昨年に行われた世界ツアーの興奮も覚めやらぬ中、世界で最も成功したDJの称号を持つPaul Oakenfoldが再来日を果たし、渋谷のWombにて初のパフォーマンスを披露してくれた。のっけからハイテンションなグルーブでロックコンサートさながらの盛り上がりを演出しながらも、途中でディープなプログレッシブ・チューンやブレイクスなどを挟んだ展開を見せ、昨年の来日時よりバリエーションに富んだセットを我々の前で見せてくれたオーキー。後半の数曲は怒涛のサイケデリック・チューンに突入する一方で、アンコールではきっちり"Beautiful Day"をプレイするなど、最後の最後までサービス精神たっぷりにオーディエンスたちを楽しませてくれた。
現在、世界でもっとも大きな影響力のあるDJである事に疑いの余地はないPaul Oakenfold。そんな彼がプレイ直前に行ったHigherFrequencyとのインタビューの模様がこのPart 02である。なお、来日直前に行われたE-Mailインタビューの内容は、Part 01として掲載されている。
> Interview : Laura Brown (ArcTokyo) / Translation & Introduction : H.Nakamura (HigherFrequnecy) / Photo _ Jim Champion
HigherFrequency (HRFQ) : セカンド・アルバムを現在準備中と聞きましたが、どの程度まで進んでいますか?
Paul Oakenfold : 4分の3くらいが完成したかな。でもその段階で、是非とも関わりたいと思っていた他の映画の仕事のオファーが入ってきたので、今は作業を中断しているんだ。
HRFQ : 映画のサントラに関しては、現在"シュレック2"とトム・クルーズの次回作"Collateral"を手がけられていると聞きましたが、映画の仕事をやるにあたっては、やはりアプローチの仕方は変わるのですか?
Paul : 映画のサントラを作曲する時には、映像に合わせて作曲をするのに対して、自分の作品を制作する時は、キャンバスは真っ白なんだ。だからオリジナルの制作に関しては、「自分が何を想像し、何を感じるか」と言う事が全てであって、逆に映画の場合は、自分の目に触れたものに従って作業をしていく感じになるね。
HRFQ : 今までも幾つかのサントラの仕事を手がけてこられたと思いますが、何本くらいやられましたか?
Paul : 多分12本くらいだと思うよ。
HRFQ : ところで、最近ではPrimeを始めとして幾つかのディストリビューターが倒産すると言ったバッド・ニュースを耳にする事が多いのですが、この状況はまだしばらく続くと思いますか?それとも若干上向きになってきていると思いますか?
Paul : これ以上悪くならない事を願っているよ。でも、去年一年間で26カ国をツアーしたんだけど、そうやってあちこち旅してみて気づいたのは、ポーランドやロシア、それにチリ、ブラジル、アルゼンチンと言った国々においては、むしろダンスミュージックは盛り上がりつつあると言う事なんだ。あと、ヴェトナムでプレイした時は5,000近くの人が集まってくれたんだけど、あの国であれ程の人数が集まる事は想像だにしていなかったから、本当に驚いたよ。要は、僕が今まで住んできた西洋の国、例えばイギリスやアメリカと言った国が、少し行き過ぎた状態になってしまったわけで、特にイギリスではちょっとポピュラーになり過ぎていたからね。だから、何かの変化が必要な時期なんじゃないかな。でも、変化する事は良いことだし、まぁ、しばらく見守って、次に何が始まるかを見てみようよ。
HRFQ : さて、Email Interviewの方で、「日本人から全然デモテープを貰っていない」とお話しされていましたが・・・・
Paul : どこにいるんだ〜!?早く出て来いよ!お前らが必要なんだよ!(笑)
HRFQ : それは本数的に貰っていないと言う事ですか?それとも、可能性のある作品を貰っていないと言う事ですか?
Paul : いや、そう言う事じゃなくて、本数自体が少ないって事だよ。多分、僕がまだそれ程日本に来ていないって事なんじゃないかな。過去10〜12年ほど日本に来てはいるんだけど、決して定期的に来ているわけじゃないからね。
HRFQ : ところで、何度かアジアでプレイされた経験もありますよね。従来は一般的に日本がアジアのクラブシーンの先頭を走っていて、特にサウンドシステムの面でもその要素が濃かったと思うのですが、最近では、シンガポールのZoukを筆頭に、アジアの他のクラブもどんどん力を付けて行っているように思うのですが、アジアの中の日本と言う観点においては、どの様な比較をされていますか?
Paul : 今のところ、唯一の競争相手という点ではZoukだろうし、それは今までも同じだったと思うよ。Zoukはかれこれ10年もやっているからね。でも、サウンドシステムと言う観点で言うと、このクラブ(WOMB)の方がZoukよりも優れていると思うんだ。Zoukは僕のベストフレンドが経営しているクラブなんだけどね。ここのサウンドシステムはSteve Dashが手がけたものだと思うんだけど、僕自身が立ち上げに関わった3つのクラブにおいても同じく彼のサウンドシステムを起用してきたし、その意味でもここのサウンドはベストだと言って間違いないと思うよ。
HRFQ :話は変わりますが、最近、何人かの人たちがDVDのフォーマットによるMix CDをリリースし始めたと思うのですが、あなた自身、その方向性に興味はありますか?
Paul : 僕自身、何年も前から頼まれているし、将来的にはきっとやる事になると思うよ。何か違うこと、面白い事、エキサイティングな事をやってみたいといつも考えているからね。でも、それは単にコンサート映像を見せるだけのようなものじゃなくて、僕的には、もっと何かの境界線を押し広げるようなもので、映像的にも面白いものを作りたいと思っているんだ。ただ単に突っ立っていたり、座って誰かがDJをしているのを見ているだけじゃつまらないからね。
HRFQ : もしやるとすれば、いつくらいに実現しそうですか?
Paul : 作業自体は、かれこれ3年ほど行っているんだけど、自分達自身で資金を調達しながら作っている事もあって、ちょっといつもより時間がかかっているんだ。
HRFQ : Perfectoレーベルに関してですが、今年に関してはどのような戦略を描いていらっしゃいますか?誰かリリースしてみたいなぁと思っている新人などは居ますか?
Paul : これからリリースしようとしているニューアルバムという点では、Sandra Collinsという女性DJの作品があるね。彼女は個性があって、自分自身のテイストとオリジナリティを兼ね備えている素晴らしいアーティストなんだ。DJであるという事の意味も本当に良く理解しているしね。今、彼女は夢中にアーティスト・アルバムの制作をやっていて、日本で発売されるかどうかは分からないけど、是非チェックして欲しいな。
HRFQ : 来日する女性DJは殆どいませんからね。
Paul : そうだね。もし彼女が来日できたりするといいね。彼女は単にベストな女性DJの一人って言うだけじゃなくて、実際には9割以上の男性DJよりもうまいと思うんだ。だから、別に男であるとか女であるとかは、あまり関係が無い事だと思うよ。
HRFQ : いつもスゴイ人数のオーディエンスを前にプレイをされていると思いますが、そういった時はどんな気分なのですか?
Paul : とても興奮するし、自分はラッキーだなぁと感じるね。僕は自分の仕事を本当に楽しくやっているし、その意味ですごく恵まれていると思うんだ。だから、みんなも是非、自分の本当に楽しめる事をやって欲しいね。僕はお金がなかった時でも、ずっとDJをしていたし、今では(金銭面では)大丈夫になったけど、みんなのハッピーな姿を目にするのは、僕にとって相変らず大切なことなんだ。だから、単に音楽を聴く側としてだけじゃなくて、音楽をプレイする側としてみんなと一緒につながり合えるのは、本当にこの上ない喜びだね。
End of the interview
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Paul Oakenfold Asia Tour @ WOMB, Tokyo パーティーレポート (2004/04/28)
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