
Information:
2018年11月2日(金)~11月4日(日)の3日間に渡り、渋谷キャスト/SHIBUYA CAST スペース・ガーデン(東京都渋谷区渋谷1-23-21)とソニースクエア渋谷プロジェクト(渋谷MODI 1F)及び渋谷MODI 1F店頭プラザ(東京都渋谷区神南1-21-3)にて、遊び心あふれる仕掛けでSONYの最新テクノロジーや研究開発段階のプロジェクトを体感できる実験的な展示を集めた「WOW Studio」をSCRAMBLE実行委員会とともに開催される。
2018年3月にアメリカ・テキサス州オースティンで開催された『SXSW』にて披露した「WOW Studio」は、4日間で累計1万5000人が来場し、大きな反響を呼んだ。今回渋谷で開催する「WOW Studio」では、『SXSW』で披露した一部展示に加え、渋谷の街やクリエイターと共創し「渋谷の近未来」が体感できる新たな展示を複数披露される。
渋谷キャストの会場では、『渋谷音楽祭2018 – SHIBUYA MUSIC SCRAMBLE 2018–』で渋谷ハチ公前に登場したInteractive CUBEが、「Co-creation Performance Stage(コクリエーションパフォーマンスステージ)」として登場。映し出される映像や音、光などを組み合わせることで、様々な表現ができるInteractive CUBEの中にDJが入り、「ストーリーテリングDJ」をテーマに、Pioneer DJとCOTODAMAの共同開発で誕生した歌詞をヴィジュアライズする新機能「rekordbox lyric」を用いてパフォーマンス。コンテンツは、クリエイター集団SIXと共創して実現している。さらに、クリエイティブカンパニーの「m plus plus」による光るダンスパフォーマンスも実施され、音楽とテクノロジーをかけ合わせたライブステージで、未来のエンタテインメントの形を提案する。
さらに、未来のグラフィティアートが体験できる「Doodle Pen(ドゥードゥルペン)」や、現実世界の音と仮想世界の音が混ざり合った新感覚の音のAR体験が楽しめる「迷子のおばけたち – Sound AR with Xperia Ear Duo(サウンドエーアール ウィズ エクスペリア イヤー デュオ)-」、未来のゲームセンターをイメージした新感覚のエアーホッケー「A(i)R Hockey(エーアール エアーホッケー)」といった複数の展示が用意される。
【WOW Studio at 渋谷キャストでの展示】
Dates:
2018年11月2日(金)13:30~20:00
2018年11月3日(土)11:00~20:00
2018年11月4日(日)11:00~19:00
Line up:
[Co-creation Performance Stage 出演DJ]
– 11月3日(土)-
DJ和
Celly
ami (SALON)
– 11月4日(日)-
DJ HASEBE
DJ DYE (THA BLUE HERB)
鎮座DOPENESS
– 11月4日(日)-
tomad (Maltine Records)
D-YAMA
fazerock