HigherFrequency ハイヤーフリケンシー

HOW TO DJM-V10

Highlight

HOW TO DJM-V10 performed by Albino Sound

  • Text : Hiromi MatsubaraVideo : Shotaro MiyajimaPerformance : Albino Sound

  • 2020.8.31

  • 9/10
  • 2/1 追加
  • 9/10
  • 2/1 追加

DJM-V10の機能をCDJやハードウェアを使ったライヴセットと共に解説

6チャンネルで、全てが4バンドEQ。それだけでなく、アイソレーターが搭載され、従来のモデルでSOUND COLOR FXの位置にあったエフェクト系統はFILTERとSEND FXに分離。一目して先ず、そのノブの数に驚いた方も多いでしょう。その名も「DJM-V10」── 現在の〈Pioneer DJ〉のクラブスタンダードモデルであるDJM-900NXS2までの一連とは異なるラインに位置付けられながらも、実際の操作感は、同ブランドのDJミキサーシリーズからの大幅なアップデートがあり、世界的に多様化が著しいDJパフォーマンスのあらゆるスタイルとそのニーズに適う新機能も搭載された、“DJの思い描く夢を現実にしたようなDJミキサー”と評するに相応しい逸品となっています。

 

ではDJM-V10の何がこれまでのDJミキサーシリーズとは違うのか。それをAlbino Soundのパフォーマンス動画と共に解き明かしていくのが、この『HOW TO DJM-V10』です。動画を通して見ることで、DJM-V10の機能を活用してパフォーマンスを行う際の操作の流れを知ることができ、もっと各セクションの機能についてもっと詳細に知りたい場合は、下のDJM-V10の画像に敷かれたポインターをクリックしてみてください。

 

 


Albino Soundの機材セッティング Albino Sound's Live Performance Set-up

パフォーマンスに際して1週間ほどDJM-V10を使わせてもらっていたのですが、最初に触った時からDJミキサーというよりもパフォーマンスミキサーとしてのポテンシャルをかなり感じました。〈Pioneer DJ〉のミキサーシリーズは、フェーダーの感覚やエフェクト類などライヴ感を尊重した設計ですが、ライヴパフォーマンス用途としては充分ではありませんでした。そういったところを吹っ飛ばして、かつプレイに神経を集中させてくれるのがDJM-V10の魅力だと思います。通常使っているアナログミキサーでは音圧の関係からドラムマシンをパラアウトする必要がありましたが、各チャンネルに付属のコンプレッサーにより、全てステレオ2chの出力で機材のポテンシャルを発揮できます。“圧縮”というよりかは、プリアンプとサチュレーターのコンビネーションといった印象で、倍音付加した上で出力レベルを持ち上げ、マスターの音圧を一定にキープできることはライヴをする上で非常に重要です。ハードウェア機材にはマスターコンプが搭載されていないものが多いため重宝されるでしょう。録音用にも良いかと思います。

SEND/RETURNのルーティンもシンプルで、今回はスプリングリバーブを使用していますが、モジュラーのシーケンスを流して加工するのも面白いアイディアだと感じました。アイソレーター、チャンネルEQによりローを完全にカットした状態からフラットに戻す際もドライブ感があるので展開をつけていく際のアクセントになります。〈Pioneer DJ〉のミキサーに搭載されてきたBEAT FXはそのまま使用できる上、SENDラックに搭載のDELAY、REVERBは、フィードバックやタイム、トーンなどを感覚的に操作できるためライヴ時には他のエフェクターを持たずともミキサー内で完結できる点も高く評価できると思います。

また、今回のパフォーマンスではCDJで完成した楽曲を再生しているパートとライヴ用に制作したループなどを〈Elektron〉のマシーンで操作しています。自作のサンプルやループ、ワンショットなどを仕込んでおきソングモードではなくトラックごとのループとしてパターンを組んでおり、展開作りはDJのようにフロアの温度を感じつつ即興的なアイデアを含みながら構成していきます。作り込み過ぎてもライヴ感が損なわれることもあるので、失敗を恐れずに毎回チャレンジする精神を忘れないようにしているため、DJM-V10と組み合わせることで表現の幅を増やしつつ安定感も与えられると感じました。今後もこの可能性について探求していこうと思います。機材としてのボリュームに比例して魅力も満載な“楽器のような存在”なので、ぜひ機会があれば触れてみて下さい。

── Albino Sound

DJM-V10の新機能を徹底解説 Thorough Description Of The New Functions of DJM-V10

PROFILE
Albino Sound アルビノ・サウンド

東京拠点のプロデューサー/ミュージシャン。2014年よりソロ活動を始め、同年Red Bull Music Academy Tokyoにて数少ない生徒の1人として選出されて以降は都内を中心にクラブやフェスなどで活動してきた。2015年には1st Album『Cloud Sports』を〈P-Vine〉よりリリースし話題となる。70年代の実験音楽やクラウトロックをルーツに、現在はハードウェアを駆使した実験的なベースミュージック、モダンテクノといったサウンドを製作。2020年5月にはスペイン・バルセロナ拠点のPedro Vianが主宰する〈Modern Obscure Music〉より初のフィジカルEP『Black Lagoon』をリリースし、タイトルトラックのMVは、音楽/カルチャー/アートを専門とするUKのメディア「Ransom Note」でプレミア公開され、国際的な注目を集める。また6月には同メディアが運営するレーベル〈Ransom Note Records〉が手掛けた、COVID-19の世界的な感染拡大で従来のツアー活動及び制作が行えなくなったアーティストたちが、遠隔でコラボレーショントラックを作り上げるという企画コンピレーション『Pen Pals』に参加。ベルリン拠点のデュオgroup AのSayaka Botanicと、ロンドン拠点のバンドBo NingenのギタリストであるKohhei Matsudaとのコラボレーショントラック“Night Shift”を提供した。そしてアーティストとしての活動の傍らWeb CMなどの楽曲制作も行っており、これまでに 資生堂やGoogle、Nikeなどに自身が手掛けた楽曲を提供している。

外部エフェクターの使い方

DJM-V10には、外部エフェクターを接続することのできる専用の端子「EXTERNAL(EXT1 / EXT2)」が搭載されています。外部エフェクターをマスター音声に効かせたい場合は、“MASTER MIX”ボタンを点灯させて、SEND FXの“EXT1”もしくは“EXT2”のボタンを押して点滅させた後に各チャンネルのSEND FXノブでエフェクト量を調整することで使用することができます。各チャンネルに効かせた上でより微細な調整をしたい場合は、事前に任意のチャンネルの入力切り替えスイッチを“EXT1”もしくは“EXT2”(※内蔵のSEND FXの場合は“BUILT-IN”)にしてリターンのチャンネルを設定することで、外部エフェクトからの入力を受けることができるようになります。内蔵されているSEND FXを同時に複数種類使うことはできませんが、内蔵エフェクトと外部エフェクトの組み合わせ、もしくは外部エフェクト“EXT1”と“EXT2”の組み合わせでは同時に使うことができます。その際にはch.1もしくはch.6をリターンのチャンネルとし、入力切り替えスイッチを“EXT1 / EXT2 / BUILT-IN”に設定しておく必要があります。

Compressorの機能

DJM-V10には、各チャンネルに音圧を調整するための「Compressor」が搭載されています。Compressorを使うことで、近年リリースされた音圧の高いデジタル音源と、80年代に制作された音圧の低いヴァイナル音源など、時代ごとの制作環境やエンジニアリングなどによって生まれる音圧差を埋めながらミックスを行うことができます。従来のDJミキサーで音圧差のある楽曲をミックスする際は、TrimやEQを使って各チャンネルの「音量」でその差をカバーするしかなく、シチュエーションによっては音量を上げ過ぎてクリッピングしてしまい出力音が割れる/歪むといったことがありました。ですが、DJM-V10の場合は、Trimを使ってチャンネルごとの音量を適正位置(0db)付近で揃えながら、音圧の低い音源に対してはCompressorを使って音圧を上げることで、音源固有のピーク音量が割れ/歪まないよう抑えながら音の迫力を底上げすることができるので、より違和感の無いミックスをスムーズに行うことができます。またCompressorは、マスタリング済みの楽曲に生のシンセサイザー音を違和感無く追加するなど様々な音源を自在に組み合わせたパフォーマンスにも活かすことができます。

MASTER ISOLATORの使い方

DJM-V10ではEQが“HI”、“HI MID”、“LOW MID”、“LOW”の4バンドになり、各EQノブの中心周波数、次数、ブースト・カット量を検討し、各帯域の繊細な音量コントロールが可能になりました。全てのEQが+6dbまでブーストでき、“HI”と“LOW”は-∞dbまで、“HI MID”と“LOW MID”は-26dbまでカットすることができるようになっています。そして、DJM-900NXS2までスイッチで切り替えることができたISOLATORが独立してMASTERのチャンネルに搭載され、「MASTER ISOLATOR」となりました。MASTER ISOLATORではその名の通りマスターの音声の“HI”、“MID”、“LOW”の音量をコントロールすることができ、+9dbまでのブーストと-∞dbまでのカットをすることができます。この両方を組み合わせて使うことでより細かな調整が可能になり、更にクリエイティヴなミキシングを行うことができます。

FILTERの使い方

DJM-V10では「FILTER」が独立し、“LPF”と“HPF”をボタンで切り替えることができるようになり、MASTERを含む各チャンネルにFILTER専用のノブが搭載されています。“LPF”もしくは“HPF”のボタンを押して点滅させてから、ノブを左から右に回して効かせることができます。DJM-V10のフィルターは、DJM-900NXS2のフィルターと比べて2倍の解像度となっているので、より微細にも、よりダイナミックにも音を変化させることができます。

BEAT FXと、新搭載の「SHIMMER」について

DJM-V10のBEAT FXは、MASTERを含む各チャンネルにBEAT FXのアサインボタンが搭載されたことにより、エフェクトを効かせたいチャンネルをダイレクトに選択することができるようになっています。BEAT FXがオンになっている時は、BEAT FXの“ON/OFF”ボタンとアサインボタンの両方が点滅をするので、どのチャンネルに効いているのか、きちんとオフになっているかなどを視認し易くなっています。またX-PADは、タッチディスプレイでコントロールできるようになったので、より直感的にエフェクトを操作することが可能です。さらにDJM-V10から、メロディーの残響を煌びやかに増幅させ、幻想的な響きを生み出す特徴を持っている新たなエフェクト「SHIMMER」が追加されています。ヴォーカルやシンセサイザーなどの音源にハーモニー溢れる残響を加えて、個性的な音色を作り出すことができます。

BUILT-IN SEND FXの使い方

DJM-V10のSEND FXには内蔵エフェクトとして、“SHORT DELAY”、“LONG DELAY”、“DUB ECHO”、“REVERB”の4種類が搭載されています。4種類のうち任意のエフェクトのボタンを押して点滅させ、各チャンネルにあるSEND FXノブを右に回していくことで使用することができます。マスター音声にエフェクトを効かせたい場合は“MASTER MIX”ボタンを点灯させて使う必要があり、より細かくエフェクト音を加工したい場合は“MASTER MIX”ボタンを消灯させ、任意のチャンネルの入力切り替えスイッチを“BUILT-IN”にしてリターンのチャンネルを設定して使うことで、そのチャンネル上でEQやFILTERを重ねていくことができます。

BUILT-IN SEND FXのパラメーター

DJM-V10のSEND FXには“SIZE/FEEDBACK”、“TIME”、“TONE”という3種類のパラメーターが搭載されています。“SIZE/FEEDBACK”ではエフェクト音の量を変化させることができ、“TIME”ではディレイ音が返ってくるまでの長さや残響時間の長さを変化させることができ、“TONE”ではエフェクト音にかけるフィルターの調節を行うことができます。どのパラメーターも精細に使うことができるので、従来のDJミキサーよりも自由度が高く、DJプレイのオリジナリティを追求することができます。

タイトルタイトル

テキストテキストテキストテキストテキストテキストテキストテキスト

Pioneer DJ

COPYRIGHT © 2015 HigherFrequency ALL RIGHTS RESERVED.