HigherFrequency  DJインタビュー

ENGLISH INTERVIEW

Dominik Eulberg

ドイツはヴェスターヴァルド出身のテクノ・クリエイター Dominik Eulberg。’03年にケルンの名門レーベル Traum Schallplatten よりデビューを果たした Dominik は、その後も Raum...musik、 Cocoon Recordings といったビッグ・レーベルで数々のヒット・チューンをリリース。‘04年のドイツ Groove 誌では "The best of new comer in 2004" にも選ばれるなどして、一躍トップ・アーティストの座に君臨することとなった。また、昨年の11月にはニュー・アルバム "Bionik" をリリースし、フロア・ライクなミニマル・トラックと生音を駆使したエレクトロニカ作品を織り交ぜた斬新な内容でシーンの話題をさらったばかりだ。

そんな勢いの彼が2月に再び日本へやってくることになり HigherFrequency もすかさずインタビューを決行。彼の現状をはじめ、ニュー・アルバム "Bionik" について、盟友 Gabriel Ananda とのユニークなエピソードなどを自然愛好家らしい柔らかい物腰で語ってくれた。

> Interview : Ryo Tsutsui (HigherFrequency) _ Translation : Len Iima (HigherFrequency) _ Introduction : Masanori Matsuo (HigherFrequency)

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HigherFrequency (HRFQ) : あなたがどのようにしてエレクトロニックミュージックを作るようになったのか教えてください。

Dominik Eulberg (Dominik) : 1993年に音楽をプロデュースし始めたんだ。それまでは別に音楽に興味はなかったから音楽好きの友達はお気に入りのバンドなんかがあったけど、僕はもっと自然に興味があるような子供だった。でも初めてテクノを聴いたときに「これは一体なんだ?」という感じでどのように作られているのかもまったく想像つかなくて、それですぐにシンセサイザーを買って、プロデュースとDJを始めたんだ。

最初はハウスやテクノがどうやって作られているのかを知りたくて始めた。僕は好奇心旺盛な子供で、なんでも理解しないと気が済まなかった。そんな中、ハウスやテクノで使われているクレイジーな音がどうやって制作されているのかまったくわからなかったんだ。最初の一年は曲も作らずにモジュレーションだったり、音自体を作る実験を繰り返したよ。でもそれから音楽が僕にとってセラピーのようなものになっていったんだ。気分が落ち込んだときなんかでも音楽を制作すると別世界にスリップすることができて、僕自身のバランスを保つのにすごく助けになったんだ。

HRFQ : 昨年 Cocoon よりリリースされたあなたの3rdアルバム "Bionik" ですが、どのようなメッセージやフィーリングを表現されようとしたんですか?

Dominik : “Bionik” はファーストの “Flora & Fauna” からもう一歩踏み込んだ作品だと捉えている。Bionik は僕の情熱の両極である、自然とテクノロジーの共生を表現しているんだ。自然は何万年もの間存在してきたもので、人間はテクノロジーのためにそれを利用してきた。僕は常にその両者について何かを伝えようとしてきたんだ。そこで今回は Bionik とは何かということをテーマに10個のトピックをピックアップして、それに関する文章も作成したんだ。だから今回は音楽的にもファーストよりもテクノロジカルになっていると思う。ファーストがもっと感じたままに、という感じだったのに対して今回はもっとテクニカルな作品となっていると思う。

HRFQ : 最近あなたはDJの際に Electronica, Dub, Minimal, Tech House など様々なトラックをプレイされますね。あなた自身の音楽的テイストに変化は感じますか?

Dominik : もちろんテイストは常に変わっているよ。日によってメロディアスなものがピンと来ることもあるし、次の日にはもっとミニマルでダークなものが気になったり、だけど気分によってテイストが変わるのはいいことだと思っているよ。一番退屈なのは一つのスタイルだけをやり続けることだと思う。今ミニマルシーンは退屈になってきている。もっとオープンになった方がいいと思うよ。エレクトロニック・ミュージックはいろんな表情を持っているし、表現の仕方もいろいろある、それを使わない手はないよ。ミニマルは好きだけどパーティで一晩ミニマルだったら退屈だよ。だから僕は例えばイケイケのハードテクノにメロディアスなものを混ぜたり、驚きを演出するのが好きなんだ。

Dominik Eulberg Interview

HRFQ : LiveとDJどちらが好きですか?

Dominik : 僕はたまに友人の Gabriel Ananda とライブをやるんだけど、ライブで演奏するっていうのは準備が大変だし、機材も運ばなくてはいけないしね。僕にとってラップトップだけでプレイするのは退屈だしね。まるでステージの上でメールをチェックしているみたいだよ。僕は両方好きだけど僕にとってライブで演奏するというのは特別なことかな。それに毎日やるとなるとレパートリーが狭いなかでやらざるを得ないし、 DJ だったら毎日違うセットを演出できるけど、ニューアルバムを出して、ライブをやって回る人は毎晩同じ10曲をプレイするわけだろう? だから僕は年に2,3回しかライブではプレイしないんだ。

HRFQ : リミックスする楽曲はどのように決めているんですか?

Dominik : まず一方でそのトラックを作った本人が好きかどうかというのはすごく大事だね。だってリミックスするときはその人の感覚に入り込む必要があるから、本人が好きでなかったらやらないね。ただ一方でトラックがとても好きでやる場合もある。

Hot Chipのリミックスをやったときは彼らのことが好きだから、リミックスするのも喜びだったし、今はGui Borattoの曲をリミックスしてるんだけど、最初彼のことは直接は知らなかったけど、彼の音楽から分かり合えると思ったんだ。だっておんなじ方向で音楽を見ているわけだからね。それで実際に話してみて、彼は予想通りいい人で、彼のアイディアを感じることができて、順調にリミックスすることができたんだ。

HRFQ : 今のドイツのテクノシーンについてどのようにお感じになられますか?

Dominik : 今でもすごく大きいね。他にあんな国はないと思う。レーベルもアーティストも大量にいるし、ベルリンはテクノの中心地となってきているといっていいと思う。 Ritchie Hawtin や Radioslave, Ricardo Villalobos, Steve Bug, といったような人たちが移り住んできたし、クレイジーなクラブが山とあるし、今ドイツはテクノにとって最も重要な国だと思うよ。

Dominik Eulberg Interview

HRFQ : あなたはこれまでの2度の来日で2回動物園に行かれていると伺いましたが、それは正しいですか?また今回訪れたいと考えてらっしゃる場所はありますか?

Dominik : うん(笑)でも今回は明日大阪でプレイするし、あまり時間がないんだ。だから今回はショッピングかな。日本でのショッピングはすごく特別だよ、服や、おもちゃ、ロボット、日本みたいなところはないね。世界一だよ。もうロボットとかプレゼントとか買ってきたんだ。ほら。

HRFQ : おーロボット、おもちゃ屋で買ってきたんですか?

Dominik : うん、そうだよ。これ以外にもこのカピバラ?のぬいぐるみとか、これは Gabriel Anandaへのおみやげなんだけどね。前回彼が日本に来たときに僕に似ているといって大仏のぬいぐるみを買ってきたから仕返しなんだ。今回はこんな感じでショッピングだけだけど、次に来るときには富士山に登りたいな。昨日 Dr Shingo と約束したんだ。(笑)

HRFQ : それでは日本のファンにメッセージをお願いします。

Dominik : 僕は日本の人たちのフレンドリーさが大好きだよ。昨日も Cross mountain の Shu と Dr Shingo が来ていろいろ助けてくれたし、通訳でついてくれている Aki も今日一日助けてくれたし、感謝してる。それに今晩のプレイをすごく楽しみにしているよ、すごいことになるはずさ。日本の人たちはすごく熱狂的だからね。でも僕から一つだけ、日本の人たちには捕鯨をやめて欲しい。僕は自然保護にすごく関心があって、今までにいろいろなところで日本人が鯨を捕獲しているというニュースを読んだけど僕は反対だよ。でも日本は好きだけどね。

End of the interview


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