ベルギーのテクノ・レーベル R&S から’93年に世界デビューを果たして以来、日本人のクラブ・ミュージックに対する意識を大きく変化させるような作品を次々とリリースし、"テクノ・ゴット" の名称で呼ばれる程のカリスマ性と、その革新的なスタイルで常にシーンをリードしてきたパイオニア、 Ken Ishii。近年では、 Jeff Mills や Sven Vath などが受賞してきた Ibiza Award のテクノ部門で栄冠を手にするなど数多くの海外ビッグ・パーティーでの活躍や、テクノの原点(デトロイト・テクノ)を再表現したアルバム "Sunriser" のヒットなどで更なる注目を集めているベテラン・アーティストだ。
そんな Ken Ishii が、’08年の Air カウントダウンで、これまで他のオファーでは断り続けていたという7時間もの超ロング・セットを披露してくれることが決定。当日はどのようなセットをやってくれるのか、また、なぜ今回のイベントに限ってロング・セットを承認してくれたのかなど、近状を含めて多数話を訊くことができた。
> Interview : Masanori Matsuo (HigherFrequency)
HigherFrequency (HRFQ) : 現在は、ヨーロッパにいらっしゃるとのことですが、どんなクラブを回られましたか?よかったらパーティーの感想もお聞かせください。
Ken Ishii : 今回のツアーは2都市。一つはスペイン、グラナダの Industrial Copera、南スペインのアンダルシア地方では一番有名なクラブ。もう半端ない盛り上がりで最高!だけど、日本からの移動が大変で、ドアトゥドアで26時間かかった。もう一つは明日プレイするパリの Rex。こっちは説明するまでもなくフランスで最高のアンダーグラウンド・クラブ。今までに何回もプレイしてるんで分かるがここのリアクションは世界の中でもベスト3に入るかな。
HRFQ : 国によってクラウドの反応は違うものでしょうか?
Ken Ishii : 国だけでなく都市によっても全然違ってて、内陸か海沿いかとか暑い所か寒い所かとかによってもそうだし、音楽的に何がはやってるかとか知識的なレベルの違いも影響するし、毎回が実験みたいな感じ。
HRFQ : 日本人として、あなたのように世界でも成功されているテクノDJはまだ数少ないと思うのですが、その成功の秘訣というのはありますでしょうか?
Ken Ishii : 物事の考え方はオープンだと思う。郷に入れば郷に従えというか、どこへ行っても物怖じしないハートは絶対必要。
HRFQ : 今年を振り返ると、どんな年でしたか?夏にリリースされた "Daybreak Reprise -Sunrizer Remixed-" もピュアなテクノ・ファンから絶大なリアクションがあったようですが。
Ken Ishii : DJは例年のように各地でやっていたけど、プロデューサーとしてはちょっとおとなしかった年だったかなと。ただ "Daybreak Reprise" では各アーティストといいコラボレーションが出来てこれからに繋がるいい刺激になった。
HRFQ : 日本へ帰ってきたら、 AIR のカウントダウンでキャリア初となる7時間のロング・セットで挑まれるそうですが、どういったいきさつで7時間セットをすることになったのでしょうか?
Ken Ishii : 音楽的な理由もあってここまでのロングセットはどこの国でもお断りしていたのだが、今回 Air のディレクター西村洋一氏も社員として最後の仕事だというし、彼のキャリアの中である意味での集大成にしたいとの熱のこもった口説きに折れる形で(笑)、新しいことに挑戦することに決めました!
HRFQ : 7時間というと、テクノ以外のジャンルも多数プレイされる予定ですか?'90年代のあなたのようにジャンルを超越したDJプレイも久々に聴いてみたいですが。
Ken Ishii : そうしてみたいと思ってます。初期のハウスとか昔のデトロイトテクノとか。もしムードが良ければさらにスペシャルなものもプレイしてみたいなと。
HRFQ : あなたにとって Air にはどんな思いがありますか?
Ken Ishii : いつも妥協なしに自分の好きな流れを作れるし、それにいい感じでお客さんが反応してくれるし、音も良いしで、ストレートにとてもいいクラブ。
HRFQ : よろしかったら、'09年の抱負をお聞かせください。
Ken Ishii : 今年の秋以降食中毒をはじめちょっと身体にガタが来てる感もあるんで、まずは健康第一で(笑)!
HRFQ : ちなみに、あるかどうか分かりませんが、お正月休みはどう過ごされる予定ですか?
Ken Ishii : 1月2日もプレイがあるんでお正月休みはなしで。時期をずらしてリラックスするつもり。
HRFQ : 最後に、7時間プレイを待ち望んでいる読者の方々へメッセージをお願いします!
Ken Ishii : 自分にとっても未知の領域の7時間、おつきあいよろしく!楽しみにしてまーす!
End of the interview
AIR presents 大晦日COUNT DOWN 2008-2009
12月31日(水) @ Air _ 22:00〜
Door : Y4,500 _ Air Members : Y4,000
DJ : Ken Ishii (7 hours long set)
Music : Techno
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