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Karl Hyde

INTERVIEW

Karl Hyde

  • Text & Interview : Yoshiharu Kobayashi

  • 2013.3.15

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

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言わずと知れたUnderworldのフロントマン、Karl Hydeが初のソロアルバム『Edgeland』をリリースする。Brian Eno主導のプロジェクト、Pure Sceniusを通して知り合ったLeo Abrahamsとの共同作業で生まれた本作は、いつものUnderworldとは打って変わって、アコースティック楽器の伴奏を主体としたメロディアスで心地良いヴォーカル曲集だ。その作品の内容については来日時にじっくりと話を訊くとして、今回はアルバムのアウトラインと、開催まで1ヶ月を切った『SonarSound Tokyo 2013』でのライヴ・パフォーマンスに絞って質問をぶつけてみた。これを読みながら、日本では4月10日に発売となる『Edgeland』と、『SonarSound Tokyo 2013』で世界初披露されるソロ名義でのライヴへの期待を高めておいてもらいたい。

 

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ーーまずは、このタイミングでソロアルバムを作ってみようと思った理由を教えてください。

 

Karl Hyde:理由はいくつかあったと思う。これまでは踏み切る自信も無かったし、Underworldの活動で常に忙しかったし。Rick (Smith)も僕も、全てをUnderworldに注いできたからね。でもこの2年間、劇場、映画、オリンピックといった他の分野にも活動の場を広げてきた。原宿でやった個展もそうだし、Brian Enoのプロジェクトに携わったのもそう。だから、2人の活動を続けながら、各自が別のプロジェクトに取り組む可能性を少しずつ広げていった結果だと思う。正直、長い間考えていたことではあったんだ。バンド内で全てを完結させるというのは長期的な関係を考えると健全じゃないとずっと思っていたしね。相手に対する不満も募るだろうし、身動きが取れず、その関係性に対して嫌な感情を抱いてしまうことになってしまうって。バンドの外での活動、他の人との交流や違うことへの興味があってこそ、その長期的関係の新鮮さを保ち、有り難みもわかり、新しい経験から学び得たものを持ち替えることもできるんだと思う。

 

 

ーーこの作品は、Brian Eno主導の即興ライヴプロジェクト、Pure Sceniusで知り合ったLeo Abrahamsとの共同プロデュースとのことですが、彼のどのような点を評価して一緒にアルバムを作ることになったのでしょうか?

 

Karl Hyde:彼がギタリストだったということ(笑)。僕は7歳の時からギターを弾いているけど、この20年間というのはDJやプロデューサーの人としか接する機会がなかったんだ。だから自分以外のギタリストと出会えたことが嬉しくてしょうがなかった。最初に彼に惹かれた理由はそれ。もちろん彼の人間性にも惹かれたよ。才能溢れる本当に素晴らしいミュージシャンであると同時に、ひとりの人間としても本当に素晴らしい人なんだ。それで、彼と共作したらどんなものができるだろうと試してみたいと思うようになったんだよね。

 

 

ーー具体的に、曲作りやレコーディングはどのような形で進めていったのですか?

 

Karl Hyde:Brianとのプロジェクトの哲学をそのまま持ち込んだよ。彼のスタジオはイースト・ロンドンにあって、僕のエセックスの自宅にもスタジオがある。そのどちらかのス タジオに2人で入って、彼がまず何かを弾き、僕はそれを聞いて思い浮かぶままに歌った。自分達が納得するまで始めから全部録音したんだ。そうやって最終的 に8日間のセッションで70から80曲くらいが生まれてね。そこから即興で録ったまま使えるものという基準で、アルバムに相応しいと思った曲を選んだんだ。面白いことに、やっていくうちに役割分担もどんどん曖昧になっていった。っていうのも、2人ともプロデューサーであり、2人ともソングライターでもあるからね。最初は彼が音楽を奏でて、僕がそれに歌で呼応するという形で始めたんだけど、アルバムに入れる曲が見えたところからは2人でオーヴァーダブのパートを作っていったよ。僕もギターやピアノを弾いているし、彼にも歌って貰ったりしたんだ。

 

 

 

ーーでは、Underworldの作業とはだいぶ違った感じだったのでしょうか?

 

Karl Hyde:昔のUnderworldは今よりもスタジオでの即興が多かったんだよ。『Dubnobasswithmyheadman』を作った時は、Rickが色んなトラックを作ってきて、僕がそこに言葉や楽器のパートのアイディアを提供し、2人で音楽を探求する旅に出たんだ。僕はそれが本当に好きだった。 曲作りという部分で特別なことをやっていると思っていたからね。だから今回それをまたやりたいと思ったんだ。

 

 

ーーアルバムからの先行配信曲“The Boy With The Jigsaw Puzzle”のアイディアについて教えてください。

 

Karl Hyde:歌詞の内容としては、ひとつの旅の様子を綴っている。イギリスの西海岸からイギリスを抜けて、どういうわけだかアムステルダムの夜の街に辿り着く、という。 同じ物語に属していると思われるいくつかの違う歌詞の断片を切り貼りしてみたんだ。バラバラの時期に書いたものを引っ張ってきてね。Leoが奏でてくれる音楽を聴きながら、自分が書き溜めた歌詞を色々読み返してみたら、違う状況を綴ったこれらの歌詞をつなぎ合わせることでひとつの物語になることに気付いたんだ。そこからはただただ思いつくままに2人で音楽の旅に出たわけで、自分の口からどんな言葉が出てくるのか、どんなメロディーが出てく るのか、自分でもわからなかった。まさに『Dubnobasswithmyheadman』を作った時の感覚を思い出した瞬間だったよ。

 

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ーーこのシングルで、KasketとMatthew Herbertをリミキサーに起用した理由は?

 

Karl Hyde:Matthew Herbertはもうずっと尊敬してきた人なんだ。彼は今、BBCレディオフォニック・ワークショップ(BBC Radiophonic Workshop)にも関わっているんだけど、BBCレディオフォニック・ワークショップこそ僕の音楽体験の原点と言える。テレビで彼らが紹介する実験的な音楽に魅了されてきたからね。他のリミキサーに関しては、ダンスミュージックに精通している周りのスタッフから常に新しい面白いものを教えてもらっているのも大きい。僕ひとりでは全ての音楽を見つけ出すの は無理だからね。周りの人たちの協力も重要なんだ。

 

 

ーー先日、“Rez”の発売20周年を記念したリミックスがリリースされましたが、それに対する感想を教えてもらえますか?

 

Karl Hyde:最高のリミックスだと思うよ。あの曲が大晦日にかかってみんなが凄く盛り上がっている映像を見たんだ。もう最高だったよ。ああいうふうにみんなが音楽を再発見するのは素晴らしいと思う。僕もそうやって前の時代の音楽について知ったからね。誰かのカヴァーバージョンを聴いて、それがオリジナルじゃないとわかって、本家を探して聴いてみる、という風にね。今のEDMで盛り上がっているシーンも凄く面白いと思うし。

 

 

 

ーー『Edgeland』は都市と田舎が交錯する場所とのことですが、そのコンセプトについてもう少し詳しく教えてください。

 

Karl Hyde:もともとニュースに取り上げられることのない名も無き人たちが生み出す街の中の日常に愛着を感じ、Underworldでもずっと歌詞を書く上で大きなモチーフのひとつだったんだ。特に都会が薄れていって田舎が始まる、ちょうどその境界線に位置する辺り。そこに住みたいと思う人はあまりいないよね。刺激に満ちた華やかな都会でもなければ、美しい緑に囲まれた長閑な田舎でもない。だから、そこには一癖ある人達がたくさん住んでいるんだ。独特な形で家を拡張していたり、裏通りに自己流で作った自営業の看板があったり、パブも変わった色にペンキが塗られていたりする。世間から忘れ去られた場所なんだけど、地元色がやたらと濃いっていう。都会の端ならではの味があるんだよ。みんな都会暮らしに憧れているわけでもないし、田舎暮らしが羨ましいわけでもない。自分達独自のアイデンティティへの意識が高い。そういう部分に強い共感を覚えるんだ。今住んでいるエセックス州もまさにそう。特にロンドンに接したエセックス南部は独特の活気に溢れていて、苦しい時でも前向きなエネルギーを感じる。僕はこの土地のそういう部分が好きでたまらない。それを讃えていきたいんだ。

 

 

ーー『SonarSound Tokyo 2013』での来日が迫ってきましたが、やはり私たちにとって印象深いのは、震災後の『SonarSound』に「Underworld DJs」として急遽来日してくれたことです。当時は来日をキャンセルするアーティストが続出する中で、あのように日本に来てくれた理由について、改めて教えてもら えますか?

 

Karl Hyde:行かないわけにはいかなかったんだ。考えるまでもなくね。自分の友人達が助けを必要としていたわけだから。『SonarSound Tokyo』を主催しているプロモーターには凄くお世話になってきたし、長年応援し続けてきてくれた日本のファンに大きな借りがあると強く感じている。長年僕達の作品やライヴのチケットにお金を払ってくれた日本のファンには、僕も家族も凄く感謝しているんだ。だから僕がお返しをする番だと思ったんだよ。

 

 

ーーあなたはこれまでにUnderworldとして色々なフェスに出ていると思いますが、『Sonar』にはどのような印象を抱いていますか?

 

Karl Hyde:好きなフェスだよ。バルセロナで開催される『Sonar』に何度か出たことがあって、凄く良いフェスだと思っていたから、日本でも開催されるようになって嬉しかった。比較的新しいフェスだから、今後どう発展していくのか楽しみだね。

 

 

――今回の『SonarSound Tokyo 2013』では新しいバンドでのライヴを世界初披露してくれるとのことですが、一体どのような編成でのライヴになるのでしょうか?

 

Karl Hyde:4ピースのバンドでツアーをする予定なんだ。メンバーはみんな素晴らしいミュージシャンばかりで、彼らがバンドに参加してくれて本当に嬉しいよ。僕の右腕的存在なのが、Peter Chilversというやつで、Brian Enoの右腕的存在でもある。彼は実はBrian EnoのiPadやiPhone用音楽アプリを彼と一緒に開発設計してる人でもあってね。とにかく才能に溢れた人さ。彼を僕に貸し出してくれてありがとう(笑)。彼は色んなキーボードを操って、曲のアレンジでも力を貸してくれているよ。もう1人、女性のキーボーディストがいて、Angie Pollockという、Peter Gabrielのバンドにもいた人なんだ。キーボードとバッキング・ヴォーカルを担当している。それからベーシストはGaz Williamsというやつで、とにかくエネルギッシュなんだ。なんと言ってもウェールズ人というだけで即採用だよ。で、あと僕がヴォーカルとギターを担当する。

 

 

ーーUnderworldの曲もやるとの情報が入ってきていますが、それは本当ですか?

 

Karl Hyde:本当だよ。僕自身が思い入れのあるUnderworldの曲を何曲かを、このバンドならではのアレンジで演奏する予定だ。新しいアレンジを加えることで、改めてUnderworldの曲がどれだけ好きかってことを痛感した。僕自身も凄く楽しみにしているよ。

 

 

ーーあなたの考える、今回のライヴの聴きどころ、見どころを挙げるとすると?

 

Karl Hyde:Underworldの派手なライヴに比べて、今回は極めてシンプルで削ぎ落したセットになるね。しかも僕はギターを弾きながら歌わなきゃいけないわけだから、これまでのようにステージ中を飛び回るわけにはいかない(笑)。今度のライヴは音楽的により優しい穏やかな旅になるよ。これまでとは違ったお祭りだ。内なる気持ちを称えるお祭りだね。それをみんなと分かち合いたいと思っている。2年前に出演した時から自分の中にある思いがあったんだ。あの日、あのステージに立った時、会場中が物凄い盛り上がりで、大音量で熱気に満ちあふれていた中、もっと違う形で伝えたい思いがあるのにそれができなかったって。その同じステージにこうして戻れるのは本当に嬉しいよ。あの晩、本当はみんなに伝えたかったのにできなかったことを、こうしてきちんと伝えるチャンスを与えてもらったんだからね。

 

 

ーーNicolas Jaar、Darkstar、Actress、Sherwood & Pinch、LFOなど今回の『SonarSound』も豪華なラインナップですが、個人的に観るのが楽しみなアーティストはいますか?

 

Karl Hyde:Nicolas Jaarは昔からファンなんだ。ラジオで彼のリミックスとかも聴いていて、どんなライヴをやるのか凄く興味がある。特に『Sonar』のようなフェスだと、名前を知っていて、良い評判もたくさん聞いている人達を実際自分の目で確かめることができるのが良いよね。フェスやツアーに出る時というのは、僕にとって面白い音楽との出会いの場でもあるんだ。前回Darren Priceと2人で『SonarSound Tokyo』に来た時だってそう。名前は聞いたことがあって、評判も聞いていた人たちのライヴをあそこで見て、今ではすっかりファンになった人がいるよ。

 

 

ーーFlying Lotus とか?

 

Karl Hyde:そうそう。彼は素晴らしいよね。

 

 

ーー最後に、来日を楽しみにしている日本のファンにメッセージをお願いします。

 

Karl Hyde:僕が今情熱を注ぎ興奮を覚える音楽を、今度日本でみんなと分かち合えるのを楽しみにしている。新しいバンドと共に探求しているサウンドをみんなも気に入ってくれることを祈っているし、その中にUnderworldを感じてくれれば嬉しいよ。

 

 

End of interview

 

 

 

 

Release information

 

karl hyde edgeland

Karl Hyde

『Edgeland』

Release Date : 2013/4/10 (Wed)

Label : Beat Records

Cat No.: BRC-336X(デラックス盤)、BRC-366(通常盤)

Price : ¥2800(デラックス盤)、¥2200(通常盤)

 

Tracklist

1. The Night Slips us Smiling Underneath it’s Dress

2. Your Perfume Was The Best Thing

3. Angel Café

4. Cut Clouds

5. The Boy with the Jigsaw Puzzle Fingers

6. Slummin’ It For The Weekend

7. Shoulda Been A Painter

8. Shadow Boy

9. Sleepless

10. Cascading Light *Japan only Bonus Track

11. Out of Darkness *Japan only Bonus Track

 

[デラックス盤のみ追加収録]

12. Dancing on the Graves of Le Corbusier’s Dreams (Bonus Track)

13. Final Ray of the Sun (Bonus Track)

14. Slummin’ It For The Weekend (Bonus Version Mixed by Brian Eno)

15. Cut Clouds (Figures remix) (Bonus Track)

 

+デラックス盤のみDVD付き
DVD: 約50分の映像作品 (日本語字幕付)

 

※SonarSound Tokyo 2013 の会場で先行販売!

 

 

Event information

 

Karl Hyde flyer

SonarSound Tokyo 2013

Date: 2013/4/6 (Sat) 21:00~ (Allnight Event), 2013/4/7 (Sun) 14:00~ (Day Event)

Venue : ageHa / Studio Coast

※6日(土)20歳未満入場不可。入場時にIDチェック有り。写真付き身分証を持参の事。

※7日(日)は年齢制限なし。バーカウンターでID提示してもらう場合があります。

 

Line up:

【4/6 (Sat)】

LFO

Sherwood & Pinch

Boys Noize DJ Set

Actress

John Talabot

Submerse

Sapphire Slows

and more

[Red Bull Music Academy presents SonarDôme]

Addison Groove

Cosmin TRG

xxxy

Kidsuke Akiko

Kiyama Hiroaki

OBA

 

【4/7 (Sun)】

Karl Hyde

Nicolas Jaar

Darkstar

Shiro Takatani:CHROMA

Toe

Green Butter

Tofubeats

and more

[Red Bull Music Academy presents SonarDôme]

Space Dimension Controller

ILLUM SPHERE

Nguzunguzu

OM Unit

sauce81

Yosi Horikawa

 

 

ADV Ticket:

1Day ¥7750

2Days ¥14500

※2Days チケットは、BEATINK オフィシャルショップとe+、チケットぴあのみでの販売。

 

Ticket outlets:

BEATINK On-line Shop “beatkart” (shop.beatink.com)

チケットぴあ(P:189-692)

ローソンチケット(L:74641)

e+ (eplus.jp)

 

Door: ¥8500 (1Day)

 

More info: https://twitter.com/sonarsoundtokyo

 

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