Dosem
Text & Interview : Yuki Murai
2013.10.23
日本のクラブシーンにも馴染みの深いTechnasiaが主宰するレーベル〈Sino〉からデビュー、その後、破竹の勢いで〈Tronic〉、〈Intec〉、〈Bedrock〉といった有名レーベルからリリースを重ねるスペインの注目アクトDosem。そのリリース元レーベルの顔ぶれからも想像がつくかと思うが、彼自身が「SOUL TECHNO」や「HI-TECH FUNK」と称する、従来の枠にとらわれない独自スタイルの楽曲で、幅広いジャンルのDJとオーディエンスからの支持を得ているアーティストだ。
これまでも何度か来日し、日本のオーディエンスを涌かせてきた彼が今回、11月9日(土)に川崎 CLUB CITTA’での新鋭パーティー『CARAVAN』の招聘で来日する。DJ EMMAとの初共演も注目されるDosemにこれまでの活躍の背景や、制作環境などについて話を聞いた。
ーーアーティスト活動を始めるまでの音楽的なバックグラウンドを教えてください。
Dosem:子供の頃から音楽を習っていたけど、大人になってからは独学で学んだんだ。音楽は、理論をただ学ぶだけじゃなくて、自分の耳を使って学んでいくことが大切だと思うよ。
ーー今回は『CARAVAN』に招聘されての来日ですが、来日が決まるまでの経緯はどのようなものだったのでしょうか。
Dosem:もともとは僕のマネージャーが持ってきた話だったんだけど、『CARAVAN』のクルーと対面するのを今から凄く楽しみにしてる。日本でプレイするのは好きだし、日本のクラバーも僕の作品やDJを好んでくれてる人が多いよね。こんな遠くから日本まで行くのってワクワクするよ。
ーー日本のアーティストと競演してきていますが、今回競演されるDJ EMMAとはお会いしたことはありますか? もしくは、DJ EMMAについて何か話は聞いたことがありますでしょうか。
Dosem:まだ実際に会ったことは無いけど、日本のハウスDJとしてとても有名で、長い間活躍してる人だっていうのはよく知っているよ。
ーー拠点はまだ地元のGirona(※ジローナ。スペイン・カタルーニャ州の県及び県都)なのでしょうか? 現地のクラブシーンはどんな感じですか?
Dosem:うん、Gironaに住んでるよ。僕の生まれた地元で、家族や友達も皆いるよ。小さくて、お互い誰もが誰のこともよく知っているような街なんだ。ビーチまでは車で30分だし、バルセロナまでは車で約1時間ってとこだね。自然も豊かだし、音楽をやっていくには素晴らしい環境だよ。
ーーあなたの周囲で要注目のニューカマーがいましたら、名前を挙げていただけますか?
Dosem:僕の良い友達でもあるOne Dを推薦するよ。素晴らしいプロデューサーだし、DJの才能も凄いんだ。
ーーあなたは様々な作風のトラックを作ってきていますが、最近のEDMやダブステップといったムーブメントについては、アーティストとしてどう思われますか?
Dosem:EDMやダブステップは僕のスタイルでは無いけど、心を込めて作った音楽であればどれもリスペクトしてるよ。それ以外のもので出来てるような音楽はどうかな……。音楽は創造への情熱だし、聴く人にメッセージやコンセプトを伝えられる素晴らしい道具だからね。例えば、僕は黎明期の、まだアンダーグラウンドだった頃のダブステップは凄く好きだったよ。でもメッセージがなくなって、見た目だけで空っぽになってしまったものは、クローンみたいで退屈だと思うんだ。
ーーまた、〈Sino〉、〈Bedrock〉、〈Tronic〉をはじめ、多くの良質なレーベルからリリースをしていますが、最初はどういったきっかけでこうしたレーベルと知り合ったのでしょうか?
Dosem:〈Sino〉の主宰であるTechnasiaのCharlesとは、5年前に同じパーティーでプレイしたのがきっかけで出会ったんだ。雰囲気もポジティヴだったし、音楽に対する考え方が一緒で、それもあって、〈Sino〉から1stアルバムの『Parallel』をリリースしたんだ。その後は、新しいことにチャレンジしていきたい気持ちもあって、〈Tronic〉主宰のChristian Smithも素晴らしい人だったから、〈Tronic〉や〈Intec〉、〈Bedrock〉のような大きなレーベルとも仕事をするようになったよ。友達だと思える人、嘘の無い関係性から生まれる繋がりが1番大事だと思う。
ーー楽曲制作にはどのような機材を使っていますか? 自分のスタジオは持っていますか?
Dosem:スタジオは2つあるんだ。ひとつは自宅に構えた小さいもので、コンピューター、モニタースピーカー2台、Native InstrumentsのコントローラーのMaschineと、シンセはVirul TI、それにソフトを沢山使ってるよ。Native InstrumentsプラグインのMassiveとか、Reaktorはお気に入りだね。もうひとつのスタジオは、僕が関わってる音楽スクール「Eumes」のスタジオで、そこにはちゃんとしたミキシング・マスタリング用のアナログ機材がたくさんあるよ。
ーーまた、DJプレイにはどのような機材を使っていますか?
Dosem:Pioneer CDJ 2000を3台とPioneer DJM 900が1台、Pioneer RMX 1000を1台使ってるよ。
ーーリリース、ツアーなど、今後のご予定を教えてください。
Dosem:〈Tronic〉と〈Suara〉からEPを2つリリースする予定。それから、オランダとフランス、スペイン、UKでのツアーをやって、12月にはブラジル、コロンビア、チリなど南米に行くよ!
ーー最後に、『CARAVAN』であなたに会うのを楽しみにしているファンに向けてメッセージをお願いします。
Dosem:みんな、いつも日本からサポートしてくれて有難う! 楽しみにしてるよ!
End of interview