IBIZA 2004

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Judge Jules Interview in Ibiza 2004

プロモーター、イビサで最も盛り上がっているパーティーのレジデント、BBC Radio 1のナビゲーター、と様々な顔を持ちながら活躍するスーパースター、Judge Julesが今年もイビサへと戻ってきた。彼がSan AntonioにあるクラブEdenで毎週日曜日にオーガナイズするイベント"Judgement Sunday"は、イビサの週末を締めくくるに相応しいパーティーとして多くの人から愛されており、彼のプレイを一目みようと集まった多くのイギリス人でいつもごった返している。最近では、San Antonioのレストラン、Kasbahのオーナーにもなり、土曜日はBBC Radio 1への出演の為にイギリスに滞在し、そして翌日にはイビサでレジデントDJと、ますます多忙な毎日を過ごすJudge Jules。そんな彼にHigherFrequencyがインタビューを行い、今年のイビサの展望などについて話を聞いた。

> interview & photo : matt cheetham (HigherFrequency) / translation : h.nakamura (HigherFrequency)

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HigherFrequency (HRFQ) : 今年のイビサでのプランを教えていただけますか?

Judge Jules : EdenでやっているJudgement Sundayに関して言うと、もう今年で5年目を迎える事もあって、それほど大きな変更点を加えることはないと思う。しいて挙げるとすれば、サブフロアにもう少し力を入れるって事くらいかな。ここには、もうちょっとしっかりとした機能を持たせてやって、遊びに来ているお客さんにも、メインフロアーとは明らかに違った音楽の選択肢を与えてあげる事になると思う。以前はどちらかと言うと、サブフロアーを補助的なものとしてしか捉えていなかったんだけど、今ではとても大切な機能の一つとして考えていて、僕自身もメインとサブ両方のフロアでプレイする事にしているんだ。起用するDJに関しては今までと全く変わらずで、Ferry Cosrtenは今年も6回ほどエクスクルーシブにプレイしてくれる事になっているし、Eddie Halliwellも僕と一緒にレジデントを毎週やってくれる事になっている。あと、僕らが力を入れているのがSan Antonioにあるレストラン、Kasbahの営業。元々すごくやりたいと思っていた事だし、今のところすごく上手くっていっているから満足しているね。

HRFQ : また今年もイビサに戻ってくることになっての感想は如何ですか?そろそろここへ来るのが退屈になったりはしませんか?

JJ : 退屈だなんて全くありえないね。僕はここをすごく愛しているし、かつては一年中ここに住む事を考えていた時期もあったくらいなんだ。まぁ、結局は冬の間の3〜4ヶ月が余りに過ごしにくい事が分かったから、今は考えていないけどね。冬のイビサは静かだし、寒いし・・・勿論イギリスと比べるとそれ程ではないんだけど、その分湿気が多いんだ。その分夏は最高だけどね。

HRFQ : Judgement SundaysをEdenでやろうと思った理由は何ですか?

JJ : 僕が普段持っているお客さんのベースは、イビサに来る主要な国の人たち(注1)の中で、特にイギリス人だけに偏っていると言うわけではないんだ。かと言ってドイツやフランス、それにイタリアでしょっちゅうプレイをしている訳でもなく、むしろ皮肉な事に、スペインでプレイした回数が一番多かったりするんだけよね。でも、スペインの人にとってイビサは、ちょっと高級すぎるイメージがあるみたいで、普段僕がスペインでやっているようなトランスのイベントに来る様な人たちにとっては、あまり魅力的じゃないみたいなんだ。だから、イビサでパーティーをやる以上は、僕らがターゲットにすべきマーケットはやはりイギリス人だろう、という理由でEdenでやる事にしたというわけ(注2)。それともう一つの理由は、Edenが改築された際に、僕が色々とデザイン面で関わったと言うこと。ここは元々The Star Clubと言う名前のお店で、1階部分しかなかったものにもう一つ別の階を追加することで改築を行ったんだけど、その時に僕がDJブースの設計や、トータルのクラブの見え方などについて色々とアドバイスをする事になったんだ。まぁ、だからここで自分のレギュラーパーティーを持つことは、ごく自然の成り行きだったと言うべきだろうね。

(注1)1位がスペイン人、2位がイギリス人、3位がドイツ人、4位がフランス人とイタリア人
(注2)殆どの若いイギリス人はEdenのあるサン・アントニオ地域で遊んでいる

Judge Jules Interview

HRFQ : ゲストDJはどのようにして決めているのですか?

JJ : 殆どのゲストDJは、既に何回か僕のパーティーで回した事がある人が多いね。選ぶ基準は、腕のいいDJで、かつ僕らの良い友人である事。今夜プレイするFerryも僕らととても親しいし、Eddie Halliwellもそうだ。だからプロとして尊敬できて、個人的には友人になれるような人間を選んでいると言っていいかな。

HRFQ : 他の多くのパーティーがイビサへ進出しては、成功を収めないまま撤退していますが、これ程までに成功を収めているパーティーを運営する秘訣はなんなんでしょうか?

JJ : もうこれ以上、他のクラブにとってのマーケットがあるとは思えないね。僕らは、このパーティーをもう5年も続けてやっているんだけど、確かにその間にたくさんのクラブがイビサにやってきては、失敗して帰っていくのを目にしてきたよ。でも、そういった人たちは、良いDJを抱えるって事にあまりに頼りすぎてしまっていたからだと思うんだよね。確かに、僕は自分のパーティーのレジデントをやっていて、毎週そのパーティーでプレイしているわけだから、多少は他のパーティーよりも有利なスタートを切れたのかもしれないし、CreamはTiestoとPaul Van Dykの二人を交互にフィーチャーして毎週イベントを開催している。世界の2大DJが出るとなれば、そりゃお客さんは大勢来るよね。だから、DJは確かに大切な要素ではあるんだけど、でも、一方で一旦パーティーが上手く回りだして、みんなのイビサの日程表の中に必ず入ってしまうようになると、ある種の予定調和が始まってしまうと思うんだ。特にあるひとつのパーティーが大成功を収めてしまうと、同じハコで他のパーティーをプロモートするのはとても難しくなってしまうしね。どこのクラブでも良い日と悪い日とがあって、Spaceも日曜日は入っているけど、他の日はあまり入っていないみたいだし、Privilegeも月曜日以外は、8月の数週間を除いてあまり入っていなかったりするでしょ。Edenも混んでいるのは日曜日だけだし。

HRFQ : ところで、今年の夏、一番楽しみにしているイベントは何ですか?

JJ : 今年はたくさんフェスティバルへの出演が予定されていて、この間はHomelandでやったし、Global GatheringとCreamfieldsにも出る事になっている。あと他にも、幾つか小さいイベントにも参加することになっていて、Dance Valleyというドイツのイベントや、Tidy Weekender(イギリス)なんかにも出演するよ。これらは比較的小さなイベントなんだけど、大勢のお客の前でプレイすると、どうしてもコンサバな選曲にならざるを得ないところもあるし、それに、メチャメチャ盛り上がっているクラウドを前にプレイするスリルなんてものは毎週得られるものじゃないから、結構楽しみにしているんだよね。

HRFQ : 他の場所ではなく、なぜイビサで全てのことが起こったのだと思いますか?

JJ : 一つにはスペイン人がドラッグやパーティーに関して非常に寛容で、それらをむしろ観光客にアピールするために必要な要素として受けて入れているって事があると思う。あと、この島には色んなオプションがあるって事も理由としてあげられるかな。家族で訪れるリゾートの要素もあるし、クラブみたいに若者向けのオプションもあるしね。だから、スペイン以外の国ではこういった事は絶対に起きなかったと思うし、ここは18歳の無垢な少年としても、またプライベート・ジェットを利用するような大富豪としても楽しむ事が出来る唯一の島だと思うんだ。。

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HRFQ : イビサのシーンは、イギリスにおけるダンスミュージック・シーンの出現にどのような影響を与えたと思いますか?

JJ :みんなNicky HollowayやPaul Oakenfold、Danny Ramplingといった連中がここへ来て、アシッド・ハウスを発見してイギリスに持ち帰ったと言うけれど、仮に彼らがそうていなくても、イギリスにダンスシーンは出現していたと個人的には思うんだ。だって、当時からレコードはあったし、そもそもイギリスのダンスシーンの盛り上がりって、革新的なサウンドの出現とイギリスにおけるエクスタシーの広がりとが見事に一致したことで生まれていったものでしょ。だから、僕的にはイビサが無くてもイギリスにダンスシーンは出現していたと思うんだ。で、その中でイビサが果たしてきた役割は何かと言えば、やはりそれはレコードを宣伝するってことだったんだと思う。勿論、クラブでプレイされる曲もそうなんだけど、むしろバーでプレイされている曲の方がサブリミナル的な効果もあって、9月から11月にかけてイギリスやヨーロッパでリリースされると、たいていはヒット曲になったりしていたからね。だから、その意味でもイビサはダンスミュージックの宣伝を担う役割だったと言っていいんじゃないかな。

HRFQ : 初期の頃に比べて、イビサはどんな風に変わったと思いますか?

JJ : まだ多くのものが昔のままで残っていると思うよ。勿論、Edenのような新しいクラブも出来たけど、世界的な観点からみたところの「主要なクラブ」は殆ど健在だからね。確かに、数年前まではどのクラブも今よりずっと忙しかったし、それを考えると恐らく1/4から1/3の人たちをイビサは失ったことになるのかもしれない。でもそう言った人達は、あのいい加減な嘘つき番組「Ibiza Uncovered」 を観てやってきた人たちだと思うし、別に大勢に影響は与えていないと思う。むしろ、最近では全般的にクールな人たちが増えてきているし、イギリス系のクラブでは特にその傾向が強くなっているくらいで、ラガーを飲んで酔っ払っている奴らも少なくなったし、こういった背景を受けてイビサはますます強力になっていっていると思うよ。

HRFQ : 最近のイビサにおける値段の上昇が、お客を他の場所へと向けてしまう可能性はあると思いますか?

JJ : ナイト・クラビングという点だけを取ってみれば、イビサはそれ程までに値段が高いとは思わないね。それに、高級なレストランをとっても、他のリゾート地に比べれば決してそんなに高いわけでもないし。でも、ユーロが導入された事によって、多くのヨーロッパの価格が均一化される事になって、スペインにとってはそれが価格の高騰というものにつながってしまったのは事実だと思う。以前、イギリスのトラベルエージェンシーに行った時、お客さんとの間で「イビサは高いですよ」なんていう会話がなされているのを聞いた事もあるし、高いという評判が立っているのも間違いしね。でも、特にクラブで遊ぶって事に関して言うと、それほど高くないはずなんだ。だって、イギリスでもしフェスティバルに行けば50ポンド(約1万円)くらいするわけでしょ。ここでは、それよりもずっと良いDJのラインアップで35ユーロ(約3,500円)くらいなんだし、それを考えるとこれはむしろ安い価格だと思うよ。それに、一人のアーティストを見るときに比べて、大勢のアーティストを見るときの方がたくさんお金を払う事になるのは、どのエンターテイメントの場合でも同じ事はずだからね。

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HRFQ : イビサは既にピークを迎えてしまったと思いますか、それとも相変らず成長していると思いますか?

JJ : 今のイビサは安定期に入っていると思うし、これ以上成長する必要もないと思う。確かに、数年前イビサに大勢の人が押し寄せていた頃には、何人かの財布は膨らんだんだろうけど、その代わりに全く楽しくなかったからね。これは一重に「Ibiza Uncovered」というテレビ番組のせいで、おかげで上半身裸のサッカー野郎でクラブが埋め尽くされる事になったんだけど、今ではそれもなくなって、本来あった快適で楽しい雰囲気に戻ってきて良かったと思っているんだ。

HRFQ : 確かいまアーティスト・アルバムの制作に入っていると聞きましたが、活動を開始されてからずっとリミックス一本でやってこられたのに、何故ここへ来てアーティスト・アルバムを出そうと思ったのですか?

JJ : 実は去年、Highgateという別名義でオリジナル・アルバムを出したことはあるんだ。ただ、これは主にチルアウト系の曲が入った作品だったんだけどね。まぁ、いつもと違ったことをやって、みんなを驚かせたかったからこういった作品をリリースしたんだけど、今年出す作品はもっとダンス寄りの自分自身を表現したものになると思うよ。それに、ここ5年ほどはそんなに多くのリミックスをやってきたわけではなくて、せいぜい年に2〜3本というペースだったしね。勿論、オファーはたくさんあったんだけど、限られた時間でスタジオワークをしなければならないと言う事を考えると、特に経済的にリミックスを受けなければならないと言う状況でもなかったんだ。まぁ、僕にとってはまずDJが一番で、次に音楽制作という感じだから、自信を持った作品を制作するためには、そんなに多くの作品を手がける事は出来なかったんだよね。

HRFQ : アルバムはお一人で制作されているのですか?

JJ : いや、何人かとのコラボレーションを元に制作しているよ。一曲はMichael Woodsと言う奴と、彼の妹で幾つかのヒット曲を持っているヴォーカリストMarcellaと一緒に作っているし、他にもドイツ出身のJamix とDe Leonという連中とも作業を進めている。もっとも、こっちの方は、お互いにパーツを送りあって作品を作ると言う、いわゆるコレスポンダンス型のコラボレーションという形でやっているけどね。

HRFQ : 将来的に一緒に仕事をしたい人は誰かいますか?

JJ : 仲良くしている他のDJと一緒に仕事をしてみたいね。でも、それに関してはちょっと現実的になる必要があるかな。というのも、僕と彼らが同じ場所に同じタイミングで居れるっていうのは極めて限られた事だし、それに、コレポン型のやり方で共同制作をして、それを本当のコラボレーションと呼ぶには限界のある場合も多いからね。

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HRFQ : 今年の後半の予定を教えてください。

JJ : 9月には僕の2番目の子供が生まれる事になっていて、今のところそれが一番大きな予定かな。で、その後クリスマスの頃には、オーストラリアをツアーする事になっていて、あと、洋服のラインアップも始めようと思っているんだ。もう既にお金は用意してあるから、後はタイミングの問題だけだと思うよ。

HRFQ : 今年のIbizaにおけるトップ5チューンを挙げてもらっていいですか?

JJ :
1. Kompresser - 'Back ' (White Label)
2. Moonrush - 'Risky Business' (White Label)
3. Dogzilla - 'Your Eyes ' (White Label)
4. Shuffle Royale - 'Escade ' (Skywarp)
5. Marco V vs Jens- 'Loops & Tings' (Judge Jules re-edit)

End of the interview

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