i-WARP @ ageHa@studio coast, TOKYO
DATE : 26 May, 2006 (Fri)
DJs : LFO, Plaid, Luke Vibert, Jackson and His Computer Band, Jimmy Edgar
PHOTOGRAPHER : Masanori Naruse, Yellow.
TEXT : Yoshiharu Kobayashi (HigherFrequency)
| 単純にフロア使用のダンス・ミュージックとは一線を画する知的なサウンドを聴かせるアーティストの作品を次々と世に送り出し、クラブ・シーンの中でも独自の立ち位置を確立しているイギリスの名門 Warp Records。そんな同レーベルが、レーベル・ショー・ケース的なイベントを久々にここ日本でも開催し、改めて Warp Records の魅力を堪能できる一夜を届けてくれた。 Warp の歴史と共にキャリアを積んできたような大御所から、期待の若手アーティストまで、豪華で多彩なメンバーを取り揃えた今回のイベント。大方の予想通り早めの時間から会場はかなりの賑わいを見せていたが、そんな熱い期待でむせ返らんばかりのフロアを、Warp のオーナー Steve Beckett がまずはしっかりと暖めていく。続いてデトロイト・テクノの血を受け継いだ若干２２歳という若き才能 Jimmy Edger が登場すると、高速で駆け抜けるハードエッジなテクノ・サウンドを聴かせて、早くもクラウドを興奮状態へと導いていった。 間髪を入れずに、中世の貴族のようにクラシカルなファッションに身を包んだ Jackson がステージ上に姿を現す。その出で立ちからして只者ではない雰囲気を醸し出していた彼であるが、音の方も期待にたがわず、重たいドラム・ビートの上をズタズタに切り刻まれたエレクトロ・サウンドが駆け巡るというエキセントリックなものだった。CD で聴くより遥かに激しさを増していたライブ・サウンドに圧倒されたオーディエンスは、彼のライブが終ってからもしばらく呆気に取られている様子だったが、息をつく間もなく次の Plaid のライブがスタートするのであった。 | |
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Jackson の激しいサウンドから一転、静寂が張り詰めるようなエレクトロニカでライブの幕を開けた彼ら。しかし、そんな猫を被ったような大人しさを見せていたのは始めだけで、気が付くと徐々にビートは荒々しく変貌を遂げていき、最終的にはドラムンベースにまで辿り着いてしまうという驚きのプレイを見せてくれた。わずか一時間の間でエレクトロニカからドラムンベースまで変化したと聞くと強引な展開を予想してしまうかもしれないが、上音がエレクトロニカのままでビートだけがゆっくりと力強さを増していくという最小限の展開を用いることで無理なくそれを聴かせてくれたのは、さすがベテランの Plaid といったところだった。 続いて、有名どころがズラリと並んだ今回のラインナップの中でも、一番の長いキャリアと根強い人気を誇る重鎮 LFO が登場。いわゆるブリープ・ハウス / テクノの代表的なアーティストであり、LFO（シンセサイザーに搭載されている低周波発生機）による野太いベース音がトレードマークとなっている彼であるが、その破壊的でキレのあるサウンドは今回も怒涛の勢いでフロアを直撃した。後半のハード・テクノ的な激しい展開は好き嫌いの分かれるところではあったようだが、アンセム 'LFO' や 'Freaks' も無理なくその中に投入し、最後までオーディエンスを引き付けて離さない貫禄のライブを見せてくれた。 そして、最後に DJ ブースの前に姿を現したのは、ブレイク・ビーツの魔術師 Luke Vibert。LFO のライブで完全燃焼したクラウドを相手にラウンジ風のトラックをドロップしていくという始まりだったので、アフター・アワーズ的なチル・アウトのセットになるのかと思いきや、時間が経つにつれてそのプレイは、ヒップホップ、ジャズ、テクノへと次々に変化を遂げていく。そんなWarp 随一の多彩なスタイルを持ち合わせる彼の魅力を余すところなく伝える見事なプレイは、再びピーク・タイムのノリをフロアにもたらし、場内に残ったクラウドを最後まで湧かし続けるのであった。 | |
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