NYハウスシーンのこれからを担うDJ/プロデューサー/リミキサーとしての呼び声も高いFrankie Feliciano。Masters At Work関連のプロダクションを中心に、数々のリミックスワークを手がけたことによって世界的に注目を集めるようになった彼は、やがてNYのVinylで行われていた"Dance Ritual"や、Sound Factory BarにてAdam Scottと共に開催していたパーティー"Legend"でレジデントとしてプレイし、その不動の人気を獲得するようになる。以降、完成度の高い楽曲のプロデュースやリミックス・ワークを数多く手がけ、多くのヒット曲を世に送り出す傍ら、自身の運営するレーベルRicanstructionからも良質のダンスミュージックをコンスタントにリリースし続けてきたFrankie Feliciano。今回待望の再来日を果たしてくれた彼に、HigherFrequencyのインタビューが話を聞いた。
> Interview & Translation : Eri Nishikami _ Photo : Ollie Beeston _ Introduction : Masashi Kitagawa (HigherFrequency)
HigherFrequency (以下HRFQ) : 今回のツアーはいかがでしたか?
Frankie Feliciano:いつもどおり最高だったね。日本人はいつ来ても本当に楽しんでるのが良くわかるし、音楽にすごく興味を持ってる人が多いと思うんだ。自分たちの好きな曲がかかったときの反応なんかは本当にすごくて、フロアが盛り上がってるのが分かるとこっちも盛り上がるし、そのエネルギーを更にフロアにバックできるしね。今回もまた気分良くNYへ帰れるよ!
HRFQ : 日本は何度目ですか?
Frankie:東京は3度目かな。前回来たときは札幌にも行ったし、今回は大阪にもいったよ。
HRFQ : 今回は全てCDを使ったプレイでしたが、DVDJとかファイナルスクラッチは使ったことはありますか?
Frankie: いや、とりあえずCDだけで、MP3は使っていないな。最近はCDのほうが音質がよくなってるからCDだけでプレイすることも多いんだけど、1983年頃からずっとDJをやってるし、"まわしてる感じ"っていうのはすごく大事なんだ。でも、ファイナルスクラッチはコンピューターまかせでしょ。コンピューターがダウンしたらパーティーも終わりになってしまうから使っていないんだ。CDについては、新曲はもちろんフロアでかけたら絶対に盛り上がる曲を含めて、自分のコレクションの中のほんの一部をディスクに焼いて持ってきているんだけど、仮にこれ全部をレコードで持ってきたら10ボックスくらいにはなるハズだよ!まぁ、その分選択肢も広がるしわけだし、それがCDでプレイしている理由かな。
HRFQ : 将来的にレコードはなくなってしまうと思いますか?
Frankie : ん〜そうは思わないな。ずっとそんな風に言われているけどね。可能性は「無きにしもあらず」だけど、完全になくしてしまう必要はないと思う。でも、良い音楽だったら、CDでも何でも関係ないんじゃない?
HRFQ : テクニクスのDV12000は使いましたか?
Frankie:家にあるよ!
HRFQ : どんな感じでした?
Frankie: かなり気に入っているよ。レコードのテクニックと一番近い感じがするからね。発売されたときはCDプレーヤーひとつにあんなにお金を払うつもりはなかったんだけど、カリフォルニアでプレーしたときに現金の代わりにギャラとしてもらったんだ。ほんと、ターンテーブル使ってるみたいでビューティフルなマシンだね。
HRFQ : NYで低音を取り締まる条例が出されたって聞きましたがクラブシーンへの影響は何かありそうですか?
Frankie: その新しい条例については良く知らないけど、騒音を取り締まる条例は確かにあるよ。でも、そんなに影響はないんじゃないかな。だって、大バコって、大体は工業地帯みたいな人の住んでいないところにあるでしょ。だから、この条例で影響を受けるのは住宅地にある小さなバーとかラウンジじゃないかな。もうすぐ住宅街にあるバーは1時にクローズしなきゃいけないって条例が可決されるって話もあるらしいしね。
HRFQ : NYのクラブシーンって皆が言うように本当に盛り下がってると思いますか?
Frankie: 全然そんなことないよ。まあ、10年前には大きなクラブがもっとたくさんあったのは確かだけどね。今はメインになるクラブは3つしかないけど、その代わりにバーとかラウンジシーンが盛り上がってるよ。それに、NYでやることがないなんてありえないでしょ。だいたいクラブに行くのに皆30ドルも払いたくないだけなんだよ。だったら普通にフリーでバーに行って、アルコール買ったほうが絶対ベターなわけだし。確かに前とは変わったところもあるけど、それはあのテロ以降みんな周りに知らない人ばっかりなのが怖くなってるというのもあると思う。知った顔がいないと安心できないって言うのはあるんじゃないかな。
HRFQ : じゃあ、いつもどこかでパーティーをしてるって事ですか?
Frankie:その通り!NYのウェストサイドにミートディストリクトっていうエリアがあって、Louie VegaのシエロとかAPTとか、ここではホントに色んな所でパーティーが開かれているんだ。このエリアだけであっちのバーからこっちのラウンジにって具合に朝まで遊べるんじゃないかな。それに、いつもどこかのクラブがクローズしても、すぐにまた別のクラブができるでしょ。Body&SOULで有名だったVinylも今はクローズしたけど、代わりにDeepとかCloverとか色んなクラブが出来たからね。
HRFQ : ヨーロッパにも行かれたことありますよね?ヨーロッパでは80年代後半から90年代初期にかけてのアーリー・ハウスがもりあげってるって聞きましたが?
Frankie:そうだね、全体的にレトロな感じの音楽がはやってるのは確かだよ。みんな80年代後半から90年代ごろの音楽なんかを聞きたがってるしね。でも、ヨーロッパではシーンの方向性はプロモーターによるところが本当に大きいんじゃないかな。ハウスみたいにメジャーな音楽ではない音楽に対しても、ヨーロッパにはそのシーンの為のクラブやパーティー、そしてプロモーターがキチンと存在しているし、それに一番初めにアメリカのハウスミュージックというものを受け入れたのもヨーロッパだったからね。
HRFQ : ヨーロッパではどこに行かれましたか?
Frankie:フランスやロンドン、それからイギリスのあちこちとイタリアが多いかな。あと、ナポリは特にお気に入りなんだ。あそこでパーティーすると絶対3000人から4000人くらいは集まるんだよ!すごいでしょ!
HRFQ : Louie Vegaから大きな影響を受けたと聞きましたが、どんな事を彼から学んだのでしょうか?
Frankie: まだ若いころNYのクラブでLouieがプレーするのを聞く機会があったんだけど、その時に「彼のスタイルって僕のスタイルに似ているな」と思ったんだ。そんな風に思える事ってNYでは滅多にないから、僕らには何か共通する所があるんだろうなって感じたね。彼の事は本当に尊敬しているんだけど、一番すごいと思うのは彼の持っている方向性なんだ。彼のスタイルって、ある所からスタートして徐々にジャジーでラテン・ジャズ的な感じに発展して行ったでしょ。そういう境界線がないところが好きなんだ。もちろん、友人としても最高の存在で、ビッグ・ブラザーって感じかな。音楽や仕事のこと以外にも何でも話せる存在だしね。
HRFQ : 一緒にイベントをする機会はあったりするんですか?
Frankie:何年か前にLouieの誕生日パーティーをナポリのビーチでやった事があるかな。5000人くらいは集まったね!
HRFQ : 今までのキャリアの中で、一番印象に残った経験って何ですか?
Frankie:そうだな、たくさんあるけどやっぱりLouieのバースデーパーティーが一番かな。本当にたくさんの人が集まってくれて、翌日の12時にパーティーが終わるまで大騒ぎだったんだ。何をかけても盛り上がるし、次の曲が何かが分かったりすると、みんな皆叫びまくっていたよ。
HRFQ : 最近のプロダクション活動について教えてください。
Frankie:やっと自分のレーベル、Ricanstruction Records(リカンストラクション)を立ち上げる事が出来たんだ。ウエブサイトに行くと、過去にリリースした曲が全てMP3でダウンロードできるようになっているよ。レコード屋で僕のレコードを手に入れることが出来なかった人がその場ですぐダウンロードできるようにね。
HRFQ : フリーでダウンロード出来るのですか?
Frankie: いや、ただではないけど全然高くないよ。一曲1ドル49セント。安いでしょ?もちろん試聴もできるから、気に入ったものだけを買えるしね。それに、音質もMP3とは思えないくらい良いんだ。
HRFQ : 音楽制作に使っている機材は何ですか?
Frankie:ProTools、MPC2000。それにキーボードはヤマハのモティーフ。シンプルでしょ。あと、たまに生の楽器も使うかな。
HRFQ : 今後リリース予定の作品はどうなっていますか?
Frankie:来週新曲をリリースする事になっているよ。あと、Louie Vegaの"Elements Of Life"のリミックス・アルバムにも参加して、"Journey's Prelude"って曲をリミックスしたかな。このリミックス・アルバムには、DJ Spinna、Joe Claussell 、Blazeたちも参加していて、ほんとカッコイイ作品になるんじゃないかな。あと、6週間ごとに1曲の新曲を自分のレーベルからリリースする予定にしてるよ。
HRFQ : 日本人アーティストからデモテープなどが送られてきたりしますか?
Frankie:デモテープはないね。でもよく日本人アーティストのリミックスは頼まれるかな。この間もKing StreetのHisaに頼まれて、Double のリミックスをやったばかりだよ。
HRFQ : 最後に日本のファンに一言。
Frankie:レーベルのウェブサイトをチェックして、いつも最新の情報を手に入れてほしい。このサイトではミックステープも流してるんから、仕事で疲れて、何か聞きたくなった時にはここへアクセスしてみるもの良いと思うよ。あと、とにかくまたすぐに日本に戻ってきたいね。ここの雰囲気は大好きだし、僕が住んでるブルックリンとは大違いだからね。本当に良いところだよ。
End of the interview
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