DATE : 13 May, 2006 (Sat)
DJs : Miss Kittin, DJ Wada, Wallfive, AKR, Terra (Diesel-U-Music 2005 Dance Winner)
PHOTOGRAPHER : Kotaro
TEXT : Yoshiharu Kobayashi (HigherFrequency)
DJ でありながらライブでは自らマイクを握りその歌声を披露するという個性的なスタイルで注目を浴び、エレクトロ・シーンを代表する女性 DJ / ディーヴァとして他の追随を許さない人気を誇る Miss Kittin。そんな彼女が、Womb の人気テクノ・パーティー Vade に登場し、そのパフォーマーとしての破格の存在感で集まった観客を圧倒した。 1F では昨年の Diesel-U-Music のダンス・ウィナー Terra が浮遊感溢れるアンビエント・サウンドでクールな雰囲気を創り出し、メイン・フロアでは DJ Wada が Vade らしいアップリフティングなテクノで会場を暖める中、DJ と言うよりもポップ・スターのようにファッショナブルな佇まいの Miss Kittin がターンテーブルの前に登場。まずは得意とするグリッターなエレクトロ・チューンを立て続けにスピンして、じっくりとこちらの様子を伺うようにプレイをスタートさせた。 | |
まだ比較的緩やかなノリのトラックがドロップされていた前半においても、彼女が所々にコーラスを入れるだけで、観客の熱気は有名シンガーのギグに来たかのような上昇を見せ、通常のクラブ・イベントとは一線を画する独自の雰囲気が徐々に作り上げられていく。そして、彼女の人気を決定付けたエレクトロ・アンセム '1982' のイントロが押し寄せるようにこみ上げてくると、クラウドは高々と両手を上げてそれを迎え、場内の熱気は一気にピークを迎えた。New Order 'Blue Monday' や Kraftwerk 'The Robot' といったクラシックスの要素を随所に散りばめたオマージュ的な要素を持つ名曲 '1982' のトラックの上を、ときに荒々しく、ときに流麗に駆け抜けていく Kittin の歌声。キュートな魅力と冷徹な雰囲気を併せ持つその妖しくも美しいヴォーカルが、彼女の持つ唯一無二の魅力の源泉であることを、この曲を聴いてオーディエンスは改めて実感したに違いない。 ずば抜けた技術力で有無を言わせぬ興奮を巻き起こす DJ や、完璧に構築されたセットの美しさでため息の出るような感動を生み出していく DJ も魅力的である。しかし、技術云々を越えたカリスマ的な存在感でもって、力強くオーディエンスを引き付けていく彼女のプレイは、他の誰にも似ていない孤高の美しさに満ちており、だからこそ一際強い印象を残すものであった。 | |
関連リンク
Miss Kittin Official Site
Womb Official Site
Diesel-U-Music 2006 Official Site
Terra Official Site