HigterFrequency パーティーレポート

ENGLISH PARTY REPORT

JOAKIM & EWAN PEARSON

Endless flight vol.8 meets etoiles feat. JOAKIM & EWAN PEARSON @ UNIT,TOKYO

DATE : 10 February 2006 (Fri)
DJs : Joakim, Ewan Pearson, Toshiya Kawasaki
PHOTOGRAPHER : Mark Oxley Official Site
TEXT : Yoshiharu Kobayashi (HigherFrequency)



Joakim と Ewan Pearson。エレクトロのファンなら誰もが興奮を抑え切れないであろう顔合わせが、これまで Ivan SmaggheやAtaといったDJを招聘してきたパーティー、Endless Flight で実現した。Joakimは、フランスにおけるエレクトロの代表的なレーベル、Tigersushi のA&R として、これまでに Kill The DJ Crew や MU を発掘。また、DJ/ アーティストとしても、その確かな音楽的センスを発揮して人気を博している今最も目が離せない人物の一人である。一方、Ewan Pearson は、91年に Slam の Orde Meikle らによって設立された信頼の置ける老舗レーベル Soma からデビューし、現在はロンドンの Fabric やパリの The Pulp といった人気のクラブでレジデントを務めている。更には、全世界待望と言っていい The Rapture のセカンド・アルバムをプロデュース中と、こちらもエレクトロの世界では注目の人物だ。このような二人が一堂に会するパーティー、見逃せるわけがない。

まずは Joakim が DJ ブースに登場。硬質で鋭角的なビートにファンキーなベース・ラインが絡んでくるエレクトロ・ファンクとでも呼びたくなるサウンドに、LCD Soundsystem "Triburation (Lindstrom remix)" や Tiga "Good As Gold" といった大ネタを散りばめながら、巧みにフロアをヒート・アップさせていく。Joakim の場合、エレクトロとは言っても、Tiga や LCD Soundsystem のようにダーティーで退廃的な雰囲気はなく、クリーンでどこか品の良ささえ感じさせるのが特徴と言っていいが、この日もダーク・エレクトロを随所に織り込みつつも、絶妙なバランス感覚で彼らしさを失わないクールで知的なサウンドを聴かせてくれた。

JOAKIM & EWAN PEARSON
JOAKIM & EWAN PEARSON
JOAKIM & EWAN PEARSON JOAKIM & EWAN PEARSON
JOAKIM & EWAN PEARSON JOAKIM & EWAN PEARSON

続いて登場した Ewan は、エフェクターを駆使しながらスムースな流れでクラウドを惹きつける。Joakim のようにスピンする曲の多様さでセットの流れに起伏をつけるといった分かり易さこそ無かったが、彼もやはりどこかクリーンな印象を与えるエレクトロ・サウンドを聴かせ、二人の相性の良さを見せ付ける形となった。

これだけでも十分に満足の夜であったが、なんとこの日は Joakim と Ewan の二人による back to back というスペシャルなセットがその後に披露されたのである。残念ながらこの日はフロアにいる人はまばらで、back to back が始まったころにはスペースにもかなりの余裕が出来ていた。しかし、それでも彼らは投げやりなプレイには走らず、The Kills "No Wow" といった最新のロックから Talking Heads "Psycho Killer" といったニュー・ウェイヴ・クラシックスまで、肩肘を張らない自由度の高い選曲でのスピンを披露した。鮨詰めのクラウドの期待と興奮で張り詰めているパーティーとは一味違ったノリで、楽しくフロアを沸かせてくれたこの back to back。恐らく、彼らのようなビッグ・ネームにとっても珍しい機会だったのではないだろうか。

そして、もうフロアには数えるほどの客しか残っていなかった、パーティー終了の時間。最高のサプライズは、そのとき訪れたのである。二人が最後まで残ってくれた客に挨拶をしているときに、フロアから何でもいいのでランダムに一曲かけて欲しいというリクエストを受け、予定外のアンコールがスタートしたのだ。運試しのように CD を選び、苦笑いしながら Joakim がかけたのは、なんと The Beatles "Helter Skelter"。フロアにいる人間はもちろん、Joakim までもが両手を高々と挙げ、ヘヴィ・メタリックなビートに合わせて体を揺らす光景は、パーティーというより、もはやギグであった。悪ノリ寸前のところまで破目を外して、最高にジョイフルな空間を生み出していたこの日のパーティー。まるで友人のホーム・パーティーに来ているかのように親密で、しかし極上の音楽が楽しめた、まさにスペシャルな一晩だった。

JOAKIM & EWAN PEARSON
JOAKIM & EWAN PEARSON Paul Van Dyk
JOAKIM & EWAN PEARSON JOAKIM & EWAN PEARSON
JOAKIM & EWAN PEARSON
JOAKIM & EWAN PEARSON

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