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CLASH FINAL

Report

CLASH FINAL

  • 2015.4.6

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

CLASH”という言葉は、クラブミュージックファンにとって特別な合言葉になった。2004年から10年間、この合言葉の下にはたくさんの人が集い、たくさんの思い出が生まれてきた。“クラッシュ”と耳にしただけで、いつかのあの時にageHaのフロアで感じていた4つ打ちが身体の中で再び甦る感覚すらあるかもしれない……。2014年12月20日、記念すべき100回目の開催を迎えると同時にピリオドを打つこととなったパーティー『CLASH』が、約10年の歳月をかけて築き上げたのは、ageHaの看板パーティーとしての人気や実績を超えた、“スペシャリティ”なのではないだろうか。みなさんは『CLASH』にどんな思い出があるだろうか? 身体の中で再び沸き上がってくるくるのは誰のテクノだろうか?

 

 

オールナイトのイベントに行けるようになってまだ1年経っていない僕にとっては、この『CLASH FINAL』が、残念ながら最初で最後の『CLASH』となった。前日に行ったイベントで、テンポ早めのジューク/フットワークを浴び過ぎたせいもあったかもしれないが、SEKITOVAのプレイが終盤に差し掛かったぐらいにageHaに到着してから、Ken Ishii、Andy、SUGIURUMNと会場内を回った限り、どのエリアに行ってもテクノがかかっていて、心身ともにゆったりと低音に浸ることができて本当に居心地がよかった。加えて、おそらく日中はあまり接点のないと思われるぐらい雰囲気の異なる幅広い年齢層の人たちが(お相撲さんがいるのを初めて見て衝撃的だった)、談笑をしたり、乾杯をしたり、フロアで一様に盛り上がっている、といった景色は多くの人が『CLASH』に信頼を寄せている証拠のように映った。初めて行った僕が「これが『CLASH』独特の雰囲気」と言うのは全くおかしいとは思うが、直感的に、「『CLASH』だから」というようなヴェニューに足を運ぶ要因になり得る、このパーティーでしか見ることのできない景色と、感じることのできない雰囲気だと思った。しかし、やはり『CLASH FINAL』に集まった多くの人は、Jeff MillsとDerrick Mayのデトロイト・テクノ2大巨頭が目当てだったようで、Jeff Millsがプレイをし始めて30分が過ぎたぐらいには、メインフロアの「ARENA」は、わずかなスペースを探して動くのもやっとというぐらいパンパンになっていた。

 

Jeff Millsのプレイ中にフロアにいた人たちは、ステージへと向ける視線に関しても、低音の感じ方に関しても、集中力が素晴らしかった。Jeff Millsのプレイは、確実にパーティーのムードがピークにやってきている感覚にさせるもので、2時間半、身体に響くミニマルなテクノをかけ続け、上がり切るのか切らないのかという瀬戸際感を長い時間に渡って演出し、オーディエンスを釘付けにし続けた。VJも、線/図形を用いたオプティカルなものから、少し生々しさのある示唆的なものまで、単体で観ても面白いと思えるヴィデオが多く、個人的にはそちらにも釘付けになっていた。そして、最後に登場したDerrick MayのDJは基本的にテンションが高かった。Jeff Millsからの、オーディエンスの熱気を持続させるように序盤からノリの良いトラックをフロアに投下した。DJが変わってから間も無くはフロアの人が出入りしたが、Jeff Millsよりはバウンスできる低音のテクノ、時折ハウスという感じが、また違う角度からオーディエンスをロックしていた。

 

そんな素晴らしいシーンを目の当たりにしている内に、“ファイナル”からやってくる寂しさはいつのまにか和らぎ、100回の節目に素晴らしい雰囲気と共に終わりへ近づいていることに清々しさを感じ、気持ちは爽やかになっていた。そう感じていたのはどうやら僕だけではなかったようで、Derrick Mayのプレイが終わった時にフロアに残っていた人の中に寂しげな表情の人はあまりおらず、むしろ満面の笑顔で爽やかに「ありがとう!」と、Derrick Mayと、最後に登場した主宰の荒木康弘氏と、『CLASH』に別れを告げる人がほとんどだった。 僕にとって唯一の『CLASH』の思い出は最高のものになった。Jeff Millsのジリジリとしたプレイは忘れないだろう。最後の荒木さんのご挨拶によれば、また新しいプロジェクトが始動するらしい。次は同世代の人たちとたくさん遊びに行こう。

araki

 

『CLASH』を10年に渡って100回開催してきた歴史を振り返って

 

この10年と少しの時間でageHaで100回もCLASHが出来たことは本当にラッキーだったと思います。 来てくれたお客さんをはじめ多くの人達に支えられてこそ成し得たことだと思いますが、僕なりにそれに少しでも応えられるようにとパーティーを作ってきたつもりです。 もちろん良い時期もあれば苦しい時期もありましたが、今『CLASH』を振り返ったとき思うことは、「いやー『CLASH』ってやっぱり良いパーティーだったなー」って自分でやってきたことながら改めてそんなことを思ったりもします。 そんな『CLASH』を終えるというのはとても大きな決断でした。 中々理由について細かく皆さんにご理解いただけるように説明するのは難しいのですが、あくまでも前向きなモチベーションを持ってファイナルを迎える決断をしたということはお伝えしておきたく思います。 『CLASH』というパーティーを作ってこれたことは自分にとっても大きな自信です。だからこそこれから先にCLASHよりももっと素晴らしいパーティーを作っていく事。それが今後の自分の使命だとも思っています。

 

4月28日に開催される2年目の『WIRED CLASH』、そして『CLASH』に代わって今後新たにスタートするイベントについて

 

『CLASH』に代わって新しく何をするのか? 色んな人からよく質問されました。 もちろん『CLASH』を終える前から色々と考えてたことはあるのですが、まだ正直なところ特にageHaでの企画に関しては、『CLASH』のようなレギュラーパーティーを作るまでのモチベーションやアイデア、色々なことが自分的に熟していないこともあり、まだまだ準備段階としか言えないような状況です。 今むしろひしひしと感じることは『CLASH』で築きあげてきたものを失って、改めて『CLASH』の大きさに気付いたり、そこから新しく何かを始めることの難しさなんかを感じているのも事実です。 そんな中でも、昨年9月に開催された石野卓球オーガナイズの『WIRE』と『CLASH』のコラボパーティーとして生まれた『WIRED CLASH』を今度の4月28日(火・祝前日)に再びageHaで開催することが決まりました。 このパーティーは当初は一度限りの企画ものという要素が強いものでしたが、卓球さんや『WIRE』チームと共にパーティーを作り上げる中でお互い感じるものや育まれたものがあり、僕の方からもう一度『WIRED CLASH』をやることを相談してまた一緒にやっていただけることになりました。 またそれだけではなく、卓球さんとは新たにお互いがこれまでに培ってきたものを活かした大きなパーティーをやろうと現在それに向けて色々と準備を進めているところです。 これについては先日『WIRED CLASH』の開催発表に伴い行なわれたクラベリアのインタビューでも答えていますが、まだ具体的なところまで進んでいる段階ではないながらも、着々と僕らの中でイメージは膨らんできているところです。 後はそれがしかるべき時期にしかるべき場所が上手くハマってくるなど色々なことが整ってくると、いよいよ現実的に進められる時がやってくるだろうと思っています。 こんな現在の自分の状況について、曖昧なことしか中々答えられず申し訳ない感じですが、、、他にも常に面白いことを求めて色々とパーティーや様々な企画を仕掛けて行く予定です。 ぜひ皆さんこれからもお付き合い下さい。

Pioneer DJ

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