DATE : 29th July, 2006 (Sat)
PHOTOGRAPHER : Masanori Naruse / Yasuyuki Kasagi / 宇宙大使☆スター
TEXT : Kei Tajima (HigherFrequency)
昨日のオールナイト・フジで燃え尽きてしまった筆者ではあったが、お目当てのバンド Mystery Jets のショーを観るため、少々早起きして Red Marqueeへ向かう。音的には Arctic Monkeys や Franz Ferdinand ファンに好まれそうなこのバンドだが、ギター/ヴォーカルの Henry がキーボード/ ヴォーカル Blaine の実の父親というギミックを持っていることでも有名であり、また、台所用品を使って一風変わったライヴを行うことでもシーンを賑わせている。この日もスマッシュ・ヒット ‘You can’t fool me Dennis’ をはじめ、彼らの雑多な音楽性が表れた楽曲を満員のオーディエンスの前で披露。日本初来日となったギグに期待を膨らませて集まったファンの期待を裏切ることのない、一体感のあるライヴをしてくれた。そんなMystery Jets のショーも半ば、昨日1日持ちこたえてくれていた天気が崩れはじめ、会場には大粒の雨が降り始める。しかし、ここは苗場。各地から遥々集まった音楽ファンはそんな天候にもめげず、次に筆者が向かった Green Stage には、The Hives のショーを観ようと、多くのファンが集まっていた。以前ライヴを観たときよりも、シャープになった印象のヴォーカリストHowlin’ Pelle Almqvist だったが、観客に向かってダイヴし、ステージ上を走り回るなど、相変わらず破天荒なライヴを繰り広げてくれた。 | |
さすがに昨晩の疲れが出始めたのか、熱気の充満するRed Marquee で行われたデンマークのダンス・ユニット Junior Senior のジャンルを卓越したパワフルなショーにも、気持ちを高ぶらせることが出来なかった筆者。「ホテルに戻って少し寝ようかな…?」と思わず弱気になってしまった筆者の足取りを少し軽くしてくれたのが、電気グルーヴによるライヴであった。彼らの存在のよって、ダンス・ミュージックの世界に足を踏み入れた筆者だけあって、一曲目の ‘N.O.’ に始まり、’Shangri-La’ へと続いたイントロにはグッとこみ上げてくるものがあった。この頃には雨も止み、澄み切った夜空の下、‘かっこいいジャンパー’、’あすなろサンシャイン’など、ファンにはたまらない楽曲の数々が披露され、終盤の ’富士山’ では、ピエール滝がお決まりの富士山衣装を着て登場するなど、宇川直宏の VJ も手伝って、いささかタイムトリップしたような気持ちにさせられてしまった。そんな電気グルーヴのライヴの後、筆者はそのまま二日目のトリである Red Hot Chili Peppers のギグを観ることに。流石はフジロック3日間の中でも最高の動員数となっていた日だけあって、会場は通常の倍とも言える人々で膨れ上がっていた。そんなオーディエンスを前に登場した Red Hot Chili Peppers は、ニュー・アルバムからの楽曲 ‘Dani California’ や “Californication” の名曲 ‘Scar Tissue’ など、ヒット・チューンを飛ばしていく。ニュー・アルバムがリリースされたばかりということで、キャッチ・アップしていない筆者には多くの楽曲が耳に新しいものであったが、バンドのコンディションも相当良かったのだろう、曲の知識あるなしに関わらず、このバンドの持つエネルギー、そして全メンバーのカリスマ性はビシビシと伝わってきた。 | |
あっという間に夜は更け、この日の Red Marquee にも、マッシュ・アップの元祖2 many DJs ことDavid & Stephen Dewaele 兄弟が中心になって形成されているベルギーの人気バンドSoulwax が別名義Radiosoulwax presents Niteversionsとして行ったライヴ・ショーや、ブレイクス・シーンの第一人者 DJ Hyper が中心になって結成されたバンド Hyper の DJ Set を目当てに多くのオーディエンスが集まった。マッシュ・アップ好きのフジロッカーズのハートを鷲?みにしていた Radiosoulwax presents Niteversions や 2 Many DJs のセットも印象深かったが、何と言っても筆者を楽しませてくれたのはダンス・シーンのヒーロー Junkie XL によるセットだろう。自らデッキに上ってオーディエンスを煽り、エア・ギターを披露するなど、ロック・スターさながらのパフォーマンスを見せながら、Depeche Mode ’Enjoy the Silence’ のリミックスや、自身の楽曲 ‘Breezer’ を含む、底抜けに明るいプログレッシヴ・ハウス・チューンの嵐で一気に会場の雰囲気を4つ打ちモードに変えてしまった Junkie。終盤にドロップされたColdplay の ‘Square One’ など、ロック系アーティストの楽曲は数曲プレイしたものの、セットの中核を占めていたのは純粋なダンス系トラックであり、自身のスタイルは崩さずに多くのオーディエンスを虜にしてしまうその実力には圧巻。筆者もそんなベテラン・アーティストのただならぬパワーを感じながら、気持ちのいいビートにただ身を任せ、この日も懲りずに朝方まで踊り続けるのであった。 | |
関連リンク