DATE : 5th June, 2004 (Sat)
PHOTOGRAPHER : Jim Champion
James Zabiela インタビュー in Tokyo (2004/06/05)
James Zabiela バイオグラフィー
イベント詳細
ヨーロッパにおける最も伝説的なパーティーのひとつであり、現在のプログレッシブ・シーンの潮流の源であったと言っても過言ではないルネッサンス。WOMBというベスト・パートナーを得て、東京のクラブシーンにおいても見事にその遺伝子を植えつける事に成功してきた彼らが、3月末のHernan Cattaneo、5月初旬のDave Seaman + Phil Kに引き続いて、20代半ばにしていきなりスターダムに躍り出たJames Zabielaを次なる刺客として送り込んできた。 | |
初来日となるこの若きライジングスターを一目見ようと多数のクラウド達が駆けつけ、オープニングを飾ったOhnishiのプレイが佳境に差し掛かる頃には、会場は既に超満員。やがて訪れる大興奮のひと時を予感させるようなジワジワと上がっていく選曲に、徐々にフロアは一体感を醸し出し始める。 そして、遂にJames Zabielaが登場。大歓声を持って迎えるクラウドに笑顔で応えながら、静かに1曲目をスタートさせる。ミステリアスなテキスチャー系サウンドでしばらくじらした後、James自らがMark Ashkenとのコラボレーションの元に制作した"Double Your Acid"をいきなりプレイ。マック内蔵のヴォイス機能を使って作られたと言われる「BASS」というサンプル音を効果的にカットインしながら、同時に背後のスクリーンに「BASS」という文字を映し出すという、視覚と聴覚の両方に訴える空間を演出し、のっけからフロア全体の期待感を煽っていく。 Jamesのスタイルは、ブレイクスとテックハウス、そしてプログレッシブ・ハウスと、ジャンルの壁を突き破りながら縦横無尽に駆け巡るアグレッシブなもので、その意表を突く展開に当初は若干の戸惑いを見せていたクラウド達も、徐々にその流れに体を任せていくようになる。そして、ブースの中をエネルギッシュに動き回り、時折リズムに合わせてジャンプするJamesに呼応する形で、フロアは次第にヒートアップ、何度もクライマックスを迎えていくのであった。 | |
やがて背後のスクリーンに大きな手を映した映像が登場、遂に新世代のDVDプレイヤー、DVJx1sが日本のプログレッシブ・ファンの前で本格的に実戦投入される瞬間がやってくる。それは、Jamesが曲に合わせてスクラッチをすると、背後の映像も合わせて動いていくというシンプルなものであったが、DJプレイというものの新たな時代を感じさせるのに十分な内容であったと言えるだろう。 その後も、ブレイクスとハウスの間を行き来しながらも、一貫したダビーなベースとタイトなリズムでフロアを揺らし続け、時折スクラッチをしたり、サンプルをオーバーラップさせたりしながら、とにかくブース内を動き回っていたJames。最後の数曲になると、いわゆる「ルネッサンス系」と呼ばれるようなプログレッシブ・チューンも何曲か登場するが、それもまた怒涛のブレイクスの渦に飲み込まれていくと言った感じで、ジャンルとかアイコンに縛られがちな我々をあざ笑うかのような自由度の高いパフォーマンスを徹底して披露してくれた。 翌日行われたインタビューの中で、「僕のサウンドって、いわゆるルネッサンス的なものじゃないでしょ。だから、彼らがなぜ僕にアプローチしてきたのか分からなかったんだよね」と語っていたJames Zabiela。それは、ルネッサンスもまた変化していく必要性を感じていると言う事に他ならず、その彼らの選択は決して間違っていなかったことを見事に証明してくれた彼の初来日公演であったと言えるだろう。 |