SAL BY CORROCHE PRESENTS CROSS MOUNTAIN NIGHT SUPPORTED BY NEW BALANCE/ JAMES HOLDEN AT THE CONTROLS WORLD TOUR @ WOMB, TOKYO

CROSS MOUNTAIN NIGHT_ JAMES HOLDEN

SAL BY CORROCHE PRESENTS CROSS MOUNTAIN NIGHT SUPPORTED BY NEW BALANCE/ JAMES HOLDEN AT THE CONTROLS WORLD TOUR @ WOMB, TOKYO

DJs : James Holden, Dr Shingo (Live), Torsten Feld, Dave Twomey, DJ AKi, Techriders
PHOTOGRAPHER : Mark Oxley Official Site
TEXT : Yoshiharu Kobayashi (HigherFrequency)

現在クラブ・ミュージック・シーンで最も熱い注目を集めており、昨年 ageHa で行われた初来日公演でも大絶賛を受けた若き天才 James Holden。多くのファンに一刻も早い再来日を望まれていた彼が、WOMB で開催されている人気パーティー Cross Mountain Night で一年強ぶりとなる帰還を果たし、日本のクラウドを再び熱狂と感動の渦に巻き込んだ。レジデントである Dr. Shingo のライブ・セットが終わると、メイン・フロアの巨大なミラーボールが降りて来てクラウドを圧倒し、一瞬の沈黙が訪れる。そして、"Ladies and gentlemen, please welcome James Holden !!" と Dr. Shingo が声を張り上げると同時に、タイトなミニマル / エレクトロ・サウンドが鳴り響き、James の DJ がスタートした。彼の出自であるプログレッシヴ・ハウスはもちろん、テクノ、エレクトロ、ミニマル、アシッド・ハウスといった、様々なジャンルを激しく行き来するアヴァンギャルドなクロス・オーヴァー・サウンドが彼の持ち味であるが、その "James Holden サウンド" としか言いようのない強い個性を持ったサウンドは、今回も緊張感に満ちた抜群のブレンド具合でフロアを直撃していた。




聴く者の意識を錯乱させるダーティーなサウンド・エフェクト、ミニマル / クリック的なタメを上手く使った展開、そして突如として訪れる突風のようなピーク・タイムの瞬間。ときにリズムが崩れてしまうのではないかと思うほど大胆な繋ぎでクラウドの意識を翻弄しながらも、決して不協和音に陥ることのない絶妙なバランス感覚で、次々とフロアに驚きと興奮をもたらしていく。そして、すし詰め状態のクラウドがその危険で美しいサウンドに酔いしれて恍惚と体を揺らしていると、突然ポップなメロディが飛び込んで来る瞬間がやってきた。なんと、イギリスのエレクトロニック・シンガソングライター Tom Vek の "I Ain't Say My Goodbyes" である。まさに驚きの展開で中盤のピークを作り上げると、その後は自身の "Lump" や "Safari" といったトラックを次々と投入していき、フロアを天井知らずの興奮へと導いていった。そしてセット終了間際には、Border Community の記念すべきファースト・リリースであり、未だに売れ続けているクラシックスでもある自身の名曲 "A Break In The Clouds" をスピンし、今回の来日公演を待ち侘びていた沢山の人々に最高のカタルシスをもたらしたのであった。当日は会場の外に長蛇の列が出来るほどの大盛況となり、その変わらぬ人気ぶりを証明してみせた James Holden。今や彼にかかる期待の大きさは計り知れないものであるが、狂気スレスレなまでに溢れる才能を惜しみなく注ぎ込んだ創造力溢れるプレイで、そんな期待を余裕で上回る圧巻の実力を今回も見事に見せつけたのであった。