昨年に行われた世界ツアーの興奮も覚めやらぬ中、世界で最も成功したDJの称号を持つPaul Oakenfoldが再来日を果たし、渋谷のWombにて初のパフォーマンスを披露してくれた。のっけからハイテンションなグルーブでロックコンサートさながらの盛り上がりを演出しながらも、途中でディープなプログレッシブ・チューンやブレイクスなどを挟んだ展開を見せ、昨年の来日時よりバリエーションに富んだセットを我々の前で見せてくれたオーキー。後半の数曲は怒涛のサイケデリック・チューンに突入する一方で、アンコールではきっちり"Beautiful Day"をプレイするなど、最後の最後までサービス精神たっぷりにオーディエンスたちを楽しませてくれた。
現在、世界でもっとも大きな影響力のあるDJである事に疑いの余地はないPaul Oakenfold。そんな彼が来日直前にHigherFrequencyの質問にEmailで答えてくれたのがこのPart 01である。なお、Part 02は、Partyの直前にインタビューした内容が掲載されている。
> Interview & Translation & Introduction : H.Nakamura (HigherFrequency)
HigherFrequency (HRFQ) : 今回はアジアツアーの一環としての来日だと思いますが、他にはどのような国を周られるのですか?
Paul Oakenfold : バンコックと上海と東京を予定している。
HRFQ : 最近ではアジアのクラブシーンも急速に盛り上がってきていて、ZoukやCentroなどもそれぞれマレーシアに新たに出店するなど、徐々にそのテリトリーを広げたりしていますが、アジア全体のマーケットに関しては、どのような印象をお持ちですか?
Paul :アジアのシーンはどんどん大きくなっているし、かなりエキサイティングになって来ていると思う。Zoukはその一つの例じゃないかな。いずれにしても、それぞれの地域のアーティストやクラブを積極的にサポートする事は、クラブシーン全体を発展させていく上でもとても大切な事だと思うよ。
HRFQ : 最近、可能性を感じるアーティストやDJは誰かいますか?
Paul : Sandra Collinsと言う女性のDJがいるんだけど、彼女はメチャメチャお薦めだね。
HRFQ : あなたがHernanを発掘した話は、わりと知られていると思いますが、Timo MaasやHarry Romeoを発掘した経緯についてどのような感じだったのですか?
Paul : ある僕の友人が、「ふたりともアンダーグランドシーンで話題になっていて、それぞれの母国でスゴイ人気がある」と言う話を教えてくれたんだ。それで彼らのプレイを実際に聴いてみて、それから「一緒に仕事をしてみないか」とオファーをしたって感じかな。
HRFQ : 未契約のアーティストからたくさんのデモテープを受け取られると思いますが、忙しいスケジュールの中でどうやってデモテープを聴く時間を見つけているのですか?
Paul : A&Rとしてデモテープを聴くのは非常に重要な事で、これは自分の仕事の一部だと思っているよ。
HRFQ : 日本人からも多くのデモテープをもらっていますか?
Paul : まだまだ十分じゃないね!
HRFQ : そのデモテープの中から優れたプロデューサーを見つけたらどうしますか?
Paul : Perfectoと契約してもらうか、あるいは自分のイベントに来てプレイしてもらうだろうね。
HRFQ : あなたのレーベル"Perfecto"についてですが、レーベルの運営には今でも深く関わられているのですか?或いは、あなたのポリシーを十分に理解した誰かが変わりに日々の業務は見ているのですか?
Paul : その両方だね。今でも僕自身、十分に関わっているし、日々の業務をこなしてくれるスタッフも何人か雇っているよ。
HRFQ : 確かPerfectはWarner Music UKとも一時期契約していましたよね。メジャー会社との仕事はどうでしたか?
Paul : 難しい!の一言だね。
HRFQ : 現在セカンドアルバムを準備中だと聞きましたが、どんな内容になるのか教えていただけますか?発売日はいつ頃になりそうですか?
Paul : 強力なリズムとメロディアスな曲で構成されたアルバムになると思うよ。今年の末までにはリリースしたいと考えているんだけど、MaverickとWarnerの間で現在起きている訴訟の成り行き次第という要素もあるんだ。
HRFQ : 現在進行しているリミックスのプロジェクトなどはありますか?
Paul : ちょうど"Shrek 2"の仕事が終わったところで、今はトム・クルーズの新作映画"Collateral"のサントラの仕事をしているよ。
HRFQ : 元々は1995年にリリースされていたあなたのMix CDである"A Voyage Into Trance"が、2001年に再発されて、更に今回DVDフォーマットとして再々発されましたよね。こういった昔の作品の再発に関してはどの様に思われますか?やっぱりクラブミュージックの本質に逆らったものだと思われますか?
Paul : これは本当にヒドイ話で、レコード会社が消費者からボッたくっている以外何物でもないと思うよ。僕がみんなに対して出来るアドバイスはたった一つ。「例えそれがどんな形での再発であれ、絶対にこう言った商品は買わないように」と言う事だけさ。レコード会社はこういった形で消費者を騙しちゃいけないよ、ホントに。
HRFQ : 現在進行しているリミックスのプロジェクトなどはありますか?
Paul : ちょうど"Shrek 2"の仕事が終わったところで、今はトム・クルーズの新作映画"Collateral"のサントラの仕事をしているよ。
HRFQ : あなたの"Greatest Remixes"も丁度アメリカのTopazと言うレーベルからリリースされましたね?この作品もまたThe Shamenの"Move Any Mountain"などの古い作品がたくさん収録されていますが、これについては如何ですか?
Paul : これも僕には何の関係もない作品で、今、訴訟を起こしている最中なんだ。もう一度言うけど、本当にこういった商品には手を出さないようにして欲しい。
HRFQ : かつてはビートルズやフランク・シナトラがプレイしたと言われる、あのハリウッド・ボウルをDJとして初めてソールド・アウトにしましたよね。これはダンスミュージックのシーンにとっての金字塔だとご自分でも思いますか?
Paul : ハリウッド・ボウルをソールド・アウトにする事が出来たという事は、僕自身にとってだけじゃなくて、ダンスミュージック全体にとっても素晴らしい成果だったと思うよ。
HRFQ : セブンワンダーのひとつと言われる万里の長城でDJプレイを行われましたが、そのような素晴らしい場所でプレイした感想は如何ですか?また、その他の歴史的な場所でプレイをするような計画は何かありますか?
Paul : 万里の長城でプレイ出来た事は本当に名誉に感じているよ。本当に素晴らしいイベントだったし、僕の脳裏に一生残る事は間違いないだろうね。今、他のセブンワンダーでもプレイできないかどうか検討中なんだけど、やはり許諾を取るのが本当に大変で、難航しているんだ。
HRFQ : 最近では新技術の話題が多く語られ、特にメジャーレーベル周辺の人たちが「P2Pを介したMP3ダウンロードは音楽文化を滅ぼす」なんて言っていますが、あなたはこの意見に賛成しますか?
Paul : いやしないね。もっとオープンでいるべきだと思うし、新しいテクノロジーに関してはもっと寛容な姿勢が必要だと思う。
HRFQ : 最近では、i-tunesや新生Napstarなどに期待を寄せる人たちもいるようですが、実際、7〜8分のテクノやハウスの曲がユーザーにとって魅力的なダウンロード・コンテンツになるのでしょうか?
Paul : DJにとってはYes、ユーザーにとってはNoだろうね。
HRFQ : 成功することを目指して頑張っているベッドルームDJに対して、何かアドバイスはありますか?
Paul : オリジナルであれ、そしてハードに働いてビジネスを理解するように。
HRFQ : 日本のファンに対して何かメッセージはありますか?
Paul : いつもサポートしてくれて有難う。あなた達の持つ文化は大好きだし、近いうちにまた会える事を楽しみにしているよ。
End of the interview
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Paul Oakenfold Asia Tour @ WOMB, Tokyo パーティーレポート (2004/04/28)
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