HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Dave Seaman


Dave Seaman によって発足した UK の Renaissance 傘下のレーベル Audio Therapy から、オーストラリアの鬼才 Phil K をフィーチャーしてリリースされた2枚組ミックスCD"Therapy Sessions"は、多くのプログレッシブ・ハウス・ファンに受け入れられ、DJ/プロデューサーとしてだけではなく、レーベル・オーナーとしての Dave の才能を世界中に知らしめた。05年3月、早くもその"Therapy Sessions"の第二弾が、再びオーストラリア出身のプロデューサー Luke Chable をフィーチャーしてリリースされることとなり、そのリリース・パーティーが3月20日に渋谷 WOMB で行われた。

Luke Chable と言えば、オーストラリアのダンス・ミュージック・シーンを代表するプロデューサーの一人。独特なグルーブ感とメロディアスなセンスが一体となったハイクオリティなサウンドで世界中のトップDJたちをうならせ、今や次なるシーンを背負って立つ期待のアーティストとして大きな注目を集めている存在だ。

そんな二人に HigherFrequency がインタビューを敢行。プレイ直前の Dave に話を訊くことが出来た。

> Interview : Matt Cotterill (HigherFrequency) _ Translation : Kei Tajima (HigherFrequency) _ Photo : Mark Oxley (HigherFrequency) _ Introduction : H.Nakamura (HigherFrequency)

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HigherFrequency (以下HRFQ) : 今日は貴重な時間をありがとうございます。

Dave : こちらこそ。

HRFQ : 今回は、前回から6ヶ月ぶりの来日となりますよね?

Dave : そうだね…確か6ヶ月だったよな…11月の後半だったから…そんなところだな。引っ越ししたりして、時間が経つのがすごく早かったよ。

HRFQ : どこにお引っ越しされたんですか?

Dave : :ニューアークという、ノッティンガムに程近い町だよ。今度は一戸建てに引っ越したんだ。というのも、今までずっと賃貸マンションに住んでたんだけど、俺のものはずっとダンボールに入りっぱなしで、全然整理されてなくてさ。引っ越して、やっとスッキリしたって感じだよ。それに…実は結婚するんだ。

HRFQ : そうなんですか?おめでとうございます。

Dave : フィアンセが妊娠してね…

HRFQ : それは2倍おめでたいですね!

Dave : 今年はかなり忙しい年になると思うよ。同時にすごくエキサイティングでもあるけどね。

HRFQ : さて、あなたのレーベル Audio Therapy の Therapy Sessions シリーズについて伺っていきたいのですが、まず、このプロジェクトを始めるにあたって何かコンセプトはあったのですか?

Dave : Audio Therapy を始める前から、Renaissance や Global underground から何枚ものミックスCDをリリースしてきたけど、ちょうど Audio Therapy を設立してから3年経って、そろそろレーベルのミックスCDシリーズをリリースしてもいい時期かなと思ったのさ。

コンセプトは…というと、俺のほかに Audio Therapy に関わっているアーティストには、前回の Therapy Sessions を手がけた Phil K や、今回の Luke (Chable)、Infusion や Lexicon Avenue、Pete Gooding などがいるんだけど、そういうアーティストのショーケース的なことをしたかったんだ。彼らがCDをリリースするきっかけをつくるためにもね。それで、Phil が一番目のリリースで、今回の Luke が二番目だったというわけ。こういう感じで、これからもリリースを続けていくつもりだよ。

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HRFQ : 今回のミックスCD、特にあなたのミックスには、ファンクやロックなど前回よりもさらにエクレクティックな要素が含まれているそうですが…?

Dave : 全部プログレッシヴ・ハウスと呼べるものをコンパイルしたつもりだけどね。最近ではジャンル分けがどんどん難しくなってきて、境界線がすごく曖昧になってきていると思うんだ。あえて説明すれば、今回のミックスは少しハウシーな感じでスタートして、20/20 Vision のミックスや Silicon Soul のトラックに続いて少しずつエレクトロな方向に向かっていく。そこで FC Kahuna のリミックスや、James Holden のトラックが入ってきて、Killahurtz のロックっぽいプログレ・ミックス以降は、エンディングに向かってプログレッシヴ全開な感じになってるよ。でも、俺にしてみれば、ここに入っているトラックは全部プログレッシヴ・ハウスなんだ。俺のレコード・ボックスには、DJ Gregory から Funk D'Void まで入ってる。ジャンル的に言えば、フレンチ・ハウスとテクノなわけだけど、そういったものも全てプログレッシヴ・ハウスという解釈をしてるのさ。

HRFQ : それはある意味興味深いコメントですね。今となってはほとんどのアーティストがプログレッシヴ・ハウスというラベルを貼られることを嫌っていて、言葉自体も何だか汚いものになってしまいましたよね?それについてはどう思われますか?

Dave : その通りだよ。確かにプログレッシヴ・ハウスという言葉は、最近ではまるで汚い言葉のような扱われ方をされているからね。だけど、俺にとってプログレッシヴ・ハウスとは、ジャンルではなくスピリッツなのさ。メインルームでかかるダンス・ミュージックであり、エレクトロニックをベースにしたハウスであり、常に進化を続けながら、いつも違うことにトライして、そしていつもヒネリのある音楽…それがプログレッシブ・ハウスのスピリッツであって、これは決してジャンルではないんだ。よくみんながプログレのことを、「ドン、ドン、ドン、ドン」と鳴っているだけの退屈なジャンルだって言うけど、そりゃ確かにそれだけだとつまらないさ。でも、それがプログレの全てだと言ってしまうのはあんまりじゃないかな。

HRFQ : Audio Therapy から今後控えているリリースはありますか?

Dave : もちろんさ。ここ最近6ヶ月の間でやってきたことにはすごく満足していて、ようやくレーベルとしての環境が整ったって感じなんだ。Scott Dawson っていうレーベル・マネージャーも加わったし、これから半年先のリリースもしっかり決まっていて…クオリティーの高い作品がコンスタントに5〜6作品ほどリリースされていく予定もなっているよ。

HRFQ : 楽しみにしています。最近耳にしたのが、あなたの新しいプロジェクト Across Borders なのですが、非常に面白い企画ですよね。旬なプロデューサーを…

Dave : 国ごとにピック・アップしてコンパイルする…

HRFQ : そのコンピレーション・シリーズの第一弾に選ばれた国がギリシャだったわけですが、ギリシャを選ばれた理由を教えてもらえますか?

Dave : ギリシャから送られてくるデモのがとにかく多くてね。それに何曲かは既に契約を結んでいた曲もあったし…。例えば、Tone Def や Stel のトラック、それに Nick & John Dalagelis のトラックとかね。で、Wooden Swords シリーズの時に更に曲が集まったから、手元にあるギリシャのアーティストの作品を集めて、アルバムが出せるんじゃないかって思ったんだ。そうしているうちに、ドイツもやろうってことになって…だったらこの企画をシリーズ化して、国ごとにどんどんリリースをしていこうってことになったのさ。

地域ごとに作品を出して、認知度を上げていく作業は、僕たちにとっても光栄なことだし、シーンを団結させることにも繋がると思う。それに、プレスやメディアの興味を引くことにもなるしね。才能のあるアーティストがバラバラに出てくるよりも、力を合わせ、一緒になって出てくるべきなのさ。お互いに叩き合うよりも、今のダンス・ミュージック・シーンは団結が必要だと思うんだ。

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HRFQ : 素晴らしいコンセプトだと思いますよ。ギリシャとドイツの次なんですが…日本の可能性はありますか?

Dave : もちろん、やることになるだろうね。最近ではどこにプレイしに行っても、最低5〜6枚は音源を渡されて、だいたいその中にはいいものが入ってる。本当にありとあらゆる所から才能のあるプロデューサーが出てきているんだ。名前の知られているアーティストにはもちろんだけど、リリースを経験したことのないアーティストにとっても、こういったコンピレーションはすごくいいチャンスなんだ。ビック・ネームの横に自分の名前が載るわけだからね。彼らにとって最高のきっかけになるというわけさ。

HRFQ : 今日のセットでは、今度の Across Borders に収録されるギリシャのアーティストのトラックはプレイされる予定ですか?

Dave : たぶん…そうだね。セットのことはまだちゃんと考えてなかったよ。(笑)今ここについたばっかりだし、30分前に起きたばかりだから、まだ頭が回ってないのかも。昨日上海でプレイしたんだけど、朝6時まで終わらなくてね。それでそのまま朝9時の飛行機に乗って、東京に着いてからやっとベッドに入ったんだよ。まぁ、レコードは持ってきてるからプレイするとは思うよ。とは言っても、収録曲の方は、決定してる8曲以外まだ本決まりではない状態なんだけどね

HRFQ : あなたは"新しい才能の発掘家"として有名ですが、今までに、Phil K や Infusion、今回の Luke Chable を紹介して来られたように、近年は特にその目がオーストラリアに向けられているようですね。「メルボルンは才能のあるアーティストで溢れている」ともコメントしていらっしゃいましたが…

Dave : うん…そうだね。

HRFQ : 現在注目されているオーストラリアのアーティストはいらっしゃいますか?

Dave : オーストラリアからは、いつもすばらしい作品が出てきていて、実は先週までオーストラリアに2週間くらい滞在してたんだけど、今回もかなりの数の作品を受け取ってきたんだ。あの国はとにかく良い作品が多い国で、実際人口を考えると、ものすごく高い確率でクオリティの高い作品が出てきてると思うよ。

まぁ、これは長年やってきたことだし、Highland や Digby & Oliver のように随分昔に発掘したやつらもいる。今までもいろんな作品をリリースしてきたけど、これからも継続していくつもりさ。そこに良い音楽があって、スケジュールが許す限りはね。

HRFQ : その他に何か進行中のプロジェクトがあれば教えてください。

Dave : そうだね…さっきも言ったように、結婚することと、子供が出来たことで今は結構忙しいから、オリジナル・トラックを制作してることくらいかな…今年はツアーを減らして、スタジオに入る機会を増そうと思ってるんだ。随分長い間ツアーに出っ放しだったし、今は何より家族のために家にいることが大切だから、スタジオに入る時間を多くして、音楽制作に集中したいんだ。もうかれこれ3年もちゃんとしたオリジナル・トラックを制作してないからね。でも、今回の Therapy Session のツアーがあと1〜2ヶ月は続くし、時間が過ぎるのがすごく早そうだよ。

HRFQ : 予定日はいつなんですか?

Dave : 9月だよ。

HRFQ : ちょうど楽曲作りを終える頃ですね。

Dave : そうだね。

HRFQ : Dave,今日は本当にありがとうございました。あなたの今後のご活躍と、ご家族の健康を祈っています!

Dave : ありがとう

End of the interview

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