名門クラブ Ultrashall などでDJ活動を行いながら'90年代後半、拠点をベルリンに移したあとは自身のレーベル Terminal M をはじめとする様々なレーベルよりファンキーかつカッティング・エッジなテクノ・チューンをリリースしてきた Monika Kruse。その後、石野卓球が主催する WIRE への出演や 'Latin Lovers' 等のヒットで世界のトップ・テクノ・アーティストとしての地位を築いた彼女は、'04年に新たに設立したレーベル Electric Avenue をラウンチしたころからミニマルでディープなサウンド・スタイルへと移行し、そこからの4年間に渡る音楽的経験や変化を抽出したサウンドが詰め込まれた待望のニュー・アルバム "Changes of Perception" がこの秋ついにリリースされた。
最新型のミニマル / テック・ハウス・サウンドが満載で、すでにフロア・ヒット中なものも多い同アルバム。 HigherFrequency は、そんな話題のリリースを果たしたばかりの彼女へインタビューを決行し、気になるアルバム制作でのエピソードをはじめ、貴重なプライベートの話、そして11月22日に決まった Warehouse702 来日公演への意気込みなど、多くの話を訊いた。
Interview : Masanori Matsuo (HigherFrequency) _ Translation : Yuki Murai (HigherFrequency)
HigherFrequency (HRFQ) : 待望のニュー・アルバム "Changes of Perception" を早速聴かせていただいたのですが、どの楽曲も使える、聴けるの素晴らしい完成度ですね!現に先行シングルはクラブ・ヒット中のものも多いのですが、今回のアルバムを通して何を表現しようとされたんですか?
Monika Kruse : 私が DJ を始めた頃はハウスをプレイしていて… 特に90年代終盤頃は、結構ハードなレコードをかけることで知られてたわ。でも、これまでの過去4年間、もっと先へ進まなければ、変わらなければ、という気持ちがあったの。もちろん 「人間が変わってしまった」 なんて事は言う気はないけれど、私は先へ進んだし、変化し発展して、経験を積んで、音楽に対して違うアプローチができるようになったと思う。それで、このアルバムではそういった新しい部分と、この4年間に受けた色んな音楽からの影響を表現してみようと思ったの。
HRFQ : 今回のアルバムは "Changes Of Perception" (知覚の変化)という興味深いタイトルなのですが、いったいどのような意味が込められているのでしょうか?
Monika Kruse : "Changes Of Perception" は、もしかしたら一部の人が 「Monika Kruse のニューアルバム」 として期待してた音とは違うアルバムかも知れないわね。人生の中で、同じものを別な角度から見て、異なる感想を持つことがあると思うけど、自分の視点って、経験とか、自分が置かれてる状況とか、自分がどこから来たのかによって変わるものでしょ。つまり、あなたは自分の視点と認識 - Perception を 変化 (change) させてるということよ。
HRFQ : 実際の制作はどういった環境で行なっているんですか?差し支えなければ使っている機材なども教えていただけたら幸いです。
Monika Kruse : 今回はヴォルムスにあるスタジオで Gregor Tresher と一緒にアルバムを作ったわ。使った機材は以下のリストの通りよ。
シーケンサー/音源:
Apple Mac Pro 8-Core 3 GHz, Apple MacBook Pro Intel Core Duo 2,4 GHz, 3 x UAD-Card inkl. Nevana X2 Pack, Apogee Duet, RME Multiface, MOTU 2408 mk3, Logic Pro 8, Ableton Live, Diverse Software (NI, Arturia u. a.)
シンセサイザー:
Moog Minimoog Model D, Korg Mono/Poly, Korg, MS2000r, Roland SH-101, Roland TR-808, Roland Juno-60, Roland JX-3P, Nord Micro Modular, Jomox
M-Base 01, MAM ADX-1
外付けボード/エフェクター:
SL 4000 G Mixbus Compressor, Waves L2 Ultramaximizer, Telefunken V672 Preamp, Ensoniq DP Pro, TC
Electronic D-Two
デッキ:
Yamaha 02R + 3 x ADAT I/O, Korg Zero 8, Adam P11A, Adam Sub 10
HRFQ : あなたのレーベル Terminal M は、ここ最近 Erman Erim、 Stimming といった新人アーティストの作品をよくリリースされていますが、こういったニューカマーはどうやって見つけてきてるんですか?
Monika Kruse : Stimming は2年前にも、私の別レーベルの electric avenue から “gebruder ton” 名義でリリースしてるわ。ある夜、よく私のパーティーに来てくれる女の子が、「私の友達が作った曲ですごく良いから、是非よろしく」って CD をくれたの。聴いてみて私も確かに彼女の意見に同意せざるを得なかったわね。CD に入ってた10曲全部が素晴らしかったのよ。
HRFQ : '04年にも Dr.Shingo さんを通して当サイトのインタビューに答えてくれたあなたですが、あれから日本のクラブシーンは変化していると感じますか?
Monika Kruse : 日本のクラブシーンは少しだけ変わったと思うけど、テクノシーン全体では、音楽性は随分変わったと思うわ。
HRFQ : 最近、残念なことに渋谷の大型レコード・ショップ Cisco が廃業してしまいましたが、Cisco に関しての印象深い思い出などありますでしょうか?
Monika Kruse : Cisco が廃業したって最初に聞いたときは本当にショックだった。これまで、私のリリースもたくさん扱ってもらってたし、お店の皆さんがいつも本当に音楽にも仕事にも熱心だったのをよく覚えてるわ。 それに、Cisco の渋谷店に行ってレコードを買うのは私にとって絶対マストだったのよ。
HRFQ : ライブ・スケジュールからもわかる通り相変わらずのハードなDJ生活を送っているようですが、その美貌を保つために普段の生活で心がけていることはありますか?
Monika Kruse : 滅茶苦茶で大忙しな週末とバランスをとるために、平日はスポーツをたくさんして、なるべく健康に良いことをして、健康に良いものを食べるように気をつけてるわ。でも、私は食べるのが好きだし、カロリーが高いからって何かを食べないというようなことはないの。ありがたいことに、私の身体はうまいことカロリーをたくさん燃焼してくれるしね。
HRFQ : 音楽以外では他にどんなことに興味がありますか?例えば、めったにないとは思いますが、オフの日は何をして過ごしているのかとか・・。
Monika Kruse : もちろん、音楽とレーベルのことでは結構時間をとられてるんだけど、スポーツとかヨガをやって、なるべく友達に会いに行くようにしてるわ。 ”No Histrical Backspin” というチャリティー事業 (訳註:’00年にスタートした、クラブシーンを通して人種差別に反対するというプロジェクト) もやっているし、ファッションやカルチャー、アート、それに旅行するのも大好きね。
HRFQ : 今回出演される東京のクラブ Warehouse702 に関してはどんな情報をお持ちですか?
Monika Kruse : いい話を聞いてるわよ。Cirillo が先月 Circoloco のパーティーでプレイして、すごく楽しかったって教えてくれたの。だから Warehouse702 の Berlin Calling でプレイするのが本当楽しみだし、それに日曜朝に他の場所でアフターアワーをやるんだけど、それも楽しみだわ。
HRFQ : それでは日本のファンにメッセージをお願いします!
Monika Kruse : また日本に来れて嬉しいわ。東京が大好きだから、イベントの前後の数日間居るつもりよ。それでは、土曜日の Warehouse702 “Berlin Calling” で会いましょう!
End of the interview
BERLIN CALLING by LONDON CALLING feat. MONIKA KRUSE
11月22日(土) @ Warehouse702 _ 22:00〜
Door : Y4,000(1d) _ w/flyer : Y3,000(1d)
DJ : Monika Kruse, Munoz, hina, Ivan Kuzbass
Music : Techno
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関連リンク
Monika Kruse Official Site
Monika Kruse Myspace Page
Terminal M Official Site
Warehouse702 Official Site