’07年にリリースしたアルバム "In Between" も好評のグローバルDJ、 Paul van Dyk が今年の2月に再び来日を果たした。今回は、この10年間支持してくれた東京のファンへ感謝をこめて Paul 自身が要望したという東京でのスペシャル・パーティーで、平日開催だったにもかかわらず非常に多くのファンが集結。その王者たる貫禄、Traktor を駆使したマジシャンの様なプレイをみせつける直前に HigherFrequency がインタビューを決行し、彼のバック・ボーンやプロデュース作業の環境など、意外と知られていない重鎮の裏側なども訊くことができた。
> Interview : Ryo Tsutsui (HigherFrequency) _ Translation : Len Iima (HigherFrequency) _ Introduction : Masanori Matsuo (HigherFrequency)
HigherFrequency (HRFQ) : あなたの音楽的バックグラウンドを教えてください。
Paul Van Dyk : 僕は12歳のころギターを少し習っていたことがあったな。10代のころ、僕は東ドイツで育ったから、どこのクラブにも行くことができなかったんだ。だから僕はずっとラジオを聴いていた。ベルリンの人気ラジオ局の番組を聴いて音楽の知識を得たんだ。その後ベルリンの壁が崩壊し、僕は全てのクラブに足を運んだんだ。でもかかっていた音楽は退屈なものばかりだった。だからレコード屋にいって、それまでに聴いたことのあった曲を中心に何曲か買って、自分や友達用にテープを作ったんだ。その友達の一人がプロモーターにそのテープを渡してくれて、それで僕の初めてのギグが決まったんだ。そこで始めてプレイするや否やこれこそが自分のやりたいことだったんだと感じてね。それでのめりこんでいったんだ。
HRFQ : 楽曲のプロデュースにはどのような機材を使われてらっしゃるんですか?
Paul : まずスタジオの中心に大きなMacintoshのコンピューターがあって、ソフトシンセサイザーもハードのシンセもたくさんあるよ。それに大きなeuphonixのコンソールにK&Hのスピーカー、一通りそろった環境でやっているかな。
HRFQ : あなたは自分のメッセージや感覚を表現する手段として音楽をプロデュースされますか?それとも純粋に音楽として制作されているのでしょうか?
Paul : 僕は気持ちを込めて音楽を作っている人っていうのは皆、自分自身を表現していると思っているんだ。というのは何か伝えたいテーマがあったとして、そういうテーマを伝えたいと思うに至った何か理由があるはずなんだけど、その理由というのは大体の場合非常にパーソナルなものであることが多いと思うんだ。だから音楽を作るというのは、テーマがあったとしても、結局は自分自身を表現するということなんだと思うんだよね。実際の工程は非常に音楽的なプロセスなんだけどね。
HRFQ : DJとして非常に思い出に残っている出来事を何か教えていただけますか?
Paul : すばらしい瞬間をたくさん経験してきたけど、特に記憶に残っているのは去年の8月にニューヨークのセントラルパークでショーをしたときのことかな。チケットがソールド・アウトになって2日間やることにしたんだけど、金曜日のショーのときにかなり激しく雨が降ってきてしまってね。だけど皆帰らなくて、その場に残って楽しんでくれてね。すごくいいパーティになったんだ。その感じがすこぐ強烈な感覚で、もう僕は下に降りていって一人ひとりと握手して「サポートしてくれてありがとう!」ってお礼を言いたかったぐらい特別な体験だったな。
HRFQ : 私達はあなたはいつも巨大な場所でしかプレイしないようなイメージを持っていますが、小さな場所でプレイすることもあるんですか?
Paul : 今日なんか小さいじゃない!あえて小さい場所でギグをセットすることはあるよね。すごく楽しいからね。何週間かまえにもベルリンの” Weekend”っていう小さなスペースでやったんだよ。僕は両方好きなんだよね。大きな箱とか大きなフェスも好きだし、小さい箱も好きだよ。僕はお客さんとの掛け合いが好きだし、大きい場所と小さい場所ではその掛け合いの質がすこし違うからね。
HRFQ : 最近、ダンスミュージックのアナログからデジタルへの移行がいよいよ本格的になってきています。このシチュエーションに関してどのようにお感じになられますか?
Paul : いいことだと思うよ。皆もう、どっちにしてもアナログは買わないから、そうだとすればきちんとデジタルで流通することで、皆音楽を買っているわけで、ネットから盗むよりずっといいと感じている。
HRFQ : では最後に日本のファンにメッセージをお願いします。
Paul : 僕から皆に伝えられるのはありがとうってことだね。ここまでサポートしてくれてきたことにも感謝しているし、日本に来たときはいつもいい時間をすごしていって、離れるときにまたすぐに戻ってきたいって思うんだ。だからこれまで沢山のすばらしい時間をくれてありがとう。少しでもそれをみんなに返すことができればうれしいです。
End of the interview
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関連リンク
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Paul Van Dyk Official Site
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