HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Faithless


『Creamfields みたいなイベントで出会う人たちは、やっぱり素晴らしいわ。ツアー・バスであちこち移動するようなヒドイ毎日ばかりを送っている私にとっては、あそこで彼らみたいな仲間たちとハングアウトできるのは最高だし、自分もシーンの一部なんだって実感することが出来るの』

世界的に有名なスーパーDJとして、そして常にダンス・カルチャーにおける最も成功したグループ Faithless の一員として、Sister Bliss は自分自身の努力で獲得してきたトップ・アーティストとしての座を守りつづけている。

『90年代半ごろ、クラブ業界の授賞式に出かける機会が多かったんだけど、その時にはいつも他のDJを見ながら「ここに出席している人たちは、みんなダンス・フロアの中心にいて、私と同じことを感じてきた人たちだ。私と同じように、パーフェクトなビートを見つけるために人生を捧げてる人たちなんだわ」って思っていたものよ。実際、これまで出会ったdjの中で「こいつは完全にうぬぼれてるな」という感じの人はいなかったし、私にとってフェスティバルはそれを再確認する機会でもあると言えるかしら』と、思いにふけるように彼女は語った。

『Basement Jaxx とか Fatboy Slim とか Underworld、それに私たちも含めて、みんな長いこと活動続けてるけど、それって凄いことだと思うのよね。だってダンス・ミュージックなんてメディアからはろくな書き方されないし、過小評価の対象にしかならなかったんだから。ダンス・ミュージックはいつだって"インディーズの憐れな従兄弟"くらいにしか思われてなくて、本当はこれまでに生み出されたどんな形の音楽より独創的で影響力があるものなのに、そんな風に認められたこともない…。まぁ、こんな言い方したら大げさだって思われるかも知れないけど、私は本当にそう思っているわ』

バンド仲間でありラップを担当している Maxi Jazz も、彼女同様に音楽に注ぎ込む強い情熱をもつ男だ。ただ彼は、クラブ・カルチャーを褒めたたえることより、オーディエンスとの繋がりや、彼らを導いていくということにより強い思いがあるようだ。

『流行ってるからという理由で何かをやったことは今までないし、Faithless が好きだと言ってくれる人は Faithless が好きなんであって、僕らがトレンディーだからとか、流行ってるからって理由で好きになったんではないと思うんだ。古臭い言い方かもしれないけど、僕たちの考え方に共感してくれてると思うのさ。それに、僕らにはキチンとした考えっていうのがあって、そのことに対して人が集まってくれてるんだと思ってる。メディアからは馬鹿にされてしまうような考えなのかもしれないけど、実際には多くの人がその考えにはまってるんじゃないかな』

> Interview : Jonty Skrufff _ Translation : Eri Nishikami

triangle

Jonty Skrufff (以下Skrufff) : (北部のリバプールで行われる Creamfields に出演することについて) Faithless は Creamfields で何度もプレイしてるし、ここ10年ほどの間に他にも数え切れないくらいのギグをやってるみたいですが、北部の人の反応はやっぱり違うんでしょうか?

Sister Bliss : そんなことはないわ。どこに行っても皆大体同じようなものよ。でも客の立場から言うと、Creamfields に行ってジャンプしまくるのは最高ね。みんなとても暖かく迎えてくれるし、あそこの人たちは本当に楽しみ方を知ってるし。それに、Creamfields は「純粋なダンス・フェスティバル」という意味では唯一なものでしょ。ただ、北部にはイベント自体少ないから、スペシャルな雰囲気になるのかもしれないわね。南部のイベントとは全然ちがうの。

Maxi Jazz : 最近はそうでもなくなったけど、実際、北部の人の反応は違うかもしれないな。人って、同じ理由で笑ったり泣いたりするかもしれないけど、喜びの表現方法ということに関しては文化によって違うこともあるでしょ。誰かを喜ばせる為の刺激だって、場所によっては大きかったり小さかったりするわけだし…。そういう意味では、北の人は南の人に比べて小さな刺激で楽しむことを知ってるって言えるかもしれない。南部の出身である僕たちは、家のローンやステータス、それに車は何に乗ってるとかいった下らないことを気にし過ぎなんだけど、 北部の人は「生きている」ってことに対して、よりハッキリとした考えを持っていると思うんだ。

Skrufff : 過去の大ヒット曲をライブでやる時って、オリジナルを出来るだけ忠実に再現しようとするものですか?

Sister Bliss: そこが Faithless が他のアーティストと違う所だと思うんだけど、私たちはアルバムとかシングルの丸写しっていうのはやらないの。ライブのアリーナって、クラブとかホーム・リスニングの環境とは全然違うでしょ。それに、ライブはその時々の生々しい感情を表現するものだと思っていたから、私たちはトラックをライブ用に解体して、よりエモーショナルに表現する方法を、かなり早い時期から身につけていたの。中にはテンポすら元とは違ったものだってあったくらいよ。例えば、10年前に作った"Insomnia"をやる時は、いかさまだって言われるかもしれないけど、レコーディングした時よりちょっと早めのBPMでやるしね。でも、会場も違うわけだし、それに盛り上げるために私たちに与えられた時間は一時間半くらいしかないわけじゃない?だから、出来るだけダイナミックに、かつ簡潔にする必要があるのよね。

Maxi Jazz : "Insomnia"はライブを始めたときから演ってるトラックで、この曲を演らないことはない。でも、いつだって違う人が相手だし、そこには違うヴァイブがあるから、今でも初めてプレーした時と同じくらい楽しんで演奏出来る曲の一つなんだ。聴いてる人に楽しんでもらって、出来ればもっと元気を出してもらうために演奏してるって感じで、それが目に見えてわかったときは本当に最高って感じさ。

Skrufff : 今でもギグの前は緊張しますか?

Sister Bliss : めちゃくちゃ緊張するわ!!

Maxi Jazz : 僕もだな。最近やったLive8みたいに、いつもと違う環境の中でやるギグは特にね。だって「良いバンドだ」という評価をしてもらえば、これから僕らがやる全てのギグにそれはついて回るんだよ。逆に、例えば明日ショーをやったとして、もしそれがヒドかったら世界中のメディアが飛びつくってわけでしょ。自分たちの存在感だけでお客をクレイジーに出来るって保障はどこにもないし、結局、毎回キチンとやり遂げないといけないってことなんだよね。

実は、僕には毎回ショーの前にやる儀式があってね。それは、「このショーは戦争で、オーディエンスは自分たちのことを嫌っている。ホントは Robbie Williams か Basement Jaxx か誰かのヤツを観に来てるんだ」って考えるようにすること。そうやって気持を高めてから、ステージに向かうようにしているんだ。

Skrufff : ベスト・アルバムを出して解散するバンドってたくさんありますよね。解散を考えたことはありますか?

Sister Bliss : 解散はないわ。あ、でも「ちょっと休んでもいいかな」とは思ってるの。実際には、かなり難しいんだけどね。さっきも言ったけど、私は「パーフェクトなビート」のために人生を捧げてきたんだけど、でも、それは本当に大変なことで、エキサイティングなことではあるんだけど、同時に個人的な人生の楽しみといったものを犠牲にしてしまうことなの。だから、今は家でゆっくりしたいって感じかしら。だって、ホテルでずっと暮らしていると、人との交わりも無くなってしまうでしょ。それで、どうやって曲を書くこと出来るのって感じだわ。特に Faithless は、人との交わりをベースに曲を書いてきたバンドだからね。

Skrufff : それにしても、どうやってそんなに長い間、友情関係を保ってるんですか?

Maxi Jazz : 感傷的に聞こえるかもしれないけど、感謝の気持ちのおかげで友達でいられたって感じかな。「自分が最高の人生を送っている」ということを忘れてしまったら、「疲れてる」とか「半年家に帰ってない」と言ったくだらないことで、すぐにイライラしてしまうものさ。でも、ルーマニアで僕らが街を歩いてると、通り過ぎる人の15%がサインを頼んできたり、笑いかけてくれたり、僕らのファンだって言ってくれたりするんだよ。こういうことに感謝して、「ホントに最高の人生を送ってるんだな」ってことを自覚しないといけないと思うし、何千人もの人が自分達の音楽に感動してくれるステージに立てるってことが、限られた人だけに与えられた特権なんだって事を絶対忘れちゃいけないと思ってるんだ。

Skrufff : Rolo は Creamfields に出ないんですか?

Sister Bliss: ん〜、多分出ないと思うわ。だって彼は、夜の9時半以降起きてることってほとんどないから。それに子供もできたし、楽器弾けないからバンドもやったことないしね。だから、多分家でゆっくりみてるんじゃない? しかも、Creamfields 自体が、もうあまり Rollo にとって魅力的なシーンじゃないっていうか、最近もイビサの Space で2時間やったって言ってたけど、そっちに戻るつもりなのかもね。思いがけず子供が出来ちゃうと人生180度変わるっていうでしょ。

End of the interview


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