HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Hernan Cattaneo Interview

かつてPaul OakenfoldやJohn Digweed、Sashaと言ったトップDJたちからこぞってそのプレイを絶賛され、ここ数年の間に一気にスターダムの階段を駆け上がってきた南米アルゼンチン出身のDJ/Producer、Hernan Cattaneo。つい最近もRenaissanceのミックスCD "The Mater Series"においてそのセンス溢れる選曲を披露してくれたHernanが、3月20日にそのリリースを記念するワールド・ツアーの一環として渋谷のWOMBに来日。まさにスーパースターとしての貫禄みなぎる圧倒的なパフォーマンスで東京のクラウドを完全にノックアウトしてくれた。

「日本でのプレイが最も楽しみ」と語るHernanにHigherFrequencyがInterviewを敢行。今、全世界のシーンから最も熱い眼差しを注がれるプログレッシブ・ハウス界のライジング・スターがその熱い思いを語ってくれた。

> Interview : Daniel Horiguchi _ Translation & Introduction : H.Nakamura (HigherFrequency) Photo : Jim Champion

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HigherFrequency (以下HRFQ) : 前回来日されてから3ヶ月目での再来日ですが、日本はあなたのお気に入りの場所になったと言う事でしょうか?

Hernan Cattaneo: その通りだね。日本は僕が一番プレイしたいと思っている場所の一つなんだ。東京は世界の中でも指折りの面白い街だと思うし、ここではクラブもお客さんもすごい熱気に包まれているからね。色んなスタイルの音楽を楽しもうとしている姿勢もスゴイと思うし、まさに僕のプレイ・スタイルにもピッタリって感じがするんだ。僕のプレイはいつもHouseからスタートして、徐々にハードに上げていった後に、もう一度Breaksに落とすって感じでプレイする事が多いからね。バラエティに富んでいるって事はとてもいい事で、だから日本でプレイするのが好きなんだ。ひょっとしたらベストかもしれないね。日本に始めて来たのは2001年の末だったんだけど、それから3年のうちに7〜8回は来ているはずだから、4〜5ヶ月に一度は来日している計算になるかな。

HRFQ : 昨年末にアジアツアーを行われたと思いますが、日本のシーンとの違いで何か感じた事はありましたか?

Hernan : 他のアジアの国に行くのも好きなんだけど、やっぱり日本が先を行っているんじゃないかなと思うんだ。ファッションの面でもそうだし、クラブカルチャーと言う点では特にそうだね。でもシンガポールも最近では随分良くなってきていると思うよ。Zoukは本当にすごいクラブで、丁度新しい店をクアラルンプールにオープンしたばっかりなんだ。昨日もそこで初めてのプレイをしてきたところなんだけど、あのクラブを訪れるDJはみんな「すごい」って言うだろうね。あと、中国も最近は良くなってきていて、今までに香港とか北京、上海、杭州などでプレイした事があるんだけど、どこもすごく良かったな。まぁ、それでもやっぱり東京が先を行っているんだけどね。

Hernan Cattaneo Interview

HRFQ : Wombでのプレイはこれで3回目ですよね。WombはRenaissance以外のパーティーでもあなたにプレイして欲しいと考えているようですが、興味はありますか?

Hernan : 勿論さ。でも、Renaissanceとの仕事はノン・エクスクルーシブではあるんだけど、どうしても彼らとの仕事の回数が多くなってしまって、しょっちゅうRenaissanceのツアーで世界を回っているのが現実なんだ。だから、Wombに毎月来てプレイするって事はちょっと難しいかもしれないね。だから一年に1度か2度、RenaissanceのイベントでWombに来るっていうのが、彼らにとっても僕にとってもRenaissanceにとっても一番フィットしているんじゃないかなぁ、と思うんだ。

HRFQ : 昨年末は多少リラックス出来ましたか?

Hernan :休みを取ろうと思ったんだけど、結局無理だったね。毎年1〜2週間は必ず休みを取ろうと思うんだけど、結果的には何かが起こって取れなくなるって言うのがいつものパターンって感じかな。だから、いわゆるキッチリした「お休み」って言うのを今までに取った事はないんだよね。確かに南米の自宅で2週間ほど過ごしはしたけれど、そんな環境の中での2週間だったから、とても休みを取ったとは言えない感じだったね。

HRFQ : 普段リラックスされる時にはどの様な事をしていますか?

Hernan : ただチルアウトして、映画を見たり、彼女と一緒に過ごしたり、料理をしたり・・・まぁ何も特別な事は何もしないで、ただのんびりするって感じかな。DJとしての生活は本当にハードで、いつもあちこち飛び回っているからね。毎年だいたい150回はフライトを経験しているし、それを考えると週に2〜3回のフライトは必ずあるって計算になるでしょ。だからオフが取れた時には,、とにかく何にもしないようにしているんだ。静かにして、友達や家族と過ごす・・・それが僕のリラックスの仕方かもね。

HRFQ: プレイをされる前に何か特別な準備をされたりするのですか?

Hernan : やらないね。プロとしてお金をもらってやっている以上は、常にトレーニングは怠らないし、新しいレコードをコンスタントに聴いて、クラウドの事を想像しながら「どの曲が使えるか」なんて事を考えたりしているからね。だから、どちらかと言うと(DJというのは)メンタルな仕事だと言えるんじゃないかな。だって、一方で新しい音を頭の中に入れて、もう一方で「どれが使えるか」って事をずっと考えているわけだからね。

Hernan Cattaneo Interview

HRFQ : Renaissanceコンピの収録曲はどのようにして決めていったのですか?

Hernan : コンピレーションの収録曲を決定する時は、いつも自分のあるべき姿を反映するようにしていて、今回のCDでもその考えを元に決めて行ったんだ。だから今まで僕が手がけてきたコンピレーションと同じように、とてもバラエティに富んだ選曲になっていると思うよ。特にCD1とCD2の間に大きな違いを生み出す事が出来たことについてはスゴク満足していて、CD1にはレイドバックした感じのチル系の作品を中心に、ハウスなんだけどみんなが期待するピッチよりはちょっと遅い感じのものを、2枚目にはよりエネルギッシュなものをそれぞれ収録するようにしたんだ。あと、僕はこの過去5年に渡って色んな所を旅してきて、たくさんの人に出会って影響を受けることが出来たから、今回の作品にも世界中の様々なタイプのプロデューサー達の作品を収録するようにしたんだ。ギリシャや日本、南米、イギリス、アメリカなど・・・色んな場所で才能あるプロデューサーに出会えたこと事は僕の誇りだね。

HRFQ : Jeff Millsが最近DVDのMix CDをリリースしましたが、今後のMixコンピレーションの流れはDVDになっていくと思いますか?

Hernan : 彼のやった事はとても面白いと思うけど、そもそも色んな面において常にパイオニア的な存在であり続けてきた人だからね。かつて彼がリキッド・ルームでやった「プレイの途中で姿を消して、後は彼がプレイしているDVDだけが流れる」なんて実験もとても面白かったし、未来にとってもすごく意味のある事だったと思うよ。まぁ、DJとかクラブっていうものは、常に自分自身を再発見していくべきものだと思うし、その意味で彼のやった事は見習うべきだと思うね。

HRFQ : もしDVDでMixコンピレーションをリリースするとすれば、どの様なイメージを収録したいですか?

Hernan : 前にも言ったとおり、ほとんど毎日の様に色んな場所を旅しているから、僕の頭の中には色んな美しいイメージがあるんだ。あたかも今まで見てきた風景を収めた小さなビデオテープのかけらが頭の中に入っているかの様にね。日本の人達、ギリシャの人達、そしてその背景・・・。どんな作品になるかはわからないけど、とにかくプレイをする為に訪れた場所で心に残ったものを反映した内容にしたいね。

Hernan Cattaneo Interview

HRFQ : 以前、あなたのバイオを読んだ人達は、あなたのPaul Oakenfoldとのつながりに大変興味を持ったと思いますが、あなた自身が彼と同じ立場になった現在、才能ある新しいDJやProducerの発掘に興味はありますか?

Hernan : いつも色んな人と知り合いになるように心がけていて、例えば、日本に来ると色んなプロデューサー達が音源を渡してくれるでしょ。その中に気に入ったのがあれば、自分のラジオショーでプレイしたりチャートに入れるようにしているんだ。OSAMU MやOMB、DJ19みたいに、いつも素晴らしい作品を渡してくれるプロデューサーもいるし、他にも世界中にたくさんのDJやプロデューサーがいるからね。だから前にも言ったけど、僕のコンピにはギリシャやドイツを始めとして世界各地からの音源が収録されているし、新しい才能の発掘にはいつも力を注ぐようにしているんだ。勿論Paul Oakenfoldの力と僕の力とでは大きな差があるかもしれないし、彼が僕にしてくれた程の大きなプッシュを僕が誰かにするのは難しいかもしれないけど、いつでも誰かの力になりたいと思っている。

HRFQ : たくさんのデモテープを受け取られると思いますが、忙しいスケジュールの中で全部を聴く事は難しいのではないですか?

Hernan : どうしても時間はかかるよね。時にはデモテープが山積みになって置かれていることもあるわけだから。でも、いつも「よし、全部の曲を座って聴こう」と言いながら、時間を取って全部聴くようにしているんだ。なかなか適当な時間を見つけるのが難しいけどね。だって、食事をしている時に聴くわけにいかないでしょ。やっぱり聴くときはキチンと聴きたいからね。勿論ベストなものをそこから発見したいと言う気持ちもあるし、自分に音楽をくれた人に対するレスペクトもあるし・・・。だから時間はかけても、必ず全て聴いて返事を出すようにしているんだ。

HRFQ : 日本人からもたくさん貰いますか?

Hernan : うん。たった一つだけ大変な事があるとすれば、それは彼らの名前を発音するって事かな(笑)。でも、才能あるDJやProducer達がいるのは間違いないね。

HRFQ : 現在予定されているリリースやプロジェクトは何かありますか?

Hernan : えっと、今はアルバムの制作をやっているかな。あと、最近ではDean Colemanと一緒に「Behind The Music」と言うトラックを制作したり、僕のサウス・アメリカでのパートナーであるMartin Garciaと一緒にBedrockから出たMorgan PageのトラックをRemixしたりしているんだ。他には、TigerhookのRandall Jonesと新曲を制作したり・・・。まぁ、コンスタントにツアーのスケジュールが入ってくる事もあって、今のところはこれで全部って感じかな。でも、今年の後半にかけてはスタジオワークに戻る事が出来ればいいなと思っているんだ。

Hernan Cattaneo Interview

HRFQ : あなたは地理的な距離と言う問題を乗り越えてそのキャリアを打ち立て、ダンスミュージックのメジャーマーケットにおいて大きなブレイクを果たす事が出来た訳ですが、同じような地理的な問題を抱える日本のDJやプロデューサー達に対して何かアドバイスはありますか?

Hernan : 僕がアルゼンチンにいた時に、Paul Oakenfoldのオープニングを務める事が出来たのは、ある種すごくラッキーな事だったと思う。彼はしょっちゅうアルゼンチンに来てプレイしていたし、それがきっかけで話をする事になったんだけど、やっぱりそれ自体はホント滅多にあるような事じゃないと思うんだよね。でも同時に、僕がアルゼンチンにやって来た他のDJ達とも緊密な関係を築いていたというのも事実なんだ。僕がヨーロッパへ進出する前のアルゼンチンは、今のちょうど日本みたいに大勢のDJがやって来ていたんだけど、最初はまず自分の存在を彼らに知ってもらうことからスタートして、やがて連絡を取るようになり、そして多くのことを教えてもらうといった感じで関係を築いていったんだ。ちょうど、今の僕が日本のDJ達と築いている関係と同じようにね。だからそれ自体がアドバイスになるんじゃないかな。正直に言うと、やっぱり自分でつかみに行かなければ駄目だと思うよ。彼らは決して向こうからやって来て、君のドアをノックしながら「やぁ、君は素晴らしい才能をもっているから僕と一緒にやろうよ」なんて事は言ってくれないからね。もし僕と同じくらいラッキーだったすれば、僕に起こった出来事が君にも起きるかも知れないけど、それはあんまり期待しない方がいいと思う。とにかく自分でつかみに行くべきだよ。来日するDJに何とかして会えるように努力したり、自分の曲をヨーロッパやアメリカのレーベルに送ったり・・・そして、もし可能であれば飛行機で現地に飛んで、自分自身を売り込んでいく必要もあると思う。特に最近では世界中にたくさんのDJがいて、その内の多くが素晴らしい才能を持っていたりするわけだから、その競争は本当に激しくなってきていると思うんだ。とにかく自分でつかみにいくしかない。ただ誰かに見つけてもらうのを待っているだけじゃ駄目だし、それじゃきっとうまく行かないと思うよ。

End of the interview

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