DATE : 31st July, 2005 (Sun)
PHOTOGRAPHER : Daishi Uchu / Masanori Naruse
TEXT : Kei Tajima
早いものでフジロックも今日が最終日。次第に近づいてくるお祭りの終わりを前に、少々切なくなったオーディエンスの気持ちを一気に盛り上げてくれたのは、Red Marquee のRoyksopp。HigherFrequency が5月に行ったインタビューでは、フジロックへの意気込みについて相当熱く語ってくれた二人だったが、そんな二人の気合いに応じるかのように、Red Marqueeは満員のオーディエンスによってびっしりと埋められることとなった。幻想的な光に照らされたステージから、Royksoppの二人が "Alpha Male" や、" What Else Is There?" など、ニュー・アルバム "The Understanding" からの楽曲を中心にプレイすると、中盤からは "Remain Me"、"Spark" など、前作 "Melody A.M." からの楽曲もプレイし、観客を盛り上げる。続いて "Only This Moment" や、"Poor Leno" 等もドロップされ、伝説となった2003年のステージングにも勝るようなショーを披露してくれた。 Royksoppによるショーが終了すると、「せめて最終日だけは…」といったフジロッカーの晴天への願いもむなしく、またもや大粒の雨が会場一帯に降り注いでくる。大雨の中、Green Stage のMoby が "Porcelain" やニュー・アルバム "Hotel "からのトラック、果てにRed Zeppelin のカヴァーも披露するなど、迫力溢れるセットでオーディエンスを楽しませると、ここで筆者はThe Coral のギグを観に再びRed Marquee へ移動。出演が決定していた2003年のフジロックは残念ながらキャンセルとなったため、初フジロックとなったThe Coralは、デビュー・アルバム "The Coral" からの "Good Bye" で印象的なスタートを切ると、"Pass It On"、"Dreaming Of You"、ニュー・アルバム "The Invisible Invasion" からのヒット・トラック "In The Morning" などを立て続けにプレイし、若さと貫禄の入り混じったセットを披露してくれた。そして、続いては筆者にとって今回のフジロックのメインとも言えるNew Order によるショーがGreen Stage にてスタートする。筆者にとっては2001年のフジロックから4年ぶりとなる彼らのステージングであり、今年3月にリリースされた "Waiting for the Siren's Call" の素晴らしい出来栄えだっただけに、大きな期待と共に、ぬかるみも気にせずステージ近くに歩み寄った。まず、メンバーが登場すると、名曲 "Crystal"、"Regret"とクラシック・トラックを立て続けにプレイ。ニュー・アルバムからはやはり期待通りに "Krafty" の日本語盤、(「ちゃんと歌えるかどうか分からない」と話すBernard Sumner (Vo.)を、字幕つきのスクリーンでオーディエンスが助けるというほほえましい場面も)、そしてBernardの 「Ian Curtis へ捧げる」 という言葉に続き、"Transmission"、"Atmosphere"とJoy Division 時代の楽曲が続き、"True Faith"、"Bizzar Love Triangle"などの名曲が続き、再びJoy Division の "Love Will Tear Us Apart" 、そしてクールなアレンジを効かせて聴かせてくれた "Temptation" などを披露し、ここでメンバーは一度ステージ脇に引っ込む。満員のオーディエンスが声を嗄らして叫んだアンコールでは"Your Silent Face"、"She's Lost Control"、そして極め付けに "Blue Monday" と、感動的なフィニッシュ・アップを飾り、往年のファン、そしてNew Order 初体験リスナーの心にも同様に響く最高のセットを見せてくれた。筆者にとっては、涙あり笑いあり、ほとんどカラオケ状態となったわけだが、長い間多くのリスナーを魅了し続けることの出来るNew Orderというバンドの魅力を心底味わうことの出来た、非常に感銘深いライブであった。 | |
正直、New Orderによって少々燃え尽きてしまった感のあった筆者だが、やはり続いてのPrimal Screamはミスすることが出来ず、"Rockers"、"Moving Up"などを堪能すると、先日HigherFrequency のインタビューにも答えてくれた、スコットランドの天才 Mylo のショーのために Red Marquee へと向かう。インタビューでは「日本にファンがいるなんて知らなかったな!」と語っていたMyloも、深夜にもかかわらず後方までいっぱいになったオーディエンスを見て、さそがし驚嘆したであろう。それだけ、Myloに対する日本のオーディエンスの期待は大きく、"Destroy Rock & Roll"、"Drop The Pressure"など、名トラックがプレイされると、フロアのテンションも急上昇。夏にピッタリな筆者のフェイバリット・トラック "In My Arms" がプレイされると、フェスティヴァル・ムードに重なってRed Marquee 全体が最高の雰囲気に包まれるのであった。ここで、筆者の長いようで短かったフジロック'05 は終わりを迎えたのだが、Myloの後もNew Order のベーシスト、Peter Hook によるマンチェスター全開のDJをはじめとするショーが朝まで行われ、例年通り、会場が朝日に包まれるまで音楽が鳴り止むことはなかった。 来年は10周年という一つのマイルストーンを迎えることとなるフジロック。小耳に挟んだところによると、既に相当のラインナップが名乗りを上げており、例年に増して大きな企画も予定されているというから楽しみだ。来年は、どんな感動をどんなアーティスト、そして人々と体験することになるのか?来年の開催にむけて、フジ・ロッカーズの興奮が冷めることはなさそうだ。 | |
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