HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

WIRE 06

WIRE 06 @ YOKOHAMA ARENA

DATE : 2nd September, 2006 (Sat)
DJs : Disco Twins, Felix Krocher, Fumiya Tanaka, Jeff Mills, Ken Ishii, Michael Mayer, Richie Hawtin, Takkyu Ishino, Westbam,Toby
Live Acts : Afra &Incredible Beatbox Band, Alexander Kowalski, Alter Ego, Beroshima, Hardfloor, Joris Voorn, Ryukyudisko, Secret Cinema, TokTok
Special Guest Live : Nitzer Ebb
PHOTOGRAPHER : Main Floor Photos by Tsukasa Miyoshi _ 2nd Room Photos by Takayuki Mishima
Text : Kei Tajima (HigherFrequency)

 


日本最大規模を誇る屋内レイヴ・パーティー Wire が今年も横浜アリーナで行われた。今年は9月にその開催の時期を移し、出演アーティストにも Richie HawtinJeff Mills、Michael Mayer など、日本人に特に人気の高いテクノ・アーティストの名が揃ったことから、“夏休みの終止符”的なイベントとして高い注目を集めていた。当日は9時からスタートする Nitzer Ebb のギグに間に合うよう、早めに会場入りした HigherFrequency 一行であったが、筆者が会場に足を踏み入れると、そこには既に例年通り Wire Tシャツやタオルを身に着け、会場中を颯爽と歩き回る多くの “Wire クラウド”の姿があった。コアな音楽ファンに限らず、お祭り好きのクラウドまで集めてしまう Wire のお茶の間への浸透率に感心しながら一年ぶりに訪れた会場を探索していると、いよいよメイン・アリーナでは Nitzer Ebb のステージが始まる時間に。ステージの最前列となっていたG エリアの入り口はセキュリティーのお兄さんもテンパる程混み合っていたものの、一歩足を踏み入れれば自由に手足が動かせるほどのスペースと、巨大なオブジェが吊るされた広い天井が広がっており、通常のクラブ・ナイトでは得られない開放感を感じることが出来た。さすがは横浜アリーナである。

WIRE 06
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そんな中、今回の Wire で ’95年に活動を停止してから再結成後初となるライヴをスタートさせた Nitzer Ebb は、元祖インダストリアル・バンドの名に相応しく、ダークでメタリックなライヴを展開していく。しかしその後 ”Control I am Here” がプレイされると、雰囲気は一転、一気にアップリフティングでアグレッシヴな方向へ向かい、シャツを脱ぎ捨て(年のわりに)かなりステキな体をした Douglas McCarthy と後方でドラムを叩く Bon のテンションも最高潮に。終盤には名曲 “Join In The Chat” を披露し、会場前方に集まっていた平均年齢の高いクラウド層の涙を誘うエモーショナルなセットを展開してくれた。続いて筆者は Beroshima こと Frank Muller のライヴ・セットが行われていたセカンド・ルームへ。毎年ものすごい混雑をみせるセカンド・ルームだが、今年の混雑ぶりは異様とも言える程で、室内は温度低めのサウナと化していた。Beroshima によるバンギングなテクノ・セットののち、Michael Mayer がシンプルなエレクトロ・ハウス・セットをスタートすると、バンギングなテクノを求めるクラウドには刺激が足りなかったのか、会場にはやっと自由に踊れるスペースが出来始め、Michael 目当てでフロアに集まったクラウドは笑顔で踊り始める。一定のトーンをキープしていた Michael も次第にテンポを上げ始め、どんな大舞台でもマイペースなセットをみせる Michael らしい心地よいエレクトロ・セットを見せてくれた。しかし、そんなセットも筆者には少々単調なセットに聴こえてしまい、フード・エリアで腹ごしらえをした後、メイン・アリーナの Ken Ishii のセットを見ることに。個人的に Ishii 氏のセットを見るのは久しぶりではあったものの、旬なエッセンスを取り入れながらも、持ち前のドライヴィンなセット・スタイルでクラウドをロックしていく彼の姿にはある種の貫禄を感じずにはいられなかった。

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そんな Ken Ishii のセットののち、メイン・アーティストには Alter Ego が登場。筆者にとって Wire で彼らの姿を見るのは今年で二回目だが、今回もツボをついた渋いテクノ・チューンで観るものを魅了し、終盤にはファン待望の 'Rocker' もプレイ。最高の一体感を演出してくれた。そして、続くメイン・フロアには筆者にとって今回の Wire の目玉とも言える Richie Hawtin が登場する。最近の東京でのプレイでは激しい、サディスティックなテクノ・セットが多かった Richie Hawtin だが、この日は、何よりも踊れるビッグ・チューンを期待していたであろう多くのクラウドを目前に、そのスタイルを曲げることなく、彼の真骨頂であるインテリジェントで上質なミニマル・セットを披露し、相当のインパクトを与えてくれた。そんな Richie Hawtin の素晴らしいセットを堪能した後は、Tok Tok がブースに登場、普段よりもバンギングにフロアを沸かせていた彼らに続いて、今年の Wire のトリである Jeff Mills が大きな歓声と共にメイン・アリーナに現れた。と同時に、疲れきった顔をしていたクラウドの顔に笑顔がこぼれ始め、アリーナは瞬時に人でいっぱいになる。それは、Jeff Mills というアーティストが日本のテクノ・シーンに対してどれほど大きく貢献してきたかがダイレクトに伝わってくる瞬間だった。ただ、残念ながら今回の Jeff のセットからは彼がその音楽を通して伝えようとしていたメッセージは筆者には伝わってこなかったため、’The Bells’ や ‘Strings of Life’ といったトラックに歓喜するクラウドを残し、筆者の Wire’06 はここでタイムアップとなった。例年にも勝る動員を記録し、国民的クラブ・イベントとしてその認知度を広め続けている Wire。来年もまた多くのクラウドを魅了するような内容に期待したい。

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