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Dusty Kid

INTERVIEW

Dusty Kid

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

ようこそ、美しく奇妙なサルディーニャへ

Dusty Kidのニューアルバム『Not So Green Fields』は、“The Wedding”(=サルディーニャの結婚式)というトラックから始まる。歓声と楽器にまみれた島文化的な独特のお祭り騒ぎによって創られる幸せなムードが、サンプリングからでもひしひしと伝わってくる。演奏されているのは地元の楽器なのだろうか。サルディーニャだからロケーションもきっと良いのだろうな。だんだんと景色が見えてきそうだ。もし、旅で訪れた見知らぬ島に着いた初日に地元の結婚式に出くわして参加することになったら、その後の旅はガイドブックに載っているようなベーシックな観光地よりも、より島の風土や民俗にフォーカスしながら巡る、少し特殊でディープな旅になっていくかもしれない。

 

そういった明確に「旅」と感じられるアルバムのストーリー構成、また視覚的な部分や想像力に訴えかける卓越したトラックメイクのセンスは、Dusty Kidがダンスミュージックという領域の中で、時折ポップミュージック的なメロディーとソングライティングにアプローチしてきたことによる賜物だと思える。ストリングスや管楽器、民族楽器のハーモニーの下からは、4/4ビートよりも先に地中海に浮かぶサルディーニャの暖かな気候と太陽の下の陽気なローカルの景色の方が浮かび上がってくるのだ。特に“Innu”や“Doa”のようなトラックは、それがテクノであるかハウスであるかのような無駄なことを考える意識を遠のかせ、サルディーニャの空気感がダンスミュージックと融け合っていく瞬間をただただ純粋に愉しませてくれる。

 

そして、Dusty Kidがそんな最新作を携えて再び日本に還ってくる。今回舞台となるのは、川崎CLUB CITTA’を拠点に、Stefano Noferini、Luigi Rocca、Mike Vale、2000 and One、石野卓球、DJ EMMA、DJ TASAKAといった錚々たる4/4マエストロたちを招聘してきた大型パーティー「CARAVAN」。Dusty Kidは約1年前にもこの「CARAVAN」登場し、オーディエンスを大いに沸かせている。鮮明に覚えている人も多いだろう。果たして『Not So Green Fields』から展開される最新のライヴセットは、どのように暖かく、美しく、奇妙なフィーリングを描き出すのだろうか。以下のインタヴューがその想像を膨らます手がかりになれば幸いだ。 

 

 Dusty Kid

 

 

――まず、近況について教えて下さい。

 

Dusty Kid:僕はちょうど夏の終わりを楽しみ終わったところで、まだこっちの天候は良い感じだから冬が来ることを憎んでるよ。でも残念だけどここ1ヶ月で冬が近づいてきてる感じだね。

 

 

――9月にリリースした最新作『Not So Green Fields』のアルバムカバーは淡い色で美しいですね。「始まりの時」というような印象を受けます。どこで撮った写真なんですか? 写っている人影はあなたですか?

 

Dusty Kid:これは2014年の9月に「Su Scannu Sessions」という企画で“Chentu Mizas”のアンプラグドセッションの映像を撮影していた時の夕方に撮った写真だね。当初は写真に4人写ってたんだけど、バックパックを持っている男性のみの写真に修正されたんだ。僕は彼がこのアルバムのストーリーの主役であることをよく表していると思うよ。そして、これは僕じゃなくて、現場に一緒にいた僕の友達なんだ。

 

 

 

 

――ちなみに『Beyond That Hill』と『III』のアルバムカバーが真っ黒だったのはなぜですか? また今回真っ黒のアルバムカバーでなくしたのはなぜですか?
 
Dusty Kid:へへへ(笑)。『Beyond That Hill』のアートワークが黒かったのは、その前の作品『A Raver’s Diary』よりもミニマルな作品にしたかったから。『III』のアルバムアートワークが真っ黒だったのは、僕のSoundCloudでフリーダウンロードでリリースした数ヶ月後に出たCDヴァージョンだけだよ。本当のアルバムアートワークはSoundCloudの方なんだ。だけどあまりにもベルグハインを参照したみたいなアートワークだったからCDヴァージョンでは使わないことにしたんだ。
 
 
――では、『Not So Green Fields』のコンセプトを訊かせてください。アルバムの制作を始める起点になったのは何ですか? 本作は歴史や文化を広く跨いでいくようなテーマの作品ですね。イタリア語がタイトルに使われているトラックもありますし、よりナチュラルで、あなたの地元のサルディーニャや地中海の雰囲気を簡単に想像することができました。
 
Dusty Kid:全ては2014年7月5日の朝、僕の2人の大親友の結婚式の間にスタートしたんだ。非常に長い間サルディーニャに捧げられるアルバムを作りたいと思い続けていたんだけど、まさかその大親友の結婚式の日が4作目の製作プランになるとは考えていなかったよ。だけど、その日起こった全てが非常に美しくて、マジカルだと感じてインスパイアされたし、製作ができると思った。結婚式は、メディオ・カンピダーノのサルダラとグスピニの間にあるエリア、南の島にあるカリアリ県の中央西部にある非常に美しい地域で行われて。その地域の、5月から11月まで広がる巨大な麦畑による完璧に美しい黄色い景観と、有名な島の青空が素晴らしくフィットするんだよ。
 
 
  
結婚式がずっと行われている間、僕はコンセプトをどのように構築するべきかの明確なアイディアを持ち始めていたんだ。寒い国からやってきた外国人旅行者が夏の間に島で2週間過ごすんだけど、島に到着する日がちょうど7月5日だったから彼はまず一番最初にたくさんのサルディーニャの人々が彼らの友人の結婚を祝うウェディングパーティーに参加する、というものだね。このように明らかに旅行的な海岸やビーチ、そして美しい田園地域の環境からは離れて、彼が島の住人たちに奇妙な第一印象を抱いて、いくつかの面白く、滑稽で、グロテスクなところから彼の旅が始まっていくんだ。僕はこのアイディアを発見してすぐに心を揺さぶられて、僅かなスケッチを止めて制作をスタートさせたよ。
 
 
――アルバムタイトルを『Not So Green Fields』としたのはなぜですか?
 
Dusty Kid:これは旅行者のこの島の色合いへの印象を参照しているんだよ。4月から11月まではほとんどの土地はとても黄色くて、そのほとんどがまさに不審火で焼けたようなんだ。その旅行者は寒い国から来ているから彼はとても緑の景色に慣れているんだよ。
 
 
 
 
――〈Kompakt〉のサイトにある『Not So Green Fields』のアルバム紹介のページの文章で「Journey(旅)」という言葉が頻繁に用いられていたのが気になりました。あなたはアルバムを作る時に「Journey」というものを意識しますか?
 
Dusty Kid:クラブミュージックはほとんどシングルとEPとして作られて、アルバムというフォーマットはロックやポップほどは確立されていないよね。だから僕にとってもアルバムを作ることはいつも「Journey」を意味しているよ。僕にとって適切なつながりのない10のトラックをまとめることは基本的に無意味なんだ。もしシングルを作りたい場合は簡単にシングルを作ってリリースすることができるんだけど、アルバムを作る時はリスナーから僕に付き合ってもらうための1時間をもらいたくて、その音楽の背景にあるコンセプトを説明するためにその時間を利用して、アルバムを通して異なる瞬間と異なるスタイルをで聴けるということをより楽しんでもらいたい。だからそれぞれのトラックが本で言うところ章であって、それぞれが旅のある感覚や瞬間を説明しているんだ。
 
 
――『Not So Green Fields』のトラックを作る際に重要視したことはなんですか?
 
Dusty Kid:僕はある限界を避けようとしたよ。基本的にクラブトラックがすることは人々を音楽で踊らせなければならないようにとても限られていて、アンビエント・トラックでは確かにダンスフロアを劇的に盛り上げることはできないし、グルーヴを必要とするし、ヘヴィーなバスドラムと他の細々としたものを一緒にまとめるとなるとたくさんの限界がのしかかってくるんだ。つまり、例えば僕が『III』を作った時は、テクノの範囲を旅する作品を意識していたんだよね。『Not So Green Fields』は、必ずしもテクノもハウスも鳴らしたくはなくて、僕はルールやそれらのジャンルに関する習慣に従わずに作ったんだ。僕は何とかそういう意識から無制限になりたかったんだけど、それでもダンスミュージックのヴァイブを維持し続けようとしたよ。
 
 
――『Not So Green Fields』の中で最も大切に思っているトラックはどれですか?
 
Dusty Kid:僕はアルバムのそれぞれのトラックが独自の重要な役割を持っていると思うけど、リリックを考慮すると、“Durke”はアルバムの背景にある完全なるコンセプトの、人間は全てを破壊することなく自らの記憶で私たちの生きている土地をマークしていがちだということを本当によく反映していると思うよ。これは僕の僅かな側面から旅行者に僕が指摘している主要な見解なんだ。
 
 
 
――民族楽器、管楽器、アコースティックギターなど様々な組み合わせのアンサンブルがアルバム中に多く折り込まれていますが、これらはどうやってレコーディングしたのですか?
 
Dusty Kid:全て僕のスタジオでレコーディングしたんだよ。レコーディングする楽器によって異なるマイクとプリアンプを使ったんだけど、実際、ラウネッダス(launeddas。サルディーニャの民族楽器。)やトランペットのような楽器は僕にとって全く初めての体験だったんだ。適切なサウンドを実現するためにしばらく時間を費やしたし、僕はまだ本当に良い音に達しているとは思わないけど、僕はこの経験を糧にうまくやっていけると思うし、レコーディングをより改善していくためにこういった楽器を使った製作をもっとしていく必要があるね。
 
――サルディーニャ、もしくはあなたの出身の県には特有の伝統的な民族音楽文化があるのですか?
 
Dusty Kid:あるよ。サルディーニャはかなり大きくて、島全体で100万人ほどいるけど、伝統的な音楽は地域から地域へと数多く異なっているんだ。アルバムのレコーディング中に島を探検する機会がたくあんあって、色々な影響があらゆる異なる街のサウンドをどのように変えていったのかという面白い発見をしたんだよ。
 
 
――今回はどれぐらいの割合でハードウェアとソフトウェアを使用したんですか?
 
Dusty Kid:半々だね。僕はハードウェアとヴィンテージ機材の愛好家だけど、ハードウェアとソフトウェアの区別を全くしていなくて、本当に必要によって違ってくるんだ。ソフトウェアは多くのことに関して本当に便利なんだけど、時々どうやってもハードウェアの鳴りを複製することができないんだよね。一方で、ハードウェアは非常に触覚的なアプローチを与えてくれて、これはシンセサイザーで仕事をしている時に時々非常に重要なんだ。だけど、特にヴィンテージの機材はコンスタントなメンテナンスが必要で、タイトなスケジュールの時にはこれがとてもイライラするんだよね。
 
 
――ライヴでは『Not So Green Fields』にあわせた新たな試みが行われるのでしょうか? 新しいライヴセットについて教えてください。
 
Dusty Kid:これは将来的な計画なんだけど、このプロジェクトに参加した全てのミュージシャンとシンガーとアルバムをパフォーマンスしたいんだ。僕はこれはリスナーに何が音楽の背景にあるのか適当な考えを与えることができる正しい方法であると思んだよね。だけど経済的にはこれはとてもハイコストだから、僕は興味のあるフェスティヴァルだけが大きなコストを持てる余裕があると思う。僕はいずれにしてもいつでもこういうパフォーマンスをする機会があることを本当に望みんでいるんだ!
 
 
――前作からあなたのレーベル〈Isolade〉からのリリースが続いていますね。いまのところはあなた自身の作品のみですが、今後、他のアーティストの作品をリリースしていく予定はありますか? 〈Isolade〉の今後の発展について教えてください。
 
Dusty Kid: 〈Isolade〉は僕の3rdアルバムをリリースをするために〈Kompakt〉の手助けとサポートによって設立されたレーベルで、将来的にも他の作品をリリースする予定は無かったんだけど、〈Isolade〉という呼び名はサルディーニャを参照しているし、サルディーニャに捧げる作品になっている『Not So Green Fields』はレーベルに完璧にフィットしていると思うんだよね。実際は将来的に計画していないし、僕の作品をリリースするために作られたレーベルだけど、いつまでも他のアーティストの作品がレーベルからリリースされないと断言することはできないよ!
 
 
――あなたはもう最初のリリースから約10年のキャリアです。同郷やイタリアの若手たちをサポートしようという考えはあったりしますか?
 
Dusty Kid:そうしたいし、僕はこのアルバムで、アンダーグラウンドやクラブシーンから上がってこない、彼らが慣れてしまっているものと比べて別の露出を与えるために、異なるミュージシャンたちを巻き込むためにベストを尽くしたよ。実際、アルバムの製作に参加したすべてのミュージシャンとアーティストはみんな厳密にサルディーニャの出身で、これは一番最初のアルバムのコンセプトに次いで欲しかった主要な面のひとつなんだ。
 
 
――あなたはこれまでにいくつものレーベルと関わってきたと思います。あなたが考える理想的なレーベルとはどういうものでしょうか?
 
Dusty Kid:流行りは問わず自らのリスクをおかしていくレーベルだね。僕はそういうレーベルは存在しないと思うけど、音楽産業はとてもタフだし、もしレーベルとして生き残りたいのであれば多くの選択肢はないと思うよ。
 
 
――CARAVANへの出演はこれで2回目ですね。意気込みを聞かせてください! また日本のオーディエンスにメッセージをお願いします。日本のオーディエンスについてはどう思いますか?
 
Dusty Kid:日本でプレイできることに僕はいつも感謝しているよ、日本の人は音楽にとても集中して、パーティーに夢中になってくれるから、僕は日本に行くのとみんなと夜を楽しむのが待ち遠しいよ。またCARAVANでプレイできることはとても誇りに思う。彼らはとてもナイスでプロフェッショナルだから、彼らにまた会えるのが楽しみだよ。
 
 
End of interview
 
 
〈リリース情報〉
 
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Dusty Kid
『Not So Green Fields』

Release date: 2015/9/4
Label: Isolade
Catalog No.: Isola 005 CD
Format: CD DIGISLEEVE and 2xLP
 
Track list:
1.The Wedding
2.We Are The Troglodytes
3.Innu
4.Fura Prana
5.Masua
6.Durke
7.The Arsonist
8.Doa
9.Gairo Vecchio 38°C
10.Arvéschida
11.Not So Green Fields
 
 
 
〈イベント情報〉
 
Caravan
CARAVAN PRESENTS NOT SO GREEN FIELD
Date: 2015/11/7 (Sat)
Open: 23:00
Venue: CLUB CITTA’ KAWASAKI
Door: 3500YEN
W/F: 3000YEN
ADV: 2500YEN
 
Line up:
[MAIN STAGE]
SPECIAL GUEST ACT:
Dusty Kid (Cagliari/ from Italy) -LIVE SET-
 
GUEST ACT:
Noaria (Harthouse/Synewave/Orbeatal/ from Paris)
OMB (FRAME Recordings)
DRUNKEN KONG (Tronic/!Organism/Loose records/Session Trax)
Resident ACT:
KOTTAN (CARAVAN)
RINN (Borderland / Superfuture / CARAVAN)
 
VJ: KRAK
LAZER: Yusuke Honda
 
[ATTIC FLOOR]
Taichi Kawahira (Brightness)
Reki (Elephant Ⅱ)
DISKOMAN (DIGITALBLOCK)
CHOKO (DIGITALBLOCK)
And more…
 
[VINYL FLOOR]
HEAD★HUNTERS (TSU→&TAKA)
Katsu (CARAVAN/Impact music)
UUUKi (haus./kaputt)
Keitaro Iguchi# (galacsick)
And more…
 
LIGHTING: Shima
SOUND SYSTEM: Microwave Soundsystem
 
Ticket Info:
チケットぴあ (Pコード: 277-822)
http://t.pia.jp/
ローソンチケット (Lコード: 75384)
http://l-tike.com/
e+ イープラス
http://eplus.jp/
 
Venue Info:
KAWASAKI CLUB CITTA’
TEL: 044-246-8888 (平日12:00-19:00)
WEB: http://clubcitta.co.jp/
ADRESS: 神奈川県川崎市川崎区小川町5-7
 

Pioneer DJ

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