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HOW TO rekordbox Pro Edition: Okadada

  • Text & Interview : Hiromi MatsubaraVideo : Shotaro MiyajimaPhoto : Risa Nishimura

  • 2019.11.21

  • 2/1 追加
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プロフェッショナルDJの楽曲管理術 ── Okadadaの場合

本当の話上手というのは、独り語りも上手ければ、複数人の他者との対話も上手い。そもそも、そういう人は物事に対する吸収力とリテラシーが高くて、構成力はもちろん、例えば、在るひとつのテーマに対して何種類もの角度から切り出せるほどに話の種を豊富に持ち合わせている。気遣いがありながらも対話の中にはエゴが程よく見え隠れして、そして何よりも、間の取り方と詰め方が巧妙で向き合ってみると中々に心地良い。特別に人懐こいわけでもなく、かと言って冷たいわけでもなく、時に情熱的に魅せてくれるところがまた趣深いのである。OkadadaはそんなDJだ。

 

どれほどに幅広いジャンルの曲をプレイし、いかに様々な大舞台に立ってきたかを文字で連ねるよりも、Okadadaの話を聞いたり、文字で読んだり、会話をしてみる方が、遥かに彼のDJの本質に近付いているような感覚になる。Okadadaはブースとフロアの間に起こるスリリングな関係性に構え過ぎることも無ければ、妥協もしない。フロアで聴いていると何かを問い掛けられているような気分にもなるし、ブースの中にいる彼に衝撃や意外性を求めたくもなる。そして大概、思わず笑みが溢れてしまう方法で応えてくれる。そして恐らく、彼自身もそうやって音楽を聴いている節があるような気がする。

 

DJスタイルが十人十色であるならば、DJに向けての準備方法も十人十色。Okadadaは、Pioneer DJの楽曲管理ソフトウェア「rekordbox™」を使い始めてからまだ2年ほどだそうだが、それ以上に、年々発達していく“DJプレイにおけるテクノロジー”との付き合い方に深く思い巡らせている。今回、rekordbox™を使い始めるまでの変遷とそのキッカケから、自身のスタイルに合わせた使用方法、そして利便性に潜む懸念まで幅広く話を訊いていったら、インタヴューは最終的にOkadadaの人間性を覗くようなところまで発展していった。それもそのはず、DJは年月を重ねれば重ねるほどに、その作法に人間性がよく表れるものである。

 

 

ーー OkadadaさんがDJを始めた時にはもうCDJはありましたよね?

 

Okadada:ありましたね。初めて触ったのは、友達が中学三年の時に買ったCDJ-50でした。地元は結構な田舎だったんですけど、なぜか近所のリサイクルショップにCDJがあったんですよ。大きくて、EJECTのボタンをギュッと押したらCD入れるところがバコンって開くやつでしたね(笑)。それと一緒に、リサイクルショップで〈Audio Technica〉の横長のミキサーを買って、僕はお小遣いで買った〈Technics〉のターンテーブルを1台持っていたので、初めからCDJとターンテーブルの組み合わせで触ってて、それで使い方を覚えました。当時はYouTubeとかも無いですし、DJのビデオとかも持っていなかったから、カセットテープとかを聴いて、“どうやったらこうなるんだろう?”って想像しながら練習してました。2000年か2001年ぐらいですね。

 

 

ーー DJを始めた時は、CDでプレイしていたんですか?

 

Okadada:そもそも初めて人前でDJしたのは高校2年生か3年生ぐらいの時で、地元では2回ぐらいしかやっていなかったので、その当時はお店にCDJなんて置いていなかったですし、基本はレコードだけでした。その後に自分で買ったのも2台目のターンテーブルだったので、家にCDJがあったことはほとんど無いですね。なので、CDJの使い方は、お店とかに行って覚えましたね。それで、レコードの後に、ずっとCDだけ使ってDJをしていた時期があって。大きいカバンに400枚ぐらい入れて、遠征とか行っていました。

 

 

ーー Okadadaさんは、いまもレコードを使っていますよね。

 

Okadada:使いますね。基本はSSDとUSBをメインにして、レコードは使う時に使う、って感じです。新譜を買った時とか、“今日はこの曲はレコードでかけた方が良いな”って思った時とか。完全に気分ですけど。

 

 

ーー その後にどういうきっかけでUSBやrekordboxを使うようになったんですか?

 

Okadada:USBにしたのは、CDJでUSBが使えるようになってからすぐでしたね。rekordboxを導入したのは実は2017年の年末ぐらいからで、それまではUSBにフォルダを作って直接入れていました。例えば、CDからUSBにする時も苦労すると言いますか、変えようと思ったら、一から始めなきゃいけない作業になるし、ユーザーインターフェイスというか、やり方自体が変わってしまうじゃないですか。それがあったから逆に変えなかった時期がしばらくあるんですけど、USBに直接入れてると、どうしても重複して入れてしまう曲とかもあって、すぐにUSBがいっぱいになってしまっていたので、rekordboxだと重複して入れてしまうことを避けられるかなと思って使い始めました。あと、rekordboxを導入する少し前に、USBに直接入れてやるのが手癖になってると思って、自分でUSBの中身を全部消したことがあって。反射神経が衰えてくると、自分はどんどん同じ曲を選ぶようになると思っていたので、物理的に自分がかけ慣れている曲をかけられないようにした方が良いと思って、一度無しにしたんです。rekordboxを導入したのはその後でしたね。導入してからはやっぱり便利さを実感しますし、一度消してrekordboxを導入してからも、どこかのタイミングで“今日はあの曲いけるかもな”って思い出したらプレイリストに入れるようにしていて、結果的に前に使ってた曲がまた新鮮な気持ちでかけれるようになりましたね。

 

 

ーー DJで使うメディアのフォーマット以外にも、rekordboxを導入してから精神の部分も変わっていってるのは面白いですね。

 

Okadada:実際にrekordboxを使い始めてから、多少は自分の手つきが変わったような気はしてますね。あと、rekordboxが楽曲解析でBPMを計測してくれるのは便利だけど、rekordboxにしてから自分のスピードがBPMと合いすぎてて不安になります。これは昔から言っているんですけど、BPMの実際の数値と曲の体感速度は違うと思っている部分があって。別に自分はずっとハウスをかけるよりも、色々な曲をかける方が好きだし、そうしたいと思っているから、楽曲解析でBPMを出してくれるのは凄い便利で、直感的に近いBPMの曲をパッと探せるのは凄い良いんですけど……。前はもう少し印象値でBPMを覚えていたから、実はBPMは±5とか±10とか違うのに同じぐらいで想像してた曲が結構あったんですけど、今はどうしてもBPMでソートしてしまうので、同じBPM120でも体感スピードが速かったり遅かったりして、覚え切ってないままプレイしたりするとガタガタして聴こえてしまうんです。別に意図してやっていればそうなること自体は良いんですけど、体感速度を自分でコントロールしていないような気がする時はあるので、それだけは常に気を付けるようにしています。

 

 

ーー 確かに楽曲解析によってBPMが可視化されるのは非常に便利ですけど、単純にキックに沿っているグリッドの間隔に基づいて表示されている数値ということを念頭に置いて、ちゃんと曲の展開をチェックしないといけない部分はありますよね。

 

Okadada:めちゃくちゃ便利なんだけど、rekordboxを使い始めてから曲の体感速度のことは一番に考えるようになりましたね。なので、場合によってはBPMでソートせずに、USBに直接入れていた時みたいな感覚で、プレイリストに入れた時のままでプレイしてみたりとかしますね。もっと言うと、CDやレコードを選んでいた時の感覚でやってみるようにすることもありますね。

 

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ーー プレイリストはどういう分け方で作っているんですか?

 

Okadada:基本は、日付と会場、もしくはイベントのタイトルで毎回作っています。USBに直接入れてた時も同じように作ってました。前に別のイベントで作ったプレイリストと似たような曲をかけようと思ったとしても、その日のイベントのためにプレイリストは一応作りますね。プレイしている時に、前のイベントのために作ったプレイリストからの曲をかけたりすることもあるんですけどね。あとはジャンルとか、ジャンルみたいな言葉でまとめているプレイリストもあります。それと、毎年ロングセットをやっているんですけど、一応ロングセット用のフォルダも別で作ってますね。

 

 

ーー 次のイベントに向けて新しいプレイリストを作る時は、それまでに買った新譜を中心に選んでいくんですか?

 

Okadada:それはイベントによりますね。僕は『AUDIO TWO』というレギュラーパーティーをCIRCUS Tokyoで毎月やっているので、そこでは基本的に最近買ってる曲とか、DJの中でやってみたいこととか、曲の組み合わせとかを試してますね。でも結局はイベントのシチュエーションによって決めてて、オープンから2番目とかだったらずっとBPM120ぐらいでキープするつもりでやってみたり、バンドとかも出演するデイタイムのイベントだったら、お客さんがフロアに入り易くするために下げ過ぎないようにしたり、ということを考えてプレイリストを組んでいます。なので、新譜だけでまとめたりはしないですね。たまに、ぼんやり選んでいる時にiTunesの追加日で並び替えてから順番に見て、選んだりすることはありますけど。

 

 

ーー 毎イベントごとに作っていると、前に作ったプレイリストに入っている曲を、もう一度新しいプレイリストに入れることもあるってことですよね?

 

Okadada:全然また入れますよ。いっぱい買ったとしても好きな曲は少ないので、それこそプレイリストごとに流れを変えてみて、いつ聴いてもその好きな曲がちょっとずつ違って聴こえるようにはしてます。rekordboxだったら全部が残っているから、後でプレイリストを自分で見返した時に自分がどういう流れで何をやろうとしてたかが分かりますし、そういうアーカイヴの部分はやっぱり便利ですよね。前に使っていたCD-Rは傷が付いてしまっていたので全部捨ててしまったんですけど、rekordboxだったら全部残っているので、やっぱりそれは凄い便利なんですよね。残ってないから夢が見れるというのもあるかもしれないですけど、いまは振り返れたほうが面白いなと思います。

 

 

ーー 確かにOkadadaさんのプレイリストの作り方は“HISTORY”を見ずとも、「あの日はこの曲をかけたな」っていう振り返りがし易そうですね。

 

Okadada:僕は、イベントのコンセプトと自分のかけたいものとは別に、例えば音響とかでも曲を選ぶんですよ。箱鳴りを聴いたり、お客さんの入り具合とか時間帯とか、色々要素はあるんですけど、特に箱鳴りに関しては記憶で覚えてるから、「あの日、あそこで、あの曲がああなった」みたいなのを思い出してるんですよね。サウンドチェックで自分が出したい音圧を薄い曲と濃い曲の2曲ぐらいかけてみて、音を出してもらって、PAの人と音量の相談をさせてもらうんですけど、その時に「この感じだったら、あの日のあそこの感じと一緒かもな」って思ったら、それで選曲したりもしてます。ジャンルとかで曲が閃くよりも場所で記憶している方が強いから、年間90~100本ぐらいDJしているので、「この感じだったら、あの日のプレイリストを見てみよう」って連想で思い出すんですよ。パッと思い付くかけたい曲って100曲も出てこないので、何かしらのアイディアと結びついた時にいつかのプレイリストを呼び起こすと、「そういえばこの曲があるな」「この辺りを突いていきたいな」って思い出せるんですよね。そういう意味で、このプレイリストは便利です。セットの時間にもよりますけど、家でレコードを選んでた時みたいにあらかじめ100~200曲ぐらいを選びつつ、その日のキーになる雰囲気とかを選んでおかないと、僕は優柔不断だから難しいと思うんですよ。レコードだったら、レコードバッグの容量的に入らないこともあるから諦められるんですけどね。ジャンルでソートした中から選ぶ人もいると思うんですけど、僕はその場合だと漫然とした、狙いの無いDJになってしまうと思いますし、僕はそういうのが一番好きじゃないので。

 

 

ーー 1年前のイベントのために作ったプレイリストたちを、総まとめとして別のプレイリストに集約されることはありますか? 例えば、ロングセットのプレイリストはどうなってるんですか?

 

Okadada:まだrekordboxを使い始めて2年ぐらいだから、そういうフォルダは今のところは無いですね。もう何年かしたらまとめるかもしれないですけど。でも確かにロングセットのプレイリストはまとめ感があるかもしれないです。特に2018年に代官山UNITでやった時のプレイリストは、この2~3年でかけ倒した曲ばかりが入ってるので余計に。でもロングセットをやっても本当に総括しかできないので、個人的にはやったからと言って凄い得るものは無いんですよね。ただただ楽しいというか。後で結果的にやらないでも良かったかもなと思う時もありますし。ロングセットだと変なことをやろうとしても良い結果にならないですし、これまでにやってきたことが如実に出てしまうから、変なこととか、思い切ったチャレンジとかをやるなら1~2時間ぐらいのセットの方が良いんですよね。あと総括してしまうと、逆にこのプレイリストの中から選ばなくなりますね。1回寝かせようってなるんですよ(笑)。

 

 

ーー また別の流れでその曲をかけられる日を待つために、熟成させる感じですね(笑)。

 

Okadada:そうそう。でもこれから使い込んでプレイリストが積もっていったら、熟成感が出て、ふと見た時に「こんなことやってたな」ってハッとするかもしれないですね。例えばrekordboxを6年使い続けたら、熟成される部分もある一方で、残るが故にずっと手癖になってしまう部分も出てくるとも思うんです。でもプレイリストを古い順に見ていった時に、時期が移るにつれて一時期よくかけてた曲が無くなったり、中身もグラデーションみたいに変化していくのが見えて面白いと思いますし、それで自分に変化もつけられると思うので、だからイベント毎にプレイリストを作った方が良いと思ってます。

 

 

ーー プレイ中にCDJの中でプレイリストをソートし直したり、TRACK FILTERで絞り込んだりはしますか?

 

Okadada:それはあんまりしないですね。曲同士の結び付けとかはできるだけ準備しておいた方が良いのと、なるべくプレイ中の手間は少ない方が良いので、あらかじめプレイリストに入れて並べたままの順番でCDJに読み込ませてます。僕は根本的に性格もズルいから、どういうカテゴリでもソートができてしまうと、“合わせよう”としてしまうと思うんです。それが自分で分かってしまうんですよ。だから他の機能にしても、何でもできるのは逆にマズいと思うんですよね。楽しくなくなってしまうんじゃないかなって。そもそも人間はできることに限界はありますし、そこはなるべく減らした方が良いとは思ってます。

 

 

ーー イベント毎にプレイリストを作っていると、DJの前に1回はrekordboxを立ち上げてると思うんですけど、準備にはどれぐらいの時間をかけているんですか?

 

Okadada:それもイベントによりますね。特殊なセットをやる時は結構前から準備をしたりしていて、例えば7月にVisionでSHABBAAAAAと一緒にやった時は“ダンスホール”がテーマで。そもそもダンスホールは好きなんですけど、しばらく聴いてなかったので久々に新譜を掘ったりとか、昔聴いてた曲を改めて聴いたりとかして、今の自分がどういうかけ方をしたら面白いかを考えてましたね。それは結構時間かかるので前もって準備しましたね。逆にレギュラーパーティー『AUDIO TWO』とかは、直前にレコードも含めて新譜をザッと聴いて、イメージを膨らませて、みたいな感じでやってますね。大体は2~3日前からぼんやりと何をしようか考えてて、前日か当日にプレイリストに入れていって、入れた曲の中から改めてイメージを膨らませていくっていう感じですね。

 

 

ーー 準備の時にMEMORY CUE/LOOPやHOT CUEを設定したりはしないんですか?

 

Okadada:事前には全くしないですね。家で考えてくるよりかは、たまにDJをしている時に、「この曲のここをずっとループさせて流してたら面白いな」って思い付いたら設定しますね。家だと曲を聴くだけでDJはしないので思い付かないですし、DJしながらでも「ここだ!」ってなった時しかやらないです。何にしても、僕はルーティーン化することを避けているところがあって、例えば、必殺の曲があったとしてもかけ方を変えることはできますけど、決まった曲で「このミックスの仕方はヤバいんだよ」みたいなことはなるべくしないようにしているので、思い付かない限りはやらないですね。たまにDJしている時に思い付いてCDJで設定した時は、そのまま残しておいてrekordboxと同期して、後々にCDJが3台使える時とか、「今日は使える」と思う時とかがあったらやってみるようにはしていますけどね。そもそも家ではrekordboxから音楽を聴くことがなくて、レコードをかけたり、Spotifyで聴いたりとかしていないですし、Bandcampで買った曲もアプリから聴いたりしているので……、だから思い付かないのかもしれないですね。rekordboxから聴いてたら「ここにループを設定しよう」とか思うのかもしれないですけど、自分でも何でそれをしないのか分からないんですけどね……(笑)。

 

 

ーー rekordboxの使い方って、その人の性格とか普段の生活がどこかに出ますよね(笑)。

 

Okadada:練習してきたことをやるのがかなり嫌で、“1回やったことをもう1回やって、もう1回ウケる”みたいなのも違うと思いますし、DJってそういうものでもないですし、実際そういうのってウケないですし。毎回、自分もフロアもコンディションが違いますからね。ループを使ったミックスとかは思い付きでやるから良いですし、もう1回やるにしても、“次はこういう風にやったらどうなるのかな”とか思えるから良いですけどね。rekordboxの使い方として言うとしたら、徹底的にマンネリ化を防ぐためにそういう使い方をするみたいな部分もあるかもしれないですね。

 

 

 

ーー 普段はSSDとUSBはいくつ準備しているんですか?

 

Okadada:SSDをメインに、USBを3本持ってますね。1本は鍵と一緒にキーリングに付けてあります。あと外付けHDDもありますね。

 

 

ーー 内容は一緒にしているんですか?

 

Okadada:いや、結構違いますね。キーリングに付いてるUSBは緊急用だから、ロングセットのプレイリストだけが入ってますね。他のは2~3ヶ月に1回ぐらいのペースで定期的に同期してます。でも同期に時間がかかるし、その点はやっぱりSSDが速いので、メインはSSDですね。だから基本的には1台のCDJにSSDを挿して、あとはリンクを使ってます。SSD以外はもしもの時の予備ですね。あともう1本ぐらい緊急用でカバンの中に入ってると思うんですけど、鍵は絶対に持ってるから鍵と一緒に付いてるのが最終用ですね。そう言えば、『Resident Advisor』の「Between The Beats」っていうドキュメンタリー映像のシリーズでThe Black Madonnaが8本持ってるって言ってましたね(笑)。スーツケースとカバンとポケットと……って入れてて、“何が起きてもDJはできるようにしてる”って。でも実際、遠征が多かったりすると本当に何が起きるか分からないですからね。僕の鍵と一緒に付いてるUSBも32GBとかでそれなりに曲も入るので、最悪全部のSSDとかUSBとかPCが無くなっても、これさえあればDJはできるように準備してます。

 

 

 

ーー 新譜はどうやって探しているんですか?

 

Okadada:1番はレコード屋のサイトですね。探し方で言うと、3年前ぐらいからレコード屋のサイトをかなり見るようになりましたね。ウェブメディアとか雑誌とかのレコメンドとかセレクションでキュレーションがなされているところが少ないなと思っていて、雑誌はある程度のキュレーションが入っていると思うんですけど、ウェブメディアに関してはヒットしているものを紹介していることが多くて、ヒットしているものだったら僕とかは紹介される前にもう知っているし。となると、クセのあるレコード屋が良いんですよね。そもそもレコードって、お店からしたら仕入れないといけないから、必ず誰かのキュレーションが入っているじゃないですか。僕はもともと大阪に住んでいたからNewtone Recordsのサイトとかはずっと見ていましたし、Meditations、芽瑠璃堂、naminohana records、EBBTIDE RECORDSはよく見ていて、どこもキュレーションがされているんですよ。キュレーションがされていないと、流れを持って音楽が見れないですし、自分以外の目線で音楽をしっかり見ようと思うと、やっぱりレコード屋になるんですよ。でもSpotifyとかYouTubeとかも使うので、割と何でも見ているとは思うんですけど、敢えて明確に理由を言えるのはレコード屋のサイトの良さですね。

 

 

ーー レコード屋のサイトをかなり見るようになる前は何で探していたんですか?

 

Okadada:もっとTwitterとかでしたね。もちろん今でも見てますけど、友達とか昔はもっとポスト数もシェアする量も多かったですしね。音楽のことだけでなく、新しい情報をシェアしてくれる人はいるじゃないですか。そういうアカウントだけをまとめたリストを作って、常に情報だけをすぐに見れるようにはしてますね。あとはSpotifyのサジェスチョンとかも、あれはあれで便利だと思います。でもサジェスチョンの外に出るには、レコード屋みたいな独立したキュレーションをしているところを見た方が、それぞれの流れとかクセがあるから、ぼんやり見ているよりは全然分かりやすいと思いますし、これはDJにも同じことが言えると思うんですけど、その人の目線から紹介されないと、好きになれない曲とか理解できない曲とかあると思うんですよ。そう思うと、クセのある個人がキュレーションしているところを見た方が早いんですよね。そういうことを求めないなら、もうYouTubeとかSpotifyのアルゴリズムに従った方が良いし、こっちもアルゴリズムを利用して、「そうそう、こういうの聴きたかったんだよな~」みたいなことをしてもらう方が良いですよね。僕は「こういうのが聴きたかった!」っていうのをレコード屋のサイトで見つけるのも、両方あるのが良い人なので、結局どっちも使いますけど(笑)。

 

 

ーー 実際にレコード屋に足を運んで探すこともありますか?

 

Okadada:ありますよ。大阪に住んでいた時はキングコングっていうお店によく行ってたんですけど、全くよく分からない500円ぐらいのミックスCDとかミックステープを買って、家でかけておいて、「この曲は!?」ってなるのを待ったりもしてました。大体は良くないんですけどね。こないだはブックオフに行って、イージーリスニングのコーナーにあったコンピレーションみたいなのを15枚ぐらい買ったんですけど、その中に“サイケデリック・ヒーリング”って韓国語で書いてあるやつがあって、「これはヤバいの見つけたかもしれない!」って思ったんですけど、いざ聴いてみたら韓国語の演歌みたいなのばっかり入ってて(笑)、勝手にニューエイジだと思ってたのでショックでしたね。でも相変わらず、レコード屋に行っても安いやつをジャケ買いして、良いのを見つけたり、失敗したり、そういうのは繰り返してますね。

 

 

ーー レコード屋とかで探すことの楽しみは、予備知識が大して無く買った時に運良く良い曲に出会うことだったりしますね。

 

Okadada:でも結局のところ、僕はルールが大事だと思っていて、新しい音楽を聴く時に自分で探してそれを聴きまくるよりも、それを聴きまくってる人の話を聞いた方が早いと思っているんです。例えば、ガバを聴いてみようと思った時に、CDをいっぱい買ってくるよりも、ガバを聴いている人がどこで喜んでるかを見た方が早い、みたいな話で。ジャンルって言わばルールじゃないですか。ガバがどうしてその形態で成立しているのかが正理として分かれば話は早いんですけど、分からなかったら、まずはガバを聴きまくってる人に何が良いガバかを教えてもらうと良いんですよ。好きじゃないものって、良し悪しの違いが分からないから聴かないのであって、その前段階として、好きじゃなくても良し悪しを判断することはできるじゃないですか。好きになるのは、「こっちよりもこっちが良いな」みたいに良し悪しの違いが分かるようになってからだと思うんですよ。だから新しいジャンルの音楽を好きになるためには、何かしら取っ掛かりがあった方が良いと思っていて、それは要はルールなんですよ。僕はジャンルレスDJみたいに言われてますけど、ジャンルはかなり大事だと思っていて。テクノにはテクノ特有の機能があって、それが美しいと思いながらも、その機能を読み替えながらDJでかけている時もあって、僕はそういうことをするのが好きなのでやりますけど、なかなか超えていくのは難しいし、ある意味で不遜なことをやっていることも自覚しているんです。

 

 

ーー DJでかけるデジタルの曲はどこで買うことが多いですか?

 

Okadada:探してるものを検索した時にすぐに出てくるサイトで買ってますね。でも正直、Bandcampはレーベルの人が売ってるから1番早いですし、売ってる人にも還元率は高いと思うんで、BandcampにあればBandcampで買ってますね。それ以外だと、なるべく一度にまとめて買ってしまいたいので、大体はBeatportです。これは申し訳ないんですけど、レコード屋のサイトで良さそうなのを見つけても、まず検索してみてデータを探してしまいますね。でもこれはレコードの方が音がヤバそうっていうやつは買ってますね。とは言え、レコードも毎月まとめて買ったりしていて、もちろんレコードが欲しくて買ってるんですけど、キュレーション代と言いますか、レコードで買っている量以上にデジタルで買っているので、「教えていただいてありがとうございます」っていう気持ちでお金を払っている部分もありますね。基本的にDJでかけるために曲を買うことがそんなに無くて。とりあえず聴いて面白いなと思った時に買っておいて、かけ方は後で考えてます。かけられる時が来るを待つというか、後から「そう言えば、こういう曲あったな」っていうこともありますし。

 

 

ーー ファイルフォーマットのこだわりはありますか?

 

Okadada:WAVかAIFFで買ってますね。でも僕もそんなに耳が良い方ではないと思うので、MP3の320kbpsとWAVの違いとか分からないんですよ。クラブに行って、「うわ出た、MP3」とかって思わないし(笑)。買ったレコードも録音してWAVにしているんですけど、本当のレコードとレコードの録音のどっちをかけているかブラインドテストしても当てられる自信がないです。違うとは思ってるんですけど、果たして自分がそこまで違いの分かる繊細な人間かは自信が無いですね。でも実際、MP3の方がデータとしての容量が少ないことは確かじゃないですか。意識では分からなくても、無意識のところで音の鳴りに違いはあるとも思いますし、もう今は外付けのHDDとかUSBも基本的な容量が大きくなっているから、すぐには一杯にならないですし、それだったらWAVとかAIFFで買っておいて損は無いかなと思ってます。ただジャンルによって、新譜のトラップとかR&BはそもそもWAVが売ってないこともあるので、その場合はGoogle PlayでMP3の320kbpsを買ってますね。

 

 

ーー 強いこだわりは無いけど、なるべく高音質のファイルを買っていると。

 

Okadada:あと、それこそデジタル卓ミキサーが導入されてから違いが無くなっちゃってると思うんですよ。全部がデジタルの信号に変換されてしまっている時点で、本当の部分でのレコードの振動がきてる部分は無いと思ってしまうんですよね。もし全部がアナログ回路だったら、アナログ信号が直接伝わってることを信じることができたかもしれないですけど、デジタル卓ミキサーになってると、全部が変換されて一緒になってしまっている気がして。そうなると、それこそデジタルかレコードかは、見た目の問題になってきちゃうと思うんですけどね。でも実際にCIRCUS Osakaがデジタル卓ミキサーになった日は凄い分かったんですよ。音がデカいなと思って「何か変わりました?」って聞いたら、卓ミキサーが新しくデジタルになってて。クラブに行った時から音が変わることってあんまり無いと思ってたんですけど、デジタル卓ミキサーになった時は違い過ぎて、音も大きかったし、クリアでびっくりしましたね。

 

 

ーー いまのOkadadaさんにとっての理想のブースセットアップはありますか?

 

Okadada:うーん、僕はそういうの無いんですよね……。あんまりそういう性格じゃないから、もちろん悪過ぎたら嫌ですけど、あるものでやるって感じですね。昔の〈Technics〉SL-1200が2台と〈Pioneer DJ〉のDJM-S9みたいなヒップホップのDJが使う2チャンネルのミキサーのセッティングで、ヒップホップをかけるのが良いように、それは作法の問題だと思ってて。これは例えば、中華料理を食べに行ったら回るテーブルで食べるのが良いし、高級なフランス料理のコースを食べに行くのにちゃんとお洒落して、テーブルマナーを守ったりとか、友達と公園で座ってカップラーメンを食べるのが楽しかったりとか、それぞれに適した作法みたいなものがあって、それが大事という話で。僕はそれはDJブースにも言えると思っているんです。荒い設定のブースなら、それに向けられた音楽とか、そういうブースで鳴らしたら面白い音楽があるはずだと、僕は思いたいところはあるかもしれないです。それで言えば、〈E&S〉とかを音響の良いクラブで使ったらハイエンドの凄さを実感しますし、7月にレギュラーパーティーで〈E&S〉を使った時は、朝方にDJ WILDPARTYが音響デジタルダブみたいな曲をかけてて、「ミキサーが違うだけでこんなに音の鳴り方が変わるんだ!」って思いましたしね。でもそれが理想かと言われれば、なるべくシチュエーションが多い方が個人的には良いとは思います。ひとつの音質的な理想を追い求めてる人には僕はなれないな、と思うところはこういうところですね。

 

 

End of the Interview

 


 

Pioneer DJが提供する、楽曲ファイルの準備や管理をより効率的かつ直感的に行う事ができる無料のDJソフトウェア&アプリ「rekordbox™」。

 

ダウンロードは下記のリンクから。

 

rekordbox: https://rekordbox.com/

FAQ: https://rekordbox.com/ja/products/rekordboxdj/#streamingfaq

 

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