テクノ・シーンやエレクトロニカ・シーンの第一線で活躍するアーティストが出演を予定している野外フェスティヴァル Taicoclub の開催が6月3日(土)に決定した。Nathan Fake や Four Tet 、DJ Koze 、Rei Harakami など、野外にマッチしそうなコアなラインナップから Ken Ishii や Monika Kruse など大物アーティストが揃うこのイベントの開催を前にして、HigherFrequency では、出演アーティストに対する特別インタビューを二回にわたって行っていく。
第一弾目となる今回は、日本が世界に誇るエレクトロニック・ミュージック・アーティスト Rei Harakami に E-mail インタビューを決行。最近の活動から、5月10日にリリースを予定しているコンピレーション・アルバム "わすれもの" について、また昨年手掛けた日本科学未来館のプラネタリウムの新コンテンツ「暗やみの色」の音楽について話を伺った。
> Interview & Introduction : Kei Tajima (HigherFrequency)
HigherFrequency (HRFQ) : はじめまして。今日は有難うございます。2005年はアルバム“Lust” のリリースから、国内外のギグと怒涛のスケジュールをこなされましたが、最近の近況について少し教えていただけますでしょうか?
Rei harakami : 去年はアルバムをリリースしてから、あれこれ考える暇もなく曲づくりとライブに追われてました。今年の1月〜3月まで『わすれもの』の作業に掛かりっきりでしたが、終えた途端にストレスが噴出したのかどうか知りませんが、病気になりました。健康には気を付けたい、というか酒は控えめにしなければ、 と思う今日この頃です。
HRFQ : 来月の10日には、未収録音源や未CD化音源、既発曲をアレンジした楽曲を収録した「わすれもの」をリリースされますが、今回このCDを発売することになった経過を教えていただけますか?
Rei harakami : 昨年の夏頃に、アウトテイクをあちこちから掘り起こしてドバーっと聴く機会がありまして、それをピックアップしてるうちに、それらを集めてアルバムを1枚くらい作れるかも知れないと思えた事が発端です。『lust』というアルバムを出した事で一区切り付ける事が出来た事もきっかけだと思います。『lust』以前にもこのようなアルバムをリリースする事も可能だったとは思いますが、やはりこのタイミングで、というのが個人的にはピッタリだったと考えています。
HRFQ : 「わすれもの」は、オリジナル・アルバムとは一味違ったコンピレーション集ですが、中にはファースト・アルバム“Unrest”と同時期に作られた作品もありますね。‘98年当時と比べると、曲作りのプロセスや機材にも大きな変化があったと思うのですが、当時と比べて、スタジオ・セット・アップは大きく変わりましたか?また、過去の楽曲を振り返って、現在の楽曲と違った印象はありましたか?
Rei harakami : 基本的なスタジオセットアップは98年当時と、ほとんど変わりません。たったの数年でPCやハードディスクレコーダーが圧倒的に進化しつつ、安価で手に入りやすくなったので、その辺は変わってますが、音が鳴る機械は全然変わってません。制作プロセスは年々変わっていくものだと考えています。人間は変わらずに機械を変える方が楽かも知れませんが、使い倒すタイプなので、なかなか飽きません。歌手は自分の声から逃げられないのですから、僕ももう少し頑張ろうと思いつつ、ここまで来ちゃいました。もしも、10年前の気持ちに戻って曲作りをしろなんて言われて出来るわけはありません。『わすれもの』でのやり方は、昔に放ったらかしたデータを引っぱり出して来て、その当時の気分を出来るだけ生かしながら、現在の気分でまとめる作業だったのではないかと感じてます。
HRFQ : 「わすれもの」リリース後にツアーは予定されていますか?
Rei harakami : 『わすれもの』と直接連動させるものは、7月に東京〜名古屋〜大阪ツアーを予定してます。その後、他所でも機会があればやるかも知れません。来てくれる人が居ればですが。
HRFQ : 昨年の6月には Sonar でプレイされましたね。Sonar は世界の音楽ファンの中でもそのクオリティーと雰囲気の良さが高く評価されているフェスティヴァルですが、実際にプレイされていかがですか?
Rei harakami : ここ数年間で、たくさんのイベントにアウェー状態でやって来たので、どこでやろうが誰が相手だろうが、やるべき事をやるだけ、という気持ちで臨んでます。でもスペインは食文化が本当に高かったです。色んな意味で土壌が肥えてるなあ、素晴らしいなあと思ったりしてました。
HRFQ : 昨年の12月から公開されている日本科学未来館のプラネタリウムの新コンテンツ「暗やみの色」の音楽を担当されていますよね。普段の活動とは一風変わったプロジェクトですが、この様な経験を通して、どのような刺激がありましたか?
Rei harakami : 科学の最先端というのは、結局、『ほとんどの事はわからない』という事を認識するところから始まっているという事を改めて知る事が出来たのが最大の収穫です。普通に暮らしていると、『わかるもの/認識出来るもの』のみで、全てを判断してしまうものです。そこからはみ出すものは必要ない→だってよくわからないんだもん!などと思いがちですが、この世の中にある、当り前の事の一つ一つは何千年もかけて少しづつ、『わかる』ようになって来たのだ、という事を観てもらった皆さんにほんの少しでもわかって頂ければ幸いです。
HRFQ : 6月には長野県こだまの森で行われる Taicoclub に出演されますが、こちらでは本物の星空の下でプレイすることになりますね。ハラカミさんの楽曲にはオーガニックな雰囲気を持った作品が多いと思うのですが、やはり自然の中でのライブは特別ですか?
Rei harakami : 僕自身が自分の音楽をオーガニックか否かを答える術は持っておりません。表層的な成分だけで説明すると、かなりケミカル色が強いはずなのですが。ライブをやってる最中は、会場の環境を見渡せる余裕はあまりないので、自分ではなんとも言えません。が、外でのライブは格別だ、とよく人から言われます。音がどこにも反射せず、ひたすら拡散していく感じがよろしいのだそうです。その話を聞いて、「ああなるほど。」と思いましたが、よく考えると、これは自分の音楽に限った事ではないのではないかと思うんですが、まあとにかく、音が拡散していく中で、薄れていく記憶を認識しながら、『ながら聴き』をしながら、おいしいお酒を飲んで頂ければ幸いです。でも、もちろん無理に、とは言いません。
HRFQ : ハラカミさんは現在でも京都にお住まいですが、それは京都という都市から音楽的にインスパイアされることが多いからですか?
Rei harakami : 本当によく訊かれる質問ですが、京都に住み続ける事で、何らかの作用を及ぼしている事は確実だとは思います。しかし、京都以外の土地に住んでみなければ、京都が自分自身にとってどう作用していたのかなんて、わかるわけがありません。と答えるしかありません。それは、例えば、まだ出来上がっていない自分のアルバムの感想文を書けと言われる様なものです。
HRFQ : 今後控えているプロジェクトなど
Rei harakami : 5月末位になると思うんですが、「わすれもの」の中から4曲カットした限定盤アナログ「evaporator_ep」をリリースします。いわゆる輸入盤を扱うようなレコード・ショップで買えると思います。あとは、プラネタリウム用に作った曲を集めたアルバムを近々リリースする予定です。その他色々あると思いますが、ボチボチやります。
End of the interview
REI HARAKAMI LIVE INFORMATION
5/20 (土)
Pitchwork 2nd anniversary
club mnD (沖縄)
DJ : 石野卓球、NAOTO 他
LIVE : rei harakami、RYUKYUDISKO 他
6/3 (土)
「taicoclub」 (会場:長野県木曽郡木祖村 こだまの森)
Information : taicoclub http://www.taicoclub.com/
6/17 (土)
"Pop Culture : crossover between traditional forms and western influences
? "
会場 : Cite´de la Musique, Paris
『ふっくらなのにしわしわ_ツアー』
7/14 (金) 東京・LIQUIDROOM 問い合わせ : LIQUIDROOM 03(5464)0800
7/21 (金) 名古屋・名古屋クラブクアトロ 問い合わせ : クロスロードミュージック 052(732)1822
7/22 (土) 大阪・心斎橋クラブクアトロ 問い合わせ : 心斎橋クラブクアトロ 06(6281)8181
8/6 (日)
Rock In Japan Fes. 2006
「矢野顕子 featuring レイ・ハラカミ」として出演
More info : http://www.rijfes.co.jp/
限定12インチアナログ盤 「evaporator_EP」、5月末リリース予定
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リリース情報 : rei harakami / [ lust ] (2005/05/25)
イベント情報 : Taicoclub (2006/06/03)
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