DATE : 10 June, 2006 (Sat)
DJs : Ricardo Villalobos, Fumiya Tanaka, AKR & John Connel, Dr Shingo, Dave Twomey, Hitoshi Ohishi
PHOTOGRAPHER : Ryota Kawai
TEXT : Yoshiharu Kobayashi (HigherFrequency)
'04年の Metamorphose や Club Phazon における他の追随を許さない圧倒的なプレイでここ日本でも人気が爆発し、多くのファンから再来日が待たれていたチリ出身のクリック/ミニマル・スター Ricardo Villalobos。そんな彼が Womb の人気イベント Vade に登場し、日本のクラウドに再び大興奮の一夜を届けてくれた。 日本における Ricardo 人気を嫌が否にも実感させられた大混雑のメイン・フロアでは、彼の登場を前に日本を代表するテクノ・アーティストの一人 Fumiya Tanaka が得意のミニマル・セットを披露する。ストイックでありながらも絶妙な緩急の付け方でじわじわとテンションを上げていく彼のプレイはこの日抜群の切れをみせ、巧みにクラウドをピーク・タイムのノリへと導いていた。そして、そんな上手い具合に暖められたフロアに Ricardo のトレードマークとも言えるオーガニックなパーカッションが響きわたると、観客からは膨らみ切った期待が爆発するように大きな歓声が上がり、Womb では約2年ぶりとなる Ricardo の DJ がスタートしたのであった。 | |
サンバのリズムを髣髴とさせる激しく入り組んだパーカッション、そしてその中から湧き上がるように姿を現してくるテッキーな四つ打ち。一見相反するようなこの二つの要素も、彼の手にかかると全く自然な形での噛み合いをみせる。セットは時間が経つにつれて徐々に激しさを増し、内へ内へと入り込んでいくダークなテクノへと突入していくが、時々ふと気付いたかのようにオーガニックなリズムを呼び戻し、聴く者の意識を心地よく元の世界へと引きずり戻していく。そんな Ricardo の才気溢れるプレイに尽きることの無い驚きを与えられたオーディエンスは、その特別な興奮の瞬間を味わい尽くすべく、ただ無心に彼の生み出す流れに身を任せるしかないのであった。 いわゆる「天才」と呼ばれる DJ は数多く存在するが、瞬時の閃きを次々と爆発させていくようなスリリングな DJ スタイルでありながらも、安心してその流れに身を任せておける大きな包容力を持ったプレイをできる彼こそが、本当にその名に相応しいのではないか。この日は、そんなことを改めて実感させられる一夜となった。 | |
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