HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

WIRE 05

WIRE05 @ 横浜アリーナ

DATE : 16th July, 2005 (Sat)
PHOTOGRAPHER : Kazuhiro Kitaoka & Tsukasa Miyoshi
TEXT : Kei Tajima



日本最大級の屋内レイヴ・パーティー WIREが今年も横浜アリーナで開催された。クラブ・ミュージック・ファン、特にテクノ・リスナーには夏恒例の一大イベントであるこの WIRE、HigherFrequency もレポートを行なった昨年のイベントでは、2日間に分けられて開催されたのだが、今年は例年通り一日開催に戻り、世界中からこの日のために終結したテクノ系アーティストによるステージが合計14時間 ノン・ストップで展開されるという密度の濃い内容でクラウドを楽しませてくれることとなった。

WIRE05
DJ TASAKA HATIRAS
FRANK MULLER RYUKYUDISKO
ELLEN ALLIEN SHIN NISHIMURA

これぞ「日本の夏」といった典型的な蒸し暑い日、HRFQ が一年ぶりに新横浜に到着すると、時刻はすでに午後6時をまわっていた。先日インタビューを行なった Ellen Allien のギグに間に合うよう、足早に会場である横浜アリーナへと向かう。毎年 WIRE へ訪れる観客の目を楽しませてくれるのが、メイン・アリーナのデコレーション。昨年は惑星や宇宙を感じさせる装飾が印象的だったが、今年は中心の大きいミラーボールを軸に、空中にレーザーが飛び交う神秘的な空間が筆者を待ち受けていてくれた。ステージ上では Ryukyudisko によるライブが行なわれており、テクノのビートにまさしく沖縄なヴォーカルやリズムが絡むという、独特の音楽観を披露しているところだった。ちょうどメイン・アリーナの隣に位置するフード・エリア WORLD CAFE で売っている沖縄料理とシンクロする音楽を楽しみながら一息ついていると、ライブ・ステージと反対側に位置するDJブースには、Ellen Allien が登場。彼女のキュートな姿には似つかない、硬派でソリッドなテクノ・ミュージックがアリーナを包んでいく。先日リリースされたニュー・アルバム “Thrills”からのトラックも混ぜ合わせながら、お得意のスタイリッシュなセットを披露してくれた。続いて再び反対側のライブ・ステージに登場したのはベルリンの Tok Tok。ハイパーなステージングを見せる二人が奏でるレトロなエレクトロニカはこちらの気分までハッピーにしてくれたのだった。

WIRE05
TOK TOK JORIS VOORN
HELL KAGAMI
THE MODERNIST TAKKYU ISHINO

続いて、DJブースには5月末に来日した際のセットでも最高のセットを披露してくれたジゴロ隊長 DJ Hellが登場。Tiefschwarz の”Blow”から Play Paul による Green Velvet “La la land”のカヴァー、Bloc Party の ”Like Eating Glass” のリミックス、Juliet “Avalon” までをミックスする、Hell らしいダーティーでエレクトロなセットで楽しませてくれた。そんな彼のジゴロ節にすっかりノック・アウトされてしまった HRFQ だが、The Modernist のセットを聴くべく2階のセカンド・フロアへ移動、アリーナとは一味違った、ダークな音の似合うセカンド・フロアで聴くディープな音楽を堪能していると、フロアは入場規制がかかるほどの混雑をみせはじめる。そんな中、続いて登場した DJ Tanaka Fumiya は The Modernist がビルド・アップした雰囲気を継承するかたちで、クリック〜ミニマル系の心地よいセットを披露。さすがはベテランといったセットに、筆者も体の中からジワジワと沸きあがってくる高揚感に浸りながら、ただ音に身を任せていた。

TAKKYU ISHINO
FUMIYA TANAKA 808 STATE
REINHARD VOIGT WESTBAM
ABE DUQUE VANGUARD

WIRE の立案者であり、日本のテクノ・シーンを代表する DJ Takkyu Ishino による貫禄のセットでヒート・アップされたメイン・アリーナでは、アシッド・ハウスのレジェンド 808 State がそのライブ・セットをスタートしたところだった。Graham によるDJセットは何度か聴いたことがあるものの、筆者にとって彼らのライブ・セットは初体験であり、次から次へとプレイされるクラシックスの数々には、まさしく感動の一言。808 State がフロアじゅうをセカンド・サマー・オブ・ラブの空気で覆いつくしてしまい、ステージを後にすると、WIRE ではすっかりお馴染みとなった WESTBAM がチャーミングな帽子をかぶってDJブースに登場。お得意のパフォーマンスを見せながら、拡声器でクラウドを煽りつつ、ハイパーなセットで盛り上げていく。WESTBAM によるセットの後、再びセカンド・フロアへ向かった HRFQ を迎えてくれたのは、Secret Cinema によるライブ・セット。さすがはライブに定評のある彼だけに、激しいながらも非常に深みのあるセットを披露してくれた。

WIRE05
BAD BOY BILL SECRET CINEMA
RENATO COHEN JOEY BELTRAM
LUKE SLATER TOBY
CHRIS LIEBING

長時間にわたって行なわれてきたテクノ・シーンのパイオニアたちによるショーも、そろそろ終盤へと向かい、プレイされる音も徐々にアッパーになっていく。メイン・アリーナに登場した UK テクノ界の貴公子 Luke Slater によるバンギングでありながら旬を取り入れたグルーヴィーなセットに続き、いよいよ今年 WIRE の大トリを務める Chris Liebing がメイン・アリーナに登場。今年は昨年のイビザの活躍などを評価され、ドイツのダンス・ミュージック・アワードにおいても、見事ベスト・アーティストに輝くなど、世界中で最も注目されていると言っても過言では無いほどの人気を誇る Chris。お得意のハード・ミニマルなスタイルと、満面の笑みでクラウドたちを沸点以上に沸かし、最後には、Chris 自身がオーガナイザーに頼み込んでまでアンコールに応えるなど、アリーナを埋め尽くした満員のクラウドを前に、WIRE 史上最長となる14時間半にわたる長い夜を締めくくるに相応しい感動のフィナーレを披露してくれたのであった。

WIRE05
WIRE05
WIRE05

PHOTO CREDIT

TSUKASA MIYOSHI
FRANK MULLER / SHIN NISHIMURA / JORIS VOORN / THE MODERNIST / FUMIYA TANAKA / REINHARD VOIGT / WESTBAM / VANGUARD / BAD BOY BILL / JOEY BELTRAM / LUKE SLATER / CHRIS LIEBING

KAZUHIRO KITAOKA
DJ TASAKA / HATIRAS / RYUKYUDISKO / ELLEN ALLIEN / TOKTOK / HELL / TAKKYU ISHINO / 808 STATE / KAGAMI / ABE DUQUE / SECRET CINEMA / RENATO COHEN / TOBY & ALL THE OTHER PHOTOS

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