’02年にドイツの名門レーベル Musik Krause よりデビューを飾り、その後は Raum...musik、 Regular、 Morris / Audio といった多くのクオリティ・レーベルで活躍してきたベルリン在住のミニマル系プロデューサー Sweet 'n Candy。彼の作品群は、 Mattew Dear、 Monika Kruse、 Craig Richards などのミックスCDにも収録されるなどして多くのオーディエンスから高い評価を受けている。
また、5月には WOMB で素晴らしい来日プレイもこなし、ここ日本でのファンも多く獲得することに成功したばかりの彼に HigherFrequency がインタビューを決行。楽曲制作でのスタンスや、自身によるハウス・サイドなレーベル Dialogue について、さらには彼の特異なアーティスト名の由来などを和やかな雰囲気で語ってくれた。
> Interview : Nick Lawrence (HigherFrequency) _ Translation : Ryo Tsutsui (HigherFrequency) _ Introduction : Masanori Matsuo (HigherFrequency)
HigherFrequency (HRFQ) : なぜ Sweet n’ Candy という名前を選ばれたんですか?
Sweet 'n Candy : いい質問だね。次の質問をちょうだい(笑)んーどうだろ、僕が一枚目のリリースをしたときにレーベル(Musik Krause)の人たちからどういう名前を載せたいか聞かれたんだけど、僕の本名は響きがダサい名前だし、それ以前に友達と一緒に小さな映画の音楽を作っていたことがあったんだけど、そのときに Sweet n’ Candy と呼ばれていたんでその名前を使ったんだ。もし今後ミニマルにあまり人気がなくなったらプロジェクト・ネームを変更するよ。
HRFQ : あなたはCDを発売されましたが、あなたのライブを生でみるのと、家であなたのCDを聴くことの間にはどのような違いがありますか?
Sweet 'n Candy : アルバムは家で聴けるように作ってあるね。ライブ・セットはもう少し、ダンサブルで押し出しが強い感じにしている。ライブではおとなしめにスタートして、そこからビルドアップしていくんだ。ライブ・セットでもアルバムでも家で聴くことはできると思うけどアルバムの方がもっとリラックスした感じじゃないかな?
HRFQ : アルバムを制作されたときに意識的にそのようにされたんですか?
Sweet 'n Candy : いいや、そういうわけではなくて自分自身から湧き出てくるものを表現したという感じなんだよ。ライブ・セットの場合は完全にフロア対応でお客さんが踊るために作っているけど、アルバムではもっとありのままの自分の感覚を表現しているんだ。たくさんのトラックを制作して、結果的にはぼくが思っていたよりもダンサブルになってしまったものも多かったんだけどね、まあ、それはそれで。
HRFQ : 収録曲の‘There’を聴くと、とてもアップビートで夏っぽくて、あなたのDJセットとはだいぶ違うように感じましたが?
Sweet 'n Candy : 変な話だけど僕は今、自分で自分自身のための新しい音楽スタイルを模索しているんだ。新しく Dialogue というレーベルもスタートさせるんだけど、それはもっとそういうハウスっぽい感じでアナログっぽいような感じになる予定なんだ。
HRFQ : 同じような音楽を作ることに疲れてしまったんですか?
Sweet 'n Candy : いいや、ミニマルは好きなんだけど、何年も同じようなことをやり続けるのは退屈なんだよね。僕自身のために新しい刺激や新しいサウンドが必要なんだ。
HRFQ : あなたの初期の作品は今とはだいぶ違いますね。今、ご自身の昔のトラックを聴くととのように感じますか?
Sweet 'n Candy : 1年や2年前は昔の曲なんて聴きたくもないと思っていたんだけど、今思うと僕は若かったわけだし、悪くはないスタートだったんじゃないかなって思っているよ。リリースすることができずに曲を作り続けている人もいる中で、自分はリリースしつつ、成長してこれたわけだからね。
HRFQ : あなたはインディペンデントでアンダーグラウンドなレーベルからリリースすることにこだわりは持っていますか?
Sweet 'n Candy : いいや、最初はたまたまだったんだ。最初はそのレーベルがリリースしている音楽なんてお構いなしで片っ端から音源を送ってたんだ。でもどこも決まらなくて、最後にかばんに1枚だけ残っていて、もう1ヶ月以上も入ったままになっていたやつがあって、だいぶみすぼらしく見えたけど、一応送ってみたらなんとリリースしたいって連絡が来たんだ。それがぼくの最初のリリースだったわけさ。その後 Raum Musikに出会って彼らはぼくをサポートしてくれたし、今ではいい友達で、だから今回のアルバムも彼らのところからリリースするんだ。
HRFQ : あなたは頻繁に非常にアンダーグラウンドなアーティストのリミックスをされていますが、彼らも皆友達なんですか?
Sweet 'n Candy : いろいろな人が My Space を通じて新しいレーベルを始めたいとか、リミックスをしたいけどそれほどバジェットがないって感じで連絡をくれるんだ。問題は時間なんだよね。すべてのリミックスはできないからね。でも本当はたくさんやりたいと思っているんだ。
HRFQ : あなたの新しいレーベルではあなた以外にもアーティストを抱えてらっしゃいますか?
Sweet 'n Candy : 今、新しく、才能を発揮できるアーティストを探しているんだ。僕としては今はもう少しハウスっぽいサウンドがいいと思っているんだ。ドイツでは誰もが同じようなサウンドを作って同じようなサウンドをプレイしているんだよね。この業界で長く働いてきた人たちだけがサウンドを変えてきているけど、経験の浅いDJやプロデューサーは相変わらずのミニマル・クリックサウンドをやっているのさ。僕はもうそろそろもっとアナログ的な暖かいサウンドがいいと思っていて。もっと変な音でもいいけど、もっと暖かいサウンドがいいと思うんだ。Pan-pot なんかもミニマルとかとはちょっと違うサウンドを作っているけど、Dialogue ではもうちょっと有名なアーティストからのもっとハウシーなサウンドをリリースしたいんだ。例えばミニマルシーンのビッグアーティストがハウストラックを作りたいときに、それをリリースするようなね。
HRFQ : 製作環境もフルアナログに切り替えるおつもりですか?
Sweet 'n Candy : いいや、基本的には自分のデジタル機材でそういう音を作ろうと考えているよ。ただアナログシンセをいくつか買って、もっと違う、明るいサウンドを試してみたんだ。ミニマルではあるけど、ちょっと違うサウンドをね。
HRFQ : あなたがダンスミュージックを聴き始めたときはどのような音楽から聴き始めたんですか ?
Sweet 'n Candy : ぼくがまだ14歳のときで、多くの友達はテクノとかハードハウスを聴いていて、別に嫌いではなかったんだけど、テンポとかアレンジメントとかが本当に好きな感じではなかったんだ。で、ある日、街で友達とばったり会って、その晩 Steve Mason がプレイする場所を聞かれて、ぼくはその場所を知ってたから一緒に行ってみたんだよね。そのパーティが本当にすばらしくて、その後友達にもその音を聴いてみろって勧めたりしたんだ。その経験があったからぼくはこういう音楽を作るようになったんだ。
End of the interview
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