HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Luke Chable


Dave Seaman によって発足した UK の Renaissance 傘下のレーベル Audio Therapy から、オーストラリアの鬼才 Phil K をフィーチャーしてリリースされた2枚組ミックスCD"Therapy Sessions"は、多くのプログレッシブ・ハウス・ファンに受け入れられ、DJ/プロデューサーとしてだけではなく、レーベル・オーナーとしての Dave の才能を世界中に知らしめた。05年3月、早くもその"Therapy Sessions"の第二弾が、再びオーストラリア出身のプロデューサー Luke Chable をフィーチャーしてリリースされることとなり、そのリリース・パーティーが3月20日に渋谷 WOMB で行われた。

Luke Chable と言えば、オーストラリアのダンス・ミュージック・シーンを代表するプロデューサーの一人。独特なグルーブ感とメロディアスなセンスが一体となったハイクオリティなサウンドで世界中のトップDJたちをうならせ、今や次なるシーンを背負って立つ期待のアーティストとして大きな注目を集めている存在だ。

そんな二人に HigherFrequency がインタビューを敢行。プレイ直後の Luke に話を訊くことが出来た。

> Interview : Matt Cotterill (HigherFrequency) _ Translation : Kei Tajima (HigherFrequency) _ Photo : Mark Oxley (HigherFrequency) _ Introduction : H.Nakamura (HigherFrequency)

triangle

HigherFrequency (以下 HRFQ) : まず、今日はお疲れのところ時間をありがとうございます。

Luke Chable : いやぁ〜…疲れたよ!本当にクタクタ。上海でのギグの後、3時間くらいしか寝てなくて、その前の日にきちんと寝ておくべきだったんだけど、寝れなかったんだ!

HRFQ : 本当は夜に寝れればいいんですけどね…

Luke : 実はわざと寝なかったんだ。寝るのにちょうどいいタイミングを見計らってたんだけど、そういえば朝9時に東京に行かなきゃならないんだって思い出して…で、ここに着いてからは、なんだか急に音楽のことで頭がいっぱいになっちゃってさ。それで結局3時間しか寝れなかったってわけ。

HRFQ : 今日のWombでのギグはいかがでしたか?

Luke : 素晴らしかったよ!今日のギグのことはずっと前から楽しみにしてたんだ。Womb のことは初めて聞いたときから気になってたしね。一年くらい前に Air でプレイして、Yellow でもプレイしたことがあるんだけど、確かそのときに Womb のことを聞いたんだ。すぐにプレイしてみたくなったのを覚えているけど、それが今日やっと実現したのさ。今日はスタートからプレイしたから、セットをスタートしたときはフロアに誰もいなかったんだけど、最終的にはフロアいっぱいのクラウドが集まって、ギュウギュウ詰めだったよ!あれはスゴかったな。

Luke : すごく楽しかったですよ。かなりエンジョイできました。

Luke : よかった。

HRFQ : 今回手がけられたミックスCD Therapy Sessions についてなのですが、コンパイルするにあたって、どのようなアプローチをされましたか?

Luke : そうだね。まずはじめのアイデアは、"何か違うこと"をすること。今までにたくさんの人が"違うこと"をしようとしてきたと思うけど、実際に実現した人は少ないと思う。ほとんどの人が、最終的には安全なラインで満足しようとして、「大丈夫だ、これならイケる」って思えるものをリリースしてきたと思うんだ。でも、今回の僕のCDでは、いろいろトライしたよ。10ジャンルに近い音を入れたかな。そして、その10ジャンルの音すべてが、一つのジャンル…すなわちプログレッシヴ・ハウスが変化したものなんだ。ブレイクスにニュー・スクール・ブレイクス、ファンキー・ブレイクス、アシッド、テクノ、エレクトロ…プログレッシブ・ハウスもプログレッシブ・トランスも入っているし、それにそれに'ビッグ・ルーム・ブレイクス'も入ってる…まぁ、とにかくいろんな音が入ってるよ。

Luke Chable Interview

HRFQ : "このミックスには'nod and a wink'から 'Bananarama'まで入っている"という表現をしていましたが、これはどういう意味ですか?

Luke : どこで見たんだい?(笑)

HRFQ : Dave Seaman のサイトにそう書いてありましたけど…(笑)

Luke : あぁ、あれね(笑)。ハンガリーに Tommy Boy っていうアーティストがいるんだけど、彼から去年の初めにあるヤツが制作したブートレグ・リミックス……というか、ブートレグとして発売もされてないような、ただCDRに焼いただけの音源を渡されたんだ。で、それが Bananarama の"Cool Summer"のリミックスだったわけなんだけど、本当にカッコよくてね。「まさか!」と思って、次の日の朝一時間くらいかけてもう一回聴き続けたんだけど、やっぱり本当にカッコよくて…「これはヤバい」って思ったんだ。で、"Cool Summer"の使用許諾をとろうとしたんだけど、僕が自分のレーベル Trojan Records を持ってるってこともあってダメで…。このヴァージョンに関しては、結局今でもオーケーがもらえてない状態なんだ。

でも、しばらくしたらそいつがその曲のダブ・ヴァージョンを持って来て、こっちはヴォーカルが細かく切り刻まれていたから、「これなら許諾を取らなくてもリリースできるな」ってことになってね。というのも、ある一定の長さ、例えば8秒とかいった長さ以上の素材が使われている場合は「サンプリング」と見なされて許諾が必要だったりするでしょ。最近ではみんな何でもサンプリングしちゃうから、こういったルールがあったりするんだけど、でも、このヴァージョンではそれ以下の長さに刻まれていたからその必要なかったんだ。で、今回のミックスCDに"Cool Summer"のダブ・ミックスとして収録されたってわけ。アーティストの名前は Mannell さ。

HRFQ : 聴くのを楽しみにしてます。あなたはプロデューサー、DJとして大活躍されていますが、DJを始めたのは比較的最近ということでしたね。音作りと比べて、どのようにエンジョイされていますか?

Luke : 最近かどうかは分からないな…表向きには「最近」ってことになってるけど、実は99年ごろにはもうDJを始めてたんだ。初めてレコードをリリースした時も、すでにDJとしてのキャリアがあったし、しかもそのぐらいの時期から外国でもプレイし始めていたしね。でも確かに、海外で頻繁にプレイする様になったのは2・3年前のことかな。昨年は Bedrock でプレイしたし、最近ではヨーロッパやアジアでもよくプレイしてるよ。

HRFQ : 音楽制作についてですが、あなたは Logic の大ファンだそうですね。スタジオ・セットアップを教えてもらえますか?

Luke : そうだね。Logic と Ableton Live……それだけさ!

HRFQ : 前作の Therapy Sessions の Dave のミックスに収録されていたリミックス・トラック 'Power Plant'をはじめ、あなたの作品の特徴の一つとして、力強いベース・ラインがあると思います。あなたの楽曲には、ああいった力強いベースラインから生まれるファンキーな雰囲気と、メロディックさを同居させるのは至難の業だと思うのですが…どうですか?

Luke : わからないな…自分の頭の中にあるものを自然に表現しているだけだからね…自分のつくりたいトラックが浮かんだら、曲をつくり始める。深く考えたりはしないよ。ただ、つくるんだ。細かくプランして、「次はこの音が入るべきだ」、「次の展開はこうだ」って感じのつくり方はしない。初めからすべてが頭の中に入ってるのさ。綿密なプランなんて立てたことがないよ!

HRFQ : オーストラリアのミュージック・シーンには、本当に素晴らしい才能が溢れていますよね。オーストラリア勢が世界のダンス・ミュージック・シーンを征服する日は来るのでしょうか?

Luke : (笑)!僕たちだけじゃとっても無理なんじゃないかな…人数が足りないよ! まず、どのジャンルでシーンを制覇するっていうんだい?ブレイクス?答えはノーだね。イギリス人が大勢いる。プログレッシブ?流れを作っているという意味では、僕の知っている限り、Infusion か 僕ぐらいじゃないかな。他には…Jono もいいけど、彼はブレイクスだし…NUBreed もブレイクスだし…

HRFQ : Kasey Taylor はどうですか?

Luke : Kasey Taylor…そうだね。でも、いずれにしても世界制覇は難しいよ。確かに地図の上に印をつけるみたいに、多少の存在感はアピールしているけど、世界を制覇するなんてのはありえないね。

HRFQ : 最後の質問です。先程もお話されていた Trojan Records ですが、最近はどんな動きがありましたか?

Luke : ちょっと宙ぶらりんな感じで、時々作品が出るって感じかな。でも、今年一年のラフなプランはあるんだ。まず、さっきも話したMannellの"Cool Summer"がリリースされて、次に Chable&the Dirty Fours の'Tokyo'が出る予定になっている。Dirty Fours は NUbreed としても有名なんだけど、この曲はさっきのセットでもプレイしたばかりさ。それから先は未定って感じ。まだはっきりとは決まってないよ。

あと、自分のプロジェクトとしては、まず Skyline Road があるし、僕と友達でやった Petal の'Where Were You'のミックスがあるし…他は何だろう。結構あるね。James Holden と一緒につくったトラックもあるし…他にもいろいろと作品は出てくるはずさ。だから、あまりかっちりプランしてるわけじゃないし、同時に何かをリリースしなきゃいけないって焦ってるわけでもない。クオリティーが高いものじゃないと絶対にリリースしたくないからね。

HRFQ : 了解です。今日は本当にありがとうございました!

Luke : こちらこそありがとう。

End of the interview

関連記事


関連リンク