DATE : 30th September, 2004 (Thu)
写真提供 : BMG Japan / Official Site
TEXT : Kei Tajima (HigherFrequency)
90年代中ばから現在においてプログレッシブ/トランス・シーンをリードしてきたダンス・ユニットFaithlessが、今年六月にリリースされた4thアルバム"No Roots"のリリースを記念して来日し、恵比寿Liquid Roomでギグを行なった。以前にもお伝えしていた通り、大阪での公演が残念ながらキャンセルされてしまったため、東京のみとなった今回の日本公演。一夜限りのスペシャル・ショーに駆けつけたラッキーな観客の顔からも大きな期待が感じ取れた。 | |
眩ゆいばかりのライティングと共にバンドが登場すると、アグレッシヴなダンス・チューンを中心にプレイ。Sister Blissの弾くキーボードが奏でる泣きのトランス・メロディーは、力強いドラムから叩き出される生のビートと重なり、ダイナミックに訴えかけてくる。また、語りかけるように紡ぎ出されるヴォーカル、Maxiのスピリチュアルなヴォーカル・スタイルと、悟りきった出で立ちは会場全体の空気をリードしていた。"God is a DJ"などのクラシック・チューンが飛び出すと、オーディエンスもさらにヒート・アップ。懐かしいメロディーに体を動かしながらも、こうして改めて彼らの以前の楽曲を聴いてみると現在の彼らの楽曲にはさらにポリティカルな要素が加わり、以前はアグレッシヴに外側へ出されていたエネルギーも、内側へと向かっている様に感じた。 | |
セットの中盤にプレイした"Mass Destruction"は、アルバムからシングルカットもされている曲で、ダイレクトにイギリスのマスメディアを否定しているリリックスは、ちょっとしたニュースにもなった程だ。「この曲を、ジョージ・ブッシュやトニー・ブレアをはじめとする、全世界の戦争好きに捧げたいと思う」というMaxiの発言からも、彼らがどんな意味を込めて音楽を伝えようとしているのかを感じられる。ショーも後半になると、アルバム"OUTROSPECTIVE"から"We Come 1"をプレイ。Maxiが"We Come"をシャウトすると、オーディエンスが"1"と返すなど、会場内はものすごい一体感とピースフルな雰囲気に包まれる。この頃になると、会場はライブ・バンドのグルーヴ感とクラブのダンス・フロアが持つヴァイブスが一体化した至極の空間へと変化していた。一度ステージを去ったものの、"WE WANT MORE!"と連呼するオーディネンスに答え、最後まで素晴らしいショーを見せてくれた彼ら。そこに居合わせた誰もが、Faithlessが世界一のライブ・アクトと評される理由を理解したはずだ。 |
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