MUSeUM -Clio-

ENGLISH MUSeUM -Clio-





エピック・トランスのパイオニアとして’90年代からダンス・ミュージック・シーンで活躍しながらも、近年では Charlize Theron 主演の “Monster” をはじめとするメジャー映画のスコアを担当するなど、映画の世界でもその才能を開花させているアメリカ出身のベテラン・プロデューサー BT が、サウンドと映像を融合したコンセプチュアルなアルバム “This Binary Universe” をリリース。ギリシャのエーゲ海で見つかった2千年前のコンピューター Antikythera や、ピラミッドやモナ・リサに永遠の命を与えることとなった比率 1.618 などをモチーフに展開された今までの BT 作品とは全く異なるダウンテンポ〜エレクトロニカ系サウンドに合わせて、新進気鋭の映像作家陣がトラックごとに映像を作成した本作は、非常にクオリティーの高いサウンドと映像のコラボレーションとなった。

BT This Binary Universe

「映像作りにはかなり深く関わっていたし、楽曲があってその後に映像が作られたんだ。だから普通の映像作りとは全く逆だよね。でもこういう作り方の方が面白いし、伝統に逆らう感じでいいんじゃないかな」

本人もこのようにコメントしている通り、サウンドと映像が深く関わり、BT 本人もその細部の仕上がりにまでこだわったという本作。そのこだわり様は、アルバムのリズム・パートを完成させるために BT 自身の持つ会社 Sonic Architecture にて新しいソフトウェア、BreakTweaker を開発してしまったという事実からも見て取れるだろう。しかし、音楽、数学、グラフィック・デザイン…といった様々な要素が、最新のコンピューター技術によって融合されたこのアルバムにおいて、最も重要な要素は、最も人間的と言える“愛情”なのかもしれない。

BT This Binary Universe

「このアルバムがコンセプト・アルバムだってことが一番重要なことだろうね。でも、何よりも一番大事なのは、このアルバムの7曲すべてが僕の2歳になる娘へのラヴ・ソングだってことさ」

2歳になる娘 Kaia との生活を通して、大きな影響を受け、物事を自由に考えられるようになったと話す BT。その証拠に、BT 本人と愛娘 Kaia本人が出演している # 7 'Good Morning Kaia' では、アーティストとしての BT とは印象の異なる、父親としての BT の自然体の姿が垣間見れると共に、微笑ましいほどの愛娘への溺愛ぶりが伝わってくる。 機械による最新の技術、そして人間的な温かみによって、極上のオーディオ&ビジュアル作品に仕上がった “This Binary Universe”。そんなアルバムのコンセプト・ツアーとしてすでに各国を旅してまわっている彼だが、ファンからの評判は真っ二つに別れているという。

「『ヒドい』、『素晴らしい』 完璧に意見が二分化してるよ。気に入る人はものすごく気に入ってくれるけど、そうじゃない人は全然って感じだね。そういうリアクションも僕は気に入ってるんだ」

今回 HigherFrequency では、そのクオリティーを一目観てみたいという読者のために、トレイラーへのリンクも設置している。本人曰く、「希望、そして悲しみと哀愁に満ちた作品」であるというこのプロジェクト。 BT ファンはもちろん、オーディオ&ビジュアルに興味のある方は必見だ。(Kei Tajima : HigherFrequency)

トレイラーへのリンクはこちら

BT This Binary Universe



MuseumBT / This Binary Universe

発売日 : 2007/02/21
レーベル : Victor Entertainment
カタログ : VIZP-48
フォーマット : Original CD + DVD
発売国 : USA
スタイル : Downtempo, Ambient, Electro, Experimental


関連記事


関連リンク